川崎重工 UH-X官製談合疑惑 技本の存在意義はありや?

 さて、今回の官製談合疑惑でガサ入れあったのは技本が中心です。明野の飛行学校などもガサ入れがありましたが、これは全て当時技本にいた人間を対象としたようです。

 不思議なことにもう一方の当事者である、陸幕装備はノーマークのようです。

 技本は以前から内部でも批判の絶えない組織です。 

 で、技本って本当に必要なの?

 というと、要らないと思います。なにもぼくだけが言っているわけじゃないです。
 自衛隊OB、現役の間でも技本不要論は決して小さな声ではありません。

 先日も陸自の元将官の方と話していたのですが、●●式●●にしても、技本が要らない試験をやらせたり、不必要なコンポーネントを装備させたりするので、開発費や調達費が高騰した、と。
 それがなければ開発費は半分で済んだんじゃないか、と。
 
 また、その元将官はメーカーや商社は自分たちで情報収集を熱心にやっているが、技本は殆どしない。何しろ年間の海外視察予算が92万円って年があるくらいです。ぼくの海外取材費よりも少ない。
 しかもこの乏しい予算で、定年前の将軍様が視察を「卒業旅行」にしてしまう。乞食よりたちが悪いですね。乞食は税金をつまみ食いしませんから。 

 情報収集を舐めているとしか思えません。情報収集・その分析は装備開発の基盤、根っこです。
 その根っこなしの組織が装備を開発しているわけです。


 で情報弱者である技本が、より情報を持っているメーカーや商社を「指導」しているわけです。ろくな物がつくれるわけがない。何しろネットの写真をみて想像たくましくして装備を開発したりしているぐらいですから。

技本では実は基礎研究などほとんどやっていません。
 研究も開発も、試作もメーカーから人間や施設を借り上げてやらせているのが実態です。

 こういう体制も今回のUH-X疑惑で問題になっている癒着の一因でしょう。


 そもそも開発と評価をひとつの組織にやらせることに無理があります。

 幕から要求似のある研究よりもやりたい研究、やりやすい研究をやったりします。ところが自衛隊はおおっぴらに批判できない。何しろ自分がいつ技本に行かされるかわからないですから。

 本来研究と、予算分配・成果の評価は別な組織が行うべきです。

 また装備の開発に関しては各幕僚監部、が直接主契約社を指名して行えばいい。技本はその試験と評価だけをやればいい。分離した研究所は基礎研究と、技術実証だけをやればよろしい。

 三菱重工の関係者はF-2のレーダー不具合もウチに任せてくれていたら、もっと早くできていた、と言っておりました。

 
 ぼくは装備調達は防衛省の外局にして、国務大臣の長として装備開発・防衛航空宇宙産業振興を一元的に管理すべきだと思います。また、産業振興は別に首相官邸あるいは内閣府に本部を作るべきだと思います。
 で、分離した技本と研究所はこの外局の下に置くべきです。

 また技術の評価などには外部の識者も招いて外部の目から批判してもらうことも必要でしょう。

 それから、開発は国内だけではなく、安くていいものができるならば外国企業に任せてもいいでしょう。
 ツァイス社は貫通式潜水艦用潜望鏡の国内生産をやめて、南アフリカの企業に生産を委託しております。ぼくはその工場を見学したことがあります。
 なんでもかんでも国内にこだわるような時代じゃないでしょう。

 技本こそが少ない研究開発費を無駄遣いし、また装備の単価をいたずらに上昇させている張本人です。


 今回メディアから取材も来ております。川崎重工の西野光生広報部長が、大人げない対応をしていなければ、各メディアに対してこれだけ懇切丁寧に解説はしなかったでしょうね。また、記事やブログも書かなったでしょう。

 西野光生広報部長ありがとう。

 これだけこの件でモチベーションが維持でき、ブログも頻繁に更新できたのはあなたのしょうもない保身による対応のおかげです。

 今回の疑惑に対して取材以来を同社広報部に出しているのですが、全く返答がありません。取材に応じない、ノーコメントでもいいですから返事はすべきですよね。
  自分たちに不利なことを言う奴には返事もしない。

 どうもこれが川崎重工の体質らしいです。

 ですが、広報の仕事とは提灯記事を書いているくれる記者にリリースをばらまくのが仕事じゃありません。批判する取材者に対応することはより重要な仕事です。

 自社に不利なことは全て捏造だ、インチキだ、誹謗中傷だというのでしょうか。な同社がかつて行なっていた数々の談合などの反社会的犯罪行為も全てメディアのでっち上げだというのでしょうか。

 同社広報部の態度は、広報として失格でなく、社会人としても失格でしょう。仕事で嫌いな奴とは口もきかない、無視するといではまともに仕事なんかできません。人格障害を疑われても仕方ないでしょう。

 三菱重工は今回の件で赤旗の取材にすらもきちんと対応していますよ。

 本紙は三菱重工に対し、出席していた社員の具体名と役職を指摘してただすと、広報担当者は、その社員が在籍していることを認めました。  
 http://news.livedoor.com/article/detail/6947206/

 やはり生き残りのために果敢にリスクをリージョナル・ジェット市場に打って出る企業と、最後の最後まで官需にしがみついて甘いしるを吸い続けたいという企業の差がこういうところで出るようですね。


 川重はこういう体質ですから、自らを顧みずことがなく、過去延々と談合などを繰り返してきたのではないでしょうか。

 前にも書きましたが、防衛装備は税金で対価が支払われています。また戦時ともなればその装備に自衛官も国民も命をあずけることになります。
 先の大震災では「大災害やNBC環境下における偵察に必要」とされた、UAV、長距離偵察システムが一回も飛びませんでした。つまり役に立たなかった。これは由々しき問題です。

 防衛関連企業は納税者に対して責任を負っています。ですから可能な限り情報を開示すべきですし、批判に対しては答えていく義務があります。仮にぼくの主張に誤りや誤解があるならば主張してはいかがでしょうか。

 まあ、そういう気位がない会社です。ですからヘリビジネスで自立する気もなく、ひたすら官需に寄りかかって、寄生しているわけです。近い将来防衛省のヘリ予算はかなり下がるでしょう。つまり防衛省にはニートヘリ産業を養っていく原資すらなくなってしまいます。
 ということは、10年もすれば同社のヘリ産業の存続はかなり怪しくなっているはずです。
 市場はこういう同社をどう評価しているか。それは低迷している株価が示しているといってよいでしょう。

 
 
 

 朝日新聞、WEBRONZA+に以下の記事を寄稿しております。

【UH-X官製談合疑惑と日本のヘリメーカーの病巣(1)】 国営企業的体質?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012090700002.html

【UH-X官製談合疑惑と日本のヘリメーカーの病巣(2)】 問われる調達計画
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012091000008.html?iref=webronza

【国産哨戒機P-1の開発は中止すべきだ(1)】 高すぎるコスト
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012090400012.html

【国産哨戒機P-1の開発は中止すべきだ(2)】 安価なP-3C近代化
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012090500007.html

さて防衛調達問題を知るためにいかがでしょうか。


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この記事へのコメント

K
2012年09月17日 21:03
>何しろ年間の海外視察予算が92万円って年があるくらいです。

すいません、この点について質問です。
技本における研究開発の場合、そのための技術調査などは「査察費」ではなく「試験研究費」のカテゴリーになるのではないでしょうか?
(むしろ査察って調査とどう分けられてるの?というのが気になります)


加えて、そもそも技本に限らず技術調査などの費用を査察費として計上している研究施設(大学、企業、独法などを含む)を私は知らないのですが、そういった例があればとても興味深いので教えて頂けないでしょうか?
蛸杉
2012年09月18日 09:46
何ですか?査察費って?
国税庁査察部にのなさそうな予算ですね・・・。
海外視察予算というのは(海外出張)旅費のことだよ。
K
2012年09月18日 17:05
わあホントだ。すんません。
2012/09/17 21:03のコメですが、査察でなくて視察に置き換えてください。「技術調査などを視察費として計上している研究施設を知らない」という質問は同じです。

追加になりますが、旅費のことについて、防衛省の予算の区分だと試験研究旅費や一般旅費といったカテゴリはありますが、海外出張旅費というのは無いみたいです。これってどこで分かるんでしょう?
http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/i_fd/2007/iz20080325_00013_000.pdf

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