FX調達の問題点
ユーロファイターが日本の空を飛ぶ日
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110710/plc11071016010010-n1.htm
産経としては珍しい記事ですね。
いやぁ、清谷信一が書いた記事なんじゃないかと思ってしまいました。
パリの航空ショーでは候補3機種の記者会見に出ましたが、特に新しいことは出てきませんでした。ただF-35の記者会見では、価格のことを質問されるとダンマリを決め込んでいたことは印象的でした。
やはりF-35に関して調達コストはかなり不透明なようです。更には同様にどの程度の維持費がかかるのかも問題となるでしょう。
前から申し上げているようにFXは単なる次期戦闘機の選定ではありません。
戦前からこれまで営々と続けてきた戦闘機開発生産基盤を維持するのか否かを決することあります。またそれは防衛航空産業全体に対する政策の見直しが必要になるでしょう。
ぼくは戦闘機生産を諦めるというのはありだと思います。
輸入に切り替えてその分の予算でより多くの戦闘機を調達する、あるいは空中給油機や電子戦機などを充実させる、国産の搭載兵器の開発に傾注する、基地の抗甚性を強化するなど色々とオプションはあります。また戦闘機本体はやめてもアビオやシステム統合だけは続けるなど様々な選択があります。
無論戦闘機の生産をやめることでのデメリットもあります。ですから、メリット/デメリットを勘案して決めるべきです。
また航空産業全体の問題と考えれば所詮輸出の出来ない防衛需要の開発予算を削って民間機のセクターに開発費を振り向けることも視野にいれるべきです。
問題なのは戦闘機開発生産基盤を維持しない場合、関連企業の事業転換のためのリードタイムが無いわけです。ある日突然解雇を言い渡されて事務所を追い出され、あとで私物を詰めた段ボールが自宅に送られてくるようなもんです。
こういう扱いをされた企業は防衛省を信用するでしょうか。
戦闘機関連だけではなく、多くの防衛関連企業は明日は我が身と思うでしょう。このような信用毀損は企業の防衛産業からの撤退を促すことになります。
どうも官の人達は信用が如何に大切かということを理解していないようです。仕事を振れば業者はすぐに尻尾を振ってくると思っているようですが、大きな間違いです。
官の仕事はあれこれ面倒くさいのですが、利点はとりっぱぐれがないことと、安定した仕事が確保できることです。それがなくなるわけですから、FXがきっかけになって防衛産業から撤退する企業が急増する可能性があります。空幕の決定は単に空自だけではなく陸海自衛隊および、防衛省に多大な影響を与えます。
空幕の首脳にはそのような想像力と思慮が欠けているように思えます。
本来戦闘機開発生産基盤を維持するかしないかは、FX選定前に決めておくべきことでした。何しろ本命はF-22でしたから尚更です。
現在FXの調達は40機ほどとされていますが、これでは仮に次期戦闘機アッセンブリー生産になっても仕事があるのはプライムと一時下請け程度で、殆どの関連企業には仕事が回ってきません。多くの関連企業が仕事失い=技術喪失し、調達コストだけは跳ね上がります。
だったらハイペースで輸入する方が調達コストは遙かに安く上がります。戦闘機開発生産基盤を維持するのであればそれに相応しい相応のより多くの機数を調達する必要があったはずです。
武器輸出三原則の緩和は必要でした。機数が少なくとも、一定部品を我が国で生産することができれば、関連企業にも継続して仕事が回ってきます。もっともMD同様に特例扱いにすれば戦闘機コンポーネントの輸出も可能でしょうが。
FX選定ではこのような広い視野での長期的展望に立った意思決定がなされていないように思えます。
FXを輸入あるいは単なるアッセンブリー生産することは防衛産業全体対する防衛省の信頼の失墜を招きます。産業界の了解は得られないでしょう。
現在要求されている機体数で調達を行うのであれば、アッセンブリー生産に加えて「特例」で戦闘機の一部コンポーネント製造を分担し、それを輸出する道を探るべきです。その場合ブラックボックスの少ないユーロファイターが有利であることは論を待たないでしょう。
アメリカ様がお怒りになるというから、米国製戦闘機しか選択しないというのは愚かです。その理屈ならば英独西伊がユーロファイターを導入したのですから、アメリカ様がお怒りになってNATOは空中分解していたはずです。
産業基盤も、調達&運用コストがどのくらいかかるか、そんなことは一切関係なく、米空軍と同じ玩具が欲しいと、駄々をこねるのでは軍オタが贔屓の戦闘機を語るのと同じレベルです。
海自は頑強に調達コストも運用コストも高いことを承知でPXの開発調達を進めました。結果、予算が足りずに、P-3Cの寿命が足りないとからPXを導入するといっていたにもかからず、P-3Cの延命を決めました。今後PXの調達ペースは低レートで続くでしょうから尚更一機あたりの調達&維持コストは高くなるでしょう。
装備調達は手段であって目的ではありません。自衛隊各幕僚監部は手段を目的化していないでしょうか。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110710/plc11071016010010-n1.htm
産経としては珍しい記事ですね。
いやぁ、清谷信一が書いた記事なんじゃないかと思ってしまいました。
パリの航空ショーでは候補3機種の記者会見に出ましたが、特に新しいことは出てきませんでした。ただF-35の記者会見では、価格のことを質問されるとダンマリを決め込んでいたことは印象的でした。
やはりF-35に関して調達コストはかなり不透明なようです。更には同様にどの程度の維持費がかかるのかも問題となるでしょう。
前から申し上げているようにFXは単なる次期戦闘機の選定ではありません。
戦前からこれまで営々と続けてきた戦闘機開発生産基盤を維持するのか否かを決することあります。またそれは防衛航空産業全体に対する政策の見直しが必要になるでしょう。
ぼくは戦闘機生産を諦めるというのはありだと思います。
輸入に切り替えてその分の予算でより多くの戦闘機を調達する、あるいは空中給油機や電子戦機などを充実させる、国産の搭載兵器の開発に傾注する、基地の抗甚性を強化するなど色々とオプションはあります。また戦闘機本体はやめてもアビオやシステム統合だけは続けるなど様々な選択があります。
無論戦闘機の生産をやめることでのデメリットもあります。ですから、メリット/デメリットを勘案して決めるべきです。
また航空産業全体の問題と考えれば所詮輸出の出来ない防衛需要の開発予算を削って民間機のセクターに開発費を振り向けることも視野にいれるべきです。
問題なのは戦闘機開発生産基盤を維持しない場合、関連企業の事業転換のためのリードタイムが無いわけです。ある日突然解雇を言い渡されて事務所を追い出され、あとで私物を詰めた段ボールが自宅に送られてくるようなもんです。
こういう扱いをされた企業は防衛省を信用するでしょうか。
戦闘機関連だけではなく、多くの防衛関連企業は明日は我が身と思うでしょう。このような信用毀損は企業の防衛産業からの撤退を促すことになります。
どうも官の人達は信用が如何に大切かということを理解していないようです。仕事を振れば業者はすぐに尻尾を振ってくると思っているようですが、大きな間違いです。
官の仕事はあれこれ面倒くさいのですが、利点はとりっぱぐれがないことと、安定した仕事が確保できることです。それがなくなるわけですから、FXがきっかけになって防衛産業から撤退する企業が急増する可能性があります。空幕の決定は単に空自だけではなく陸海自衛隊および、防衛省に多大な影響を与えます。
空幕の首脳にはそのような想像力と思慮が欠けているように思えます。
本来戦闘機開発生産基盤を維持するかしないかは、FX選定前に決めておくべきことでした。何しろ本命はF-22でしたから尚更です。
現在FXの調達は40機ほどとされていますが、これでは仮に次期戦闘機アッセンブリー生産になっても仕事があるのはプライムと一時下請け程度で、殆どの関連企業には仕事が回ってきません。多くの関連企業が仕事失い=技術喪失し、調達コストだけは跳ね上がります。
だったらハイペースで輸入する方が調達コストは遙かに安く上がります。戦闘機開発生産基盤を維持するのであればそれに相応しい相応のより多くの機数を調達する必要があったはずです。
武器輸出三原則の緩和は必要でした。機数が少なくとも、一定部品を我が国で生産することができれば、関連企業にも継続して仕事が回ってきます。もっともMD同様に特例扱いにすれば戦闘機コンポーネントの輸出も可能でしょうが。
FX選定ではこのような広い視野での長期的展望に立った意思決定がなされていないように思えます。
FXを輸入あるいは単なるアッセンブリー生産することは防衛産業全体対する防衛省の信頼の失墜を招きます。産業界の了解は得られないでしょう。
現在要求されている機体数で調達を行うのであれば、アッセンブリー生産に加えて「特例」で戦闘機の一部コンポーネント製造を分担し、それを輸出する道を探るべきです。その場合ブラックボックスの少ないユーロファイターが有利であることは論を待たないでしょう。
アメリカ様がお怒りになるというから、米国製戦闘機しか選択しないというのは愚かです。その理屈ならば英独西伊がユーロファイターを導入したのですから、アメリカ様がお怒りになってNATOは空中分解していたはずです。
産業基盤も、調達&運用コストがどのくらいかかるか、そんなことは一切関係なく、米空軍と同じ玩具が欲しいと、駄々をこねるのでは軍オタが贔屓の戦闘機を語るのと同じレベルです。
海自は頑強に調達コストも運用コストも高いことを承知でPXの開発調達を進めました。結果、予算が足りずに、P-3Cの寿命が足りないとからPXを導入するといっていたにもかからず、P-3Cの延命を決めました。今後PXの調達ペースは低レートで続くでしょうから尚更一機あたりの調達&維持コストは高くなるでしょう。
装備調達は手段であって目的ではありません。自衛隊各幕僚監部は手段を目的化していないでしょうか。
この記事へのコメント
トランシェ1は2020年に退役予定だそうです。
これは日本の戦闘機選定に影響しそうですね。
確かあの発表では過去の投資では問題だったが改善されているって趣旨だったと理解してます。それに開発に金を掛けすぎたからと言って、それを全部わが国の調達価格に乗せて来るとは考えられません。
ならA400MやF-35の調達単価は何故高騰したんでしょう?
答
開発費用が嵩んだので調達単価に直撃した。
国産品に換装したら性能が上がるでしょうね。
個人的には外見好きじゃないのでユーロファイター導入は反対です。
欧州とかでの調達数減少で開発費が単価に直撃するので価格が高騰するでしょうしね。
ブラックボックスなしはネットでわいわい言われてるほど長所じゃないですし、それを以てコンポーネント輸出が開けるというのも違うでしょう
私の「恣意的」とした意見へは同意するわけですよね?
あなた軍事研究読みました?改善されてるのは、イギリスが調達機数を削減したからですよ。
F35にしたって開発コストの増加で、参加国が騒いでるじゃないですか?
全く同意する気はありません。私は恣意的でも意図的とも思いません。
価格に見合った価値ではないとの発表があり、その為FX採用に際して何等かの影響が出る可能性は否定できないからです。
ですのでトメ吉氏のコメント内容は概ね妥当だと思います。
翻って?氏のコメント内容はFXにユーロファイターを推す意図を感じます。なので私はトメ吉氏より?氏に発表内容のFX選定への影響力を意図的に否定する思惑を感じずにはいられません。?氏にお聞きしたいのですが、私の「意図的」とした意見に賛同されますか?
普通に考えて、自主開発すら許されないのに、単なる輸入の場合、アメリカを差し置くような選択肢があるとは、ちょっと考えられないですね。
F-22なら即決だったんでしょうけど、無理だと日本が理解するまでに、時間を浪費してしまいました。
後は、F-35か18かですけど、35じゃないでしょうか。
日本の都合が通るとして、枝葉的な部分だと思います。