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zoom RSS スタンドオフ・ミサイルは筋が悪い。

<<   作成日時 : 2018/10/04 11:08   >>

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離島防衛に超音速滑空弾=防衛省、26年度実用化目指す−沖縄に配備念頭
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018092400366&g=soc

>防衛省は、沖縄県・尖閣諸島などの離島防衛を強化するため、「島しょ防衛用高速滑空弾」の開発を進めている。高高度に打ち上げたミサイルから分離させた弾頭を、超音速で地上の目標に落下させるもので、陸上自衛隊による離島奪還戦力の一つと位置付けている。同省は当初の計画より開発を約7年早め、2026年度の実用化を目指す。

>発射装置は移動式とみられる。射程が比較的長いことから、防衛省が航空自衛隊に導入する対地攻撃型の長距離巡航ミサイルと合わせて敵基地攻撃能力があるとみなされ、周辺国から警戒される可能性もある。
 滑空弾はロケットモーターで推進。高度数十キロで弾頭が切り離され、大気圏内を超音速で地上の目標に向け滑空、着弾する。高速で対空火器に迎撃されにくく、敵が侵攻した離島周辺の島から発射する。



これは以前から防衛省で検討されてきたプログラムです。
ぼくは5年ぐらい前にこの話を聞いたことがあります。当時射程が500キロほどであれば開発は難しくないが、1,000キロならば相応の研究が必要であるとのとのことでした。

ですが本当に必要かは疑わしいです。
地対地であるならば単なる短距離弾道弾でいいはずです。それならば開発が簡単です。ですが、それだと政治的な問題に発展する可能性がある。だから弾頭部を滑空爆弾にしてて、ロケット+滑空爆弾にすれば弾道弾ではなくなる。そういう目論見です。

先端に滑空爆弾を搭載するなら、かなりのサイズになるでしょう。恐らくはMLRSで発射可能な短距離弾道弾ATACMSよりも大型になるでしょう。であればMLRSはプラットホームには使えないでしょう。

恐らくは移動型でしょうが、どのような部隊が運用するかも不明です。SSMの部隊で運用するのでしょうか。誘導方法がGPS/INSであれば精度は高くないでしょう。より高い精度をもたせるならば画像式などのシーカーが必要ですが、その分コストがかかります。航空機発射型よりもかなり技術的な難度は高くなるでしょう。

JDAMのような既存の爆弾にキットを装着する航空機搭載型の精密誘導爆弾、あるいは単なる短距離弾道弾では何故だめか、説明がありません。航空機搭載型を輸入すれば話が速いはずです。またコストも格段に安い。
航空搭載型であれば専用の精密誘導爆弾でも射程が300キロほどのものは存在します。これらをP−1に搭載するという運用手段もあるはずです。

一体どのような目的で何を目標にして射程はどの程度か、調達単価はどの程度を見込んでいるのか、どの程度の数を調達するのか。既存の部隊、例えば地対艦誘導弾の部隊で運用するのか、新しい部隊を編成するのかなどを納税者に説明すべきです。

現状のままであれば例によっての開発費の無駄遣い、しかも調達単価が高騰してろくに調達されないままフェードアウトになるのではないでしょうか。


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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
https://nationalinterest.org/blog/buzz/japan-wants-supersonic-glide-bombs-crush-china-war-32087
同じ内容が英文記事でも出ています。
上記記事の場合、中露が弾道ミサイルと誤認する可能性を最後に付記しています。
調達・運用までの計画が不明瞭なのは相変わらずですね。
先行き不安です。


空自F2後継機は新規開発 既存改良はコスト高く
https://mainichi.jp/articles/20181004/k00/00m/010/192000c
>米英の3社から既存機種の能力向上型の導入を提案されていたが、コストや性能面から日本側の要求に合わないと判断した。
どの口がそれを言うのかと。
「国産技術の維持継承」「日米同盟の深化」という呪いから抜け出し、同じ愚を繰り返さないといいのですが。
対応の暇がない今、グリペンNGという選択肢もありだと思います。
CPR
2018/10/04 13:46
清谷様

画像誘導式にすることで、将来的には対艦攻撃にも使えるのではないでしょうか。
日本版のA2/AD戦略の中核的な装備としての発展性も見えると思います。
コストや技術難易度のリスクはありますが…
この点について、どのようにお考えでしょうか
みつお
2018/10/04 21:14
>サウジ、南アフリカの軍事産業と広範な提携交渉

http://jp.reuters.com/article/south-africa-saudi-defence-idJPKCN1MF073



KU
2018/10/05 12:56
http://soldiersystems.net/2018/10/04/161298/
米陸軍契約司令部が次世代分隊火器(NGSW: Next Generation Squad Weapons)の試作機会通知(PON: Prototype Opportunity Notice)草案を発出しました。
次世代を担う「ライフル(NGSW-R)」と「分隊支援火器(NGSW-AR)」の取得を企図したものです。
NGSW-Rでは「M4/M4A1カービン」を、NGSW-ARでは旅団戦闘チーム内における「M249 SAW」からのリプレイスを図る計画のようです。
弾薬は6.8mmとなっています。
CPR
2018/10/06 06:26
これは敵基地攻撃用ではないでしょうか
Horie
2018/10/06 16:59
素直にDF-21Dの日本版を開発すべきじゃないでしょうか。それなら、専守防衛ということで国民や諸外国にも理解が得られると思います。
横浜の黒豚
2018/10/08 05:53
お邪魔します。
 未だに「超音速=凄い」というイメージがあるのではないかと思われます。文谷氏が「たとえ超音速対艦ミサイルができても、特別な対処は不要。超音速だと高い場所を飛ばねばならず、高機動にも制約があるから」みたいな事を言っていたように記憶しています。これが「極超音速」なら意味が出てくるのかも知れません。構想されている極超音速旅客機には、普通に飛ぶ「巡行型」と、大気圏脱出手前まで行く「滑空型」があると見ました。「極超音速の滑空型」ならもしかしたら「弾道ミサイルよりも迎撃困難」になるかも知れませんが、航空宇宙関連の蓄積が乏しい日本がそれを作れるかは疑問です。
ブロガー(志望)
2018/10/13 22:15

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