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zoom RSS トランプノミクスは米国民を救わない。

<<   作成日時 : 2017/04/07 22:59   >>

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アメリカにあふれる「墓場」のようなショッピングモール

https://www.businessinsider.jp/post-1440

まさに死屍累々です。
原因はネット通販に破れたということだ言われています。無論それも大きいでしょうが、それだけでは無いはずです。アメリカの普通の生活者が貧困化していることも大きいでしょう。

中間層が痩せ細って、時給のワーキングクラスに落ち、ワーキングクラスは無職に転落している。
カネを使う余裕が無い。

その一方で人口の0.01パーセントの大富豪、その取り巻きだけが甘い汁を吸う構造になっています。


いくら庶民が困窮しようと金融屋と投資家がもうかれば、「好景気」だと大手メディアは報じます。彼らが使う専門家は大抵が株屋の予想屋ばかりです。実体経済に興味が無く、株式相場の乱高低すればそれでいいのが彼らの本音です。極論を言えば実体経済が壊滅しようと、株価が激しく動き、短期の配当がとれればいい。


カネでカネを儲ける阿漕な資本主義の蔓延です。
大株主と経営者が結託して会社を食い物にしています。

会社が儲かっても人員削減し、そのカネで自社株を買う。そうすれば株価が上がります。
同様に従業員の教育はしない、工場は売り飛ばす、R&Dもしない。内部留保も全部はきださせます。
そうすれば固定費用がミニマイズされて、これまた株価が上がり、配当が増えます。

ですが中長期的には企業は競争力を失います。従業員は熟練せず、会社に忠誠心も無い。将来の儲けにつながる開発も無い。製造や開発のノウハウも蓄積されません。また、経営環境が激変してもそれに耐えられるだけの、内部蓄積もない。
ですが、利益を搾り取った後の企業が潰れようか、投資家も経営者も気にしません。そのころには別な企業に行っています。

以前付き合っていた防爆ライトの会社ですが、パーセンテージで不良品がでてました。それはランプと反射鏡のアッセンブリーをメキシコの技術の無い会社で行っていたからでした。非上場の小さな会社でしたが、経営者だけが大きな年収を得て、設備投資に全く投資をしませんした。中間管理職も以前の付き合いのある海外の代理店をきって、大手の商社に乗り換えたのですが、そのようなことが露見し、また不良品率が問題となって取引を停止されました。ですが担当者はその「輝かしい実績」をもって、転職しました。
これは10年以上も前の話です。


極めて短期に利益を上げるために、詐欺のような商売をする企業も増えています。ですから、余計にリーガルコストがかかります。これも米国の社会を歪めている原因です。
ですから、ウチも米国企業とのお付き合いは気をつけています。

こうして解雇される人たちが多いのですが、特に技能をもった中間層の転落は深刻です。
彼らの持っているスキルも失われるし、消費者として単純労働者よりも多くのカネを使うだけではなく、文化やレジャーなど多様な支出を行います。その彼らが減れば国内市場は疲弊し、新しい文化も生まれません。それは新しい産業も生まれないということです。


やくざな金融業だけが肥大しています。彼らは何も生み出さず、カネからカネを生み出しているだけです。実体経済に貢献などしていません。本来金融はビジネスの血液を提供するものです。1年で何十倍も資金を膨らますような利益はでません。
それを出しているのは、実業を食い物にしているからです。


多くの米国民がトランプを支持したのは、金融屋などから政治献金を潤沢ににもらっている既存の政治家、そしてウォールストリートジャーナルなどに代表されるメディアが実体経済をみずに、阿漕な金融資本主義を礼賛し、国民が疲弊しても経済は好調だとうそぶいてきたからです。

トランプ候補はそれにオブジェクションを唱えているように見えたわけです。

ですからトランプ氏のわかり易い、アメリカを元気にするという話に飛びつきました。
ですが、労働者の仕事を増やすことはトランプ政権には無理でしょう。

トランプ大統領は米国がうまくいっていないは、外国企業や国外で生産した製品の流入だけを問題にしています。

ですが、本質的な問題は行きすぎた金融資本主義、株主資本主義です。
国際化が進んだ現代の社会で、ブロック経済は持ちません。
相互依存は時代の流れです。

例えば今米軍で外国オリジンの兵器の採用を止めたら、多数の外国製兵器を導入している米軍は自滅します。


米国を立て直すために必要なのか、雇用、特に分厚い中間層、従業員に対する教育、R&Dや設備に対する投資、つまりは中長期を見据えた企業経営です。株主偏重の株主資本主義、金融資本主義を修正する必要があります。

問題は外国企業や米国企業の海外生産だけではありません。

繰り返しますが、米国企業にしても、バランスシートをきれいにするために、過剰に工場や設備、人員を削減して海外に生産を置き換えたり、OEM供給に変えたりしてきました。

短期の株主と経営者の利益の極大化を止めさせない限り、米国経済の根源的な問題は解決しません。
企業が中長期的な投資をし、勤労者の質を高める努力をしないと米国内の製造業の競争力は戻りません。
健全な中産階級も増えません。

極端な話、アメリカ人の99パーセントが文盲になったら経済は立ちいかなくなるでしょう。

現在の株主資本主義は19世紀の資本主義に先祖返り化しています。
これで未来があるでしょうか。



ところがトランプ政権にこれを改革するのは無理です。ご本人が不動産屋で、ブローカー体質な上に、経済政策を担当するスタッフが金融関係者ばかりです。

当面企業に国内に工場作れ、雇用増やせという脅迫は効果を発揮するでしょうが、それもすぐにメッキが剥がれるでしょう。次第にトランプノミクスの矛盾が露呈してきます。

トランプ政権はイリュージョンだった、ということに人々が気づいた時はどうなるでしょうか。
またこのまま、0.01パーセントの富裕層が富を吸い上げて、庶民が疲弊するとなると米国はどうなるでしょうか。
この点から見れば、米国の先行きは長期的には全く展望が持てません。

ですが、株や金貸し業界に所属する「経済の専門家」はこういうことを未だに指摘しません。

大統領選で、ヒラリーの代わりにサンダースが民主党候補になっていたらどうなっていたでしょうか。
そしてサンダース大統領になったらどうなっていたでしょうか。
少なくともヒラリーやトランプよりは遙かにましな政治を行ったのではないでしょうか。


そしてその米国式株主資本主義の猿まねをしているのが、我らが安倍首相であります。
日本企業に外部役員の採用、高いROEなど米国式の企業統治、株主第一主義を押しつけています。
そうなれば日本企業の強みは失われ、アメリカのハゲタカのような投資家に骨までしゃぶられて捨てられるでしょう。その安倍式ガバナンスの優等生だった東芝はご覧の通りの状態です。
こういうのを「日本を取り戻す」とか「戦後レジームからの脱却」というのでしょうか。





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アメリカの現状のすさまじさを極めて端的に語っています。著者の以前の著作も必読です。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
戦後レジームを潰すのならほとんどなんでもokというのが頭でしょう
それ以外、何かがあるわけでもないと。

いまの株主主義をどうするかと。
ケインジアンがその答えだったわけだけどね。
それもオイルショックで無効になっちゃったノがすべての原因でしょう。

また、アベノミクスというか、戦後からの脱却はそういうケインジアンからも脱却が符号もしちゃってるような、裏書き的だけど。

日本を取り戻すというより、「戦後をぶっつぶす!」
というのがアレなのでは。

第一次大戦後や、国際連盟期、大正も、そう褒められたような時期でもないんだけどね。

日本は、その頃5大国に列せられてたわけで、薩長系には、たぶん輝く黄金期として認識されて語り継がれてルのでしょう。
そこらへの認識もないということでしょう。
aaa
2017/04/08 00:30
アメリカ経済と言ったら、軍産複合体もお忘れなく。

個人的には、アメリカ軍需産業では、レイセオンとジェネラルダイナミクスの株を所有しており、トランプが当選してから株価が上昇しているので、正にトランプ様様だ。

期待に違わず、今回もトランプ大統領には、化学兵器使用のならず者国家に対してトマホークを59発も打ち込んで、レイセオンの株価をぶち上げていただいた。

今後も、トランプ大統領には、59発なんてけち臭いことを言わないで、ならず者国家に対して、1000発でも2000発でもミサイルを打って打って打ちまくっていただきたい!

ちなみに、ミサイル製造は立派な製造業だし、R&Dも活発なのではないか?
真の愛国者ゆりか
2017/04/08 09:12
巨大な覇権国家であるアメリカの終焉の入り口を我々は見ているのでしょうか。
八王子の白豚
2017/04/08 18:55
お邪魔します。
 米空軍がF15の近代化改修をやめて退役させるという話が出ています。対称戦では「相手(敵)の同種の兵器に勝る」事が目標になりますが、非対称戦ではそういった目標が設定し辛い事が、一連の兵器開発及び維持(F35、ズムウォルト級駆逐艦、LCS他)の迷走を招いているのではないかと思われます。
 それから古代ローマはかつてろくでもない王がいたせいか王に対する拒否反応を身に付けてしまいました。そのため少なくない有能な政治家が「あいつは王になろうとしているのではないか」と排除され、「巨大な帝国になったローマが都市国家だった頃と同じやり方では統治できない」事を認識していたユリウス・カエサルですらその壁を超えられず、アウグストゥスは言わば"なし崩し"で帝政を実現しました。「福祉の充実」を唱えればアカ呼ばわりされかねず、皆保険モドキのオバマケアを代替案も認めず葬り去ろうとするアメリカで、サンダースがカエサルになるのか、アウグストゥスになる人物はいるのかに興味があります。
ブロガー(志望)
2017/04/09 08:09

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