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zoom RSS 空自広報室が公表しないUH-Xの初度費に関する疑問

<<   作成日時 : 2010/12/25 10:08   >>

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 空幕広報室は公開していませんが、来年度の概算要求で次期救難ヘリUH-Xの初度費を270億円要求しています。
 
 ぼくは別ルートでこの数字を捜しました。

 不思議なことに概算要求が8月末にでています。で、機種決定は11月5日に発表されています。

 さて、この初度費が問題です。
 もし、初度費が空自のいう今後20年間の機体調達および、燃料費を含めたLCC(ライフ・サイクル・コスト)に含まれるのでしょうか。もしそうならば、実質1630億円の中から、機体調達および、燃料費、機体、エンジンのオーバーホール、定期検査などの費用を出すことになります。

 現用のUH-60Jの調達単価は平均するとだいたい45億円です(この中には諸費も含まれています)。
 UH-Xの調達コストが同じならば、機体調達コストだけで1800億円になります。 
 すると維持・運用費は僅か100億円になります。

 常識的に考えれば機体の調達コストは半額程度になるはずです。

 さて、現用機と比較してみましょう。そのためには初度費が再来年以降に分割されていならという前提で計算してみましょう。
 まず機体の費用が半分とすると、一機あたり23.75億円になります。これは現用機の半分程度の大幅値下げです。同じブラックホークでそのようなことが可能のでしょうか。そこから初度費分を差し引くと16.5億円です。

  へーッ、というお値段です。
  
 因みに現用機は当初20億円だったお値段が、その後30億円台、40億円台、50億円台になりましたけど。

 
 もし初度費がLCCに含まれていなけば、これは問題です。通常LCCには初度費は含まれるものですから。



 何故に空自広報室は初度費の存在を明らかにしないのでしょうか。

 既存機からさほど大きな改良はないはずなんですけど、このような巨額の初度費が何故必要なのでしょうか。 
 初度費が明らかにならなければ、装備の実際の単価は推測できません。この初度費は機種選定以前に出されたものかも知れません。ですから、政府予算では金額が変わる可能性があります。
 ですが、空幕広報室が発表しないので納税者にはわかりません。
 
 少なくとも、機体の調達費は変わるはずです。これは明らかに機種選定以前の数字ですから。




 防衛省HPの概算要求だけみていれば納税者は次期救難ヘリの値段を「安い」と勘違いするでしょう。

 もしかして、そのような勘違いを期待しているのでしょうか。

 もしそうならば、それを俗に「情報操作」と称します。


空自官製談合、外薗航空幕僚長辞任のは納税者を謀る猿芝居
http://kiyotani.at.webry.info/201012/article_10.html

空自地方調達の問題点
http://kiyotani.at.webry.info/201012/article_11.html



WEBEONZに以下の記事を寄稿しております。
条例改正案から小説・映画を対象外とする東京都知事の見識
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2010121300036.html

武器禁輸緩和(4)「オフセット」をなぜ導入できないのか http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2010122000005.html?iref=webronza

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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
キヨタニ様
情報有難うございました。290億円とは、にわかには信じがたいお話です。H22LCC年次管理報告書では、同クラスのSH-60Kの初度費が75億円、MCH-101でも191億円となっています。また、財務省主計官からの資料では、C-2の初度費が283億円となっていますが、これとほぼ同じ額とは。確かに、この両方の資料にUH-Xの記述が無い点は、資料そのものの意義から気になる点ではありますが。UH-60JAも生産中なのに、いったい何が起こっているのでしょうか?続報が入り次第、お知らせ頂ければ幸いです。
関心
2010/12/25 13:09

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