空自調達の問題点

 さて、空自で外園現空幕長がわざわざ任期を伸ばして「辞任」するという茶番で官製談合事件の幕を降ろしました。

 空自では地方調達の方がむしろ問題がありです。基地周辺の天下り企業が利権を貪っております。

 更に問題なのが、機体など装備品のスペアパーツなどです。陸自は装備のパーツ類の調達は中央に集約していますが、海空では集約化が遅れています。
 で、各基地では足らなくなると困るので、大目に発注したりするわけです。相互に融通する知恵も仕組もありません。
 しかも台帳は紙で、使用も保管方法もバラバラ。空幕はどこの基地がどのくらいのパーツを抱いているのかわかりません。例えばA基地で山ほど余っている、B基地はそれが枯渇している。
 そのような場合、B基地では新たにそのパーツを発注します。ですから、必要以上のパーツを買っていることになります。無論中央はそれを把握していない。

 特定のパーツが余りすぎると査察があったりしたときに問題になるので、使えるパーツをこっそり捨てたりしているそうです。過剰に発注され、廃棄されたパーツは国有財産であり、我々の血税で購入されたものです。そのような無法がまかり通っている。

 ハッキリ言ってこれは犯罪です。

 これが某空軍傭兵マンガならわかります。パイロットがそれぞれバラバラな機体を使っていますから。ですが自衛隊ではA基地ではF-15Jを使い、B基地ではハリアーやホーネットを使ったりしているわけじゃありません。戦争マンガの読み過ぎじゃないですか。

 オンラインシステムを導入し、十条の航空自衛隊補給本部 一元管理すべきです。不足あれば中央で各基地の在庫を見ながらやりくりすれば、維持費の低減が可能なります。また事務コストも大幅に低減できます。
 
 無論地方調達にもいい点があります。例えば部隊が必要となる装備を迅速に独自に調達したりできます。これを幕を通しておれば、時間ばかりかかるし、あれこれ小姑が多くて話が進みません。またコピー機のトナーや紙など事務用品などに使う予備予算も必要です。例えば海外派遣などでは、現場が欲しい装備を迅速に導入する必要があります。

 一定金額までの調達や予算の割り振りは部隊長の権限で行うべきです。ただし、業者との癒着は厳しく監視するため監査を強化する必要があります。


 本来このような問題点は、納税者に議論の土台となる情報を与えるべく積極的に公表すべきです。そうであれば、件の官製談合も防げたかもしれません。
 ところが空幕広報室は隠すこと、知らせないことを任務と心得ているようです。


WEBEONZに以下の記事を寄稿しております。
条例改正案から小説・映画を対象外とする東京都知事の見識
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2010121300036.html

武器禁輸緩和(4)「オフセット」をなぜ導入できないのか http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2010122000005.html?iref=webronza

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この記事へのコメント

名無し
2010年12月24日 15:10
清谷氏、他国軍はどのような調達体制なのでしょうか?例えばイギリスを始めとするNATO先進諸国、又は南アフリカや韓国などの二流三流諸国、ロシアなどの旧ワルシャワ条約機構加盟国の事です。よろしくお願いします。
2010年12月24日 15:52
いささか抽象的ですね。
とある業者
2010年12月24日 20:59
この文面で語られる地方調達とは、
基地の調達のことでしょうか?
補給処による調達でしょうか?
補給処による調達であればある程度は一括管理してるようにおもわれますが。
カッコ
2010年12月24日 21:07
う~む。「調達」と言っても結構細かいんですね。ちょうど、警察の装備品調達に於ける中央(警察庁)で行う国費調達分と、各都道府県単位の予算で賄うというのと同じようなものでしょうか。 それはともかく、「予算が足りない。部品が足りない」と言いながら、また一方では必要性の薄い部品を大量に抱え込む。おまけに中央(空幕)は一切、把握していないと。いったい、何十年前の話だと思ってしまいましたが、現在進行形の話なんですね。百億円単位の戦闘機の調達には必死でも、遥かに安上がりに行えそうなオンライン化には、まるで興味がないんですね。
ゆう
2010年12月24日 23:57
調達も陸自とかは部品の調達も部隊統制、補給処統制あたりは地方調達と言えそうですね。
業務隊のやっていることかな?
ちなみに陸自はオンラインでやっているそうです
空自はまだなのかな?機会があったら聞いて見ます
ほんで海自は
2010年12月25日 07:07
キヨタニさん長島さんを盾に国会で問題点を発言してください。
AK
2010年12月26日 17:02
3幕で、部品需給統制は空自が最も進んでいます。とくに航空機部品を担当する第二補給処は優秀です。紙の台帳で、数十万?品目の部品を管理できるとでも?
ZZR400
2010年12月27日 18:47
基地調達は主要装備品の修理部品までを行うものではありません。各航空基地のWebサイトで調達入札の公示を見れば明らかです。
基地単位では基地後方業務に関わる物品しか買ってないはずです。
木更津や入間や岐阜の空自補給処を取材されては如何でしょうか。入間基地のサイトでも補給職の人の紹介で電子化機械化された空自の補給システムの一端を見ることが出来ます。
名無し
2010年12月27日 23:27
行政上の「中央調達」と「地方調達」の区別が全くついていない記事ですね

補給処の調達も基地の補給部署で行う調達も
ともに「地方調達」ですよ
解っていますか?
2010年12月28日 10:40
ご指摘の通り、地方調達と中央調達に関しての理解の不足がありましたので、本文を訂正します。
それから搭載装備などでは各基地単位で調達する例があります。例えば海外派遣などで一部の装備を部隊単ごとに行う場合があります。



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