武器禁輸緩和、、またしても「閣内不一致」
武器輸出3原則 基本変えない”
http://www.nhk.or.jp/news/html/20101012/t10014542171000.html
北沢防衛大臣は武器禁輸緩和の方向性を打ち出したのですが、菅総理大臣は緩和を認めないとの発言を行いました。つまり武器禁輸に関しては鳩山内閣につづいて、今回も閣内不一致です。
なんで、事前に擦り合わせをしておかないんでしょうかね。もう与党になって1年以上ですよ。
それからこの問題を報道するメディアの報道にも疑問があります。
我が国では新聞やテレビなどのマスメディア、政治家でも誤解していることが多いのですが、「武器輸出三原則」は武器、即ち兵器の輸出を禁じていません。「武器輸出三原則」とは、次の三つの場合には武器輸出を認めないという政策をいいます。
(1)共産圏諸国向けの場合
(2)国連決議により武器等の輸出が禁止されている国向けの場合
(3)国際紛争の当事国又はそのおそれのある国向けの場合
これは佐藤栄作総理大臣が一九六七年四月二十一日の衆議院決算委員会で答弁したものです。つまりこれに該当しない国々には原則輸出が可能なわけです。
現在米国とMD(ミサイル防衛)関連の共同開発をしていますが、米国は「紛争当事国」ですから、本来は(3)に引っかかるわけです。
さて、一九七六年二月二十七日、三木総理大臣(当時)が衆議院予算委員会における答弁で、「武器輸出に関する政府統一見解」を表明しました。
これは、「『武器』の輸出については、平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては、従来から慎重に対処しており、今後とも、次の方針により処理するものとして、その輸出を促進することはしない」というものです。そして、
(1)三原則対象地域については「武器」の輸出を認めない。
(2)三原則対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」
の輸出を慎むものとしています。更に、
(3)武器製造関連設備の輸出については、「武器」に準じて取り扱うものとする。
としています。
わが国の武器輸出政策として引用する場合、通常、「武器輸出三原則」(佐藤首相の答弁)と「武器輸出に関する政府統一見解」(三木首相の答弁)を総称して「武器輸出三原則等」と呼ばれれています。
つまり武器の禁輸は「武器輸出三原則」ではなく、「武器輸出三原則等」によって規定されています。
この見解は外務省のHPに掲載されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/arms/mine/sanngen.html
ところが、メディアの多くは単に「武器輸出三原則」と呼んで混同しています。実際にぼくの所にくる防衛省担当の記者クラブ会員の記者たちですら誤解していることが多々あります。
過去の発言などを鑑みれば、首相も知らない可能性があります。
「武器輸出三原則等」でも本来輸出は出来ます。
あくまで「慎む」としているわけですから、内閣の解釈が変わったとして、内閣法制局長でもその線で答弁させればいいわけです。
もっとも経産省もいい加減で、世界の兵器工場ではヤマザキマザックとか日立重機とか、日本の工作機械メーカーの製品が多数使用されています。森精機は機械にGPSを付けて、軍事転用されないように監視しているそうですが、そうしたメーカーは少数派でしょう。
また経産省は空中給油機KC―767も昔はダメだ言っていたのが、イタリアに輸出が決まったらOKに変わっています。武器を搭載していないから、という理屈らしいですが、ならばボーイングやIAIが中共に早期警戒機を輸出してもOKということになります。
また地雷処理用機材でも対人地雷用は「汎用」で対戦車地雷用は「軍用」とか、訳のわからない線引きをしております。
そのくせイランへの防犯カメラの輸出などではローエンドの商業施設の防犯カメラまであれこれ経産省がうるさく言ってきます。これが日本のセキュリティ用カメラ業界の足を引っ張っています。
タダでさえ中国、台湾、韓国が国家のサポートを受けて追い上げていますから業界は青息吐息ですが、経産省は知らんぷりです。産業の育成・振興が経産省の仕事だと思っていたのですが、気のせいだったのでしょうか。
規制はまともにはたらいていません。
そもそもMDの共同開発とかアフガンへの地雷処理機材の輸出など「例外」の実績多数あるわけですから、戦闘機の共同開発なども「例外」にすればいいはずです。
ですから、ぼくは現在の「武器輸出三原則等」でも本来輸出しても何ら問題はないと思っています。
一定の武器禁輸の縛りは必要ですが、そのためには安易な例外をつくらないようなまともな規制と、見解の統一、理論武装が必要です。
http://www.nhk.or.jp/news/html/20101012/t10014542171000.html
北沢防衛大臣は武器禁輸緩和の方向性を打ち出したのですが、菅総理大臣は緩和を認めないとの発言を行いました。つまり武器禁輸に関しては鳩山内閣につづいて、今回も閣内不一致です。
なんで、事前に擦り合わせをしておかないんでしょうかね。もう与党になって1年以上ですよ。
それからこの問題を報道するメディアの報道にも疑問があります。
我が国では新聞やテレビなどのマスメディア、政治家でも誤解していることが多いのですが、「武器輸出三原則」は武器、即ち兵器の輸出を禁じていません。「武器輸出三原則」とは、次の三つの場合には武器輸出を認めないという政策をいいます。
(1)共産圏諸国向けの場合
(2)国連決議により武器等の輸出が禁止されている国向けの場合
(3)国際紛争の当事国又はそのおそれのある国向けの場合
これは佐藤栄作総理大臣が一九六七年四月二十一日の衆議院決算委員会で答弁したものです。つまりこれに該当しない国々には原則輸出が可能なわけです。
現在米国とMD(ミサイル防衛)関連の共同開発をしていますが、米国は「紛争当事国」ですから、本来は(3)に引っかかるわけです。
さて、一九七六年二月二十七日、三木総理大臣(当時)が衆議院予算委員会における答弁で、「武器輸出に関する政府統一見解」を表明しました。
これは、「『武器』の輸出については、平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては、従来から慎重に対処しており、今後とも、次の方針により処理するものとして、その輸出を促進することはしない」というものです。そして、
(1)三原則対象地域については「武器」の輸出を認めない。
(2)三原則対象地域以外の地域については、憲法及び外国為替及び外国貿易管理法の精神にのっとり、「武器」
の輸出を慎むものとしています。更に、
(3)武器製造関連設備の輸出については、「武器」に準じて取り扱うものとする。
としています。
わが国の武器輸出政策として引用する場合、通常、「武器輸出三原則」(佐藤首相の答弁)と「武器輸出に関する政府統一見解」(三木首相の答弁)を総称して「武器輸出三原則等」と呼ばれれています。
つまり武器の禁輸は「武器輸出三原則」ではなく、「武器輸出三原則等」によって規定されています。
この見解は外務省のHPに掲載されています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/arms/mine/sanngen.html
ところが、メディアの多くは単に「武器輸出三原則」と呼んで混同しています。実際にぼくの所にくる防衛省担当の記者クラブ会員の記者たちですら誤解していることが多々あります。
過去の発言などを鑑みれば、首相も知らない可能性があります。
「武器輸出三原則等」でも本来輸出は出来ます。
あくまで「慎む」としているわけですから、内閣の解釈が変わったとして、内閣法制局長でもその線で答弁させればいいわけです。
もっとも経産省もいい加減で、世界の兵器工場ではヤマザキマザックとか日立重機とか、日本の工作機械メーカーの製品が多数使用されています。森精機は機械にGPSを付けて、軍事転用されないように監視しているそうですが、そうしたメーカーは少数派でしょう。
また経産省は空中給油機KC―767も昔はダメだ言っていたのが、イタリアに輸出が決まったらOKに変わっています。武器を搭載していないから、という理屈らしいですが、ならばボーイングやIAIが中共に早期警戒機を輸出してもOKということになります。
また地雷処理用機材でも対人地雷用は「汎用」で対戦車地雷用は「軍用」とか、訳のわからない線引きをしております。
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ですから、ぼくは現在の「武器輸出三原則等」でも本来輸出しても何ら問題はないと思っています。
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この記事へのコメント
およそ、自ら、あれこれ調べようとしない姿勢が元凶なのでしょうか。
アパルトヘイト時代、南アの重火器工場でも
多くの日本製工作機械が活躍しておりました。
それはそうと、民主党は一枚岩どころか寄合所帯の、はっきり言えば、野合与党でしょう。
何をやらしても、誰かはケチを付けて来ますよ。
原則の例外は米国ですが、これを何処まで拡げるかでしょうね。
虎の子の石油利権まで放棄させられるようでは、イランは無理だと思いますが、果たして国益を考えると、どうなのか。
どなたかご存知でしょうか。
かって韓国には大阪のメーカーの砲身一歩手前のパイプ。北朝鮮にはロケットランチャーを外したようなOD色のトラックが輸出されていたのを思い出しました。
エントリー本文に「平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため」と紹介してあります。
>戦闘機の共同開発なども「例外」にすればいいはずです。
昨日の菅総理の答弁は、武器輸出三原則の基本理念は変えるつもりはない、という言い方をしています。(12日記者会見でも)
これと北澤、仙谷の発言をあわせると共同開発については「例外」として認める方向になりそうな感じがしますね・・・。
まあKC-767のケースはアメリカ様には逆らえないということでしょうか
もしもF-2がアメリカなり第三国が欲しがり、LMも売り込みに積極的だったりしたらなし崩し的に緩和されたのかもしれませんね(少し無理がある例えではありますが)
政治とお役所の気まぐれに付き合って国際競争力を喪失するのはたまったもんじゃありませんね
>かつかつさん
>票に繋がらない
一応その産業で働いてる人も有権者ではあるのですが
やっぱり少数派で発言力も弱いですからねえ
なんか、日本の左派、サヨクと全然違うな~って感じで。
それと経産省はもっと禁輸の条件を明文化すべきですし、また企業のオブジェクションを審議する第三者機関のようなものを設立すべきです。
そうでないと「グレーゾーン」の製品も企業が萎縮してしまいます。
反面何で代用不可のソニーのCCD素子の軍事利用が野放しなのかわかりません。
インドとパキスタン、ギリシャとトルコなど。ナチスドイツも、日中双方に兵器を供給していましたし。我が国も、ドイツを見習いますか?
後、日本のサヨクは、スウェーデンやスイスが大好きですが、この両国が兵器の輸出国であることを知らないのか、知っていた意図的に無視しているのかどちらなのでしょうか?
「スイスやスウェーデンは兵器の輸出国で、アメリカ軍も日本も、これらの国の兵器を使用している」というと、未だに驚く人は多いですよ。
それとこれまた「理想郷」北欧のノルウェーやフィンランドなどもあちこちに輸出しています。北欧を理想化する人達に北欧を見習って兵器を輸出し、徴兵制を行い、PKOに海外派兵しようといっても不思議なことに賛同してもらったことがありません。
お返事有難うございます。
エントリー本文にあるのは分っていたのですが、よく理由が分からなかったので
兵器輸出の何が駄目なのでしょうか。
平和国家でなんでしょうか。
自国が平和なのが平和国家なら、武器輸出でも相手を選べば問題ないですし、周辺国の平和も含めた平和国家なら、周辺諸国への平和も守らなければならないし、第一に平和の定義って何でしょうか?国は一応回答を出しているみたいですが、国民に浸透しているのでしょうか?
よくわかりません。
武器輸出をして何が悪いのでしょうか。
画像センサは他にもありますが、ソニーだけですかね?
武器輸出は、外交、安全保障の一部なので、アメリカの属国的な立場では、独自にやっては何かと角が立つのかも知れませんね。