アメリカ様に言われましたと、南西諸島で使えないAAV7を入れた陸幕の見識

さて先日、軍事見本市、MASTジャパンに行ってきました。
前回も初回よりもしょぼかったのですが、今回は更にスペースが約半分に縮小されておりました。
余り見るべきものがなかったというのが正直な感想です。次もやるんでしょうかね?




さて、防衛装備庁のブースでは三菱重工がオウンベンチャーで始めて、いまは装備庁の開発予算がついたMAV(Mitsubishi Amphibious Vehicle)で面白い展示がありました。

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これの開発が必要な理由にAAV7がサンゴ礁を超えられない、対してMAVはウォータージェットのアシストでサンゴ礁を超えられる、というのが上げられておりました。

あーあ、言っちゃったよ。という感じです。
AAV7がサンゴ礁を越えられないのは周知の事実ですが、それを理由に新型の水陸両用装甲車を開発する、というのは無責任じゃないでしょうか。

そもそもAAV7は南西諸島で島嶼防衛を念頭に調達されました。
ぼくは当初からサンゴ礁や護岸工事された海岸を登れないAAV7は不向きであると申し上げてきました。
であればLSTなどとバイキングのような踏破力の高い水陸両用装甲車、あるいは空輸が可能な装甲車といった選択も真剣に検討すべきと申し上げてきました。

ところが防衛省はまともにトライアルもやらずにAAV7を導入しました。
ビーチでしか揚陸できないAAV7が本当に「島嶼防衛」に必要だったのでしょうか。

使えるのは宮古島や沖縄本島などでしょう。


本来島嶼防衛は南西諸島の無人島など離島での紛争に対処することを想定していりました。
ところがいつの間にか、「沖縄県防衛」の様相を呈してきました。

つまり占領され、多くの民間人を人質に取られた宮古島や沖縄本島奪回の逆上陸を考えているとしか思えません。不思議なことに普段、エキセントリックなほどの基地問題の取り上げ方をする沖縄のメディアもこのAAV7の件を取り上げようとはしません。





>AAV7は評価用としてまず平成25年度予算でAPC(装甲兵員輸送車)型4輌が要求されている。これらは米海兵隊の中古をリファブリッシュしたもので、来年度には納入される予定だ。

 陸上幕僚監部は平成26年度予算ではさらにAAV7の指揮通信型、回収車型(戦場で破損したりした装甲車を回収するための車両)各1輌を要求している。こちらは新造であり、納入されるのは2年後、平成28年度の予定だ。

 平成25年4月15日の予算委員会第一分科会では、日本維新の会の中丸啓議員による「25年度に調達したAAV74輌の納入はいつになるか」という質問に対して、防衛省側の徳地秀士防衛政策局長は以下のように答弁している。

 「27年度までに取得をいたしまして、それから1、2年かけてこれにつきまして性能を確認する、あるいは運用の検証を行う。これによりまして、水陸両用車を導入すべきかどうか、それから実際にどの機種にするかということについて検討をするということになっております」

 仮に徳地防衛政策局長の答弁が正しければ、評価作業が完了するのは平成28~29年になる。当然AAV7が装備として予算が要求されるのは、早くても平成29年度ということになる。

 ところが先述のように筆者が入手した陸自の内部情報によれば、AAV7の評価は2014年5月から行われ、12月には水陸両用装甲車の採用車種を決定するとある。

 つまり、来年度予算で発注する予定の指揮通信型や回収型の納入を待たずに、APC型のみで、わずか何カ月の形だけの評価を行い、採用を決定することになる。

 来年度予算で要求されている指揮通信型と回収型は採用を決定するための評価試験には使用されない。つまり概算要求は虚偽の理由を挙げて、指揮通信型と回収型を要求することになる。この程度の簡単な評価であればわざわざサンプルを購入するまでもなく、米海兵隊からリースするなり、共同演習を行えば済む話だ。



陸自の水陸両用装甲車、AAV7導入は裏口入学だ
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2013122500002.html


>25(2013)年度予算で、評価用としてまずAPC(装甲兵員輸送車)型4輌(米海兵隊の中古)が要求された。ついで翌年度、指揮通信型、回収車型(戦場で破損したりした装甲車を回収するための車両)各1輌が要求されている。こちらは新造であり、納入予定は平成28(2016)年度だ。常識的に考えれば、陸幕はAPC型と指揮通信型、回収型を合わせて試験的に運用してみて採用するか、否かを決定すると考えるだろう。

2013年4月15日の国会の予算委員会第一分科会では、防衛省の徳地秀士防衛政策局長は以下のように答弁している。

「平成27(2015)年度までに取得をいたしまして、それから1、2年かけてこれにつきまして性能を確認する、あるいは運用の検証を行う。これによりまして、水陸両用車を導入すべきかどうか、それから実際にどの機種にするかということについて検討をするということになっております」

そうであれば評価作業が完了するのは2016~17年になる。当然AAV7が装備として予算が要求されるのは、早くても2017年度ということになる。

ところが筆者が2013年の陸幕長会見で「陸幕は予定を早めて本年末までに結論を出すのではないか」と質問したところ、それを認めた。

つまり評価用に発注された指揮通信型、回収車型は、実際には十分に検証されているわけではないのだ。逆に言えば、使わないと分かっていて陸幕は予算を要求したのだ。

APC型は4輛が2014年2月に納入されたが、うち2輛は日本の道交法、船舶法への適合及び自衛隊仕様にするため改修中であり、年末まで使用できない。残りの2輛中1輛が富士学校、もう1輛が土浦の武器学校で試験されている。つまり6輛中2輛が試験されているに過ぎない。しかも実際に使用が想定されている南西諸島での試験が実施される様子はない。

>筆者は陸幕長に4年かかる評価作業がなぜわずか8カ月に短縮されたのか、安全保障上の環境の変化によってプロセスを縮めたのか、と陸幕長に質問した。後日陸幕からの返答は「安全保障環境の急激な変化はない(これは小野寺大臣も同様に認めた)、米国側との調整の結果だ」と回答があった。しかし概算要求は事実上、購入を前提としており、そうなると評価期間はわずか4カ月である。更に半分に短縮されていることになる。

米国側との調整、つまり米国から注文があれば、本来必要とされる評価作業を大きく端折る、ということなのである。つまり、評価作業はアリバイ工作程度に行っているに過ぎない、ということだ。これではまるで植民地軍ある。とても独立国家の「軍隊」の「参謀本部」の見解とは思えない。



尖閣有事に水陸両用車「AAV7」は役に立たない
https://toyokeizai.net/articles/-/46957


陸幕はAAV7のトライアルの結果によっては採用しないと明言していましたが、トライアルはほとんどおこなれず、
まして南西諸島における試験は一度たりとも行われませんでした。



世間ではこういうのを無責任といいます。



そもそも米国のEFVのような水上を高速で移動できる水陸両用車輌は必要なのでしょうか。
いまや携行火器や精密誘導弾、ドローンなどの普及によって強襲上陸は自殺行為となっています。
米海兵隊ですらやっていません。

MAVはそういう環境下で運用する代物でしょう。
ですがスピードが30キロ程度になってもオカから精密誘導兵器で狙われた場合の生存性は対して高くないでしょう。

またこの手の車輌は水上を高速で移動するための巨大なエンジンやウォータージェットを搭載し、下車歩兵も多く搭載するために、車体容積が大きい。これはAAV7も同様です。
このため陸上においては敵の格好の的になります。

ですから英海兵隊などはむしろヘリボーン作戦に主力をおいているわけです。
先述のように揚陸艇と装甲車を組み合わせる、あるいはスウェーデンのように、装甲化された高速ボートを使用する、あるいはこれらの手段をミックスすることも必要でしょう。

陸幕が、自分たちがどのような戦場を想定していたのか、疑問です
何しろぼくが報道しなければ国内用の個人衛生キットだって止血帯、包帯各1個のままだったでしょう。
そのくらい平和ボケの組織です。

当然ながら諸外国の水陸両用部隊の調査もろくにしていない。
このため水陸機動団は米海兵隊の劣化コピーみたいな部隊になりつつあります。

そして当面52輌のAAV7を運用するための輸送艦もありません。
あまりにも杜撰です。

杜撰な上に、アメリカ様に言われましたと、自分たちのトライアルをやめてしまう「植民地軍」が、本当に真剣に装備を開発、調達するのでしょうか。現状を見る限り極めて疑わしいとしか思えません。


■本日の市ヶ谷の噂■
陸自はファミリー化された「共通戦術装甲車系列」及び、「次期装輪装甲車系列」の二種類の装甲車ファミリーを導入する。「共通戦術装甲車系列」はICV、偵察車、自走迫撃砲、「次期装輪装甲車系列」はAPC、装甲野戦救急車など予定されているとの噂。


東京防衛航空宇宙時評
http://www.tokyo-dar.com/

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この記事へのコメント

KU
2019年06月21日 23:40
おまけに、そんなAAVに軍研最新号で文谷さんにボロくそに言われた、あんな水際障害処理用のロケットを搭載することを計画しているのでしたか。どこまで実現性の怪しい装備の開発に無駄金を注ぎ込むやら。いっそ、防衛費なんざ、現行の1/100くらいで良いんじゃないですか?

>>>ファミリー化

他国に遅れること、10何年ですかねorz。それでも、装甲野戦救急車型の調達を予定に組み込むなんて陸自にしては、かなりの進歩ですね(^_^)。あとはベースとなる車体の選定を待つばかりですか。何を選ぶにせよ、短期間でそれな。の質と数を揃えて欲しいですが。
濡れネズミ
2019年06月22日 06:06
輸送機といい、水陸両用装甲車といい。
LSTみたいな艦艇も足りない。

どう考えてもおかしな話です。
生存性向上に努めてもいるとは思えない。
何を考えているんでしょう。
マリンロイヤル
2019年06月22日 11:32
陸自に限らず、水陸両用作戦ドクトリンなんて研究してません。米海兵隊のマニュアルを翻訳して済ませてれば、同じ装備を買うしかなくなる。当然、そんな装備を買い揃えるカネなんぞあるわけもなく、迷走してるという所でしょう。
山銅
2019年06月22日 18:54
素人目で見てもウォータージェットで珊瑚礁に乗り上げたとこで結局その場で亀になっちゃうような気が
KU
2019年06月23日 06:23
>南西地域の自衛隊強化 住民保護 二の次 軍事衝突なら島中戦場 避難計画「自治体責任」

http://ryukyushimpo.jp/news/entry-941312.html

そんな暇も余裕もない、というのが本年でしょうか。
KU
2019年06月23日 06:24
×本年
○本音

失礼しました。
ぬこちん
2019年06月23日 09:32
そもそも89式小銃なんて海水に浸かって大丈夫なんでしょうか?
ブロガー(志望)
2019年06月23日 23:17
お邪魔します。
 先のMLRSの件も含めて根本的には、「島国・海洋国家の陸上兵力の存在意義を見出せていない」のではないかと思われます。島国・海洋国家の陸上兵力は昨今の中国の海洋進出にも見られるように、大陸に強大な勢力が生まれるとそれはしばしば海洋に進出し、陸の国境の様な境界線を設けてその中を排他的に支配するようになるので、それを阻止するために大陸に干渉・関与する事を目的としてきました。旧陸軍も日清・日露戦争の頃まではそうだったのかも知れませんが、「広大な大陸でこそ自分達が主役になれる」とでも思ったのか中国大陸での覇権争いにのめり込んだ挙句悲惨な結果をもたらしました。戦後の世界では日本は大陸への干渉・関与といった事からは完全に排除されたため、陸自は己の存在意義を見出せず、その時その場の都合や人間関係や「天の声」といったもので右往左往しているのが現状ではないかと思われます。余談ですがかつて自分は陸自を本土決戦志向と思っていたのですが、実は旧ソ連等の支援を受けた日本の革命武装集団との戦いを志向していたのではないかと思えて来ました。旧ソ連も「革命はあくまで日本人民の選択」にしたかったでしょうし、米も日本人は同じ日本人に殺させたかったのではないかと。
 現代は国同士・正規軍同士の徹底対決は米も含めて(経済、外交も含めた)コストが高くなり過ぎて、不正規戦の比率が増しています。民衆の中とかに潜む事で脅威となるゲリラやテロリストに対しては、必要に応じて移動し、かつそこに居続けられる陸上兵力が最も有効と思われるので、陸自もそこに存在意義を見出すべきではないかと思ったりもします。ゲリラやテロリストも十分なバックアップがあれば、弱小の正規軍を凌ぐ戦闘力を持つ可能性もありますので、ある程度は正規軍と戦える力も必要でしょうが。
やれやれ
2019年06月25日 21:02
パリから戻ってきました。
色々書きたいこともあるんですが、あまりこれと言った事もないので人の記事を引用して感想など書いてみます。一番驚いたのがタレスのお膝元なのにタレスの展示はプライベートに設営した大型ブースで招待者のみ(プレスパスがあったら入れたかも?)での公開でした。

TAI、パリエアショーで国産戦闘機「TF」の実大モックアップを公開
http://www.tokyo-dar.com/news/6128/
このモックアップMRJ特設ブースの横に置いてありました。ほぼF22のパクリですが、一番大きな違いが垂直尾翼の形状です。形が普通の戦闘機っぽい感じで後ろが垂直に落ちています。他にもこれステルスなの?って部分がちょこちょこ散見されモックアップ以上の物では無いですね。まだ真面目に検討してない模様。
おても記事のスケジュールで事が進むようには思えません。

レオナルド、新型UAV「Falco Xploler」をパリエアショーで発表
http://www.tokyo-dar.com/news/6136/
これもトルコとMRJを挟んだ反対側に展示してありました。これは割と良くできたモックアップで遠目では本物みたいでした。しかしこちらも後部のプロペラが非常に小さく速度が遅いの?それともまだ検討が進んでないの?って感じです。相当回転数を上げれば推力も増えるでしょうがプロペラ先端が超音速を超えると使えないのでファン型でないと無理だと思います。何れにしろプロペラはこれじゃない感があります。
ドモドモ
2019年06月25日 21:27
ぬこちんさん
はっきり云いましょう。89式は私の汗でも錆びます(爆笑)

まあ、それは兎も角、今回の主様の今回のお題、AAAV7の本来利点は、たくさん積める事では?
つまり、橋頭堡から50km挺進しても補給大丈夫の為のあの積載量なはずです。
と、すると、諸島防衛の命題に対して、陸自は、
該当母艦から補給を受けない前提なのでしょうか?
つまり、未だに海自と陸自はいがみあっているという事ですか?
自分の好きなボウ少将の言葉を捧げたいと思います。
「男子の面子、軍の権威、それが傷つけられても勝てばよろしい」

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