川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その6 XC-2
さて、現在技本(実際は川崎重工)が開発中である、空自の次期輸送機XC-2の開発が難航しております。
既に報道さているようにXC-2は機体の強度不足と、重量超過で開発が遅れております。空自は東芝の偵察システムは能力が不足だ開発遅延だと切り捨てたのにXC-2に対しては能力が不足でも、開発が遅延しても、追加の開発費を本年度に支出しても開発を継続しています。
のみならず、先の大震災の第三次補正予算で2機分の予算を獲得しました。完成もしていない機体に対して、本来被災者や防災のための予算をこのような用途に使うのは、ぼくは犯罪的だと思います。
いまだに多くの被災者が自宅に帰れず定職を得ることも、事業を再建することも、自宅を再建することもかないません。XC-2の調達予算があれば、多くの被災者の支援が可能だったはずです。
防衛省・空自はよくもこういう予算要求を恥ずかしげもなく行ったものです。政治家の先生方、随分と市ヶ谷になめられているのではないでしょうか。
この補正予算で開発も終わっていないXC-2、6機分が発注されたことになります。恐らくこれはXC-2の採用がキャンセルにならないために空自がかけた保険でしょう。
さて、ぼくが知るところ、未だにXC-2は重量超過を解決しておりません。
現状ペイロードを減らすとまずいので、航続距離を縮める、あるいは速度を落とす方向で調整を行なっているようです。
となれば、XC-2の売りだった民間機並の高速というセールスポイントはなくなってしまう可能性があります。
ぶっちゃけた話、元来XC-2は空自のペトリオットを空自の基地や空港間の移動のために開発されました。その他の陸自の装備の輸送なんてのは片手間仕事との認識でした。つまりは戦術輸送機である必要はないわけです。パレット以外のものを運べる「民間輸送機」でよかったわけです。
ですから不整地での離着陸能力は要求されませんでした。
ですが、仮にXC-2を民間転用した場合これは大きなデメリットになります。
この種の軍用輸送機はPKOなどでも使用されます。紛争地の空港が必ずしもきちんと舗装されているわけではありません。ですからアントノフなどの輸送機やらC-130やらが重宝されているわけです。
XC-2はこの点で競合機に不利となります。
ところが先のファンボロー航空ショーで川崎重工に確認した際、XC-2は不整地での離着陸が出来るとのお話でした。ペイロードを減らせば可能であると。確かに極端に搭載貨物を減らせば可能でしょう。 ですが初めから不整地での運用を前提に設計された機体とは能力が大きく異なるでしょう。
仮に空自が要求してないにも関わらず、川重が勝手に不整地運用を前提の設計を行なったのならば、それも問題でしょう。不整地での運用を前提とするならば、着陸脚のみならず、機体にも相応の強度が必要となります。当然機体重量もかさみます。これが軍用輸送機が民間輸送機よりも低速である一因です。
仮に川崎重工がこのような勝手な開発を行なって、結果開発遅延や重量超過がおこったとするならば、顧客の意向を無視したわけで、スキャンダルともいえるでしょう。
XC-2の調達機数は価格の高騰もあり、恐らくは当初の予定から大幅に減らされるでしょう。恐らく財務省は20機程度しかみとめないのではないでしょうか。
となれば一機あたりの運用・維持費も高くなります。XC-2はPKOや島嶼防衛では極めて限定的にしか使えません。このような機体を大金かけて調達するよりもC-17とC130Jなどを組み合わせる方が、よほど安価で高い輸送力が得られるのではないでしょうか。
質問
6-1
XC-2の重量超過はどの程度か。それを隠すのは納税者に対する説明責任の欠如ではないか。
エアバス・ミリタリー社のA400Mも同様のトラブルがあるが、情報公開は遥かに進んでいる。
川崎重工広報部は防衛省の広報方針には拘束されないのであれば、できうる限りの情報公開を
独自にしてはどうか。
6-2
XC-2の重量超過はペイードの調整ではなく、航続距離、速度の低下によって調整するのか。
6-3
先の震災の第三次補正予算でXC-2二機分の調達が決定したが、このような震災のため予算を完成もしていない 輸送機の調達に使うことに関して疑問を感じないか。公共の利益よりも自社の利益を優先していないか。
またXC-2の調達が本当に震災の復興や防災に役立つと考えているのか。
6-4
CX-2は不整地での運用試験を行うのか。
6-5
XC-2を不整地で運用した場合、どの程度のペイロードが見込めるのか。
朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しております。
ファンボロー航空ショーで米国がオスプレイを公開した意図とメディアの問題
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012072000011.html
オスプレイの安全性を客観的に分析し、自衛隊の採用も検討すべきだ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012072100003.html
関連記事
川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その5
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_19.html
川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その4
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_18.html
川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その3 MCH-101
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_17.html
川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その2 UH-X
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_15.html
川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その1
https://bblog.sso.biglobe.ne.jp/ap/tool/newsedit.do
川崎重工広報部の見識
http://kiyotani.at.webry.info/201206/article_2.html
川崎重工、橋梁部門から撤退検討
https://bblog.sso.biglobe.ne.jp/ap/tool/newsedit.do
陸自UH-Xが日本のヘリ産業を潰す
http://kiyotani.at.webry.info/201008/article_21.html
C―2の重量超過問題と空自の隠蔽体質について
http://kiyotani.at.webry.info/201103/article_6.html
【ファンボロー航空ショー3】日本の航空機メーカーは商売をする気があるのか?
http://kiyotani.at.webry.info/201007/article_9.html
既に報道さているようにXC-2は機体の強度不足と、重量超過で開発が遅れております。空自は東芝の偵察システムは能力が不足だ開発遅延だと切り捨てたのにXC-2に対しては能力が不足でも、開発が遅延しても、追加の開発費を本年度に支出しても開発を継続しています。
のみならず、先の大震災の第三次補正予算で2機分の予算を獲得しました。完成もしていない機体に対して、本来被災者や防災のための予算をこのような用途に使うのは、ぼくは犯罪的だと思います。
いまだに多くの被災者が自宅に帰れず定職を得ることも、事業を再建することも、自宅を再建することもかないません。XC-2の調達予算があれば、多くの被災者の支援が可能だったはずです。
防衛省・空自はよくもこういう予算要求を恥ずかしげもなく行ったものです。政治家の先生方、随分と市ヶ谷になめられているのではないでしょうか。
この補正予算で開発も終わっていないXC-2、6機分が発注されたことになります。恐らくこれはXC-2の採用がキャンセルにならないために空自がかけた保険でしょう。
さて、ぼくが知るところ、未だにXC-2は重量超過を解決しておりません。
現状ペイロードを減らすとまずいので、航続距離を縮める、あるいは速度を落とす方向で調整を行なっているようです。
となれば、XC-2の売りだった民間機並の高速というセールスポイントはなくなってしまう可能性があります。
ぶっちゃけた話、元来XC-2は空自のペトリオットを空自の基地や空港間の移動のために開発されました。その他の陸自の装備の輸送なんてのは片手間仕事との認識でした。つまりは戦術輸送機である必要はないわけです。パレット以外のものを運べる「民間輸送機」でよかったわけです。
ですから不整地での離着陸能力は要求されませんでした。
ですが、仮にXC-2を民間転用した場合これは大きなデメリットになります。
この種の軍用輸送機はPKOなどでも使用されます。紛争地の空港が必ずしもきちんと舗装されているわけではありません。ですからアントノフなどの輸送機やらC-130やらが重宝されているわけです。
XC-2はこの点で競合機に不利となります。
ところが先のファンボロー航空ショーで川崎重工に確認した際、XC-2は不整地での離着陸が出来るとのお話でした。ペイロードを減らせば可能であると。確かに極端に搭載貨物を減らせば可能でしょう。 ですが初めから不整地での運用を前提に設計された機体とは能力が大きく異なるでしょう。
仮に空自が要求してないにも関わらず、川重が勝手に不整地運用を前提の設計を行なったのならば、それも問題でしょう。不整地での運用を前提とするならば、着陸脚のみならず、機体にも相応の強度が必要となります。当然機体重量もかさみます。これが軍用輸送機が民間輸送機よりも低速である一因です。
仮に川崎重工がこのような勝手な開発を行なって、結果開発遅延や重量超過がおこったとするならば、顧客の意向を無視したわけで、スキャンダルともいえるでしょう。
XC-2の調達機数は価格の高騰もあり、恐らくは当初の予定から大幅に減らされるでしょう。恐らく財務省は20機程度しかみとめないのではないでしょうか。
となれば一機あたりの運用・維持費も高くなります。XC-2はPKOや島嶼防衛では極めて限定的にしか使えません。このような機体を大金かけて調達するよりもC-17とC130Jなどを組み合わせる方が、よほど安価で高い輸送力が得られるのではないでしょうか。
質問
6-1
XC-2の重量超過はどの程度か。それを隠すのは納税者に対する説明責任の欠如ではないか。
エアバス・ミリタリー社のA400Mも同様のトラブルがあるが、情報公開は遥かに進んでいる。
川崎重工広報部は防衛省の広報方針には拘束されないのであれば、できうる限りの情報公開を
独自にしてはどうか。
6-2
XC-2の重量超過はペイードの調整ではなく、航続距離、速度の低下によって調整するのか。
6-3
先の震災の第三次補正予算でXC-2二機分の調達が決定したが、このような震災のため予算を完成もしていない 輸送機の調達に使うことに関して疑問を感じないか。公共の利益よりも自社の利益を優先していないか。
またXC-2の調達が本当に震災の復興や防災に役立つと考えているのか。
6-4
CX-2は不整地での運用試験を行うのか。
6-5
XC-2を不整地で運用した場合、どの程度のペイロードが見込めるのか。
朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しております。
ファンボロー航空ショーで米国がオスプレイを公開した意図とメディアの問題
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012072000011.html
オスプレイの安全性を客観的に分析し、自衛隊の採用も検討すべきだ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2012072100003.html
関連記事
川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その5
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_19.html
川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その4
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_18.html
川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その3 MCH-101
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_17.html
川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その2 UH-X
http://kiyotani.at.webry.info/201207/article_15.html
川崎重工 企画本部 西野光生広報部長、長谷川聰取締役社長に対する公開質問状その1
https://bblog.sso.biglobe.ne.jp/ap/tool/newsedit.do
川崎重工広報部の見識
http://kiyotani.at.webry.info/201206/article_2.html
川崎重工、橋梁部門から撤退検討
https://bblog.sso.biglobe.ne.jp/ap/tool/newsedit.do
陸自UH-Xが日本のヘリ産業を潰す
http://kiyotani.at.webry.info/201008/article_21.html
C―2の重量超過問題と空自の隠蔽体質について
http://kiyotani.at.webry.info/201103/article_6.html
【ファンボロー航空ショー3】日本の航空機メーカーは商売をする気があるのか?
http://kiyotani.at.webry.info/201007/article_9.html
この記事へのコメント
降投下試験、順調に進む
量産機、26年度末に美保基地に配備予定
http://www.asagumo-news.com/news/201207/120726/12072603.html
二の矢三の矢を放って、キヨタニ先生が真実を白日に晒す日を心待ちにしております。
一国民として期待しています。頑張って下さい。