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zoom RSS ホンダと既存の日本の航空機メーカーとの違い

<<   作成日時 : 2018/02/23 18:01   >>

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ホンダジェット、セスナ主力機抜き首位 17年納入機数
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27230730S8A220C1000000/


> ホンダのビジネスジェット機「ホンダジェット」の2017年の世界での納入機数が前年比20機増の43機となり、米セスナの主力機「サイテーションM2」を抜いて初めて首位となった。ビジネスジェット市場は世界的に成長が鈍化しているが、ホンダジェットが含まれる「超小型機部門」は前年と比べ需要が5割増。ホンダにとっては苦戦が続くF1に代わるブランド戦略の柱となる。将来は自動車などに続く収益源に育てる考えだ。

なぜホンダだったのか ジェット初の年間首位
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27281230S8A220C1TI1000/


>いわゆる日の丸ジェットを巡っては、08年に事業化を決めた三菱重工が5度の遅延で納入時期が当初より7年遅れ、危機に立たされている。それでも事業化決定からはまだ10年。商用化まで10年というのは航空機産業ではむしろ一般的だ。ホンダは事業化決定から9年で商用化にこぎ着けたが、それまでに20年に及ぶ助走期間があった。

>現状だけを比べれば明暗が分かれているものの、ホンダも日本企業で初となる米当局からの認証取得には手を焼き、初号機納入は5年遅れた。そもそも航空機の開発遅れは日常茶飯事。米ボーイングも中型機「787」で7度も延期している。異業種が参入への高い壁を乗り越えるには我慢が欠かせない。ホンダジェット成功の背景には、技術者の「遊び」を重視した、創業世代から続くホンダ流の「我慢の新事業育成法」がある。

>もっとも順調にみえるホンダジェットも収益貢献は道半ば。17年4〜12月期の営業損益は300億円強の赤字だった。納入機数が増えてもサービスなどで稼ぐには時間がかかる。ビジネスとして軌道に乗せるまでの我慢はもう少し続きそうだ。


ホンダジェットがビジネスジェット市場で好調です。無論これまで掛かった投資の回収には時間がかかるでしょうが、
防衛省需要に寄生する、既存の航空機メーカーとは明暗を分けた形になっています。

以下はぼくが2007年に文藝春秋社の「諸君!」に書いた記事の抜粋です。


>航空メーカー各社のぶち上げている民間機市場への参入プランは、現実性があまり高くない。むしろ現実離れしているといってよい。これが我が国の航空産業界の認識なのである。

>これら既存の航空機メーカーよりもむしろホンダやトヨタなど自動車メーカーの参入プランの方が現実的かつ堅実で、民間機市場で成功する可能性が高い。両社は長年にわたる入念な準備を経て、ビジネスジェットを開発、北米を中心に粛々と事業化に向けて活動している。実は企業のVIPや大金持ちをターゲットにしたビジネスジェットは、空飛ぶリムジンといえる存在で、経済効率やコストパフォーマンスよりもオーナーの趣味で購入が決定される傾向がある。
しかも旅客機のように経済性を最優先する必要もない。

>旅客機よりむしろ高級車にマーケット特性が似ている。しかも両社はクルマで培ったブランド力が大きな武器として活かせる。トヨタは05年に富士重工を買収したが、これは将来の航空機ビジネス参入に備えて航空機部門の開発のノウハウと、生産力を入手したいという思惑が働いたことは間違いあるまい。



 ホンダと既存の航空機メーカーの違いは、ホンダが民間企業のセンスで航空機のビジネスを進めてきたのに対してその他の防衛省依存のメーカーは、事実上国営企業的なセンスで商売しているところです。

 ですから、市場と商売が全く分かっていない。それでも三菱重工は民間旅客機ビジネスに打って出たところは評価できるし、三菱航空機も当初とは意識も大きく変わっています。惜しむらくはそれが後5年早く始まっていたらということでしょう。そうであれば随分と開発期間は短縮されたのではないでしょうか。


 それでもスバルや川重と違って、果敢にリスクを負ってあらたな商売を始めたところは、さすが三菱です。防衛産業として残るのはこういう企業でしょう。
官需頼みの寄生虫のような企業は今後の厳しい環境を切り抜けることはできず、防衛産業からも撤退することになるのではないでしょうか。現にスバルはUH-Xの単価高騰がささやかれております。UH-Xがキャンセルにでもなれば殆ど仕事はありません。FFRSも追加調達はありません。AH-XでAH-64Eが採用になってもさすがに輸入で、スバルにはカネは落ちないでしょう。

川重にしても未だにOH-1の改良型をAH-Xに提案しておりますが、これも無理筋。海のUH-XがAW101に決まってもライセンス生産という名の組み立て生産ではなく、輸入になる可能性が大です。
CH-47の細々とした調達も輸入に切り替わるのでは無いでしょうか。
C-2、P-1にしても調達単価、維持費が高騰して調達機数を大幅に削減される可能性があります。

また、川重はC-2の民間転用なんぞやる気も無いのに、やると言い続け、海外の見本市でアピールしてきました。
ですが、こういうおためごかしは潜在顧客を失うだけです。

新明和もUS-2の調達が終われば、次の飛行艇のプロジェクトなんぞないでしょう。自社でもっと小型の飛行艇を開発して世界に売り込む体力もノウハウもありません。


後はボーイング社など外国企業の下請け商売だけですが、これも中進国の追い上げが厳しくなってきています。将来は暗いと言わざるを得ません。

自らリスクを取り、未来を切り開く気が無い企業は生き残ることができません。

少し前にビーチクラフトが売りにだされておりましたが、ああいう企業を買収すれば一気に世界の市場へのアクセスは開けたことでしょうが、そういうことすら日本企業は考えません。


米国企業は別な意味でのリスクを抱えております。上場企業は四半期ごとの利益と株価を上げろと投資家にせっつかれます。ですからホンダジェットのような長期の研究開発もできないし、従業員の教育や設備投資も制限されています。現在のような短期利益重視の傾向が続けば、米国製造業の未来はくらいと言わざるを得ません。

本来そういう意味では長期投資が可能な日本企業には航空機参入の機会はありました。特にヘリなんぞは軍民の垣根が少なく、また小規模顧客、個人客が多く、旅客機ほどコストのシビアではなく、投資金額もかからないので、格好の分野だったのですが、それすら入り込めていません。陸のUH-Xでベル社案が選ばれた段階で、多分に日本のヘリ産業の将来は決まったと思います。

恐らく既存の日本の航空機メーカーは現状維持だけ傾注するでしょうが、それはみずから将来を捨てることを意味しています。

■本日の市ヶ谷の噂■
1/13(土)に靖国神社の会館にて陸自需品の賀詞交歓会が行われたが、わざわざ物議を醸す醸すようなところでやりやがって、と市ヶ谷内部でも顰蹙との噂。


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コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
ホンダを褒めてくれてるのね
ちょっとうれしくなっちゃうけど
ただ、ジェットもまだまだ単年度でも赤字だと。
10年先のホンダは、もう分からないけど。
かつてみたいにエンジン屋としてぶっちぎってるわけでもないし。

どうなるなと。

三菱も、組織の三菱、が旗、だったし、そういう作りだったと。

ただ、いまのところ、10万を超えるような企業体として、何か優れてるというわけでもない気がするけどね。

グループ内で、不祥事も続いてるし。

寄らば大樹、は切っちゃうしかないはずだけどね。

やっぱ、国防産業は、三菱系と官系工廠に再編しちゃうのが、真っ当なんじゃないですかね。
エンジニアの不足もすでにこまったレベルだというしね。
aaa
2018/02/23 20:45
「それでも三菱重工は民間旅客機ビジネスに打って出たところは評価できるし、三菱航空機も当初とは意識も大きく変わっています。」
MRJのローンチが決まった時、日本もようやく旅客機開発が再開するんだなと感慨深かったし色々な新技術とGTFエンジンで低燃費を目指す目標も意欲的で良かったので期待していたらこの有様ですよ。三菱は型式証明取得で過去何度か煮え湯を飲まされMU-300(現ホーカー400)でも痛い目にあっていたにも関わらずまたしてもMRJで同じミスをやらかしました。学習能力が無いというか危機感が無いと言うか型式証明取れそうもない事が露見して大幅な設計見直しが必要になり大量に経験のある外国人技術者を雇い入れ更にダメ出しを食らって再再再...延期。恐らくどこかで防衛省向けの商品と同じ発想で何とかなると思っていたのでしょう。先日のシンガポールエアショーのトレードデーで日本の部品メーカさんとMRJについて話をしていた時、型式証明の取れている部品を最初から使えば良かったのにと言う話になり日本でどれだけFAAの認証やら型式証明の取れた部品を製造しているんでしょうね?と話したらうちの会社は防衛省向け以外にも型式証明取れた部品の販売もしてますよとの事。三菱さん興味しめしませんか?との問にMRJの参画のトライアルに落選してしまいましてとの回答。やはり三菱の子飼いメーカの型式証明の取れてない部品を優先した模様。それ聞いて駄目だこりゃと嘆きました。やはり悪い意味で軍用機のノリで設計開発してた模様。安全性の為の冗長ユニットを効果的に分散配置では無くなんとなく集中配備にしたりと色々残念な結果がそれを物語っていました。
せっかく意気込みを見せMRJを開発する気になった事を評価し期待したのだから何とか物にして欲しいんですが、思い入れが深い分、愚痴ばかりになりすいません。
やれやれ
2018/02/23 23:22
> 1/13(土)に靖国神社の会館にて陸自需品の賀詞交歓会が行われたが、わざわざ物議を醸す醸すようなところでやりやがって、と市ヶ谷内部でも顰蹙との噂。

陸自のお偉いさんがアレ総理と日本会議、日本遺族会の御意向に忖度したのかな?(呆)
被本塁打大王
2018/02/23 23:26
新規に商品を売り出すからには、相応のリスクが生じるのは避けられないですよね。上手く行くかは分からないのだから。それを火中の栗を拾おうとせず現状維持に徹しているのなら、じり貧になるばかり...。それでも何一つ変えようとしないのだから、そら、中国や他の国にすら、どんどん追い抜かれますよ。スバルも防衛省の受注にしがみつかないで潔くヘリ関連の部門を売却するなり畳むなりすれば良いのに。



>空母いぶき:かわぐちかいじのマンガが実写映画化 19年公開

http://news.mynavi.jp/article/20180224-588727/

「いぶき」乗員の会話シーンなどの描写は、実物大のセットを作るなり「いずも」内部で撮影したりするのでしょうけど、F-35Bやオスプレイ(HSで代用するのかもしれませんが)の運用シーンはCGで合成でもするのでしょうかね?
KU
2018/02/24 11:11
清谷様への質問

この記事の真意は、リスクがあるからこそ、回避・予防するために知恵を絞り、対策を生み出すことができるという意味でしょうか?
現在の職場の先輩からこんなことを教わりました。リスクがあるから安全だ! なぜなら防止するため対策を練るし、慎重になるから。
あと最大のリスクは依存で、依存先がこけると連鎖してこける。また防止する手段を講じないため 危機があった際は、思考停止になるからではないでしょうか? リスクマネージメントの手段は色々ありますが、先に何が起こるかわかりません。個人レベルでは失業、病気、災害。 組織レベルでは訴訟、倒産 国家レベルでは災害、恐慌、戦争等 際限はありませんが 費用対効果や優先順位を考えてリスクマネージメントを考えることが肝だと思います。
元キャプテン
2018/02/25 12:59
>自衛隊 ヘリ故障“公表”せず 山口県内に約3週間駐機

http://www.tnc.co.jp/sp/news/articles/NID2018022501399/


>>>ヘリの故障について芦屋基地は「事故には当たらない」として公表していませんでした。

トラブルを起こしたことには何ら変わりませんよね。しかも、翌日辺りに修理を終えて離陸したとかならともかく、3週間も動かせず、来月の陸送待ちって...。
KU
2018/02/25 19:52
KUさん
>自衛隊 ヘリ故障“公表”せず 山口県内に約3週間駐機
これは知りませんでした。しかも救難ヘリですね。これは救難体制に穴やしわ寄せが起こることを意味していると思いますが、故障原因が分からないから修理もできないか修理設備がないと部品交換できない箇所の故障ということなんでしょうね。CH-47で運べると思いますが長距離だからかヘリ墜落の影響でリスクを取りたくないから安全な陸送にしたかでしょうが色々残念ですね。一応野外でも修理できる装備はあったと思うのですが持っているのが陸自だけでしょうか?
「F-35Bやオスプレイ(HSで代用するのかもしれませんが)の運用シーンはCGで合成でもするのでしょうかね?」
ロッキードマーチンが気前よくモックアップを貸してくれるとか三沢のF-35Aと岩国のF-35Bのビデオを借りるか撮らせてもらって使用かも知れませんね。戦闘シーン等はCGでしょうが。
やれやれ
2018/02/26 08:58
お邪魔します。
 植物は厳しい環境に耐えられるものは他との陣取り合戦には弱く、他との陣取り合戦に強いものは厳しい環境に弱い傾向があると聞いた事があります。環境に破壊他の変化があると最初は厳しい環境に耐えられるものが生え、その後他との陣取り合戦に強いものが取って代わり、再び変化があるとそれらが淘汰されるといった繰り返しです。
 企業も例えば「どう変わるか予測し切れない、基本配慮も忖度もしてくれない市場や消費者に合わせるしか無い」といった"厳しい"環境ではそれに適応できる企業が繁栄し社員が出世するでしょうが、そういった"厳しい"環境が無くなれば仲間内政治や忖度他に長けた企業が繁栄し社員が出世するのでしょう。そうして最終的にはそれらが淘汰されるのもある種の”必然”ではないかと思われます。米の場合は「付加・効用価値を生む者よりも、それらの上前をはねる者が主導権を握る」状況になったのでは。惜しむらくは生態系とかの場合にはそれなりの蓄積が成された結果としての主役交代でしょうが、日本の防衛産業や航空産業は蓄積の無いままにそうなってしまったようです。あたかも「一人っ子政策他で先進国になる前に高齢化社会に突入する予定の中国」みたいに。
 Wikiに日本の蒸気機関車は欧米に追い付く事無く終わったといった事が書いてありました(戦後の新幹線で世界の第一線に立てたか)。かつての日本は機関車を輸出していませんでしたし、欧米の企業が狭軌の日本にわざわざ参入もしなかったろうし、当時は国鉄で私企業では無かったので、「技術革新で付加価値を求める」事もなかったのでしょう。日本の航空産業や防衛産業も世界に追い付く事無く終わるのかも知れません。
ブロガー(志望)
2018/02/26 22:47
>>>故障

やれやれさん

しかも、トラブったのが佐賀で陸のロングボウが墜落したのと同じ日だそうです。いくら世間の耳目がそちらに集中していたとはいえ、トラブル隠しとも受け取られかねない今回の未公表という決定には、首を傾げたくなるのですが。

>>>いぶき

これがアメリカなら、それこそ空母上にドーンとモックアップを載せちゃうのでしょうけど(^_^)。「亡国のイージス」の撮影の際は当時、防衛庁長官だった石破さんの一声でかなり融通が効いたようですが、今の小野寺さんは、見るからに堅物そうだし...。
KU
2018/02/27 07:08
ブロガー様へ

お説の通り、変化しないものは淘汰される。ガラパゴスは死滅する運命でしょう。社内報でも うちの社長は変わらなければ市場から淘汰される。ニーズやトレンドに敏感たれ!と発破をかけています。 ビジネスの世界では当たり前ですが。
私の古巣の職場は旧態依然の日本相撲協会と同じく、JY=時代を読めなく、閉鎖的なガラパゴスな業界、変化なし、進歩なし、学習能力なし。官僚組織だからと言われればそれまでですが。
元キャプテン
2018/03/01 13:40
ホンダジェット、好調なようで結構な事です。
温かく見守るだけでなく日本国内でも購入する企業が出てきて欲しい所ですね。
八王子の白豚
2018/04/02 00:51

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