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zoom RSS 拝啓、防衛省記者クラブ記者諸君、諸君は寝ているのか?

<<   作成日時 : 2012/10/18 16:41   >>

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 さて陸自のUH-Xの官製談合スキャンダルでは未だに新聞、テレビの社会部は水面下で取材を続けています。ぼくのところにも未だに取材が来ています。

 ところが政治部、特に防衛省担当記者が取材に当たっている、あるいは記事を書いたという話はほとんど聞いたことがありません。ぼくの所に取材にきた防衛省担当記者は一人だけです。

 既に何度も述べていますが、この問題は単にUH-Xだけではなく、他のプログラムでも行われていると言ってもいでしょう。つまり防衛省の調達システム自体に欠陥があるという問題です。

 これは守屋次官・山田洋行のスキャンダルの比ではない大問題です。

 まさに防衛省記者クラブ所属の記者諸君の活躍する案件ではないでしょうか。

 結局守屋次官の件も、防衛省記者クラブの切り込みが甘く、調達の問題点が殆ど報道されず、ゴルフに行ったとか、奥さんがおねだりしたとかの、どうでも言い個人的な話や、個々の過大請求のこととか、木を見て森を見ない報道が多かったように思います。

 ですから、防衛省はあのとき改革を怠り、「形だけの競争入札」を導入したわけです。ある意味、UH-Xの官製談合はメディアの怠慢が招いたとも言えます。

 また「形だけの競争入札」を導入したために、本来随意契約が合っているものまで「形だけの競争入札」を導入したので、現場は混乱し、供給サイドも混乱しました。
 すべて競争入札ですから、基本的に供給側は単年度の責任しかありません。将来にわたってサポートをする義務は無くなるからです。それはまた供給側にとっては将来の売り上げが予想できないことになります。
 ですから昔のようないい意味での官民の貸し借りの関係も希薄になりました。
 「形だけの競争入札」を導入した結果です。


 ところが今回は調達システムの問題として報じる動きが殆ど見られないわけです。


 先の大震災で明らかになった防衛省や自衛隊の問題点も触れずに、ひたすら自衛隊は頑張ったと提灯記事ばかりを書いている人達ですから、あまり多くは期待していなかったのですが、あまりに酷すぎます。
 

 興味がないのか、知識がないのか、この件で動かない方が官側に恩を売れるからなのか知りませんが、温和しい限りです。他国ではあり得ない話です。防衛省記者クラブって、防衛省の広報組織なのでしょうか。


 我々フリーランスやら雑誌の人間をなど排除して、多額の税金をかけて運営されている記者クラブは報道活動に寄与しているどころか、むしろ防衛省を不都合な真実の広まることから守っているように思えます。
 文民統制の基本は政治が人事と予算を握ること、そして徹底した情報公開です。

 記者クラブ解放を謳った民主党政権が記者クラブを解放する気配はありません。

 まともな情報が納税者に伝わらなければ、納税者は問題を知りえないし、また議論も起こりません。


 防衛省の組織防衛に寄与するような防衛省記者クラブは「文民統制の敵」ではないでしょうか。



 それから、UH-X問題は優れて産業問題でもあります。
 UH-Xを国産で行うことがヘリ産業の振興になるのか。

 防衛省・陸幕はそのように主張していますが、ぼくはあだ花だと思います。
 防衛省の調達予算は減少傾向にあります。つまり防衛省の予算に頼っている限り、ヘリ産業に未来はありません。

  他国の軍用市場に輸出することはともかくとして、UH-Xは内外の非軍事市場では売れないでしょう。まず5トンクラスの機体の需要があまりありません。

  海外に売るのであれば、外国メーカーと組むのが現実的です。BK117が売れているのは機体の優秀性もさることながら、世界最大のヘリメーカーである、ユーロコプターの販売力と、サービス網があってのことです。
  このような海外ネットワークを自前で構築するには巨額の投資が必要です。

  現実的にみればポッと、国産ヘリをつくってそれが売れるならば、どこのメーカーも苦労はしません。

  つまり産業振興という視点からみればば、UH-Xは単なるマスターベーションに過ぎません。

  防衛省以外の市場でシェアがないといとこは、産業として自立していないということです。つまりUH-Xは根も茎もないのに花を咲かせようなものです。これではヘリビジネスの継続は不可能です。

  本来産業振興を政策として行うのであれば、いつまでに防衛需要以外の市場を一定のパーセンテージをとる、あるいは金額を売り上げるという中長期的な数値目標を設定し、それをどのように実現するかという具体策が必要です。闇雲に国産ヘリをつくればいいというものではありません。
  産業として自立する可能性がないものに金や人をつぎ込むのは資源の無駄使いです。
  そんな金があるならば、ネットワーク化などにつぎ込むべきです。

  UH−Xの問題では産業として防衛産業を分析し、批評するべきです。その姿勢が我が国の経済・産業ジャーナリズムに欠けています。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
記者クラブが広報組織でしかないことは、反原発デモを握りつぶした一件ですでに明白でしょう
何かを期待するほうが間違いです
つーか、UH-Xの官製談合自体、防衛省が他の官庁同様「省益あるを知って国益あるを知らぬ」腐敗硬直した官僚組織でしかないということの象徴でしょう
何かを期待するほうが間違いです
明日はどっちだ、そもそも明日なんてあるの...
2012/10/19 20:28
記者クラブの弊害は防衛省に限った話ではないですよね。だから記者クラブの解散、という話が出てたと思うんですが、なんだかんだで尻すぼみになってますね。
Null Devices
2012/10/23 14:43

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