【国家の品格】藤原正彦教授は現実主義者か、共産主義者か?その③

 戦後日本の企業が大きく躍進したのはそれまで経営陣らがGHQによってパージされて、本来ならば経営陣にはいれなかった様な連中、所謂「三等重役」が経営をになって頑張ったからです。

 「良い会社」大企業も品格的には問題だらけです。新興企業ができて、新しい市場つくり、それが百億、二百億という規模になると、市場に入り込んで、資本力に物をいわせて新興企業から市場を奪っていました。
 これなんぞ、藤原氏の主張するむき出しの資本主義そのものでしょう。

 しかも日本の古い大企業は業界団体をつくり、役所と結託して新規参入や新たな競争を阻んできたわけです。リクルートのような革新的な新興企業も大きくなると役所と仲良くしようとする。ところがそういうことをやる「ショバ荒らしをしやがって」と「良い企業」から叩かれるわけです。こういうことをやっていては経済が活性化はしません。
 
 ホリエモンは市場の信頼を失うようなワルサをしましたが、ではエスタブリッシュメントな「良い会社」はどうでしょうか。何度も繰り返し談合を行う会社は後を絶ちません。
 
 経団連はそのような談合企業を厳しく罰せよというどころか、談合をやりにくくする独禁法の強化には一貫して反対してきました。
 となれば、経団連は談合で税金を私するのは悪くない、すくなくともお目こぼしがあって然るべきと考えているのでしょう。世間ではこういう態度に品格があるとは申しません。

 しかも日本の大企業は小さい会社や新しい会社を信用しません。いくらいい製品をもっていっても資本金いくら、とかそういうとこだけを気にしてその製品を試そうとしない。
 京都のベンチャー企業の老舗、堀場製作所もそのような目にあっていたのでアメリカに売りこみにいったわけです。むこうは大企業でもすぐ会ってくれ、製品がいいと思えばすぐに契約してくれたそうです。
 おかげで、堀場製作所は成長することができたそうです。このような例が非常多いのです。品格ある日本の「良い会社」を相手にしていたら多くの日本企業が成長できなかったでしょう。

 で、アメリカの会社が同社の製品を使い出すと、日本の企業もあわてて同社の製品を使い始めるわけです。
 歴史を振り返れば日本では八木博士が考案した八木アンテナは評価されず、シンガポールを攻略した日本軍が英軍が八木アンテナを使用してたのを知って驚いたという話もあります。
 日本の大組織の事なかれ主義は戦後も綿々と引き継がれているわけです。

 このような事なかれ主義は新たなビジネスの成長の機会を減らすだけではなく、社会に貢献するという企業の責務を果たしていない。と、ぼくは考えます。

 更にいうならトヨタにしろキヤノンにしろ儲かっている大企業自体の社員は優遇されています。
 が、下請け孫請け、更にその下の下請けなどは値段を叩かれ従業員の待遇は低いし、元請けの大企業が享受している繁栄のおこぼれにあずかっているとは言えない状態です。
 そういう末端の下請けは正社員を新規に雇用するなんてとても、というところが少なくないでしょう。
 つまり大企業の下請けは「日本的な資本主義」を享受出来ないわけで、これは大企業がこれまた社会的な責務を果たしていないからでしょう。

 無論日本の経済には大企業、特に製造業が必要です。大企業が儲けてくれないことには経済は潤いません。個人にしても企業にしても大きなお金をドンと使ってくれるお金持ちは必要不可欠です。それが許せないというひとがいますが、ならば共産主義しか道はないでしょう。
 ひがみ根性で金持ちを目の敵にした国で栄えた国はありません。

 今時大企業反対なんと叫んでいるのは社民党や共産党、一部労働団体ぐらいのもんです。ですが少なくない大企業は横綱にふさわしい立ち振る舞を社会は望んでいます。ですが現状はこれら「良い会社」が藤原氏のおっしゃる品格ある振る舞いを行っているとは思えません。


 藤原氏はベンチャー企業をケシカランと思っておいでのようですが、ベンチャー=所謂ITベンチャーではありません。
 いま我が国でITベンチャーといれている企業は楽天にしてもライブドアにしても実際はITとは無関係でITの看板を掲げて資金を集めてた投資会社です。
 
 このような企業と本当のベンチャーは異なります。本当のITとはグーグルとかマイクロソフトとか、ジャストシステムとか技術力をもった実業をやっている企業です。
 また新しいスタイルの旨いラーメンを提供する店だってベンチャーです。ぼくの会社だって一種のベンチャーです。

 単に上場して集めた資金を投資している企業を本来IT企業とは申しません。そのような非常に偏狭な了見でもってレッテル貼って罵るのは本当のITベンチャー企業に対して失礼です。ミソもくそも一緒にしてこき下ろすのでは品性を疑われます。

 ベンチャーがいけないというのであれば、ソニーもホンダも京セラも、ヤマト運輸だってケシカラン出てこなかった方がよかったということになります。松下だって故松下幸之助氏が二股ソケットを発明したころはベンチャーでした。
 我々は今、宅配便の恩恵を受けていますが、これはヤマト運輸が運輸省と戦いなら宅配便のシステムを作ったきたからです。
 ぼくがら子供の頃はちょっと大きな荷物は国鉄の駅に取りに行くのが普通で、しかも荷物が壊れたりしていることも少なくありませんでした。
 一中小運輸会社だったヤマト運輸がそれまでの三越の配送をやめ、小口配送に特化して今のシステムをつくったのですからこれも立派なベンチャーです。
 
  
 ところがこういう新しい、将来性のある便利な商売をしようとすると邪魔するのが「良い大学」をでた「優秀な官僚」です。
 彼ら市場性を無視して無茶苦茶な理屈を並べて邪魔をするわけです。通産省はホンダが4輪車参入を妨害しようとしました。
 経産省や運輸省の主張が如何に愚かだったということは、ぼくがあれこれ説明しなくてもいいでしょう。

 更にファミレスのロイヤル・ホストにしろセブンイレブンにしろ、食品系流通系で革新的な事業を成功せさたところは「良い大学」「良い企業」に入れなかった人材ばかりです。
 ロイヤルが上場の計画してたとき、ビジネス界からは「水商売風情が上場しようなんてフテぇ魂胆だ」と、蔑視の目でみられていました。業界の地位が低かったからです。今時そんな人はいませんが。

 これらの新ビジネスは既存の大企業「良い会社」からはでてこなかっわけです。現在これらの企業は非常に多くの従業員を雇って社会に貢献しているわけです。
 またバンダイだって任天堂だって今でこそ人気企業ですが、ぼくらの子供の頃は台東区のオモチャ屋、京都の花札屋で格が低く、世間で言う「良い会社」ではありませんでした。無論東大のような「良い大学」の卒業生は見向きもしませんした。

 藤原氏はこられら新興勢力をどう評価するんでしょうか。「良くない会社」「品格がない」と仰るんでしょうか。

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この記事へのコメント

truly_false
2006年02月16日 01:29
よく“官僚の統制がよかった”なんて言われますが、経済学的にも、官僚の統制が役に立ったという事実は立証されていません。例えば、満州事変以降、日本経済は回復しつつあったんですが、総動員法施行で頭打ちになってしまいました。よかったことを強いてあげれば、自動車・製鉄においての会社統合を進めたあたりでしょうか。
キヨタニ
2006年02月16日 23:08
官僚統制が上手く働くのは戦時経済のときぐらいです。戦中戦後のソ連がそうです。もっとも国民は大変な思いをしましたが。
我が国の戦後の自動車産業の統合たって、それをきいてたらホンダは自動車会社になりそこなっていたでしょう。
シロ
2006年02月17日 10:30
お金持ちがいるから、貧乏人も生きていけるんですがね。
全員を億万長者にはできないから、全員を文無しにして経済格差をなくそうとしたのが共産主義です。
全員の預金通帳の残高がゼロなら、確かに社会的平等を達成したことにはなります。
残念ながら人間は平等ではありません。放っておいても女が群がるイケメン男もいれば、目を背けたくなる不細工もおり、健康な人もいれば病弱な人もいる。そうした差が経済力に反映されるのは必然的結果なのです。
キヨタニ
2006年02月17日 14:14
金持ちを叩けばよい、というのは単なるポビュリズムか自己満足でしょう。 
 今月の月刊VOICEの日下公人氏と渡部昇一氏の対談が面白いですよ。

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