10式戦車にクーラーはあるのか?これが結論だ。
さて、全国的に記録的な猛暑です。皆さんいかがお過ごしですか?
真夏の気温が40度近くなるこの国で、陸自のAFVの殆どにクーラーが装備されておりません。
クーラーは贅沢品ではなく、乗員の体力保持のため必要ですし、CBRN環境下で車体を密封するのであれば
不可欠です。この炎天下でクーラーがなければ30分も活動できません。
さて以前から問題になっている、最新型戦車である10式戦車にクーラーがあるのか、無いのかという議論です。
未だにあると信じている人たちの論拠はニコ動あたりで公開された三菱重工関係者の乗員用のクーラーはあるという発言です。
ぼくは何度も機器冷却用のクーラーは存在しないと申し上げてきました。
10式戦車に乗員用のクーラーは存在しない
http://kiyotani.at.webry.info/201401/article_18.html
以下の記事のコメント欄でも議論になりました。
将来のMBTは軽量戦車という選択はありか?
以下の記事は技本(当時)の10式開発関係者のインタビューです。技本高官含んだ約8名の担当者が同席し、書いた原稿は技本側でもチェックしています。ですからぼくの思い違いはありません。
10式戦車とその必要性
http://webronza.asahi.com/politics/articles/2013121000007.html
>新戦車には市販品を転用したクーラーが装備されているが、これはあくまで電子機器を冷却するためのもので、乗員はその恩恵に預かれない。なおクーラーは10式戦車では変更される可能性があるとのことだ。乗員用のクーラーがオミットされたのは価格低減のためと、補助動力装置の極小化のためだろう。補助動力装置が小さくなればこれの調達価格も当然低く抑えられる。乗員用クーラーを搭載すればその分重量はかさむし、補助動力装置も大型化しその調達価格も高くなる。だが乗員用クーラーを搭載していないために夏場のNBC環境下において新戦車は30分ほどしか活動できないだろう。これが果たして夏場には35度を超えることも多々ある「我が国固有の環境」に適しているのだろうか。
この部分が間違いであれば、技本革が原稿のチェックレベルで物言いをしているはずです。それはありませんでした。つまり技本がみとめているということです。
そして念のために陸幕広報室にも確認しました。量産型で変更があった可能性も考えたからです。
ところが、広報室からの回答も乗員用クーラーは存在しないというものでした。
では三菱重工の社員が嘘をついているのか?
でなければ技本や陸幕が嘘をついているか?
また10式の開発に関わった機甲科OBも乗員用クーラーはあると仰有っておりました。
いずれの関係者も嘘をついても何のメリットもありません。嘘がばれた時のダメージは極めて大きいものになり、責任も問われます。
実は誰も嘘をついていなかったのです。
実際に技本や陸幕の要求では機器冷却のためのクーラーは入っていましたが、乗員用のクーラーは入っておりませんでした。
ところが開発時に三菱重工と機甲科OBらは乗員用クーラーがないのは時代錯誤だと考えていました。そこで、自分たちのできる範囲で、機器冷房用のクーラーの冷気が多少乗員にも当たるように設計されました。
だから三菱重工側の認識は「乗員用クーラー」は存在するというものなのでしょう。つまり、グレーゾーンの所を開発側の裁量で多少色をつけたということろです
ですから、乗員は多少の恩恵にあずかっていることになります。ですが、あくまでも余録であり、本格的に車内を冷やすだけの出力はありません。それをやれば発注者の仕様を勝手に書き換えたことになるし、出力も、消費電力もより多くなり、補助動力装置も大型にする必要があったわけです。そうなればコストも重量も大きくなります。
諸外国の戦車のクーラーのサイズをみればそれはわかります。
そして実際に現在、10式にイスラエル軍が採用している、乗員ダクトで冷気を流す冷房システムの導入が検討されているようです。
■本日の市ヶ谷の噂■
陸自のAH-X改め、NAX(新型攻撃/武装ヘリ)コンペでは8社が名乗りをあげ、RfIに情報提供との噂。
真夏の気温が40度近くなるこの国で、陸自のAFVの殆どにクーラーが装備されておりません。
クーラーは贅沢品ではなく、乗員の体力保持のため必要ですし、CBRN環境下で車体を密封するのであれば
不可欠です。この炎天下でクーラーがなければ30分も活動できません。
さて以前から問題になっている、最新型戦車である10式戦車にクーラーがあるのか、無いのかという議論です。
未だにあると信じている人たちの論拠はニコ動あたりで公開された三菱重工関係者の乗員用のクーラーはあるという発言です。
ぼくは何度も機器冷却用のクーラーは存在しないと申し上げてきました。
10式戦車に乗員用のクーラーは存在しない
http://kiyotani.at.webry.info/201401/article_18.html
以下の記事のコメント欄でも議論になりました。
将来のMBTは軽量戦車という選択はありか?
以下の記事は技本(当時)の10式開発関係者のインタビューです。技本高官含んだ約8名の担当者が同席し、書いた原稿は技本側でもチェックしています。ですからぼくの思い違いはありません。
10式戦車とその必要性
http://webronza.asahi.com/politics/articles/2013121000007.html
>新戦車には市販品を転用したクーラーが装備されているが、これはあくまで電子機器を冷却するためのもので、乗員はその恩恵に預かれない。なおクーラーは10式戦車では変更される可能性があるとのことだ。乗員用のクーラーがオミットされたのは価格低減のためと、補助動力装置の極小化のためだろう。補助動力装置が小さくなればこれの調達価格も当然低く抑えられる。乗員用クーラーを搭載すればその分重量はかさむし、補助動力装置も大型化しその調達価格も高くなる。だが乗員用クーラーを搭載していないために夏場のNBC環境下において新戦車は30分ほどしか活動できないだろう。これが果たして夏場には35度を超えることも多々ある「我が国固有の環境」に適しているのだろうか。
この部分が間違いであれば、技本革が原稿のチェックレベルで物言いをしているはずです。それはありませんでした。つまり技本がみとめているということです。
そして念のために陸幕広報室にも確認しました。量産型で変更があった可能性も考えたからです。
ところが、広報室からの回答も乗員用クーラーは存在しないというものでした。
では三菱重工の社員が嘘をついているのか?
でなければ技本や陸幕が嘘をついているか?
また10式の開発に関わった機甲科OBも乗員用クーラーはあると仰有っておりました。
いずれの関係者も嘘をついても何のメリットもありません。嘘がばれた時のダメージは極めて大きいものになり、責任も問われます。
実は誰も嘘をついていなかったのです。
実際に技本や陸幕の要求では機器冷却のためのクーラーは入っていましたが、乗員用のクーラーは入っておりませんでした。
ところが開発時に三菱重工と機甲科OBらは乗員用クーラーがないのは時代錯誤だと考えていました。そこで、自分たちのできる範囲で、機器冷房用のクーラーの冷気が多少乗員にも当たるように設計されました。
だから三菱重工側の認識は「乗員用クーラー」は存在するというものなのでしょう。つまり、グレーゾーンの所を開発側の裁量で多少色をつけたということろです
ですから、乗員は多少の恩恵にあずかっていることになります。ですが、あくまでも余録であり、本格的に車内を冷やすだけの出力はありません。それをやれば発注者の仕様を勝手に書き換えたことになるし、出力も、消費電力もより多くなり、補助動力装置も大型にする必要があったわけです。そうなればコストも重量も大きくなります。
諸外国の戦車のクーラーのサイズをみればそれはわかります。
そして実際に現在、10式にイスラエル軍が採用している、乗員ダクトで冷気を流す冷房システムの導入が検討されているようです。
■本日の市ヶ谷の噂■
陸自のAH-X改め、NAX(新型攻撃/武装ヘリ)コンペでは8社が名乗りをあげ、RfIに情報提供との噂。
この記事へのコメント
「飛躍だけ」って「冷やすだけ」の誤変換ですかね?(^^;)
それはさておき、ヒートアイランド現象や地球温暖化で年々厳しさを増している我が国の夏の猛暑をクーラー抜きで過ごせとは、どんな罰ゲームだよ(-_-;)戦車は密閉空間で乗員も厚着しているってのに。
ナポレオン率いる大陸軍やナチス・ドイツ軍は相手国の冬将軍に苦しめられましたが、このままだと自衛隊の戦車部隊は自国の夏将軍に敗れ去るわけか…orz
訂正します。
どういたしまして(∩´∀`)∩
で、新たなネタを投下してみます。清谷さんやここの常連さんが読んだら、突っ込みどころ満載のブログですw
災害救助は自衛隊にしかできない
https://www.gosen-dojo.com/blog/18733/
小林よしのり「公的な救助チーム、結局は自衛隊に頼るしかないだろう。自己完結できるのは自衛隊だけだ。人数が足りないなら、予算を増やして、隊員も増やして、災害救助にもっと力を入れることはできんのか?」
よしりん、予算増やしても防衛省はオスプレイその他高価な玩具の購入に蕩尽しちゃうから無意味だって…orz
ってか、災害救助は自衛隊より警察や消防の方が得意でっせ!
おぉ!ついに米帝以外のAFV向けシステムを採用する日ががが(((^_^;)。ぜひ、「検討すれども実施せず」などと言わずに、堂々と採用していただきたいものです(採用ついでに、あんなそんなUAVもコッソリ採用してもらいたいですが、ムリでしょうかw)。あとNAXですか。8社となると、国内3社プラス米国2社と欧州2社まではメーカー名が直ぐ思いつきましたが、もう1社は...アフリカ南部の某国でしょうか?
>陸上イージス高性能レーダー、月内選定へ 防衛省内、米2社製で激しい綱引き
http://www.sankei.com/smp/politics/news/180716/plt1807160001-s1.html
まだまだ一波乱ありそうですね。
命令する方は楽かも知れませんがやらされる方はうんざりでは士気が上がらないと思うんですがね。
http://newswitch.jp/p/13719
はぁ....。
イージス艦のCIC内はクーラーがガンガン効いていて、夏でも寒いくらいだ、という話を聞いたことがあります。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20180717-OYT1T50017.html?from=ytop_main5
「ロッキードが示した正式な提案では、1機あたりの価格が200億円超で、150億円とみていた防衛省の予測や空自が導入したF35の価格(約131億円)を大きく上回る結果となった。防衛省幹部は「高額すぎだ。このままでは受け入れられない」と嘆く。」
現行のF-22をそのまま輸入したとしても恐らく200億円を割ることは無いでしょう。アメリカですら高すぎるあまり数を揃えられなかった位ですから。それにしてもF-22+F-35/2=200億円とはLMもどんな計算したんでしょうか?開発費の上乗せ無し価格でしょうか?軽く300億円はすると思っていましたが。それにしても防衛省も150億円でどんな機体を買うつもりなんでしょうね?金額から逆算するとステルスならF-35ベースしかなくそれでも150億円は無理でしょう。ボーイング案かBAE案で150億円が良いところでは?
だとすると、入隊希望者減ると思いますよ。
ホームセンターで売られているスポットクーラー?
私は路線バスの運転の仕事をしており、車内の温度調整に気を使っているこの頃です。お客様から暑い、冷房強くしろ!とか 寒い、冷房弱くしろ! 色々言われ温度調整は難しいです。
バスは天井部分に出っ張りがありますが、フロンガスのタンクや補助動力装置が内蔵され、かなりの容積が含まれます。空間が大なので、内蔵する余積がなく、天井部分に取り付けるしかない。
戦闘車両は尚更で 内蔵できるスペースはないに等しい。電子機器を冷やすのが 関の山なのは容易に想像できます。装甲板なので熱を吸収しやすく、快適に冷やすには外付けの冷房装置が必要。冷房を掛けると燃費がリッター当たり1~2キロ低下し、航続距離が短くなり、兵站の所要が増大。常識から考えて装甲車両や戦闘車両の車内空気を冷却するには技術上無理があるし、航続距離低下、機能低下、コストUPがあり 本末転倒なことになります。
仕方がないだろうと言ったら思考停止になります。搭乗員用の冷却服の開発とか。私が現役の頃、冷却ジェルをヘルメットの中に入れたりとか工夫しましたが 焼け石に水でした。 暑さは今の仕事でも 切実な問題です。
Masaya Hariuさん、まさに「無能な上官、敵より怖い」ってヤツですね…orz
私の情報は古過ぎかな(笑)
護衛艦のCICは寒いほど冷房が利いているのは電子機器を冷やすため?
パチンコ屋の冷房が寒いほど利いているのはコンピューターを冷やすためと同じ目的ではないかと思います。
戦艦大和・武蔵の艦内が冷房が備わっているのはレーダー等冷やすためと弾薬・装薬が自然発火しないためと認識しています。
どちらにしても兵器に冷房があるのは兵士の快適性よりも 機器の保守を優先されるのではないでしょうか?
人間なので精神論では勝てないでしょう。
その通りです。 高校時代、頭のおかしい問題教師といかれた先輩達のせいでひどい目に遭った事があります。
自衛隊は熱中症を含めた怪我の対処を階級、勤続年数、年齢、性別、職種(兵科)問わず訓練を行なっているのでしょうか?
気になります(多分やってないですよね)。
出力の4.4kw以上という数値が、電源の容量をどれだけ喰うのか、にも影響されるでしょうし
陸自の普通のトラックとかだと、単に、操縦室に冷房機を有するとだけ記載されていたりするみたいですね
http://blog.livedoor.jp/googleyoutube/archives/51945822.html
現場の隊員に「乗員用クーラーなんて贅沢!泥水で涼を取れ!」って圧力かかりそう…orz
PC関連の雑誌で、データセンターではサーバーをエアコンとかで"空冷"するのでは無く、ラック型とかのサーバーをコンテナに入れて、そのコンテナを"水冷"している事例があると聞いた事があります。戦車の乗員もエアコンとかによる"空冷"ではなく、"水冷"スーツとかで冷却できないのかなと思ったりもします。車内"全体"を冷やそうとすると少なくないパワーが食われるようですし、90式も10式も自動装填だから、乗車中の乗員が動き回る事も少ないのではないかと思いまして(後対ABC他の乗員保護も含めて)。
それと「本土決戦用の要塞が無い事を阿南陸相が知らなかった」事や豊洲市場も盛り土の事を思えば、「知らぬは上層部ばかりなり」もあり得るのではと思われます(かの東條英機は旧陸軍の内務班による私的制裁を知らなかったとも)。尤も「あるはずの物が実はない」はあっても、その逆がどれだけあり得るかという事はありますが。
一般的な水冷スーツは屋外用で屋内用ではありません。屋内で使用すると簡単に言うとエアコンの室外機を屋内に設置するのと同じで熱交換した温風を室内に戻す事になりトータルではかえって室温が高くなります。同じ理屈になるので戦車の中では水冷チューブを戦車に接続し車外に熱を放出(戦車の機器用エアコンに繋いでもいいですが)する水冷スーツにしないといけません。そうなるからあえて動き回る事が少ないないと言う言葉があると思いますが、それ用に色々改修しないといけませんね。いずれにしろ何らかの形で車内の熱を車外に出さないと車内は冷えませんね。それが人の出す熱であっても。