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zoom RSS 財務省資料 平成22年度「日本の財政と防衛力整備」 を読む その2

<<   作成日時 : 2010/08/19 14:31   >>

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 平成22年度「日本の財政と防衛力整備」の25ページ、「自衛隊の装備・部隊編成の『選択と集中』の必要性」には以下のようにあります。

画像


 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shin-ampobouei2010/dai6/siryou2.pdf


 ・自衛隊の主たる任務である『我が国の防衛』に最低必要な装備・部隊編成を優先することが原則。
 ・ 主たる任務以外の『公共の秩序の維持』や『国際平和活動』は、現有の装備・部隊編成を前提に、その効率的
  な活用により遂行すべきもの。


 と、あります。これにはぼくは賛成できません。
 
 イラク派遣もそうでしたが、PKOなど国際貢献活動は実戦です。「実戦を想定していない」あるいは適合しない国内装備を持っていった場合、不都合があります。

 イラク派遣においても陸自は多くの装備を購入し、既存の装備も多々改良が加えられました。
 空自のC−130にも「実戦を想定した」改良が加えられました。ですがイラクの陸自派遣部隊の装備は充分とは言えませんでした。国産の96式装甲車にしても、軽装甲機動車にしても地雷やIEDの攻撃に遭っていれば深刻な被害を出したはずです。
 被害が出なかったのは僥倖です。僥倖を当てに作戦を立ててはいけません。

 ただ、その一方で派遣費用は掴み金で、本来の値段の何倍も高い値段で(政治的や利権がらみ)調達されたり、不要なものまで調達されました。
 透明性の確保と、普段からその種の任務に必要な装備に関してリサーチを行い、調達や出費を最小限に抑えることは必要です。 

 短中期的に我が国に対して大規模な着上陸作戦はまず起こらないでしょう。対してPKOなど海外任務はハイチやイラクの派遣のように降って湧いたように起こります。そこはまさに実戦です。
 
 MRAPの用な車輛やノンリーサルウェポンなど国内ではさほど必要ないですが、海外任務では必要な装備は多数あります。
 むしろ、国際任務用の装備の調達やリサーチを通じて、国内用の装備調達にフィードバックする必要があるのではないでしょうか。例えば先に挙げたような輸送機への改良もそのひとつです。
 またヘリ型UAVはヤマハの民間型がサマワの宿営地用として採用、運用されて貴重なデータが得られたはずです。もっともそのようなノウハウや情報を蓄積したり活用しようという意識が陸自には低いようですが。

 それに海外任務用の装備などたかが知れた金額です。
 これをいうと嫌われるのですが、多額の開発費をかけて、必要性の低い新型戦車を調達する金額の数パーセントで、かなりの海外任務用の装備が調達できるはずです。


 現在開発中の空自の輸送機、XC―2は海外任務で活用されると宣伝されていますが、不整地で運用ができません。不整地で運用できる機体が必要です。紛争地にはまともな滑走路が無い場合も多々あります。ですから、カナダやオーストラリアはC-17を買ったりしているわけです。

 現場の滑走路が不整地、あるいは短い場合、C-130のような戦術輸送機に荷を積み替える必要があります。C-130などに搭載できない大型貨物は今まで通りアントノフの大型機をチャーターして運ぶ必要があります。とればC-130Jあたりを追加発注する、あるいは思い切ってC-17を購入する必要があるかもしれません。これらは有事に際して飛行場が爆撃され、応急処置で穴を埋めたりしたり、また離島につくられた臨時の短い滑走路など、XC-2が運用できない国内環境でも有用です。


 かつては国際貢献といえば金を出して人を出さないのが我が国のスタイルでした。
 何でも金をバラまいて済ませようという夷態度は国際社会から尊敬されません。しかも現在の我が国にはばらまくカネがありません。一応世界第二位の経済大国が、人の不幸にはカネもヒトも出しません、では通りません。

 ヒトを出す場合でも必要な装備を揃え、訓練を充分に行った上で人的な損害がでた場合と、必要な出費をけちって損害がでた場合では世論の受けとりかたも違うと思います。変にケチって、そのツケを現場の隊員の血であがなうことがあってはいけません。
 例えば62式機銃なんて連射ができない機銃を持って行かされる方の身になって考えることも必要です(ぼくの友人のたたき上げの幹部は、あれをもっていくなら旧軍の96式軽機のほうがマシといっておりました)。

 また装備だけではなく、経験豊富な他国との共同訓練や、設備の整った外国の訓練施設での訓練も必要です。


  財務省資料 「平成22年度日本の財政と防衛力整備」 を読む その1
  http://kiyotani.at.webry.info/201008/article_10.html



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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
うーむ。防衛省や各幕僚監部の考えが益々、分からなくなっているこの頃であります。(各自衛隊は)単に、新しいオモチャが欲しいだけなのか?それとも、なーんにも考えていないのか。第一、何で海外から洗練された装備をまとめ買いしないのでしょうねぇ(やはり、商社に全面的に依存している弊害でしょうかね)。かく言う私も一昔前までは「国産至上主義」でありました。アレもコレも全て国内開発すべし、なんて本気で考えておりました。今から考えてみれば赤面モノであります><。ところで96式ですが、近頃では「II型」なんて代物が配備されているようですね。取り敢えずは車体側面に増加装甲を装着。またワイヤーカッターも標準装備されているようですね。でも肝心の底面装甲については某月刊誌では触れられていませんでした。たぶん、ハナから装備されていないのだと勝手に推測いたしました。
かつかつ
2010/08/19 20:17
不整地での運用に関しては心配ないと思います。現状ではドンパチしているところへ行くわけではありませんから。

それよりC-130やC-17であれば世界中での運用実績がありますが、C-2では独自にノウハウを積み上げなければなりません。補修パーツや機器類も緊急時に融通してもらうこともできません。こちらの方がはるかに厄介な問題だと思います。
santa
2010/08/19 22:35
>必要性の低い新型戦車

それは大きな間違いです。
新型戦車は必要です。

新型戦車は、日本は外国からの侵略を跳ね返したり、
軍事力で領土問題を解決する能力があると周辺諸国にアピールする必要があります。

外交力の担保と外交問題の解決には、軍事力による外交力の強化が必要不可欠です。

キヨタニさんは、戦車の重要性を理解してい...
2010/08/20 02:27
何でここのブログ主は輸送機の不整地での離着陸にこうも執着してるのかな?

CXは整備された民間空港や空軍基地だけで運用されるのでしょうか。PKOを含めて前線や急造の飛行場で運用されることはないでしょうか。そう考えればぼくの発言の意図がわかると思います。追加していうならば、数トンレベルの少量の貨物もCXで輸送することになれば、それは効率的でしょうか。

>P3Cの機体寿命はそろそろ限界
海自の公式見解ならばそうなるでしょう。でないと新哨戒機が導入できませんからね。
ではドイツは何故、中古のオライオンを購入したのでしょうか。
この件に関しては今度発売された拙著をご覧ください。 キヨタニ
2010/01/10 22:14

なんてな事を以前にも言っていたか。アメリカ軍は余程の事がない限り、C-17をブログ主の言う様な用途に使ったりしない様なので、ブログ主の発言の意図は遂に理解出来なかったけど。
前にも言ってなかったかこれ?
2010/08/20 11:17
で、こんな反論とか、

前線って・・・ブルドーザーで平らにしただけの砂漠や湿原に降りるつもりなんですか?それにしたって重いものを積めば盛大に滑走路を耕す事になるんですけどねえ。たとえC-130でも。
つんぐーすか
2010/01/10 22:53

こんな反論とか、

>数トンレベルの少量の貨物もCXで輸送することになれば、
いやそもそも余程の重要性がない限りそんな輸送計画は立てないのでは? というかCXで運ぶには不経済なレベルの貨物になった時点で別の輸送手段に切り替わるのが普通ではないですか? あ-にゃ
2010/01/10 23:13
前にも言ってなかったかこれ?
2010/08/20 11:20
こんな反論とか、

>PKOを含めて前線や急造の飛行場で運用されることはないでしょうか。
そもそも、空自からの要求にそのような不整地での運用が含まれていない以上、その能力がないからといってC-Xの開発が失敗だったと言うことにはなりません
また、入間、美保の滑走路を離着陸できるということは日本各地の半数以上の空港で離着陸ができると言うことになります
(もちろん、滑走路強度の問題などはありますが、B767クラスの運用が可能な空港でしたら何の問題もありません)
仮にPKO等で緊急輸送が必要になったとしても、現実的に考えて海外の空港が使用できない事態になるとは考えられません
もちろん、C-130クラスの輸送機が不要になるとは私も考えていませんがそれこそ、巡航速度に優れたC-Xを“戦略輸送機”として遠距離輸送に使い、そこから先の端末輸送には別の手段を用いればすむハナシです
清谷さんはC-XがC-17のような運用ができないことに不満を持っているかもしれれませんがC-17の運用実績を勘定すれば、日本としてそこまでの性能を求める必要であるかどうかは大いに疑問があります

また、海自のP-3Cが長年の酷使により寿命に達しているのは歴然たる事実
(空自のC-1もね)
それを単なる「開発の理由付けに過ぎない」と言い切るにはきちんと信用のおけるデータを示してください

>ではドイツは何故、中古のオライオンを購入したのでしょうか。
そもそも、オランダと我が国での運用方法(運用時間)が全く異なっていたわけだから、「どこそこの国で〜」等と言われてもそれは質問に対する回答でにはなりませんが?
あんぽんたん
2010/01/10 23:47
前にも言ってなかったかこれ?
2010/08/20 11:21
>>CXは整備された民間空港や空軍基地だけで運用されるのでしょうか。PKOを含めて前線や急造の飛行場で運用されることはないでしょうか

そもそも要求仕様にそのような文言は含まれていません。また、米軍の輸送機運用を見ていても、よほどの場合以外は整備された空港に下ろしていますのでそういった心配も無用です。

どのような機械も要求仕様があり、その上で作られます。そして、外野の妄想で仕様が決まるわけではありません。

ご自分の妄想と、自衛隊の現実的な運用をごっちゃになさらないでください。
thunderGirl
2010/01/11 03:07

そしてこんな反論とか。
前にも言ってなかったかこれ?
2010/08/20 11:23
よかったですねえ親切なコメント主さん達ばかりで。

おかげで、

>追加していうならば、数トンレベルの少量の貨物もCXで輸送することになれば、それは効率的でしょうか。

という訳のわからない文章から

>現場の滑走路が不整地、あるいは短い場合、C-130のような戦術輸送機に荷を積み替える必要があります。

という具合に進歩した文章を書ける様になったのですから。
前にも言ってなかったかこれ?
2010/08/20 11:32
↑夏ですからねえ。
夏のせい
2010/08/20 13:47
96式軽機を持って行く幹部なんぞ本当にいるんですか?6.5mm弾が無いでしょう?自衛隊の他の装備との互換性も無いし。38式無いのにホッパーに供給するんですか?実際に居たら恐怖ですね。夏だけに。しかし暑い!
ぐすたふ
2010/08/20 15:26
失礼
ホッパー供給式は11年式でした。暑いからかな誤字、勘違いが多い。いずれにしろ6.5mm弾の調達が問題です。あと旧軍の完全に稼動する実銃を弾、補充部品込みで購入できるとしたらものすごい金額になりますよ。(戦車が買えるほどじゃ)幹部って高給取りなんですかね。
ぐすたふ
2010/08/20 15:51
>あれをもっていくなら旧軍の96式軽機のほうがマシ

こんな台詞を真顔でいう叩き上げの幹部なんてもうそれだけでアウトでしょう……いやもちろん友人同士の与太話や酒飲み話で出た台詞ならまったく問題は無いのですが。
前にも言ってなかったかこれ?
2010/08/20 16:11

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