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zoom RSS 炭素繊維複合材と装甲車と日本の防衛産業

<<   作成日時 : 2018/07/02 12:51   >>

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炭素繊維を用いた先端素材で新たな技術が台頭。それを武器に帝人が、王者・東レの牙城を崩そうと攻勢をかける。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/18394


今週の週刊東洋経済の記事です。ネットでは全文が読めませんので、ご興味の方は紙媒体をご購入ください。






>米国最大の自動車メーカー、ゼネラル・モーターズ(GM)が今年秋に販売を開始するピックアップトラック「GMCシエラ」の新型モデル。3月初旬にデトロイトで開かれた発表会で注目を集めたのは、軽くて強い先端軽量素材として知られる炭素繊維の複合材を採用したことだった。


>炭素繊維を採用した荷台の重量は鉄製だった前モデルよりも25%軽い。素材自体の先進性も大きな売りで、GMは「カーボン製ボックスベッドはへこみにくく、傷のつきにくさや耐腐食性でもクラス最高レベルを実現した」と大々的にアピールしている。

>GMが採用したのは、帝人の「熱可塑性の炭素繊維複合材」だ。

>新型モデル発表会のおよそ1週間後、炭素繊維業界の最大手、東レからビッグニュースが飛び出した。1200億円超の巨費を投じて、欧州の企業を年内に買収するという内容だ。買収の記者会見では、東レ幹部が何度も「熱可塑」という単語を口にした。

>東レが買収するのは、オランダに本社を置くテンカーテ・アドバンスト・コンポジット社。東レなどから調達した炭素繊維に樹脂を加えて複合材に加工する中間材料メーカーで、ハイスペックな航空機用途に強い。


>新たなCFRPとして注目されているのは、ポリアミドなどのような加熱すると軟化し、熱が冷めると硬化する「熱可塑性」の樹脂を用いた複合材だ。一番のメリットは、熱して軟化させた状態なら、金型でプレス加工して部品に成形できる点。部品メーカーにとっては、従来の熱硬化タイプよりも効率よく大量の部品を生産できるため、今後の急速な普及が確実視されているのだ。

>先行するのが帝人だ。同社は早くから熱可塑性樹脂を使った新タイプの複合材に注力し、14年に旅客機の一次構造材部品用としては業界で初めて、熱可塑CFRPを欧エアバスのA350向けに供給開始。そして今回、自動車でもGMで採用にこぎ着けた。帝人によると、GMとは他車種でも採用に向けた準備が進んでいるという。

>帝人はこの自動車用途でも、熱可塑の技術によって、巨大な潜在需要を取り込む考えだ。「熱可塑のCFRPなら、熱した金型を使って約1分で部品が作れる。自動車メーカーにとって、生産台数の多い量産車にも格段に採用しやすくなる」と複合成形材料事業本部の中石昭夫本部長は話す。


前も東洋経済で東レがテンカーテ社を買収する記事が出たときも書いたのですが、同社は複合装甲素材のトップメーカーであります。欧米、その他の装甲車メーカーにも多く供給しています。
以下はユーロサトリ2018での同社の展示です。

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同社は装甲車だけではなく、ヘリや航空機などの装甲板や、難燃繊維なども製造しているテンカーテ社の一部門です。何年素材は皮肉にも帝人のトワロンブランドのアラミド繊維が使用されており、これは米軍でも使用されております。ところが、自衛隊は能力が低く、色落ちも激しいビニロン製迷彩服を未だに採用しております。


さて、本来テンカーテ社の炭素繊維コンポジット部門が東レの傘下になれば、東レとテンカーテ社との関係も深まるでしょう。であれば我が国の装甲車開発のてこ入れにもなりそうな話ですが、これは無理でしょう。いまでのしがらみがあったり、官側もメーカーも世界の先端や常識を知ろうとしない、どこにカネをかけるべきかも分かっていないので、テンカーテ社によるてこ入れがあってもそれを生かし切れないでしょう。

実は既に警察や海保の防弾ベストやらヘリの防弾などに素材を提供しています。

さて、「熱可塑性の炭素繊維複合材」ですが、普通のクルマよりも装甲車輌の方がむしろ導入が容易ではないでしょうか。一台あたりの単価も高いし、また重量が重く、軽量化によるメリットが大きいからです。無論これを装甲として使うことはできませんが、現在鉄製などのコンポーネントをこれで置き換えることが可能であり、軽量化に寄与するでしょう。

更に複合装甲の導入も更に高まるでしょう。増加装甲などでは複合装甲の使用は当たり前ですが、テンカーテ社やドイツのIBD社などではキューポラなどの複合材料化を提案しております。これらのコンポーネントの複合材に変われば。軽量化はもとより、整形が容易なので、上手くいけば製造コストや補修コストが安く上がる可能性もあります。
その他、ハッチやら後部のランプドアなども複合装甲で生産すればかなりの軽量化が実現するでしょう。既に英国のスパキャット社やアメリカのフォースプロテクション社などは軽量装甲車の車体を複合装甲で作る技術を確立しています。既にこの技術は英国防省が90年代に実証車輌を開発しています。

今すぐではないでしょうが、装甲車輌の複合装甲による製造は現実化するでしょう。装軌車輌に関して言えば現在40トンクラスまでゴム製履帯が増えています。このクラスでは鉄製に比べて約1トンに軽量化が可能です。恐らく本古50トン、60トンクラス、つまりMBTまで広がるのではないでしょうか。

さて、世の中はあれこれ進んでいるのですが、その流れから我が国の防衛省、装備庁、自衛隊は取り残されています。これをどう変えていくのか。当事者の意識改革が望まれます。

■本日の市ヶ谷の噂■
海自のUH-Xで、候補にV-22オスプレイをごり押ししたいアメリカ様を忖度して、要求仕様で求めていた機体のテール部の折り畳みという仕様を無くした、との噂。


ユーロサトリ2018のレポートは東京DARで。
http://www.tokyo-dar.com/











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コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
>>>海自オスプレイ

採用され、しばらく経ち木更津のあんなハンガーに整備するために入ったと思ったら1年以上、出て来ませんですた、なんて事にはなりませんよね?それだけが心配なんですが(^_^)。それはそうと、もし仮に採用されたら、あんな「3つのダイヤがくっついているメーカー」謹製のアレとは違い、少なくともカーゴランプドアを介して色々と積めますよね....。そうなると、K崎VS昴の因縁の対決ががが(違)。
KU
2018/07/02 21:35
「何年素材は皮肉にも帝人のトワロンブランドのアラミド繊維が使用されており、これは米軍でも使用されております。」
難燃素材ですね。色落ちするビニロンに対する高度な皮肉でしょうか。
冗談はさておき海自もオスプレイ導入を目論んでいるのでしょうか。目論んでいるのはトランプで忖度するのは安倍ですかね。海自自体は欲しいのかどうなのか気になります。
また中途半端にでかいものを買ってどうするつもりでしょうか。しかも稼働率が怪しくエンジンの交換時間も短く高物買いの銭失いにならなければ良いのですが。CH-101を既に運用しているので問題なければ追加購入で良いと思うのですが。
やれやれ
2018/07/02 22:09
■本日の市ヶ谷の噂■
海自のUH-Xで、候補にV-22オスプレイをごり押ししたいアメリカ様を忖度して、要求仕様で求めていた機体のテール部の折り畳みという仕様を無くした、との噂。


テール部を折り畳めないと、いずも型とひゅうが型(もういずも級とひゅうが級でいいでしょう…。)に入れる時に苦労すると思いますよ。

海自がV-22を特別警備隊向けに使うなら賛成ですが、テール部を折り畳めなくしてまでV-22を導入するのはやめたほうがいいです。



Masaya Hariu
2018/07/02 23:12
>空を飛び、海を泳いで、地を走る 陸海空制覇しちゃった仏製装輪装甲車、ERC-90とは?

http://trafficnews.jp/post/80664

wikiでサイズを見たら、横幅は2.5mなんですね。重さも約8トンだし、これならアレとは違いC-130にも余裕で積めます。


>陸上イージスに最新鋭レーダー、朝鮮半島監視へ

http://www.yomiuri.co.jp/politics/20180702-OYT1T50141.html

>>>LMSSR

また、言い値で買ったのでしょうか?
KU
2018/07/03 14:19
中国で射程距離800mのレーザー光線銃が開発。可視外光で皮膚が炭化する威力
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/yajiuma/1130996.html
とうとう未来がそこに...
レーザーポインターでも目潰しに使えますから色々悪いことに使えそうで怖いですね。
やれやれ
2018/07/03 18:38
>>>イージス・アショア

>イージス・アショアに「SSR」搭載へ 1千キロ超探知

http://www.asahi.com/sp/articles/ASL7335WKL73UTFK003.html?iref=sp_poltop_all_list_n

記事のとおりだと、単にSPY6の開発が間に合わないと判断したからSSRを採用した、という話のようですね。
KU
2018/07/03 19:02
>>海自のUH-Xで、候補にV-22オスプレイをごり押ししたいアメリカ様を忖度して


私がオススメしている、S-92の軍用版CH-148サイクロンが、いい具合に仕上がってます(笑)海陸のUH-Xにいかがでしょう。ブラックホークの倍の人数乗れますよ(笑)
マリンロイヤル
2018/07/03 19:04
アドバンスドコンポジット社とアドバンスドアーマー社は別会社ではないでしょうか?
素朴な疑問ですが
2018/07/03 21:28
>>>陸上イージス

大石さんのブログにて、他の読者の人から教えていただきました↓

http://mobile.twitter.com/otfsx1228/status/1014007802040184832

竹内修さんのツイッターですが、

>>>レーダーがどうこう言う以前にクリアできてない問題がいくつかあって、間にあわない事がわかった時点で、陸自はSPY-1を候補から外してたしな。

とっくの昔に、SSRの導入が既定路線だったんですね(((^_^;)。
KU
2018/07/04 07:00
>アドバンスドコンポジット社
ご指摘ありがとうございます。
ぼくも勘違いしていました。
ただどちらもテンカーテ社の子会社です。しかし同社のHPを見ると、部門と紹介していありますが、TenCateAdvancedCompositesHoldingという社名の紹介もありません。
テンカーテ社の傘下の一部門(の子会社)を買収した形になるようです。ただ買収されてもテンカーテ社の他のグループと断絶が生じるわけではなく、協力関係は続くものと考えられます。 
キヨタニ
2018/07/04 11:17
>豊和工業が出願していた新型自動小銃らしきものの意匠が公開

http://news.militaryblog.jp/web/Potential-JSDF-New-Service-Rifle/Design-filed-by-HOWA-was-released.html

仮に採用されたとして、単価はどのくらいになるのでしょうね?
KU
2018/07/04 20:20
しかしアレのどの辺に意匠などともったいぶる程のものがあるのでしょうか?
FN-SCARのパクりにしか見えませんでした。
もしアレが中国や韓国の銃ならボロカスに非難されるところでは。
質問
2018/07/05 21:46
かなり前の記事で恐縮ですが

>防衛装備庁、UAV(狭域用)JDXS-H1を契約

https://jm2040.blogspot.com/2018/05/29-jdxs-h1.html?m=1

システム1式(ドローン2機その他)で4700万円orz。何をどうしたら、そんな価格になるのやら、と思いスカイレンジャーの値段がいくらかググってみましたら、こんな記事が↓

>高い技術と信頼を兼ね備えたカナダのドローンスタートアップ「Aeryon」

http://www.borg.media/startup-aeryon-2016-10-11/

フルセットで1800万円もするんですね。それを考えたら適正価格なのかもしれません。
KU
2018/07/05 23:00
>米ノースロップが参画を模索、空自のF2後継機=関係者

http://jp.reuters.com/article/northrop-idJPKBN1JW13H

何だか、入り乱れてきましたね。
KU
2018/07/06 21:09
関係ないですけど

陸上総隊は編成されちゃったのですね
編成でもなく、編制ですけど

あまり芳しくないというか。


アベアレ政権下での改正ですし

キヨタニさんは理系‘系’で、ここらへの批判はあまり気が利いてないような

結局雨後愛してみないとここらは分からないワケだけどね

ただ、日報隠匿など、そういう体質の機関では、先は見えてるのかなと。

そういう隠蔽をやりやすくするために制度をいじったのかどうなのか、そこらは危ない話だけどね


ここらも、アベアレ政権を支持した投票者たちの責任でもあるけどね。
aaa
2018/07/07 00:35
>自衛隊が高速道路を使えない理由に驚愕。米軍は使い放題なのに···

http://nikkan-spa.jp/1487766?display=b

····ウチの地元を関越道が通っていますが、先月の夕方だったかな、陸自の車列(高機動車他)が上り車線を走っていくのを見ましたけどね。


>公表資料(予算執行調査結果、XF9-1納入、中央調達順位)

http://jm2040.blogspot.com/2018/07/published-documents-1.html?m=1

かなり突っ込まれているようですね。
KU
2018/07/07 11:57

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