10式戦車に商機などない。

IHSジェーンズの記事です。

日本の最新式戦車「10式(ヒトマルシキ)」は何がスゴいのか、商機はどこにあるのか
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190515-00036389-biz_plus-bus_all&p=1

これはジェーンズの月刊誌、IDW2月号の陸自特集の戦車の部分を膨らませた記事です。
一言でいえば、同社のランド・コンサルタントのクリストファー・フォスならばこういう記事は書かないだろうな、というところです。

装備庁や三菱重工などに丹念に取材しているのはわかりますが、陸自に関するバックグランドの知識が不足している。取材先のいうことを鵜呑みにしている。

個人的には知らない記者ですが、若手ではないでしょうか。

あと日本語版は誤訳の嵐です。何しろ車長が戦車司令官ですからねえ。全く軍事に疎い人が翻訳したんでしょう。


>クルーの快適性は、クルーコンパートメントの温度を35℃以内に維持してクルーの疲労を軽減し、ベトロニクスやミッションシステムの温度を25℃前後に維持して機能の信頼性を確保する温度調節システムによって強化されている。

すでにご案内ですが、技本(当時)も陸幕も公式に乗員用クーラーは要求していないと認めています。ですがそれは問題だということで機甲科OBたちが三菱重工に働きかけ、機材冷却用クーラーの冷気の「おこぼれ」を乗員が得られるようにした、ということです。

10式戦車にクーラーはあるのか?これが結論だ。
https://kiyotani.at.webry.info/201807/article_3.html

>10式戦車には出力9kwの補助動力装置が装備されている。これは高速で走行中、電動式の砲塔の旋回、自動装填装置、電子装置などをフルに使うと主エンジンだけでは出力が足りない動力を供給するため必要である。またエンジンを切った状態での電子装置などを可動させるためにも必要だ。そうすれば燃料の消費を節約できるだけではなく、赤外線シグニチャーも極小化できる。


10式戦車とその必要性
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2013121000007.html

出力9kWで各種電子装備に加えてクーラーも動かすわけです。しかも仕様として要求されていないので、過大に電力食うようなクーラーやAPUは使えないわけです。しかもコストと重量削減が最優先されておりますから、表面に熱を防ぐ断熱タイルを張ったり、車内に断熱材を張ったりしているとは考えづらい。

鉄の塊の戦車は40度近い日本の夏では、かなり蓄熱をするはずです。記事中にあるように35度に上限を抑えられるか非常に疑問です。また体感温度は湿度にも左右されますが、除湿するにも電力が必要です。

仮に35度が上限としても風呂の温度より若干低い程度です。そして湿度は低くはない。その環境で長時間いるのは地獄でしょう。無論クーラーが全くないよりはマシですが。


仮に将来10式を近代化して装甲を強化するとか、RWSやIEDジャマーなどを装備したり、まともなクーラーを搭載するとAPUも更新が必要でかなり重たくなります。現状でも40トントレーラーにそのまま乗りませんが、近代化すると90式に匹敵する重量になるでしょう。であれば40トントレーラーで運用可能で、内地の多くの架橋を通過できるというコンセプトが根底から覆ります。つまりまともな近代化はできない、ということです。



それから外国で売れるかというはなしですが、著者は他国の3・5世代戦車の方が安いといっていますが、誤りです。著者が挙げているのは第3世代の単価です。実際は概ね12~15憶円程度で、10式よりも高いのが相場です。

それはより高度なネットワークシステムや、防御力を備えているから当然でしょう。では安いからといって欲しがるユーザーがいるか?
RPGのタンデム弾頭で容易に撃破されるであろう10式を欲しがるユーザーはいないでしょう。

軽い戦車が欲しいならT-95 とかT-84 、あるいは中国あたりの系列の戦車で十分だし、バックアップランスもいいし、よほど安い。
外国で売れる代物ではありません。現在の戦車で最も重視されるのは防御力、次いでネットワーク機能です。10式の車体及び砲塔の側面や後方、上部、車体下部に付加装甲をつけ、更にまともなクーラーをつけるならば、APUも大型化します。RWSも要求されるでしょう。そうなれば価格も重量も、コストも大幅に大きくなるでしょう。


■本日の市ヶ谷の噂■
陸自宮古島、与那国に島の駐屯地の弾薬庫にミサイルが収納されることを説明していなかった問題は、本来責任者の内局官僚が陸幕に責任を押し付けて、卑怯にもバックれて、敵前逃亡したとの噂。












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この記事へのコメント

やれやれ
2019年05月27日 13:54
まあ10式が売れるとは到底思えませんが、戦車自体必要なのか?と思わなくもない。特に日本の場合ですが。そのための木戸銭...機動戦闘車なんでしょうけど。

それよりも
{陸自宮古島、与那国に島の駐屯地の弾薬庫にミサイルが収納されることを説明していなかった問題は、本来責任者の内局官僚が陸幕に責任を押し付けて、卑怯にもバックれて、敵前逃亡したとの噂。」
どこの丸山議員の話ですか。これ酷くないですか?同じようなこと木更津や外でも行っていませんか?住民との信頼関係ぶち壊しの上逃亡ですか?これらの方々は日本にとって必要なのでしょうか?国のお仕事してないですよね。
キモオタ
2019年05月27日 20:46
アニメオタクが買えばいいんじゃないの?
Masaya Hariu
2019年05月27日 21:11
じ、自衛隊は本気で戦争、紛争、テロに対処する気はあるのか?
マリンロイヤル
2019年05月28日 18:17
10式戦車は、日本で想定される状況にも適合してない戦車なので、日本も買わない方が良いと思います(笑)
濡れネズミ
2019年05月28日 21:33
練習機T4の派生型の件を拝見しました。

思うに、我が国は馬式機関銃(マキシム式機関銃)の見取り模倣(違法コピー)からずっとダメです。
マキシム式機関銃のコピーが上手く作れず。
欠陥品を輸出した上で正式に大使館から抗議が来て、ホチキス式機関銃に乗り換えて
諸外国よりも不利になる。

違法コピー、勝手な独自規格に改修をやるから何時もダメなのです。

何故、何時もまともに技術を導入する事が出来ないのか。
職人魂が効いて呆れる話ではありませんか。


東京D&Aの記事でいすゞがトルコのメーカーと共同で開発を進めて、製品を発表していましたが。
あんなの2008年迄に作れたはずです。
アメリカ軍の戦訓は既に出ていたんですから。でも改修しない。
してもお茶を濁す程度、どうやって信頼できると言うのでしょうか。

本当に度し難い話です。これが我が国の腐った現実です。
KU
2019年05月28日 22:18
>>>内局官僚

そのうち、視察に赴いた件の官僚が視察先で不慮の事故に遭わなきゃ良いですけどねえ(棒)。いやほら、世の中、何が起きるか分かりませんし。


>墜落のF35、「日本が一番買ってくれる」ートランプ大統領発言を報じない忖度報道、ひたすらゴルフ、相撲

http://news.yahoo.co.jp/byline/shivarei/20190528-00127657/

あんなネットワーク代表に話を聞いている時点で、お察しな内容なんですが。だいたい、本当に問題ありまくりな機体なら、イギリスやイスラエルだって、運用を停止するなりするでしょうに。そうした動きは皆無ですよね。
Suica割
2019年05月28日 22:45
やれやれ様へ
それよりは、対艦攻撃手段の増強に金をかけるべき。
大戦車部隊なんぞ、沖合にあるうちに輸送船ごと沈めてしまうのが一番。
上陸させてから戦うより、国土へのダメージも低いし。
リソースの振り方が間違っているように思う。
その意味で、まだ、中国の対米戦術であるA2D2の方が合理性が高い。
Suica割
2019年05月28日 23:06
その上で各国の戦車の冷房事情を知りたいと思う記事でした。
中の人も含めての戦闘力であるとすれば、快適な環境の人間が乗っている方が有利。
レオパルドもルクレーヌもエイブラムズも涼しいのに、日本のは蒸し暑いでは、どちらが日本に適した戦車なんだというお話になる。
Suica割
2019年05月28日 23:09
各国の戦車の冷房事情を知りたいと思う記事でした。
米英仏独製が日本の環境でも快適仕様。
日本製は蒸し暑いだったら、どちらが国情に適した戦車なんだという事で、俺が防衛大臣だったら、決めたやつを説教してやりたい案件。
ひゃっはー
2019年05月28日 23:09
独立を阻止するためには、武力攻撃も辞さない中国の脅威に直接さらされている台湾は、未だにM60パットンが主力戦車です。なら日本も74式とか90式があれば10式なんぞ必要ないでしょう。
でもM60って重量が52トンもあって、120mm砲に換装したタイプは59トンもあるんですか。だったら近代化改修したM60の方が90式や10式よりも強いんじゃね?
やれやれ
2019年05月29日 10:16
濡れネズミさん、
内情まではよく知りませんが、結果から見ると導入にどこまで本気だったのかという所に突き当たると思います。こういう戦略にはこういう戦術が有効でそのためにはこんな仕様の兵器が欲しいと言う明確な指針が無いことと、ろくに性能や信頼性を評価しないままこれがいいからパクれ、買えではどうしようもありません。評価した末小松の新型装甲車はお蔵入りしましたが、それだって他社と比較した訳では無いので賄賂掴まされてなんとなく妥協して導入された可能性も考えられます。そんなの関係ない位酷かったのでしょうけど。兵器にしろ何にしろどういうものが欲しいのか、性能は、信頼性は、価格は、メンテはって所まで全部含めて考えてないと残念な物を高額で導入する結果になると思います。この辺の考え方は企業の設備投資に通じる所があると思います。今までは戦場に行くことが無かったのでその辺不真面目でも問題なかった訳ですがお蔭で世界から取り残されたガラパゴスになっているのではと。

Suica割さん、
私も同意見ですがミサイルは高いですからね...それとそれなりに優秀な人を集めないと整備にしろ運用にしろただの脳筋では務まらないでしょう。それと陸自にとっては戦車は戦闘機同様憧れなのかも知れません。浪漫ではなく現実を見た防衛を考えるべきだと思います。血税は無尽蔵ではありませんから。
やれやれ
2019年05月29日 10:19
ひゃっはーさん、
台湾は台湾で厳しいと思いますよ。大人の事情で最新鋭兵器は導入できないし国民の数も少ないし。3軍の中では空軍がよく整備されているのは水際で止めるのを前提にしているからでしょう。アパッチを一気に導入したのも上陸部隊阻止が目的かと。配備数の方は知りませんが対艦ミサイルや巡航ミサイルなども色々あるようで戦車は切り札と言うよりオマケかも知れません。それに中国側に面している方は田圃や埋立地など軟弱地盤の所が多いので戦車の上陸には向かない気がします。
装輪装甲車は日本のより良さそうに見えるし数も有るようなので主力はそちらなんでしょうね。
元キャプテン
2019年05月29日 11:09
清谷様
ブログ閲覧の方々へ

関係のないお話しますが、最近 映画 空母いぶきを鑑賞しました。
内容は後のお楽しみで明らかにできません。武装工作員の上陸を描いた 宣戦布告やキューバ危機を描いた13ディズに似た内容ではないかと個人的には思います。映画を鑑賞してテーマは1 決断と覚悟2 戦争回避 3 専守防衛は有効か? ではないかと思います。
映画の意味深な台詞で戦争と戦闘とは違う。 日本は戦争をしないという国是を守ってきた。
私が考えるには戦争は国家間における問題を武力行使、国交断絶、経済封鎖、テロ、内乱幇助等 あらゆる手段を総合的に駆使して政治目的を果たすこと。
戦闘とは武力集団又は戦闘員が武器・兵員を用いて占領、破壊、武力集団の壊滅を目的とする。
戦争は戦略であり、該当する人間は政治家、官僚、外交官、参謀総長などの軍のトップ。つまり政治に関わるものが戦争を決断する。
戦闘は現地司令官以下の軍人・兵士。 戦争の決定権はない。政治家・為政者の命令で行動しているに過ぎない。
私なりの解釈です。丸山先生、政治家の仕事は戦争を回避することなんですよ。あなた戦争をテレビゲームと同じように思っていませんか?垂水首相役の佐藤?
ひゃっはー
2019年05月29日 12:23
やれやれ様へ
そうですよ。戦車はオマケです。なら10式はなくてもいいですし、M60や74式や90式があれば十分です。
KU
2019年05月29日 13:07
>新近SAM及び新基地防SAMの情報提供企業の募集について

http://www.mod.go.jp/atla/rfi.html

国内メーカーが受注するとなれば、三菱電機か東芝でしょうか。だけれども近SAMはともかく、基地防SAMって、もう新型が必要なんですかね?
やれやれ
2019年05月30日 00:32
ひゃっはーさん、
しかし作っちゃんたんですよね10式...
機動戦闘車も作ったしどうするつもりなんでしょうね。

KUさん、
確かに東芝か三菱かも知れませんが、東芝は今それどころじゃ無いしこんな仕事受けたら倒産しちゃいますよ。防衛産業もどっかに売り飛ばしたほうが良いと思いますがね。
それに三菱で良いのかというのも有るし海外のとかぶつけてみた方が安くなるかも知れませんよ。安くて高性能なら海外製でも良いですよ。どうせ国産でも戦争になっても増産なんてできないし手持ちの弾で戦うしか無いんですから。
ひゃっはー
2019年05月30日 12:24
やれやれ様へ
第一線部隊から引き上げて、富士や新しく北海道にできる訓練センターの対抗部隊に装備させればいいでしょう。財務省には、もう戦車は新しく作らないので、これで勘弁してください、とでも言いましょうか。
Goodman80
2019年05月30日 16:05
10式は搭載弾薬が20発以下で装甲もちゃんとした戦車の1/3しか無い対戦車自走砲なので、真面な国が採用する訳がない。まあ、16式よりは使えるだろうけど。
山銅
2019年06月01日 15:19
まあ高価すぎて1個小隊分の3.5世代戦車買える金で1両しか買えないって時点で兵器としては落第ですわな
おまけに側面装甲は別途付加装甲を装備しないと30年前に作られた先代の戦車に劣るなんて酷い話
俘囚剣
2019年06月02日 12:48
はじめておじゃましたものです。先月28日の、濡れネズミさんのコメントに目をひかれました(いや、もちろん、記事自体も面白いですよ)。そんな無様な事件があったのですか。今度県立図書館で遊ぶ時、日本機関銃史について調べてみます。

こんな話をすると笑われるかもしれませんが、私先日ちょっとした実験を行ったのです。100円ショップで買った中国製かみそりホルダーにフェザーのハイ・ステンレスを貼りつけ、ひげをそってみた。完璧です。ぐらつくこともなく、問題なくそれました。中国の職人(?)に敬礼です。
俘囚剣
2019年06月02日 17:37
ヴィッカース・マキシム機関銃、意外に長命だったのですね。調べて驚きました。地味ながら人気があったのでしょう。

仏領インドシナで働いていた日本人が述べていたのですが、日本の機関銃は熟練が要ったそうです。数発撃って中断するとき、上手に切らないと故障した。銃声で射手の腕前がわかったそうです。

一年ほど前、上記の体験談をあるブログで紹介したんです。ブログ主が反発してきました。日本の機関銃はそんな不良品ではないと。真相はわかりませんが、ぼくは目撃者の証言を優先します。
ブロガー(志望)
2019年06月03日 21:39

お邪魔します。
 スウェーデンのS戦車やイスラエルのメルカバ戦車が他国に売れたという話は聞きません。S戦車は「地続きになだれ込んでくる旧ソ連の戦闘車両にヒットエンドランで立ち向かう」、メルカバ戦車は「四面楚歌ならぬ四面コーランの中で、乗組員の生命身体を維持して戦い続ける」という「国固有の事情に特化した」戦車だからと思われます。となれば「国固有の事情に特化した」という点では同じ10式戦車も「他国には使いようのない戦車」ではないかと。尤も日本の場合はスウェーデンやイスラエルのようなそれなりの軍事的合理性では無く、「戦車が普通の自動車のように何十キロ何百キロ自走できて、なおかつ戦える」から離れられない連中を無視できないからではないかと思われます。戦車を買う国はトレーラーとかとセット購入し、トレーラーを購入できなければある程度の自走能力を持つ装輪車を買うのではないかと。
ガネット
2019年06月03日 22:46
日本とイタリアの機関銃は塗油装置で薬莢に油塗らないと安全に抽筒出来ない代物ですしね。
砂や泥だらけの戦場でそんなものあてがわれても・・・
俘囚剣
2019年06月04日 18:19
ガネットさんのコメントで思いついたのですが、劣勢になってからの日本軍は潤滑油さえも不足という状態で戦っていたんじゃないでしょうか。手に入るとしても二流の油だったりして。

ぼくは、自転車店で愛車の修理を頼み
「こんな粗悪な油を注していてはいかぬ」
と説教された経験があります。それで、その自転車店でちょっと高級な(と言っても1瓶200円くらい?)の油を買って帰りました。
俘囚剣
2019年06月05日 18:34
あたりまえすぎて気づかなかったのですが、油を塗る装置は良質の油が手に入らないと役立たずなんですよね・・・・・・・・

塗油装置つきの機関銃、警察用に生産されていれば醜態をさらさずに済んだでしょう。軍の反乱や大規模な暴動に備え警察署の奥深くに保管されていれば、案外、好評だったのでは。
「警視庁側の機関銃は数が少なく、操作員も不慣れであったが、地の利を得て大活躍した。故障もめったになくメーカーは大得意・・・・・・・」
とかなんとか、史書に記されていたのでは。

根本的な弱点は覆い隠されたまま。

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