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zoom RSS 安倍首相のいう、「起業」ってなんなのよ?

<<   作成日時 : 2017/08/10 13:28   >>

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アベノミクスで増えぬ新規開業 融資の二重保全が壁
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC07H1J_X00C17A8EE9000/


>アベノミクス始動から4年半。安倍晋三政権が当初から課題としていたベンチャー育成
が思うように進まない。原因の一つが「石橋をたたいてわたる」銀行の融資姿勢にあるこ
とが金融庁の調査でわかった。

「わかった」てなんだよ(笑

金融庁のいうこと鵜呑みにしました、ということですかね。
それでいいんですかい?


> 新規開業の壁の一つになっているのが「二重保全」を求める銀行の融資姿勢にあるとの
見方がある。不動産などの担保をとった上で万一に備え信用保証協会などの保証も求めて
いることが起業家の重荷になっている。


>銀行にも事情がある。保証にこだわる理由の一つが“金融緩和疲れ”。昨年2月に始ま
ったマイナス金利は収益を直撃し「金利が低いんだから、債権の保全くらいしっかりしな
ければ」(ある地銀の支店幹部)。現場ではこうした意識が強い。


起業経験者としていわせて貰えばこれはごく一部の理由ですよ。
そもそも起業ってなんなの?
IPOで濡れ手に粟を目指すのか、個人経営のラーメン屋を増やすのか。
同じ起業でも全く違います。


金融機関に関しては、以前に比べれば、保証は随分低くなっていますよ。
問題は欲しいときに貸してくれないことです。

業態にもよりますたが、大きな仕入れをしたりすれば運転資金のつなぎで数ヶ月だけ一定金額を借りたい
ことがありますが、これに迅速に既存の金融機関は対応できない。

一般にはあまり知られていませんがAmazonや楽天は出店者にカネを貸してくれます。それも即座に。ウチの会社でも相応の金額を借りることができます。

ところが通常の金融機関では手続きが長いし、返済も割合長期に設定されたりします。
例えば仮に年利20パーセントの高金利でも、3ヶ月で返せば4.9パーセント程度です。年利10パーセントならばその半分です。金利が低くても審査に時間がかかるよりは遙かにマシです。

多少金利が高くとも即座の融資があれば、特に新しい企業には便利でしょう。
ところが変に金利を抑えているので、それができません。

だからサラ金や街金でカネを借りる中小零細企業は少なくないわけです。


それから既に何度もご案内していますが安倍政権では零細企業にも厚生年金加盟を強制しています。前から法的に加盟する義務があったのですが、罰則がなく、それが事実上守られていなかったわけです。ですから、加盟するのは当然ですが、それが起業したての会社には重たい。

例えばお父さんが脱サラして、お母さんが副社長、娘が専務という父ちゃん、母ちゃん、姉ちゃんの3ちゃん企業でフルタイムのアルバイトを一人雇ったとします。厚生年金に加盟すると全員分の厚生年金の半額を会社が負担します。経営者の立場からすると、一人の社員の年金を払うために、自分たち3人は、二倍の年金掛け金を払っているのと同じです。つまり税金を召し上げられているのと同じです。

これは零細企業にはとても大きな負担です。本来上場企業と零細企業の年金を同じシステムで運用することに無理があります。この厚生年金強制加盟で確実に起業のリスクが高くなりました。
例えば、会社の規模によって、会社の負担する年金の比率を変えることも必要でしょう。


国が音頭をとるのであれば、国や自治体が新しい企業から積極的に調達を進めるのも手です。
例えば英軍では80年代に当時新興企業だったスパキャット社のスパキャットを空挺部隊用の車輌として大量に導入しています。自衛隊でこのようなことは不可能でしょう。
既に実績のあるプライムからしか調達しない。だから実績のない日立に、無人機や無人車両をやらせてまともな成果も上がらず、カネだけは浪費することになっています。

役人は既存の大手と付き合いたがります。それは保身ためです。ベンチャー企業の製品を採用して問題がでれば、責任を問われますが、三菱重工とか日立ならしょうが無いよね、で済みます。
これは民間企業が広告を電通やら博報堂やらに依頼するのと同じです。結果クズのようなものに、多額の費用が費やされます。私企業はまだしも国や自治体のカネは税金です。
保身のために多額の税金が浪費され、新興企業のチャンスを奪っているわけです。

例えばUAVにしても新興企業の製品をどんどん採用すれば宜しい。駄目ならばリプレースすれば言い訳です。
ですが防衛装備の場合、そうしても問題があります。単年度しか契約できないので、事業計画たちません。

例えばUAV100機を5年間で毎年20機づつ調達、8年間のサポート業務込みで契約すれば新興企業にとって、事業計画が立てやすくなります。そうすれば銀行からカネも借りやすくなります。また他の事業を支える柱にもなって、会社の成長が確実なものとなるでしょう。

ところが現状調達数が少ない上に、今年注文がはいっても来年はゼロだったりします。しかも数量もバラバラでこれでは事業計画が立てられません。それに付き合えるのは資本力のある大手企業だけです。


安倍首相が自画自賛するほど、優れた指導力がある大宰相であるなば、国や自治体が競って新興企業から調達をするように指導すべきでしょう。また保身のために大手企業とだけ付き合うなと指導すべきでしょう。それが一番の「岩盤規制」対策ではないでしょうか。
お友達の学校法人を優遇して税金使って儲けさせてやることが岩盤規制に対する対処ではないでしょう。

政府、自治体がそういうマインドを持てば随分と新興企業の後押しになるかと思います。
日本人の悪い癖で、自分で評価ができない。だから外部(外国人だったりします)の評価が定まったモノが大好きです。だからヴィトンのバッグが売れたり「世界の黒澤」とか「世界の坂本(龍一)」とかいった間抜けなレッテルが大好きです。ですが、自分で評価できないというのは自分は馬鹿で無能であると公言しているに等しいことで、威張れる話しではありません。

学校でも教育にそういう視点を持ち込むべきです。


安倍首相はアベノミクス大成功と自画自賛しています。倒産も減っていると主張していますが、これも実は羊頭狗肉です。

週刊ダイアモンドの8月12・19日号の「倒産専門弁護士が教える会社の再建と生産の分岐点」という記事で隠れ倒産が増えていると指摘されています。
ここで示されているグラフをみれば、安倍政権で倒産が減ったのではなく、08年のリーマンで急激した倒産が、徐々に減ってきたのであって、安倍政権の手柄ではないとこが先ず一点。

そして安倍政権下においても休廃業・解散の件数は増えています。リーマンショック前の約2万1千件が、16年度では2万9千件以上となっております。

更に申せば統計でいう「倒産」は実態を示していません。この「倒産」は法的な手続きをとったものです。夜逃げしたようなケースは含まれていません。また倒産しても、その後事業を第三者が引き継いで継続することもあるわけですが、それが統計ではわかりません。
恐らく安倍首相はそのことも知らないのでしょう。あるいは知っていても都合のいい数字をだけをもてあそんでいるのでしょう。それは彼が最近覚えたお気に入りの言葉でいえば「印象操作」です。
少なくとも安倍首相が正直な人間であれば「(夜逃げはしらないけどね、法的な手続きをとった)倒産は減っています。しかし、休廃業・解散の件数は急増しています」と言わないといけないわけです。

ところが「印象操作」をしたわけです。
それにコロッと騙されたのが安倍首相の支持者たち、特に情弱なネトウヨの人たちです。
実際に経済の現場にいれば、経済の実態がよくなってないことは誰でもわかる話です。ところがアレ首相とかそのサポーターにとって「経済」とは抽象概念でしかないのでしょう。


更に申せば我が国は法治国家とは言えないほど法に実効性がない。とくに経済犯罪には非常に寛容です。数百万円レベルの取り込み詐欺はやり放題で、警察は「民事不介入」と逃げます。店子が夜逃げしても、大家は店内のものを廃棄して、他の店子に貸せない。法的な措置をとる必要がありますが、費用が関わる上に、残された品々を倉庫を借りて、保管する必要がある。逆に店子の納めた保証金を大家が使い込んでも、取り返すことが殆どできません。しかも裁判で判決がでても、相手の口座を原告が知っていない限り取り立てすらできません。

ですから大家が10ヶ月とか20ヶ月かの家賃を平気でとるわけで、これが恒常化しています。これがスタートアップした企業にとって大きな負担であることは言うまでもないでしょう。
例えば500万円の資本金でスタートして、20万円のオフィスかりて10ヶ月の保証金ならば20万円です。店舗ならばもっと高いことが普通にあります。その分だけ資本効率が悪くなります。

こういう無法がまかり通っているわけで、これまた新しい企業にとってはマイナスでしかありません。



起業を増やしたいのであれば、空理空論やらアメリカ帰りのインチキ「専門家」の戯言きくよりも、現場で何が必要か、何が足りないか、何が問題かを自分の目や耳を使って調べ、権威に頼らず自分の頭をつかって仮説をたてて、行動を起こすべきです。

自分の都合のいいことをならべて、無敵皇軍だと強弁しても経済は良くなりません。


Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
災害派遣に不向き「AAV7」
http://japan-indepth.jp/?p=35263

週刊朝日にコメントしました。
「司法試験に合格した?」と驕る稲田朋美氏 陸自“2.15クーデター”で撃沈〈週刊朝日〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170730-00000022-sasahi-pol

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
>金利が低くても審査に時間がかかるよりは遙かにマシ

あーこれ大事ですね。コンビニとかと似たものを感じます。急に欲しい、という時に近場で買えるというのがウリで、それが当たった面がありますし。
ふきのとう
2017/08/12 13:16
お邪魔します。
 首相は自分の意向を「忖度」してくれる人達に囲まれて今日まで来たのでしょう。起業の際にそれをする人に対して「忖度」する人はいないでしょうけど。
ブロガー(志望)
2017/08/14 11:04

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