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zoom RSS 8輪装甲車開発中止の裏側その2

<<   作成日時 : 2018/07/30 11:51   >>

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前回に引き続き、陸自の新型装甲車開発頓挫のお話です。


耐弾性能満たす車両作れず次期装甲車の開発中止:防衛省
https://www.yomiuri.co.jp/national/20180728-OYT1T50035.html


前回も書いたように、今回のキャンセルの最大の原因は陸幕と装備庁の当事者意識&能力の欠如です。特に陸幕。
軍用装甲車の開発を企画、指導する能力が全くない。

NHKの「チコちゃんに叱られる」じゃないけど、

おまえらボーッと生きてんじゃねえよ!

というところです。


まず、同盟国である米国を含めた、諸外国の動向に全く無関心。
情報収集も分析も全くやっていない。興味があるのは陸内部の政治力の調整だけ。

だから諸外国の軍隊がどのレベルの装備やら、今後のトレンドやらまったく把握する気も無いし、
戦える装備体系を作る気も無い。

だから軽装甲機動車なんぞ怪しげな代物を平気で開発、採用する。
機械化歩兵のAPCなのに、分隊が乗れず、4名乗りの小型装甲車。
しかも基本無線も搭載していないので、分隊長が指揮も執れない。
下車戦闘は全員下車して鍵をかけて、装甲車は置き去り。まるでコントです。
その上固有の武装も無いから火力支援もできない。
カーゴスペースもろくにないので、弾薬や貨物も殆ど詰めない。
要求が7.62×39ミリカラシニコフ弾を防げればいいや、という仕様なので、
7.62×51NATO弾や7.62×54ロシアン弾は防げない。
値段を下げるためにスポールライナーも装備しなかった。

機械化戦闘を全く理解していない。
目先の調達単価を下げたり、専用の車輌部隊を作って、新たな(人員が必要な)部隊編成をしたりする
面倒をさけたかった。


性能的には70年代レベルの代物です。
で、お値段は諸外国の同等品の3倍以上。

おまえらボーッと生きてんじゃねえよ!


ある意味吉田茂の言った「戦力無き軍隊」そのものを体現化していると思います。
これで禄を食んでいるのは犯罪的ですらあります。
仕事しない方がまだまだです。下手に仕事をして税金の無駄使いを垂れ流しているわけです


そもそも論で言えば、いつも申し上げていることですが、どういう装備を、いつまでに調達、戦力化して、開発、調達のプロジェクト総額はいくらかかるのだ、ということが決まっておらず、漫然といつ調達が終わるか分からず、総額がいくら掛かるか分からない。その年度の予算さえなんとかなればいいや、ということでやっていることに問題があります。
つまり、計画がないわけです。まともなものができる道理がない。


おまえらボーッと生きてんじゃねえよ!


 また諸外国のように装甲車輌やその他の装備のポートフォリオを考えて、その一部として開発、調達をすることがなく、個別最適(しかもそれが最適でない)をで漫然と開発と調達を行っている。つまりは木を見て森を見ていない。だから装甲車輌のファミリー化も21世紀になってすら手がついていない。
多くの国では70年代ごろからファミリー化は始まっていました。

 陸自には70〜90年代に採用された装甲車輌が多数あるが、これらを近代化する計画も更新する計画も殆ど存在しません。例えば73式装甲車、82式指揮通信車、87式偵察警戒車、87式自走高射機関砲、89式装甲戦闘車、90式戦車、96式自走120ミリ迫撃砲、96式装甲車(一応新型8輪装甲車で更新される予定だが、その間の近代化される予定もない)、99式自走榴弾砲、MLRS、軽装甲機動車などです。
 これらは殆ど近代化らしい近代化もリファブリッシュも行われていません。旧式車輌でもエンジンをオーバーホールないし換装し、電気系統を取り外して一新するなどのリファブリッシュを行えば稼働率は格段に向上するが、これをやっていません。まして近代化もされていません。

 対して例えばフランス陸軍ではSCORPIONという計画があり、オーストリア陸軍ではランド400という計画があり、ドイツ陸軍でも同様の計画があります。これらでは装甲車輌更新のポートフォリオとそれに基づく、個別の車輌の開発や調達を決定し、タイムテーブルと、総予算を決めて、それを公表しています。

 これらのプロジェクトでは例えば3種類の現用車輌を1車種に統合するということをやっています。米軍のハンビーでも5種類の現用を1車種に纏め、訓練、整備、兵站の負担を下げ、また量産による調達単価をさげています。こういう当たり前のことを防衛省、自衛隊はできないわけです。


それができないのは装備庁、陸幕、そして政治家が無能だからです。

おまえらボーッと生きてんじゃねえよ!

こんな連中に防衛費を2倍に増やしても無駄使いが増えるだけです。

もっと根底の話をすると防衛省にしても、自衛隊にしても組織防衛のためならば政治家や納税者を欺してもいいのだと思っていることです。事実平気でだまししています。前回ご案内した政策評価もそうですし、以前ぼくが問題にしたファースト・エイド・キットもそうです。お医者さんゴッコレベルの自衛隊のそれを、米軍と同等でありますと大臣や幕僚長を欺し、空幕は50億前後の救難ヘリを23.75億円で調達できますと官製談合を平気でする。石破さんが大臣だった時代はドイツ製のNBC装甲車は横幅ありすぎて日本では使えませんとこれまた嘘をつきました。

つまり、文民統制が全く機能していないということです。

その要因は記者クラブにあります。新聞、テレビなどの一部のマスメディアが記者会見を始め、多くの取材機会をとアクセスを独占し、我々専門媒体や専門記者を排除しているからです。記者クラブの記者は一般に専門知識がなく、海外の軍事情勢もしらず、単なる防衛省という役所の担当に過ぎません。しかもキツい質問をすると当局から嫌がらせをされるために、厳しい追及をしません。つまりは慣れ合いをやっているわけです。

ですから予算についても突っ込んだ質問なんかしません。

権力の監視なんかできるわけがありません。
そのくせ防衛省のスキャンダルが起こると、各社ぼくの所に話を聞きに来る(笑
こういうのをよその国ではジャーナリズムとは言いません。

おまえらボーッと生きてんじゃねえよ!


この体制が続く限り、まともな防衛装備調達は不可能です。


■本日の市ヶ谷の噂■
90式戦車のコンピューターの能力はPC98以下ということはよく知られているが、そのサイズはドラム缶の半分ほどと巨大であるとの噂。 










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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
清谷さん、
全くもってご尤も。私も海外のエアショーや博物館等で「本物の武器」を見るまで自衛隊の武器や兵器にさして疑問を持っていませんでした。所が彼の地に行くと自衛隊の、特に陸自の装備や装甲車両が実にチンケで古臭い。しかも装甲が薄い、扱いづらい、なのに高価だという事が分かってきました。東日本大震災の時には陸海空で被害のあった前線でお互いの無線が通じない(航空無線だけは通じる)と言う間抜けな事も初めて知りましたし有事が起こってからこんなんじゃ駄目だと言う思いがより強くなりました。例えば兵器がヘボい理由が海外へ遠征しない、侵略もしない、国内での戦闘は無いし(海、空まかせ)なので「安く」適当にそれっぽい物を揃えましたと言うならまだ価格が安いから、予算が少ないから、戦闘もしないからそんなもんだよね、で納得しても良かったのですが、低性能なのに高価、しかも高価故に数が揃えられない、だから延々と調達ではもう何といっていいやら。防衛装備庁も名前変えただけで中身は変わらないから何処かの国のプロジェクトに乗っかりそれを輸入とかどうしてもと言うならラ国とかで良いんじゃないでしょうか。それにPKOなど海外にわざわざ行くのに身を護る装甲車が紙装甲では悲しすぎます。むしろ行かないで欲しい。行きたいならそれなりの装備が必要でしょう。でPKO部隊だけ良ければいいの?って疑問が出ない様なら組織は腐ってますね。どうせ日本で戦争なんか無い、適当に訓練と草刈りと体力づくりと資格だけ取ればいい、では自衛にもならない。せめて名前程度には何とかしないと存在意義が問われますね。納税者としては使えない国産兵器なら良さそうな使える物を安く買ってきた方が良いです。日本独自の細やかな作りが...(無いと思いますが)そんな事より生存性ですよね。
やれやれ
2018/07/30 13:19
改修とかして稼働率が高まると、新しいオモチャを買えなくなるからやらない····なんてことわないですよね?ね?まさか、仮にも特別職の国家公務員な方々が国民の血税を使って、そんなアホな事をするとは思えませんが(((^_^;)。


>陸上イージスの運用費5000億円超、レーダーはロッキード製

http://jp.reuters.com/article/aegisashore-radar-idJPKBN1KK0CA


>無人偵察機運用へ新部隊創設...陸海空自共同で

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180730-OYT1T50052.html

アレな国産8輪装甲車の開発は取り止めるけど、遥かに高価なオモチャの購入は取り止められない、というのも変な話ですよね。
KU
2018/07/30 19:41
「90式戦車のコンピューターの能力はPC98以下ということはよく知られているが」PC98持っていました。まあ当時としては妥当でしょう。清谷さんもご存知だと思いますが、軍用の組込装置やCPUはバグの出きった枯れた物を使用するのが基本です。つまり民生用の現役世代より2,3世代は古い。その昔岐阜基地航空祭でF-2だったかミサイルだったかの電子部品を見たときに随分古い世代のCPUを使っていて、なんでこんな古いのを?と聞いたら(この業界では)最新ですよと教えてくれました。90式当時だと87年頃の軍用としての最新でしょうか。CPUで言うと8086世代でしょうか。当然現在のようなLSIは殆ど無くMIL規格のICでも使っているのでしょう。そのくらいの容積があってもなんら不思議ではありません。省エネでも当然無いので低性能でも熱はかなり出すでしょう。今だとしょぼいPCにも遥かに負けますが軍用だの産業用だのではそんなもんですよ。部品は軍用だとまだ手に入るので手に入るうちは何とか修理しますがメーカーとしてはそろそろ次世代へアップグレードして欲しいと思っているでしょうね。開発費落ちますから。修理だけで日銭を稼ぐのも良いですがいい加減嫌になるもんですよ。
やれやれ
2018/07/31 02:13
坂下と申します。ソフトウェア開発の業界に1985年ぐらいからおります。大きさについては、「やれやれ」様が書かれているように、当時、90式の開発時期である1985年あたりを想定しますと、「そのサイズはドラム缶の半分ほどと巨大である」となりそうです。CPU基板はたぶんA3用紙ほど、その他に入出力用基板、もしかしたらメモリ基板が別となりそうで、さらに二重化されていますと、基板のラックだけでビジネスホテルにある小さな冷蔵庫ほど、他に二重化された電源も装備となると、これぐらいになっても不思議ではないように感じます。
ただ、これらの保守部品の調達が難しいくなってきているのではないでしょうか。先日、20年ほどまえに開発した電力向け組み込み系システムの更新に関係しました。更新理由は、CPUとその外部通信用のモジュール(バスといいます)がついに入手できなくなったためでした。
90式の制御コンピュータのCPUの情報はネットではわからないのですが、個人的に推測すると、PC98に載っている8086は当時、組み込みに採用することは少なかった、海外製だとモトローラのMC68000が使われていましたが、当時は日本の半導体が伸びている時期だった、などからNECのV60(NTTの交換機やNECの通信衛星などに使われたはず)ではないか思います(あたっている気がしません)。
V60にしてももう部品がない気がします。90式の制御システムの維持管理がだいぶ不安です。
ss
2018/08/01 15:41
陸自は調達に関して本当に無駄が多い。
いっそのこと、ゲリラコマンドや島しょ防衛の部隊のみ維持して、あとは災害派遣のみを行う組織に変えてもいいと思います。
ボーヤはるみち
2018/08/02 10:24
案外ブッシュマスターの調達拡大って手はどうなんでしょうね?日本でも運用実績あるじゃないですか。
ふきのとう
2018/08/03 01:40
ボーヤはるみちさん、

いっそのこと第1空挺団は空自に移管して空自降下猟兵大隊に、水陸機動団は海自に移管して海自陸戦隊にしてはどうですか?(苦笑)

で、残りは災害救援隊に改組し都府県知事の指揮下に置く。日本版州兵の誕生ですわ!
災害時は知事の命令により直ちに出動、総理が二日酔いで人事不省状態でも無問題w
総理が州兵を動かしたいときは、知事と県議会の同意が必要w海外派遣などもってのほかw
被本塁打大王
2018/08/04 13:26

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