日刊工業新聞に防衛産業の記事を書く能力はない。

日刊工業新聞には防衛産業について記事を書くための基礎的な能力が記者にも、
記事を精査するデスクにもないようです。「工業」の専門紙ですから、これを信用する読者も
少なからずいることでしょう。罪作りな話です。

宙に浮く「F2」後継機゛…開発経費計上は見送りの公算
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190625-00010000-newswitch-bus_all

>装備品の“頂点”とも言える戦闘機は関連企業は1000社近いと指摘される。現在の航空自衛隊戦闘機はほとんどが米国製。「F4」と「F15」は三菱重工が国内で部品を組み立てるノックダウン(KD)生産だったが、最新ステルス戦闘機「F35」はコスト削減を理由に、19年度調達から米国完成機輸入に変更。日本企業が技術を習得できる機会は著しく狭められた。

ノックダウン(組み立て)生産と、コンポーネントの内製化も含めたライセンス生産の区別がつかないのは防衛産業のみならず、工業専門紙としては落第でしょう。仮に記者がそういう記事を書いても、デスクがそれをそのまま載せてしまうというのは会社として工業の知識がお粗末ということです。

今更言うまでもありませんが、コンポーネントを生産するライセンス生産と、単なるアッセンブリーに過ぎないノックダウンでは、技術移転の度合いがまったくことなります。
日刊工業新聞はかなりパーセンテージのコンポーネントが国産化されているF-15Jと、ノックダウンのF-35やMCH101あたりの生産の技術移転のメリットが同程度だと思っているのでしょう。

FACOにしても基本はほぼノックダウンで、技術移転の妙味はありません。単にコストが高くなるだけです。
ですから輸入に切り替えただけです。余分な税金を国内企業にばらまくだけで、利益はありません。

近年ノックダウン生産が増えたのは、調達機数が減って、コンポーネントを内製化するとコストが極めて高くつくからです。かつてのF-15Jあたりでも米国製の3倍はしましたが、調達数が数分の一であれば、1機数百億円にはなったでしょう。そんな金は出せないということです。

日刊工業新聞の記者たちはこの程度のことも理解できていないと言わざるをえない。であれば同紙の記事のクオリティは全般的に疑う必要があるということです。


潜水艦は失注、「P1」「C2」は防衛品輸出の切り札になるか
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190619-00010000-newswitch-bus_all

> P1、C2とも川崎重工業が製造を担当。本年度からの新たな中期防衛力整備計画(中期防)では、5年間でP1を12機、C2を5機導入する計画だ。これに加えて輸出に結びつけられれば、製造会社やサプライヤーの恩恵は大きい。日本の防衛産業を維持・拡大するためにも、輸出による生産規模の積み増しに期待がかかる。
(パリ=長塚崇寛)



これまた基礎知識がない記者が、装備庁の「偉い人」のコメントそのまま受け売りで書いたのでしょう。
しかもテクノナショナリズム的な願望丸出しの見出し。

他国の同クラスの3倍以上値段が航空機が売れるかどうか素人でも分かる話です。
加えて申せばアフターセールス網もない、P-1なんぞは信頼性も怪しい、コストの高い国産専用エンジンです。
自衛隊以外のユーザーもいない。C-2は不整地運用ができないという軍用輸送機としては致命的な弱点があります。また民間転用も無理です。これから耐空、型式証明とるなら数百億円はかかるでしょう。それを回収できるわけがない。

更に申せば、こういう高額案件は外交、政治的な売り込みのノウハウが必要ですが、それが全く我が国はない。釣をやったことがない人間がいきなりインド洋でカジキマグロを釣り上げよう、みたいな話です。

こういうことすらわかっていないから、輸出に過度な期待が持てるかのような記事を掲載する。

武器輸出ならばむしろ軍用トラックとか、中間財、素材です。
16式機動戦闘車の空冷システムには某社が開発した断熱材が使われるようですが、こういう部材が本当に高性能であれば輸出が可能でしょう。

これらの記事は、海外の軍事産業の取材もせずに、国内の奇異な当局とメーカーの話を鵜呑みにして記事を書くとこうなるという
見本みたいなものです。

ろくに防衛産業の取材もしていないで、当局の主張を鵜呑みで大本営発表的な記事を書くなら、書かないほうが余程ましです。

分からないことは書かない、というのもジャーナリズムの見識です。


■市ヶ谷の噂■
陸自の75式ドーザーの後継で本年度参考品調達で7億円を計上。最有力候補はBAEシステムズ傘下のトルコ、FNSS社のAACE (Armored Amphibious Combat Earthmover)という噂。

この記事へのコメント

KU
2019年06月26日 18:58
分からない事でも、さも知っているかのようにドヤ顔で書くのが我が国のマスコミですものね(((^_^;)。あんな週刊誌の「自衛隊って、あれも出来ない。これも出来ない。高速道路も走れない」という特集記事もですけど。アレなんて、見事に現場の足を引っ張っているんじゃないですかね。


>>>装甲ドーザー

ついにコマツの牙城ががが!(>_<)。とうとう外国メーカー、それもトルコ製の装甲ドーザーが参考品とはいえ、予算計上される日が来ましたか。
マリンロイヤル
2019年06月26日 20:02
>>武器輸出ならばむしろ軍用トラックとか、中間財、素材です。


火力戦闘車の一件を見るに、軍用トラックも怪しいのでは(笑)
濡れネズミ
2019年06月26日 22:42
エストニアのスパイク対戦車ミサイルの採用、ロシアのBTR-82装甲車の改修計画、すなわち東ヨーロッパ圏の軍事圧力の増大。

中東各国とアフリカの角で燃え上がる宗教過激派。目を覆いたくなる民族浄化、耳を塞ぎこむ環境問題。

アジア圏に蔓延する腐敗と国境と民族紛争。そして過激な指導者。
一体全体どこに王道楽土と平和があるのでしょうか?
彼らはただひたすらに使えない製品を押し付けることしか無い。
通りがかり
2019年06月27日 09:07
本文中、何カ所か「日本工業新聞」となっていますよ。取り急ぎ。
2019年06月27日 11:17
ご指摘ありがとうございました。
訂正しました。
通りすがりの人
2019年06月27日 12:16
Yahoo に掲載されている記事なんて、ページビュー数乞食のまとめサイト並みの記事でしかないでしょう。
背に腹は変えられない現状もあるのでしょうが、この様な記事(ちり紙?)に引っかからないリテラシーを多くの人が持って欲しいものですね。
2019年06月27日 20:51
ライセンス生産やノックダウン生産は日本車でも行われてるのに、その区別もつかずに工業新聞を名乗るのはどうかと思いますねぇ。

以前こちらで拝見した装甲ドーザーの後継にトルコ製が、という話が現実味を増してきましたね。水陸両用というのが魅力なんでしょうか。

同じメーカーのAAABという自走浮橋がありますが、日本では70式のような自走浮橋はもう必要とされてないんでしょうか。
俘囚剣
2019年06月28日 09:36
この記事も面白いです。トルコ政府、なかなかやりますな…・・…いや、結果として米政府を怒らせてしまったのだから当面は失敗でしょうか。

[分からないことは書かない、というのもジャーナリズムの見識です]
という一文。短いけれど力強いです。わたしはむかし、技術史の本(日本人が書いたものでした)が、ナポレオン戦争でミニエー弾が使われたと述べているのを読んだことがあります。ほかにもめちゃくちゃな記述が多数。著者はいったいどんな人物か?と思い略歴を覗いたら、煌めくような高学歴でして。なんだかがっかりしました。
KU
2019年06月28日 12:16
>トランプ氏「軍装備購入を」日米首脳 貿易など協議

http://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000158223.html

これで、グローバルホークやオスプレイを追加購入しますう、なんて話なら「ふざなけんな」でしょうね。アメリカから完成品を買うなら、グローバルホーク以外のUAVとか戦闘ヘリとか装輪装甲車とかですかね。
横浜の黒豚
2019年06月28日 13:22
日刊工業新聞って、流通におけるストアーズレポート、製薬業界における日刊薬業みたいな業界紙だと思うんです。だから、ヨイショ記事しか書けないのは仕方がない気がします。
ダックス
2019年06月29日 14:59
だって、3K系だもの。
ブロガー(志望)
2019年06月30日 21:32


お邪魔します。
 経営コンサルタントの大前研一が、日経新聞は財界の機関誌だと言っていました。また日本のマスコミは「事実は伝えるが、どう判断するかは読む人次第」ではなく、「"空気"の醸造装置」です。今回の件はそういった面が出たものでは無いかと思われます。
人口の減少等で民需が頭打ちなので、軍需をあたかも新たなフロンティアのように見ているのかも知れませんが、膨大な人・モノ・金がつぎ込まれて、コンピューターやインターネット及び宇宙技術が実用化されたある意味幸せな時代は過ぎ去り、民需以上のレッドオーシャンと化している事を知らないのではないかと思われます。
やれやれ
2019年07月01日 01:43
KUさん
二階氏も良いこといいますな。棄権者はペナルティでも与えたほうが良い。仮に白票でも投じないよりマシ。しかし...自民は選挙に来ないでくれっていってたよね...寝ててくれって。その方が相対的に自民票の割合が増えるから。

それと画面見て頑張る海自さん...頑張ってください...馬鹿らしくて他にコメントできない。まあ彼が悪いわけじゃないけどなんだかな。

ブロガー(志望)さん、
日本人は武器を売るのが民生品を売るよりずっと閉鎖的で難しく儲からない(特に後発で価格の高い実績もない日本)事が分からなんですよ。高くて低性能な日本の兵器をありがたがる国はいませんから。もちろんタダなら欲しがる所もあるでしょうがそれだと大赤字で意味なし。
KU
2019年07月03日 06:49
>「最終的な海自の機数は、救難体制を海自で維持することとなっている硫黄島航空分遣隊の3機となる予定(UH-60の除籍後は、SH-60の救難改修機で対応予定)」予算執行調査資料 総括調査票:財務省

http://mobile.twitter.com/shironeko_c/status/1145682553673678848

完全に、海の救難飛行隊が廃止されるわけでは無いんですね。
俘囚剣
2019年07月03日 22:25
そういえば、昭和初期まで日本はピアノ線が自給できなかったという話を読んだことがあります。欧州からの輸入に頼っていたそうでして。支那事変ごろからその輸入が難しくなりおおいに困った。みなさんのコメントで思い出しましたよ。

輸入していたのなら研究し模倣するべきだと思うのですが。簡単に模倣できるようなものではなかったのでしょうか。
やれやれ
2019年07月04日 17:33
仏独西の次世代戦闘機、モックアップ公開 戦闘機の枠を超えた「システム」の一翼に
https://newsphere.jp/world-report/20190630-1/
計画では2026年にプロトタイプの飛行が行われ、2040年頃に導入される予定だ。

これもトルコ同様コンセプトモックですが、こちらの方がもっと検討が進んでいる感じです。スケジュール的にもこんな所かな?と言う感じ。
どこかのF3(仮)が10年後はF22やF35の開発状況を見ても絵空事。
ベース機が無く国産なら早くて20年後の量産開始できれば良い方でしょう。こっちはモックもコンセプトも決まらず先送りですからね。
独仏より遅れる可能性が高いかと。

KU
2019年07月09日 19:13
>山本太郎「消費税を廃止しないとロスジェネ世代が死ぬ!」

http://nikkan-spa.jp/1586951

ここまで言い切れるのが単純にスゴいと思います。
KU
2019年07月09日 19:28
連投、失礼します。

「ビッグローブ ブログ改悪」へは、全くコメントが反映されない状態が続いているようですねorz。先日来、何度かコメントを書かせていただきましたが 、どどこかに消えてしまうようです(>_<)

>愛煙家の防衛相、敷地内禁煙の義務化「正直かわいそう」

http://www.asahi.com/sp/articles/ASM79530DM79UTFK01G.html?iref=sp_poltop_all_list_n

非喫煙者の立場に全く、考えが及ばないのでしょうね。



>フランス陸軍が新型汎用装甲車グリフォンを受領

http://otakei.otakuma.net/archives/2019070905.html

長さが5.58mで幅が2.54mとの事ですから、ブッシュマスターより少し小さい感じでしょうか。

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