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zoom RSS 装輪自走155ミリ榴弾砲の採用は来年度はやめたほうがいい。

<<   作成日時 : 2018/10/07 18:22   >>

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来年度防衛予算では装輪155ミリ榴弾砲が7輌 48億円+初度費17億円が要求されています。


結論から言えば少なくとも採用するかどうかは来年度予算ではやめたほうが無難です。

再来年以降の新しい防衛大綱で火砲の定数がどうなるかわからないからです。
仮に200輌まで減らされたらどうするんでしょう。FH70どころか99式を廃棄する必要があるでしょう。

更に申せば、榴弾砲よりも旧式化した冷戦タイプのMLRSの更新の方が急がれるはずです。搭載弾数は半分ですがトラックに搭載型のM142 HIMARS(High Mobility Artillery Rocket System = 高機動ロケット砲システム)のようなものにする必要があるでしょう。これならC-130でも輸送できます。またこれにATACOMSのような短距離弾道弾を搭載するかどうかも検討すべきでしょう。
その数も問題となるでしょう。特科(砲兵)のポートフォリオを決定するほうが先です。


装輪自走155ミリ榴弾砲は、重量は26トンほどと見込まれておりサイズ的にはC-130での輸送はできず、C-2で輸送が可能とされています。ところが調達数の少ないC-2は有事に他に運ぶものが多く事実上運べない。であれば空輸は事実上できない。

仏軍のカエサルは6輪で重量17.7トン、装填は手動で装甲キャブを装備。C-130で空輸可能です。また輸出用のカエサル8輪は装甲キャブ、自動装填装置を装備しています。

対して装輪155ミリ榴弾砲は8輪だがキャブは非装甲、自動装填装置もない。能力に対して重量が重すぎるのではないでしょうかね。

またネットワーク化、それに精密誘導弾の導入(その誘導部隊も含めて)、前方観測部隊の近代化の問題も手付かずです。砲のプラットホームだけ変えて何をするんでしょうか。

更に申せば、むしろ30〜40門のM777あるいはこれを搭載するポーティシステムでも導入する方が、島嶼防衛も含めて、遥かに運用上有用ではないでしょうか。日本製鋼所に仕事を回すことが「戦略目標」になってはいないでしょうか。

M777は砲身長が短かく、UH-60で空輸可能なバージョンも開発されている模様です。これを通常とM777と併せて導入し、またネットワーク化や精密誘導弾の導入などを行うほうが費用対効果上よろしいのではないでしょうか。


もっと申せば、ソ連が崩壊した後に冷静型の重たく戦略機動力が低い99式を調達する必要があったのでしょうか。つくっちゃったから仕方ないとつい最近まで調達してきたのは陸自、特に特科関係者の当事者意識&能力の欠如じゃないでしょうかね。せめて調達数を削減し、トラック搭載型の自走榴弾砲に切り替えるべきでした。

少ない予算を効率的に使えないのであれば、そういう組織の予算には大鉈を振るってよろしいのではないでしょうか。一回陸自の予算を半分ぐらいに減らしてはどうでしょうか。現状税金の無駄使いをすることが最大のお仕事としか思えません。

画像

提供:防衛装備庁

■本日の市ヶ谷の噂■
10日から開催されるテロ対策特殊装備展(SEECAT)は、自衛隊納入業者で同見本市に何度も来場し、出展を検討している某企業の役員の来場を拒否。セキュリティ対策がいい加減ではないのかとの噂。










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コメント(22件)

内 容 ニックネーム/日時
M777はUH−60で空輸する際は、燃料を半分にする必要があるという話を聞いたことがあります。
ひゃっはー
2018/10/07 19:27
調達するならするで、せめて装甲キャブ型で且つ、RWSくらい付けて欲しかったですね。もちろん、いずれも外国製の完成品を( ・∀・)。HIMARSも装甲キャブ型の完成品を直輸入で···となると、またFMS経由になりますかねorz。
KU
2018/10/07 19:39
連投、失礼します。

>岩屋防衛相「装備調達、これからは米国からのみならず」

http://www.asahi.com/sp/articles/ASLB73J04LB7UTFK001.html?iref=sp_poltop_all_list_n

でわ手始めに次期アサルトに、HKのあんなのを採用してください!(>_<)。でもさすがに、イージスアショアの導入を見送ります!オスプレイの導入も見送ります!!てな話は期待出来ないですよね···。
KU
2018/10/07 19:50
イージスアショアは、日本よりも中国の弾道ミサイルからグアムとアメリカ本土を守るのが目的のような気がします。
日本政府の裁量を超えているのではないでしょうか。
不倫課長
2018/10/08 01:42
今の陸自は、納税者から見ると無駄なお小遣いの使い方がやめられない中学生のようです。一度、人員も予算も半分にしたほうがよろしい。削った人員の70%はリストラ、30%は海自にもっていけばいいのでは?
横浜の黒豚
2018/10/08 07:37
自動装填で無いとは知りませんでした。要するにFH70を乗っけたトラックという認識で合ってますかね?なので装薬式なのでしょうか?弾は重いし装薬は面倒、人手は掛かるだと省力化には貢献しなさそうですね。装薬で飛翔距離を調整できる面もあるでしょうがカートリッジ式とかあっても良いのでは?せめて自動装填位はしてほしいですね。どうせ下っ端契約社員は増やさないんでしょ。もっと煮詰めた方が良いと思います。

KUさん、
陸自向けオスプレイは何機か既に完成していますよ。この秋に持ってくるはずが木更津から待ったが掛かったようで今持ってきても日本に置き場がないという。
HKのあれってHK416ですかね?FNのSCARって話も有るようですが。ついでに弾も89式用の弱装弾では無く普通のNATO弾でお願いしたい。
弱装弾でも使用することは可能ですが89式以外は故障の原因になりかねないので普通仕様でお願いします。
やれやれ
2018/10/08 16:30
やれやれ様へ
陸自が89式で使用している弾薬は減装薬ではなく、普通のNATO弾のはずです。
64式で使用する弾薬には、たしか減装薬という但し書きが付いていたはずですが、現在の5.56mm弾には何の但し書きも付いていません。
また、南スーダンの陸自部隊が韓国軍に5.56mm弾を1万発供用したこともありましたが、もしも89式の弾薬が減装薬だとすると、そのようなことはできなかったはずです。
ひゃっはー
2018/10/08 21:45
> イージスアショアは、日本よりも中国の弾道ミサイルからグアムとアメリカ本土を守るのが目的のような気がします。
> 日本政府の裁量を超えているのではないでしょうか。

「米国防衛のために設置するんだから、お金は米国側が出してよ!」とアレ総理がトランプ米大統領に言ったら賞賛してあげたいのですが、まあ無理か…
被本塁打大王
2018/10/08 21:56
〉普通のNATO弾のはずです。

それが違うんです。SS109とは微妙に異なる規格で、89式にそのまま使とうまくいかんようです。小火器の弾薬ですら同盟国と完全な互換性がないわけです。NATO規格にすると外国製買えとか言われるのが嫌だったんじゃないでしょうか。
キヨタニ
2018/10/08 21:57
一点を除いて全て共感する。
一点は日本には海外展開スペインる自走砲はいらないであろう事。
向こう二十年以上の期間、自走砲を空輸するほどの距離に、自走砲が必要な規模の部隊を派遣する事態が起こるとは思えない。
druji
2018/10/09 10:02
ひゃつはーさん、
清谷さんの仰る通りなんです。最初にこの話を聞いたのは陸自の知り合いからで、
日米合同訓練とかで弾やマガジンの交換をお互いにするような訓練もあるのかな?と言う疑問をぶつけた時です。マガジンも弾も互換性があるはずなのに訓練ではお互い交換はしない決まりになってるそうです。
実際の戦闘だとそんなシチュエーションもあるかと思いますが訓練ではしない。それはそれぞれ微妙に互換性が無いからだそうで寸法は合ってるのにマガジンがうまく着脱できない、弾も寸法は同じで弱装と言うのか減装と言うのか少し弱め。緊急時には使えない訳では無いですが恒常的に使うのにはお互い難ありのようで訓練で銃を故障させたく無いのでしょう。火薬が少ない方が衝撃が弱くて命中しやすいとか何とか言い訳もあった気がしますがそれってどうよ?とは思います。
やれやれ
2018/10/09 10:42
>>日本製鋼所に仕事を回すことが「戦略目標」になってはいないでしょうか


間違いなくそれが目標です(笑)導入理由には軍事的合理性の無い話をしてますし、海外動向も踏まえてないので完成したら時代遅れで、ヘリに続いて調達失敗ですね。
マリンロイヤル
2018/10/09 17:31
>>>オスプレイ&HK

やれやれさん

で、木更津のあんな自動車も作っているヘリメーカーが整備を担当する、あんなハンガーに入ったが最後、1年半以上経っても分解整備が終わらないわけですね、分かります!( ・∀・)。HKわ...お察しのとおり416です。何せ、あのフランスでさえ採用したわけだしw。もっとも陸自が調達し始めたら、調達終了まで何十年掛かるかは知りませんがorz。せめて、四半世紀以内で終わらせていただきたいものです。



>防衛装備品の価格分析できず 検査院、仕様見直し提言へ

http://this.kiji.is/422236354997748833/amp

今まで散々、メーカーや商社におんぶに抱っこでしたものね...。
KU
2018/10/09 17:44
KUさん、
まあ昴の整備云々もあるんでしょうけど、
こちらの記事が分かりやすいかと。
オスプレイ 暫定配備に揺れる木更津
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/286251
木更津市の渡辺芳邦市長は今年3月の定例会見で、木更津に暫定配備されるとの報道を受け、整備と配備では「次元が違う」とし、「初号機の定期機体整備も完了していない状況の中、このような報道がされた状況は極めて遺憾であり、不快に感じる」と述べた。

要するに木更津で整備するからオスプレイを暫定配備しても問題ないよねって勝手に防衛省が考えていて地元住民との合意を取ってなかったのがそもそもの原因かと。私も今更なんで?と思ったらこの体たらく...暫定配備とはいえこいつら傲慢なんじゃないか?と思いますよ。佐賀が揉めている時点で木更津案も出てたのに事前に根回ししてないとか。オスプレイをオモテナシする環境は整ってなかった模様。自民党議員の言い訳は...呆。

小銃ですがライセンスなら日本お得意の高額でだらだら購入もできるでしょうが、輸入なら例えば年に3万丁づつ数年で購入とかにしないと相手も呆れるのではないかと。
やれやれ
2018/10/09 19:18
最近、陸自に入ってきた無鉛弾も当然、NATO弾とは規格が違うのでしょう。
南スーダンの韓国軍も、これを知って「こんなのいらん」といって5.56mm弾を陸自に突き返してきたのではないのでしょうか。
ひゃっはー
2018/10/09 19:23
ひゃっはーさん

私はヘリで吊り下げする空輸を体験したことはありませんが、
C-130やC-1でパジェロや高機動車を輸送してもらう際も、車内の燃料は半分以下にさせられていました。
ですから、空輸の際に燃料を減らされるのはM777に限った話ではないかと思われます。
元陸曹
2018/10/09 23:13
島嶼部での防衛全てに火砲(師団砲クラスの物)が使えるわけではないです。(採用済みの120HMで良いでしょう。M777の必要性はないと思います。)
ウクライナでの戦訓から電子戦や陣地変換の迅速性が求められている事は大きいので自走化を強化するのは自然な流れですね。
ただし、仰る通り重量に関して言えば仰る通りで野戦に完全に適合しているとは言えない。

新自走留が必要ならば海外の方が安ければそちらでも構わないとは思いますが本気で戦うならば(何を想定しているの?はさておき)FH70では次第に厳しくなると思います。
来年度はやめた方が良いという記事でしたがそれは正しいと思います。

コメント欄に自動装てんが人員の削減に繋がるというような見解を見ましたがそれは、火力の増大によって門数を減らすから人も減るという認識なら間違いない。
弾薬手は自動化しても開梱作業(積み下ろしや信管取り付け)やなどがあるためどちらにせよ人は必要。
特科に人が多いのは測量、FO,FDC,分隊(他にも対砲迫レーダとか通信とかあるが)が必要だから。多くは陸曹の職域であり陸士の弾薬手を減らす事は将来的な担い手が減るのでそこは口うるさくするところではない。
又、よく分からん装薬について言及していたがそこまで手間じゃないし新規で作るとまたコストが掛かる既存の成熟した確実な物の方が良い。
19190213
2018/10/10 10:39
>>>根回ししていない

やれやれさん

イージスアショアの件もグダグダですものね。情報漏れを警戒するのは良いですけど、過度な情報統制は百害あって一利無しです。


>将来のデジタル戦場に対応するシンガポール「STエンジニアリング社」の装備紹介映像

http://news.militaryblog.jp/web/ST-Engineering/The-Future-Digital-Battlefield.html

シンガポールでさえシンガポールでさえシンガポールで(ry。装軌式IFVや装輪式IFVの充足率もデジタル化も全て、あちらのほうが遥かに進んでいますよね...。
KU
2018/10/10 19:27
ガソリンスタンドで給油する時も、満タンにすると燃費が悪くなるから満タンにしない方がいい、という話もありますものね。だから、空中給油機というものが必要になってくるわけだ。
ひゃっはー
2018/10/10 21:01
装輪自走砲とか新制服とかそんなものいいから
耐用年数の過ぎた業務用パソコン、プリンター等の事務用品をなんとかかんとか
元土木
2018/10/12 19:02
>だから、空中給油機というものが必要になってくるわけだ。

 空中給油された空中給油機に空中給油された空中給油機に空中給油された空中給油機に空中給油された空中給油機から空中給油を受けた爆撃機が空中給油された空中給油機に空中給油されて帰投するという、目眩がしそうな作戦が現実に実行されて成功してますもんネ。

 ブラックバック作戦。
 こんなアタマのオカシイ作戦は、多分、英国人しかしない。
はて?
2018/10/12 22:47
KUさん、
シンガポール軍の実際の進み具合がどの程度かまでは分かりませんが、軍の展示やSTエンジニアリングの展示から方向性はわかります。少なくとも現代的な軍隊かそれを目指している事は明らかです。それに比べると自衛隊は80年代でしょうか...正面装備はそれなりっぽいですがその程度にしか見えませんね。
シンガポールの様な小さな国で過剰とも思える防衛装備。それだけでは無く最新のトレンドを追っている。GDPに占める防衛費が気になる位です。国土の大きさが違いすぎるので同じ規模を日本に割り当てると大日本帝国もビックリになりそうですが、小国だけにそれだけ防衛に真摯に取り組んでいるのでしょう。陸海空の連携も常に考慮している展示内容でしたし新しい国、小さな国故の一体感無しでは防衛できないと言うのもあるのでしょう。

どこかの国の首相が観閲式の訓示で、
「宇宙、サイバー防衛、電磁波を扱う電子戦などの重要性に触れ」とか言ってるレベルですから自衛隊は現代的な軍隊から自ら大きく劣っていると言っているようなものです。それにネットワーク化など情報共有は遅れてますが話に出てない模様。それにしても首相がと言う以前に防衛省が無能としか言えませんが専守防衛とはいえあまりに世界のトレンドから遅れておりろくに調査をしていなかった証左と言えると思います。トレンドを知っていないと対応策も練れませんよね。
やれやれ
2018/10/14 14:30

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