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zoom RSS 陸自 8輪装甲車トラブルの原因は陸幕の当事者意識の欠如

<<   作成日時 : 2018/02/10 11:52   >>

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 既にご案内のように、防衛装備庁で作っている8輪装甲車(改)が不具合で工場差し戻しとなっています。

陸自新型8輪装甲車開発の迷走の原因は装備庁と、陸幕。
http://kiyotani.at.webry.info/201801/article_7.html


 そもそも論で言えば、原因は陸幕装備部に開発の当事者意識&能力が低く、予算をケチったことです。

 まず、コマツにしろ、三菱重工にしろ、既存車輌の改良ですませろ、としたことです。
 
 そしてマトモに外国製のリサーチをしていなかったこと、始めに国産開発ありきといういつもの隘路に入り込んでいます平成25年度 政策評価書(事前の事業評価)には以下のようにあります。
「代替手段との比較検討状況諸外国においては、既に実用化された装輪装甲車として、米国のストライカー等があ
るが、各種脅威からの防護力等の要求性能、コストに関して総合的な観点から比較検討した結果、本事業の優位性が認められた」
http://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/results/25/pdf/jizen_01_honbun.pdf

本当でしょうか。コマツの試作がピラーニャVとかAMVとか、VBCIあたりと比べて生存性が高いく、コストが安いのでしょうか。コマツの96式や軽装甲機動車にしても諸外国の同レベルの装甲車の3倍くらいです。
装備庁に取材した際この話もしたのですが、陸幕がやったことなので・・・と歯切れの悪い回答でした。

そしてマトモに運用要求を熟慮したのか疑問です。島嶼防衛につかうといいつつ、水上航行機能はないようです。
むろん、機動戦闘車も島嶼防衛で使うといいつつ無いわけだから構わないという理屈もあるのですが、本当にリサーチをしっかりした上での結論ではないでしょう。

だって陸幕は殆ど海外に見本市にも来ないし、メーカーや他国の軍隊を視察に行くわけでも無い。そのうえ参照にしているのがウィキペディアとか2ちゃんねるとかです。

そしてバリアントもAPCの他は指揮通信車と、戦闘工兵車だけで、またも救急車型は要求されておりません。


最大の問題は予算です。たった17億円(コマツは18億円で落札、MHIは約26億円で応札)で、開発をして、5両の試作車輌を製造しろというのはふざけています。ぼくは当初、この予算なら試作は1輌だとばかり思っていました。それでも開発費が少ない、と思っていたくらいです。

しかも競合に勝てなければ、開発費は丸損です。当然メーカーは負けた場合を考えて、投資をケチるでしょう。これでまともなものが作れるわけが無い。

諸外国では先ずペーパープランを出させて、その中から2〜3社を選んで試作をさせることが少なくありません。

本来ならばコマツ、MHIにそれぞれ開発費を払って試作させる。あるいは一社を選び、1輌試作をつくらせ、海外の候補と一緒にトライアルをさせ、勝ったら量産試作を作らせるという手順にするべきでした。

装備庁では耐爆性能は問題なく、他の問題は解決し、未だに未解決なのは装甲の耐弾性能に問題があるとしています。
輸入を含めて調達に関して研究するのは、コマツが不具合を直す間暇になるので、研究をしようかという話でしたが、そのまま信じていい物か、と疑いたくなるのはぼくだけではないと思います。


率直に申し上げて、日本の装甲車両開発能力はたいして高くはありません。ただでさえ小さい市場を二社でシェアしているために、少ない開発機会が更に少なくなっている。陸幕は諸外国の動向を把握しているとは言えず、現実的な運用要求をだせる能力がありません。

これで、またも安普請で、能力の低い国産装甲車をまたもや諸外国の装輪装甲車の何倍もの値段で調達し、結果数が揃わず途中で打ち切りになる気がします。

ヘリもそうですが、陸自の調達をみていると暗澹たる気持ちになります。


■本日の市ヶ谷の噂■
陸自のベル412ベースのUH-Xは調達単価12億円の予定が、調達単価が20億円を超えそう。そうであれば調達中止の危機で関係者は大慌て、との噂。


●東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

陸自の攻撃ヘリ部隊は、すでに瓦解している
墜落事故を機に長年の課題に向き合うべきだ

http://toyokeizai.net/articles/-/208101

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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
装輪装甲車(改)もダメでUH-Xもダメorz。税金を使ってガラクタを作り続けても国会からは何も言われないんだから、何とも羨ましい御身分ですよね、陸自の開発担当者って。かといって、仮に開発の失敗を認めたら責任を追及されるからと、途中で開発自体を取り止めるわけでなし。こんなアホなことが、この先も繰り返されるのかと思うとウンザリします。
KU
2018/02/10 20:00
何となく見た感じですがMHIの装甲車の方が出来が良さそうに見えたんでこれを改めて採用するって訳にはいかないものなんでしょうか?
それよりも、
>既に実用化された装輪装甲車として、米国のストライカー等があるが、各種脅威からの防護力等の要求性能、コストに関して総合的な観点から比較検討した結果、本事業の優位性が認められた

って実際に戦場を経験していて評価も高い車両と紙の上にしか存在しない車両を比較して後者の方が優れているとは恐れ入る屁理屈ですね、そりゃ後者は後出しジャンケンなんだからちゃんと作れさえすれば性能が勝るのは当たり前でしょ。(自衛隊の場合この原則すら守られるか怪しいものですが)
この手の装備はMBTなどと比べていかに早く所要数を揃えて戦力化できるかが重要なはずですが、差し迫った脅威があるのに10年20年かけてダラダラと改良もせずに調達するつもりなんですよね。
技本と各企業の防衛部門を統合して装備開発を一手に引き受ける組織を作った方がこんなバカげた状況を変える事が出来ると思いますが、難しいのでしょうね。
八王子の白豚
2018/02/11 01:39
何で機動戦闘車をベースにして造らないんでしょうね、そんなにデキの悪い車体なんでしょうか(笑)
マリンロイヤル
2018/02/11 05:57
シンガポールエアショーに行って今日帰ってきました。シンガポールのSTエンジニアリングがTERREX2と言う8輪装輪兵員輸送車を展示していました。実力の程は全く知らないのですが、水陸両用車でした。見た目は非常に良さそうです。STエンジニアリングは他にも色々な兵装システムを展示しており兵士や警察もサイバーな感じでデータリンクで色々情報共有するシステムを展示していました。同じ兵士でも鉄砲を担いでドンパチやって走り回るイメージとは大違いですね。今回は初めてトレードショーも見たのですが日本企業のやる気の無さ(そう見える)は凄いですね。何のために海外の展示会まで来て売り込もうとしているのか分からないレベルです。ステルス全開で殆どスルーされているのは見てて悲しくなりますね。防衛関係は川重しか展示していませんでしたがC-2とP-1、BK117の模型とビデオを流すだけ。誰も来ないのでサクラ代わりにちょっとおちょくってきました。防衛装備庁もここには出展しておらず売れる見込みがないからでしょうかね?マレーシアのLIMAには出していたのに。もっとも何のやる気もない展示なので有ってもなくても関係ないレベルでしたが。こんなので輸出云々ですから知れてますよ。
やれやれ
2018/02/12 00:17
>離島奪還へ地雷処理装置 防衛省開発着手 水陸両用車に搭載

http://www.sankei.com/smp/politics/news/180212/plt1802120006-s1.html

去年、PANZERで酷評されていましたが、本当に開発するんですね。どうせまた、どんなにアレな性能だったとしも「世界最高水準の〜」なんて枕詞とともにお披露目され調達が始まるのでしょうけど。
KU
2018/02/12 06:59
> どうせまた、どんなにアレな性能だったとしも「世界最高水準の〜」なんて枕詞とともにお披露目され調達が始まるのでしょうけど

かつての大本営発表を彷彿とさせますな。

なお、夜郎自大のアレ総理と日本のメーカーは兵器だけでなくボブスレー用のそりでもやらかした模様…(唖然)

日本の「下町ボブスレー」は、安倍晋三が旗を振っていた国家プロジェクトだった。ラトビアに負けた腹いせにジャマイカの選手たちに6000万円の賠償請求をするという。恥の上塗りだぞ
http://blog.goo.ne.jp/nrn54484/e/982a49c6bd30ffc2170540c098f91628
被本塁打大王
2018/02/12 10:27
ラトビアのソリ制作会社、従業員たった6人の下町の町工場だった!
http://gahalog.2chblog.jp/archives/52431270.html

本物の下町ボブスレー(ラトビア)、下町を名乗る企業連合ボブスレー(日本)を一蹴する、池井戸潤センセイ、出番ですよw

ラトビアのソリ会社、マジ優秀!ボブスレー日本代表はもちろん、自衛隊や警察、消防等にも高品質なそりをリーズナブルな価格で売ってほしい。

…でも、アレ総理やそのお友達が邪魔するんだろうな…orz
被本塁打大王
2018/02/12 10:40
>ステルス「F35B」導入へ、空母での運用視野

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180212-00050012-yom-pol

よく読むと来年度の予算に盛り込むとはありますが、陸海空いずれかが運用する、とは書いてないんですよね。それはそうと、せっかく読売新聞が「空母」と書いてくれたわけだしw、これを機会にDDHからCVSにでも艦種記号を変更してほしいですが。どう考えても、「戦闘機も詰める駆逐艦」なんて変ですし。
KU
2018/02/12 12:12
「戦争が起きたときに本当に必要な装備は何か」ではなく、「どうしたら天下り先が確保できるか」「いかに役人人生を穏便に送るか」の観点で装備の調達が行われているから、こうなるんでしょうね。海外派遣でたくさん犠牲者が出ないと変わらないのかも。悲しいですね。
横浜の黒豚
2018/02/12 13:04
>被本塁打大王さん
>ラトビアのソリ会社、マジ優秀!ボブスレー日本代表はもちろん、自衛隊や警察、消防等にも高品質なそりをリーズナブルな価格で売ってほしい。

 国内ライセンス生産で価格は三倍。しかも、暴走する。
 となる可能性が・・・・
はて?
2018/02/12 19:10
KUさん、どうせF-35を導入するのであれば、最初からB型を導入すれば良かったと思います。

防衛省は航続距離やペイロードがBより勝っているからF-XでAを選定したんでしょうけど、今になって「DDHを空母化するからBも追加で購入します」って、ホント泥縄式。

中国のポンコツ空母にビビったアレ総理に空母保有を長年の悲願にしていた海自幹部が吹き込んだのかなあ。

アレ総理を煽る前に、空自幹部と調整するのが先でしょ。って、F-35Aを選定したのは民主党政権時代か…orz
まあ、防衛官僚や自衛隊幹部の顔触れは変わってないけど(定年退職者除く)。
被本塁打大王
2018/02/12 21:11
F35BはAと比べて航続距離が短い、搭載できる兵器の量が少ない、機関砲が無い、機動性が弱いとSTOVL運用できる以外は無い無い尽くしでF4の代わりにはなりません。少なくとも要撃任務には使えません。なのでA型の導入自体は良いと思います。未だ機関砲もAAMも撃てませんが。B型を導入するなら空母か強襲揚陸艦がないと日本だと使い様がないでしょう。石垣島や下田島で運用するならありかも知れませんが、やはり要撃任務には向かないのでドンパチ前提でないと使い所が難しいと思います。A型にはA型にあった任務、B型にはB型にあった任務で使用するべきで実質マルチロールと言えないB型を選ぶ理由は強襲揚陸艦を持っているかハリアーの代替目的でしょう。
やれやれ
2018/02/13 20:14
[ここに投稿タイトルを入力してください]


お邪魔します。

【蒼天已死】〜岡田斗司夫の公式ブログ 息子が2年間、引きこもっています
<http://blog.livedoor.jp/okada_toshio/archives/51541914.html#more>



>それとも、心を鬼にして家から追い出すのがいいのでしょうか?

という問いに対して岡田斗司夫は

>あのね、誰かに何かを止めさせるのと、やらない人間に何かをさせるのって、どっちが難しいか? って話になっちゃうんだよ。
どっちも難しいんだけども、やってるヤツを止めさせるほうが、やや簡単なんだよね。

>やらないヤツにさせるっていうのは、凄く難易度が高いわけだから。

>つまり、働かないヤツを働かせるとか、家から出ないヤツを家から出すっていうのは、凄く大変で。

>もう22歳の息子なんだから、一人前の大人なので、息子から家族総出で逃げ出すほうが、絶対に手っ取り早い。

と答えています。ですから今までまともな事をやってこなかった防衛省、自衛隊及び陸幕にまともな事をやらせるのは殆ど不可能ではないかと思われます。もし連中が「本当に」改心したとしても、「大学時代登山部だった高齢者の冬山登山」みたいになるのではないかと。ですからいっそ国防・安全保障のための別組織を新たに立ち上げ、今の防衛省や自衛隊には一定期間の給料「だけ」を保障して、その間に身の処し方を選択させれば。日米安保が対外的に「まだ」有効であろう今の内に。
ブロガー(志望)
2018/02/14 21:36

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