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zoom RSS 防衛省 商社のマージン適正化と競争入札のインチキ

<<   作成日時 : 2010/11/26 10:25   >>

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「防衛利権」秋山被告、二審も有罪 東京高裁判決
http://www.asahi.com/national/update/1122/TKY201011220139.html

 山田洋行の事件以来、商社のマージンが高すぎるとの批判が起こり、商社の手数料が制限されるようになりました。
 ところがこれがインチキなんですな。これが。 
 この制限で商社の手数料は金額によって数パーセントから0.数パーセント。リスクを負った商売で、とてもこれでは商売になりません。まるで社会主義です。

  商社の仕事は単なる輸入代行ではありません。

 何度も打ち合わせのために行き来をしたりしますし。扱っている商品がかならず採用されるとも限りません。しかもKC767みたいに、納期が遅れれば多額のペナルティを支払わされます。
 
 実際には商社はこの手数料とは別にバックマージンを取っています。
 これも色々あって、いいマージンと悪いマージンがあります。本質的には変わらないのですが、申告の仕方が悪いと、これまたペナルティを取られます。

 そんなわけで、かえって取引が不透明化、複雑化しています。

 総合商社などは防衛部門の縮小に動いていることこがでています。防衛省も国内メーカーも情報は商社頼みです。メーカーの海外視察は大抵商社のアテンドです。またサブコンポーネントの供給も商社に頼っています。
 そんなかで、商社が手を引き出せば情報は止まるし、サブコンポーネントの供給も滞るようになります。
  
 
 また随時契約が「悪」とされたので、殆どの契約が競争入札ですが、これまた茶番です。
 なんと10式戦車の調達も競争入札です。
 三菱重工以外に誰が応札するんでしょうか。まさかタミヤが手を挙げるとでも思っているのでしょうか。こういう不必要な儀式化した競争入札は、これまた事務コストが余計にかかります。

 しかも入札と称していて、入札の前に契約課や原価計算課が値段を下げろと圧力をかけて来たりします。本来入札は参加企業が適正と思われる値段で応札をし、安いところが採用されるシステムです。
 それを事前にこのレベルまで下げろと圧力をかけるのは入札ではありません。

 これを競争入札というのは羊頭狗肉です。

 防衛省は装備調達のリサーチャーを米国において、欧州にも出張させて価格調査をしていますが、どれだけ効果あるでしょうか。担当者は防衛省では2年ごとの異動になるので情報と人脈の蓄積ができません。
 オレは顧客だと威張って他の顧客にいくらで売ったとか、教えろと凄んでも。普通教えてくれません。守秘義務もあるし、価格はマーケティングのコアだし、商売のもっともセンシティブな部分です。
  結局、守屋・山田洋行のスキャンダルで改革のポーズが必要だったわけです。実態は変わっていない。むしろ悪くなっています。

 そのそも値段の適正化には防衛省側が真面目に金をかけて広範囲に情報収集をする必要があります。
 また、やたらと長い意思決定のプロセスを改善したり、知識も経験もないのに思いつきであれこれ仕様を替えろと要求するのをやめることが経費削減の近道です。
 
 改革したフリは官僚の処世術に過ぎず、状況を悪くするだけです。




WEBRONZに以下の記事を寄稿しております。 
「暴力装置」がおびやかす文民統制
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2010112200028.html

自衛隊に新しい「玩具」を買う余裕はない
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2010112200032.html

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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
マスコミや評論家嫌いな私にはそれらに責任を押し付けてしまいたくなります
あれだけ随意契約を叩けば名ばかり競争入札に逃げたくなりますよ
国内の生産基盤の維持と輸入の促進、開発の重要性と海外装備の安易な導入を同じ口で言っている。
工学の素養も無いのに機械としての兵器に口を出して自分の論が間違っていないか検証もしない。
こんな『知識人』が市井に溢れています。
是非、先生にはこういった似非アナリストたちを根絶する端緒となっていただきたいです。
これからも頑張ってください
ゆう
2010/11/26 11:17
>ゆう さん
私も同感です。
最近、思い付きで生きている人間が多すぎます。
まともな知識も無い輩が専門家に向かって鼻高々に珍説をまくしたてる場面をよく見ます。
リベラル系のマスコミだけでなく、保守論壇も状況は同じ。
自分が不勉強なことを棚に上げてパフォーマンスをするだけの元グラドル政治家もいますね。
政治家からマスコミ、市井の評論家まで、思い付きで意見を二転三転させる愚か者が本当に多い。
私は先生のように、座右の銘を持ち自分のなかに一本の芯を通すことが大事だと思います。
防衛省の中の人も、部外者に近い知識レベルの人間が無理な仕様要求を押し付けてくることに不快な思いをしている人も多いでしょうね。
組織の中でも外でも、変な人が一人いれば全てが悪くなります。
私は先生がそのような現状にズバッとメスを入れて下さることに期待しています。
どうかこれからもバシバシ頑張って下さい!
軍曹
2010/11/27 13:51
以前、何の雑誌だったかは忘れましたけれども、競争入札である製品を受注した企業が作り方が分からず、以前よりその製品を手懸けていたメーカーに助けを求めた、なんて話を聞いた覚えがあります。同じ工業製品でも、こと兵器やその関連品には独特のノウハウが必要とされますしね。例えばキヨタニ先生も指摘されている戦車。それは確かに戦時中は日立や川崎も戦車を生産していたようですが、一番、仕上がりが良かったのは、やはり三菱だったとか。で、最初の話に戻りますが、一時期吹き荒れた「随意契約許すまじ」みたいな論調も、結局、余計な混乱やコスト増加を招いただけで、根本的な解決にはなっていませんよね。こと我が国においては「軍事(防衛)問題(だけとは限りませんが)」の話題になると、途端に感情論に突っ走る人が多いように思えるのですが。私の思い違いでしょうか?
カッコ
2010/11/28 07:46
>カッコさん
そうですよね。
軍事的整合性よりも読者受けする論調を優先したり、あろうことか自分のプライド(笑)を優先して、記事を書く者もいるように思われます。
自分が勝手に誤解しておいてその点を指摘されても「担当者が言っていたから間違いない」で通して、いよいよ間違いが隠し切れなくなると「説明が不適切、担当者は広報スキルを磨くべき」と言い出したりとか反省の色の欠片もありません。
前のコメに続き嫌アナリスト的で申し訳ありませんが、まぁ、そういった方々の中でもキヨタニ先生は稀有な存在です。
ゆう
2010/11/28 09:11
>ゆう さん
事実関係の誤認どころか、明らかに不勉強な輩が取材したと思われる記事が本当に多いですよね。
単純な軍事用語の発音間違いくらいは失笑で済みますけど。
上の方でカッコさんも書かれていますが、自分の好き嫌いで防衛を語る人間が多いことには飽きれてしまいます。
「陸上自衛隊のコスト削減を」と言った舌の根も乾かぬうちに「島嶼防衛のために陸上自衛隊増強を!」と語るような人間もいますし。
防衛省が嫌い、TRDIが嫌い、自衛隊が嫌い、国産が嫌い、欧州製が嫌いetc...と、物事の一面しか見ていない近視眼的な人間は、なんでも批判したい中学生やリベラル系議員と同じ。
そのような輩が防衛に関わって行う全ての行動や言動が今の日本にとって有害。
清谷先生のようにきちんと勉強されて広い知見と優れた洞察力があり物事をマクロ的に見られる人間関係が増えれば良いですね。
軍曹
2010/11/28 12:58
人間関係→人間
ですね。失礼しました。
軍曹
2010/11/28 13:00
>ゆうさん、軍曹さん、有難うございます。ま、幸い、我が国の専門家の方はキヨタニ先生や岡○いさく先生みたいに、ご自分の足で情報を取ってこられる方が殆んどですから、あまり心配はないでしょうね。むしろ、ろくに知識も持ち合わせない人(例えば、ワイドショーのコメンテーターなど)が聞きかじりのネタをさも得意げに披露する方が有害でしょう。ところで、防衛省に限ったことではないと思いますが、相変わらず我が国のお役所って、情報にカネをかけないんですかね?我々、一般人ですら、あらゆる情報を手に入れられる時代だというのに、何とも不思議であります。
カッコ
2010/11/28 13:31
私達は趣味で労力気にせず情報を集めますが
職業人(たとえ情報産業従事者であっても)は金の匂いがするか、自分が興味のあることしか自分で調べようとしないものがほとんどでしょう。
足を使う、といっても聞く耳と頭がなければ豚に真珠ですし、初めから結論ありきの人間に何を言っても無駄です。
自分の考えと違っていて目から鱗を落とせるのは結構貴重な人間だということです。
ちなみに私とかは目に鱗がはまるタイプ
ゆう
2010/11/28 14:15
あんまりキヨタニさんを持ち上げるのも、褒め殺しみたいでどうかなと。

でも、随意契約が腐敗を招いていたのは、事実ではあります。
まともに競争入札されるのがベストなんでしょうけど、何故か上手く行ってないようですね。
間に挟まってる商社や、天下り貰ってる企業が悪いんでしょうか。
歩兵
2010/11/30 21:40
先日、防衛省共済の業務代行を行っているイーウェルから業務を受託しているメディヴァの特定保健指導(メタボ検診)に行ってきました。
ひどいものでした。たった5分で指導(?)が終わり無理やり封筒を渡されて毎日体重はかって食べたもの書いて送れって。横柄な対応。
これでまじめに働いてる自衛隊員の共済保険から推定2万3千円ふんだくるって言うんだから
このイーウェルとメディヴァには防衛省共済からの天下りが潜伏しているに違いない!本当に厳正な入札によって落札されたのか疑わしい。
こんな企業に群がる天下り族を告発してやる!
              怒れるかばより
かばさん
2010/12/04 21:57
以前自衛隊の「強制加入」保険のことを暴露したことがあります。この手の隊員の膏血を絞る商売は知られていないだけで、まだ多数温存されています。

ぼくも調べてみますが、告発なさるのでしたら、ある程度の事実関係や数字を調べて、新聞やTVなどの社会部(防衛省担当者は役に立ちません)、雑誌などの送るのも手です。特に赤旗や週刊金曜日にもおくった方がいいでしょう。
キヨタニ
2010/12/06 10:36
キヨタニさま
コメントをいただきありがとうございます。
この場で詳細を書き込むことができず残念です。防衛省共済と天下り先のイーウェル、同系列(東急系列)のメディヴァは、まるで会社の支店と本店みたいです。イーウェルが委託業者になる前はベネフィットワンがやってました。
どうして今年からイーウェルになったのですか?と尋ねると厳正なる入札により決まりましたとの事。信じられません。
かばさん
2010/12/09 00:51
この手の話はいくつか知っておりまして、その内まとめてなにか発表しようかと思っています。もっと詳しい話が可能ならメールを頂ければ幸いです。
キヨタニ
2010/12/16 11:00

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