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zoom RSS 陸自戦車、火砲削減の欺瞞。

<<   作成日時 : 2019/01/12 12:09   >>

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前回陸自の戦車、火砲の削減が遅々として進んでないことをご案内しました。
https://kiyotani.at.webry.info/201901/article_4.html


25大綱別表の注釈では以下のようにあります。

>戦車及び火砲の現状(平成 25 年度末定数)の規模はそれぞれ約 700 両、約 600 両/門であるが、将来の規模はそれぞれ約 300両、約 300 両/門とする。

http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2014/pdf/20131217.pdf

当時防衛省の説明では10年掛けてそれぞれ減らすことになっているという説明しました。
ところが次期大綱別表ではこのようにあります。


>戦車及び火砲の現状(平成 30 年度末定数)の規模はそれぞれ約 600 両、約 500 両/門であるが、将来の規模はそれぞれ約 300 両、約 300 両/門とする。

http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/pdf/20181218.pdf

つまり現大綱において、戦車は400両、火砲は300両/門減らすはずがそれぞれ100両/門減でしかない。
高々毎年20両/門減です。
旧式化して不要な装備が維持され、それに人員も拘束されています。
不要な戦車が300両、火砲が200両/門あることになります。
仮に乗員、整備員、調達その他間接要員を含めて戦車1両あたりの人員を6名、火砲は12名として計算すると、
戦車は1800名、火砲は2400名、合計4200名、1個旅団以上の隊員が拘束されていることになります。

また装備を維持するための維持費などもかかります。

更に問題なのはその間機動戦闘車が導入され続けていることです。
これまで87両が調達されており、その人員は乗員だけでも348名が必要です。

軍オタさんたちは、あれは戦車じゃないというでしょうが、一種の駆逐戦車です
陸幕の説明の通りの敵の軽戦車までの対処であれば105ミリ砲なんぞ必要ない。機甲科にしてみれば
政治的にはまさに戦車であり、74式戦車の後継です。どうせ戦争しないんだから装甲は薄くていいや、
ということでしょう。何しろファーストエイドキットですら殆どまともに調達せず、戦車搭載のキットなんが
搭載されていないが普通です。

これで人手が足りないと騒いでいるわけです。常識に何かがオカシイと思うのが常識ある人間の考えることでしょう。ずるいのは別表の注釈には削減の期限が書いていないことです。これで逃げを売っているのでしょう。
内局もグルだということです。

これでは無人機やUGV,ネットワーク、普通科の近代化などの諸費や人員が捻出できるわけがないでしょう。

次期大綱においても戦車、火砲がそれぞれ100両/門減とするならば、余剰の戦車が200両、余剰火砲は100両/門ということになり、遊兵化する隊員はそれぞれ1200名、1200名の合計2400名ということになります。
しかも次期中期防は134両の機動戦闘車が導入される予定です。仮に機動戦闘車の調達数が200両とするならば、次の次の中期防では28両が必要となります。そうであれば次期大綱中必要な機動戦闘車のクルーは648名となります。

http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/pdf/soubi_tanka.pdf

次期大綱では人で不足を如何に補うかと延々と述べているわけですが、これが非常に虚しく聞こえてきます。

そもそも期間や達成時期が示していないものを計画とはいいません。
国会がなぜこのような胡乱な話を質さないのか、納税者の一人して不思議でなりません。



■本日の市ヶ谷の噂■
陸自のUH-Xは当初調達単価を現用のUH-1Jと同等の12億円にすると言っていたが18億円を超えることは火を見るより明らか。本来大臣通達で調達を見直すべきだが、18億円は無線機など追加装備を搭載額で問題ないと苦しい言い訳をして乗り切るつもりとの噂。



独 European Security and Defence 誌に寄稿しました。(英語)
http://esd.eu.newsmemory.com/?editionStart=European+Security+%26+Defence

Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。

装輪155mmりゅう弾砲は必要か 上
https://japan-indepth.jp/?p=43224
装輪155mmりゅう弾砲は必要か 下
https://japan-indepth.jp/?p=43233











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コメント(10件)

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次期大綱関連でいうと、戦闘ヘリ飛行隊も削減するとありましたが、それも何時までに達成するのやら。

>中国が開発した無人ステルス機?『天鷹』初飛行か

http://zapzapjp.com/54724347.html

そのうち、これらのステルス機でもって、空自の航空基地とか先制攻撃されなきゃ良いですけどね。
KU
2019/01/12 13:05
機動戦闘車は戦車の分類でしょう。まさか装軌式でないと戦車じゃないとでも?まさかね…
UHXは18億円って書いてありましたね。
双発とはいえ随分高いなと。そんなご大層な無線機つけてるんでしょうか?無人機と運用能力でも付いてるならまあ分からなくもないですが(白目)。

KUさん、
珠海で見ました。試作でしょうが結構完成度は高そうな感じでした。むしろまだ飛んでなかったのかと言う感想です。見た目は縮小したパクリですがどんどん実物を作って行く熱意は日本には無いですね…まあ実用化、戦力化には時間が掛かるでしょうが侮れないですね。
やれやれ
2019/01/12 15:42
日本とは戦争せずとも自滅の道をたどっているので、中国的には大丈夫なはずです。
カナブン
2019/01/12 16:01
機動戦闘車というと、装備庁と陸幕がそれぞれ調達する予定の装甲車ですが、去年の時点で情報提供を求めていたとなると、ある程度は候補が絞られているのでしょうか?
KU
2019/01/12 20:07
>そのうち、これらのステルス機でもって、空自の航空基地とか先制攻撃されなきゃ良いですけどね。

この先、予算の浪費で自滅する自衛隊及び日本に攻撃など不要でしょう。
中国は戦わずに勝てますよ。
通りすがりの人
2019/01/12 22:59
現状の問題点(これ以外にもありますが)を要約すると、「中国に対抗するべく海空自にリソースを傾斜配分し、陸自の削減(特に本州の火砲、機甲)が必要だが、陸自が抵抗している」ということですよね。ショック療法として一時のカナダみたいに三軍統合して一軍にしたらどうでしょうか。弊害もあるでしょうから、5年期限でその間に徹底的にリソースの最適化をする。内局は当てにならないから、財務省から十人くらい出向させて、やらせる。こういうときは専門知識がなく、しがらみがない素人のほうが、合理的な判断ができると思います。
横浜の黒豚
2019/01/13 05:56
>>>無人ステルス機

やれやれさん

どんどん、差が付けられているようにしか思えないのですがorz。最も追い付こうにもカネも無ければ、やる気も無いのでしょうけど(>_<)。軍研最新号で文谷さんが陸自を半分に減らして海空を強くしろ!なんて書かれていましたが、そのくらいしないと、勝てる戦も勝てませんよね。

>政府、「電子攻撃機」開発へ...レーダーを無力化

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20190112-OYT1T50113.html



KU
2019/01/13 07:01
中露に対抗、電子戦「無力化」狙う攻撃機開発へ
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190112-00050113-yom-pol
これまた微妙なものができそうな予感が拭えません。
あるいは途中で頓挫するか。
ライフサイクルコストも高くつきそうです。

現状、国産装備は「安かろう悪かろう」ではなく、「高かろう悪かろう」ではないでしょうか。
UX-Xの追加装備も、広多無の惨状からすれば、当局の発表は眉唾物です。
CPR
2019/01/13 10:50
高くて使えるならば、コスパの問題ですが、使えないし高いは、買ったやつの頭の中身の問題。
言うこと機関銃を何年も買い続ける組織なんぞろくなものではない。
Suica割
2019/01/14 09:34
>仮に乗員、整備員、調達その他間接要員を含めて戦車1両あたりの人員を6名、火砲は12名として計算すると、
戦車は1800名、火砲は2400名、合計4200名、1個旅団以上の隊員が拘束されていることになります。
>次期大綱においても戦車、火砲がそれぞれ100両/門減とするならば、余剰の戦車が200両、余剰火砲は100両/門ということになり、遊兵化する隊員はそれぞれ1200名、1200名の合計2400名ということになります。

使わない戦車・火砲も稼働維持のための整備が必要=無駄というのは理解できますが、そもそも人が足りない状態なのに、不要な戦車・火砲には乗員を含めた必要な人数が拘束され、遊兵化していくとの見積りは常識的に何かがオカシイと思うのは私だけでしょうか…
F
2019/01/14 11:15

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