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zoom RSS 防衛産業終わりの始まり 失われた四半世紀と当事者意識なき惰性

<<   作成日時 : 2018/11/19 13:08   >>

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国内防衛産業の再編促す 防衛大綱・中期防に明記
https://mainichi.jp/articles/20181118/k00/00m/010/143000c

>政府は、年末までに決定する10年先を見すえた日本の安全保障政策の基本方針となる「防衛計画の大綱」(防衛大綱)と、今後5年間に自衛隊がそろえる装備品や費用を示す中期防衛力整備計画(中期防)に、国内防衛産業の再編・統合を促す方針を初めて明記する。企業の枠を超えた防衛事業部門の統合や連携による「規模拡大」で、技術開発力や国際競争力の強化につなげる狙いだ。

> 厳しい財政状況も後押しした。19年度防衛予算の概算要求額は、過去最高の5兆2986億円で、今年度予算比2.1%増えたが、財務省は防衛関連予算の効率化を求めている。防衛省は国内の装備品をより安く、安定的に調達するためにも国内業界の再編・統合が欠かせないと判断した。

> 再編・統合の必要性については14年に策定された防衛省の「防衛生産・技術基盤戦略」が「検討していく必要がある」と言及したことがある。今回は「防衛大綱」や「中期防」に書き込むことで「政府の防衛政策の一環」との位置付けを明確にする。


ぼくは日本の防衛産業の統廃合は四半世紀前から訴えてきました。そして年頭にこのブログで今年は防衛産業終わりの始まりの年になりそうだと書きました。それが現実化してきました。

先延ばしをするほど後で痛い目をみると警告してきましたが、諸外国では合従連衡が進みましたが我が国はどこ吹く風でした。そして防衛産業の売上は徐々に下がり、のっぴきならない状態に陥っています。バブル以降失われた20年といいますが、防衛産業も同じで、失われた25年といっていいでしょう。

因みにぼくが東京財団の政策提言として「国営防衛装備調達株式会社を設立せよ」を発表したのがもう13年前です。

http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2005/01023/pdf/0001.pdf

その間防衛装備庁はできましたが、仏作って魂れずで、首相官邸、NSC、経産省、防衛省、産業界も当事者意識と能力が欠如していました。

 率直に申し上げれば、一番悪いのは政治です。政治が関心がなく、我が国の防衛産業の実態を直視せずにきたの最大の原因です。自民党の国防部会ですあら未だに戦闘機を作れたたちまち世界最先端の戦闘機が、なんて寝言をいっている有様です。率直に申し上げて絶対平和主義のお花畑の活動家とベクトルが違うだけで、同じレベルです。
 
 当の防衛産業のメーカー各社も同様です。大企業では防衛産業の比率が小さいこともあり、経営者が自分の代で泥をかぶることを良しとせず、問題先送りにしてきました。これは名経営者と謳われたコマツの坂根元会長も、無能で知られる東芝でも同じことです。
 これは非常に恥すべきです。やる気もなく、将来に対するR&Dにも投資せずに、漫然とできの悪い装備を高値で売りつけるのは、自社のリソースの無駄使いであり、株主にたいするだけではなく、納税者に対する背任であるとすらいえるでしょう。そもそも自社のウエッブサイトに防衛やっていますとうたえないような「恥ずかしい商売」だと思っているならば潔く撤退すべきです。

 また官側も既存の防衛産業の利権を守るのではなく、新しい企業、特に中小企業を防衛産業に入れることで、新陳代謝を図るべきです。
 例えばUGVやUAVは日立やスバルなど既存の防衛産業に任せた結果、カネだけはかかりまともなものはできていません。こういう新しいことは専業メーカーやベンチャーに任せるべきです。

 それは官の側に問題があります。既存のメーカー振っておけば失敗しても自分は責任を追わずにすみます。また新しい装備必要性と、それを導入した場合のレガシーの装備を削減したりすることに抵抗が起こるので、それから逃げてきたからです。更に申せば新しい装備の必要性を理解していない。

一例を挙げれば爆弾処理などのEODでは、途上国ですらUGVを導入していますが自衛隊では未だに人間がリスクを犯しています。


先の装備庁のシンポジウムでは装備のNATOカタログ化を進めることが報告されました。これが進めば、単に装備や部品を登録するだけではなく必然的に試験や、規格もNATOの基準を採用することになり、外国製品との競合が始まります。

それからぼくは前から防衛産業の再編は血と涙が必要だといいました。撤退する企業もでてくるし、抽象下請けでは防衛依存度の高い企業も少なくないですが、単にしがみついてきた企業は倒産、会社整理、合併などが不可避でおこるでしょう。ですが涙と血を流さない限り、またその恨み辛みを受ける覚悟がない限り産業再編はできません。


ここいらで政官民ともに腹を据えないと、最悪の結果を生むと思います。先のない防衛産業の延々と税金をつぎ込みできの悪い、諸外国の何倍も高い装備を買い続けて血税をドブにすてたあげく、メーカーが事業維持をできなくなってバンザイし撤退。蓄積した技術は霧散することになるでしょう。






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コメント(12件)

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清谷さん、
「抽象下請けでは防衛依存度の」中小下請けですね。

古い話ですが私もまさかマグダネル・ダグラスがボーイングに、ジェネラル・ダイナミックスの航空機部門がロッキードに、ノースロップとグラマンがくっつくとは思っても見ませんでした。戦闘機や航空機の名門があっという間に半分になりました。少なからず衝撃でした。確かに米国もしょっちゅう戦争していますが武器がバンバン売れていたかと言うと多分弾とかミサイルとか爆弾等の消耗品が多くて装備品が大きく増えた印象がありません。当時日本はずいぶん(防衛産業的に)平和だなと無関心でしたが、いくら競争入札しようと次元の低い同士で高い金額を争っているようでは全然意味がなくてT7の時にピラタスPC7が対抗馬になった時のスバルの慌てっぷりは滑稽ですらあり、その時に現装備庁、防衛産業は全然駄目なんだなとはっきり自覚しました。ちょっと黒船が来ただけでこれですから。価格もぐっと下がったしボロ設けまでは企んで無かったと思いたいですが、防衛省絡みの赤字補てん位は考えていたでしょう。生き残るために必死に悪知恵を働かせているのが税金泥棒に見えました。こりゃ早期に集約し整理して競争力を高めないと早晩行き倒れになるなと。そこで思いついたのが集約のための工廠化だったのですが。
地雷の処理で思い出しましたが珠海では民間企業(と言っていいのかな?)の地雷原処理車の展示がありました。小型の装甲ドーザの様な感じです。小規模の部隊でも使えそうでした。自衛隊だと戦車に取り付ける地雷原処理ローラと処理ロケット、後は爆弾三勇士よろしく爆薬筒位でしょうか?何れにしろ処理してくれる専門の部隊がいないと使えない代物である事は間違いないですね。もっとも地雷を仕込まれるような所に赴く必要が無いからそのような装備が多くないのかもしれませんが。
やれやれ
2018/11/19 15:26
北朝鮮なんか日本と対照的という見方もできますね。メカミリの視点から見ればMiG-15とか、Il-28とかT-62とかの「骨董品が」と嘲笑を浴びつつも、核に集中的に投資することで(もちろん、北朝鮮の崩壊とそれに伴う混乱を望まない近隣国が衝突のエスカレーションに対して強力なブレーキをかけるという、直接軍事力に依拠しない抑止力というのもありますが)、対米抑止には一定の効果をあげている面もあるわけで(同時に、核保有で何ができないのか、という限界を露呈している気もしますが)。核を持て、という訳ではないですが、防衛政策の立案と実行のプロセスだけ見てみると、日本のそれよりは合理性があるとも言い得るのでは。
ふきのとう
2018/11/19 17:28
ちょっとググったら見つかりました。
こんな感じの無人操縦の地雷原処理車です。
jonyangと言う中国の重機メーカーの出展です。
https://www.armyrecognition.com/airshow_china_2018_zhuhai_news_show_daily_coverage/airshow_china_2018_jonyang_jy905-s_mine_clearance_robot_vehicle.html

無人操縦と言えばドイツのゴリアテの様な小さな装軌車両にマンシガンやアームの付いたお馴染みのドローンも多かったですね。日本だと爆弾処理のしか知りませんが。原発事故の調査や廃炉用に人が入れない危険な量の放射線のある区画用のロボットがあることはありますがあまり表に出ないしマイナーですよね。もっと積極的に海外展開しても良いと思うんですが。マレーシアのLIMA(海事と航空宇宙展)ではNECが配管の中を調査する芋虫と言うかヘビというかそんなロボットも出していましたが、展示が地味でアピールが下手です。
他の企業もアピール不足を感じて何のために海外の展示会にまで来てるのかよくわかりませんでした。防衛装備庁のお付き合いの側面が強かったのかも。なんせ防衛装備庁自体パネル展示とビデオ流しているだけでプレゼンは現地の女性に丸投げで日本人の自分達はブースの奥に引きこもってましたから。来年3月のLIMAも行く予定ですが今度は何見せてくれるのか別の意味で興味が湧きます。
やれやれ
2018/11/19 19:30
>海自の新型護衛艦、国産RWSを搭載

http://www.tokyo-dar.com/columns/4898/

一応は、ノルウェーのあんなRWSも比較検討したんですね。だけども、どう考えても性能も知名度もアチラのほうが上としかorz。それでも将来的にはアレコレ手直しするようですし、ぜひ、レーザー測距他の各種センサーを追加装備してもらいたいですがw。てかもう、住友重機は日本製鋼所側に防衛部門を超破格な値段で売却したほうが良いのでは?あと、再編するなら、いの一番にヘリメーカーの統廃合は何がなんでも行うべきですよ。せっかく有望な市場が国内にあるのに商売気ゼロで海外勢に好き勝手させるだなんて、あり得ないです。あと爆発物処理のUGVも警察では導入が進んでいますよね。これまた外国メーカー製のですけど。でも国内の大手企業に、それなりの仕事を割り振らないと何かと大変だと思われる方々が、あちこちにおられるんでしょう。



KU
2018/11/19 20:30
連投、失礼します。

<防衛大綱>防衛相「敵基地攻撃能力の保有、盛り込まず」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181119-00000054-mai-pol

防衛相は防衛相でも前任者orz。

>>F35Bステルス戦闘機の導入を航空自衛隊が検討していることを明らかに

そうなると、「いずも」を改修して海空合同で運用する日が来るのでしょうか。それならそれで、一緒にあんな掃海ヘリの同型機ベースのそんな早期警戒機も併せて買って欲しいですね。
KU
2018/11/19 20:54
※修正されていたので、再送します。

<防衛大綱>前防衛相「敵基地攻撃能力の保有、盛り込まず」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181119-00000054-mai-pol

KU
2018/11/19 22:27
>防衛大綱、政府がイメージ提示 名称巡り有識者議論=安防懇

http://jp.reuters.com/article/japan-defence-idJPKCN1NP0P4

>新防衛大綱骨子案“AIで無人化の装備品配備”など盛り込む

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20181120/k10011717621000.html?utm_int=news-politics_contents_list-items_005

凄いことになったというか、大風呂敷を広げたなというか...。本格的に無人化した装備品を本気で大量に開発・配備するともなれば、とてもではないですが現在の調達・開発費では足りませんよね。それこそ、あんなそんな所を大胆に削らないと。
KU
2018/11/20 20:07
キヨシさん、次期防衛大綱において敵基地攻撃能力の保有の是非を先伸ばしにした決定についてどう思われますか?近隣諸国に配慮してまた3年後が5年後になって良いコトなのですか。自衛隊員、並びに一般国民から犠牲者が出てから80歳のジイサンが重い腰を上げるよりも当事者意識なく再考するつもりですか。その2年間の遅延を特亜につけ込まれる可能性はないのですか。
軍事速報の三等
2018/11/21 00:18
KUさん、
「>新防衛大綱骨子案“AIで無人化の装備品配備”など盛り込む」
今頃何を言っているんでしょうね。遅まきながらって感じですが。5年前でも遅い位で10年前に検討始めて良かった位では?そうであれば色々状況も方向性も変わっていたでしょうね。それだけ真面目に取り組んで無かった、トレンドを無視していた、防衛産業と省庁を守るための仮想敵だった事がわかります。そもそも戦争しない前提で考えているからいざ襲われた時の事を考えていなかったのでしょう。それと安倍が余計なことに集団的自衛権をするとか言うので本当に戦場に駆り出される危険と、頭のおかしい北と米の大統領に弄ばれているしでよいよ現実味を帯びてきたと思います。

それと防衛費2%の件は流石に推進する人はいなかった様で。前にも超ざっくり計算したら日本は自由に使える予算が40兆円しかないのに防衛費で5兆円使っています。それを10兆円にするという事は1/4が防衛費の国と同レベルみたいなものですよ。消費税10%への増税分を全部防衛費にするか社会保障費を大きく削減するしか無いでしょう。どっちもする気無いなら無理でしょう。端から無理ゲーですよ。返済を無期限、金利0%の防衛国債でも発行したらどうですかね。右翼や軍ヲタは景品か兵器に自分の名前を入れさせて貰えるだけで釣れると思いますよ(鼻ほじ)。
やれやれ
2018/11/21 11:35
正論ですけれど、基幹となる防需産業は終わりです。そうなると、現在お付き合いでやっているアフターも国内業者がやる義理は無くなるでしょうし、防需インフラが失われてからは、海外メーカーの言い値を払うしか無くなりますね。経済は需要と供給ですから。また、もし武器調達国と利害が絡む国が攻めてきた場合、継続して買えるんですかね。そういうところは、どのようにお考えです?
かい
2018/11/21 11:39
輸入品に関しては平時から予備の装備や部品をストックしておく、消耗品は国産化しておく。また同じ装備を使っているユーザーと相互の融通を行う取り決めをしておけば宜しいでしょう。
キヨタニ
2018/11/21 12:02
お邪魔します。
 衰退する地方と同様、あの世界も専ら直接的な人間関係で秩序を構築してきたので、力関係や利害関係が変わると秩序が維持できず、しがらみでないと相手を動かせないのです。銀行が個人向けカードローンというある意味「貧しい者をより貧しくする貧困ビジネス」に手を出している事、自治体がふるさと納税の過剰返礼に走ったり、組織票でゆるキャラグランプリに勝とうとしたりした事を思うと、このままジタバタせずに潔く「枯れ死」してくれた方が良いのではないかと思ったりもします。尤も悪あがきするだけの「生命力」も無いのかも知れませんが。
ブロガー(志望)
2018/11/21 20:49

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