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zoom RSS 海自のUH-X選定よりも空自のUH−X選定の方がよほど問題だと思うぞ。

<<   作成日時 : 2016/11/26 23:42   >>

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海自ヘリ機種選定で海上幕僚長らの処分検討 防衛省
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161125/k10010783531000.html


>海上自衛隊の次期多用途ヘリコプターの機種選定をめぐって、海上自衛隊トップの海上幕僚長の発言をきっかけに選定作業をやり直すことになり、手続きの公平性が保てなくなったとして、防衛省は海上幕僚長らを処分する方向で検討していることがわかりました。
海上自衛隊は、輸送や救難などにあたる次期多用途ヘリコプターについて今年度の予算化を目指し機種の選定を進めていましたが、手続きに問題があるという内部通報があったため、選定作業を中断して防衛省が特別防衛監察を行っています。

>防衛省関係者によりますと、機種選定では、当初、中型ヘリが有力候補になっていましたが、説明を受けた武居智久海上幕僚長は「次期型に本来求めているのは大型ヘリというコンセプトではなかったのか」という趣旨の発言をしたことがわかりました。その結果、選定作業が改めて行われ、大型ヘリが有力候補に変わりましたが、製造できるメーカーが事実上、1社しかなく、手続きの公平性が保てなくなったということです。


この話が本当ならば、馬鹿な話です。そんならUS-2やら10式の調達でコンペやりましたか?
という話です。

これで海幕長が処分されるならば、空自の現用救難ヘリ採用時の空幕長、装備部長、航空機課長あたりは全部、官製談合を目論んだことで、懲戒解雇すべきだったでしょう。


守谷次官のスキャンダルの一件以来、なんでも競争入札になりました。おかしなことに10式戦車の調達でも形だけは競争入札だったそうです。だれが手を上げるんでしょうかね。

この硬直した調達システムのせいで、むしろ調達が歪んで、コストも上がっています。

実際問題として記事のいう、中型ヘリは三菱重工のSH-60Kベースの機体です。対して大型機はMCH-101ベースの機体です。恐らくは三菱重工に通じている将校や将官が陰謀を巡らせたのではないでしょうか。
或いは単なる内部抗争か。いずれにしてもろくなものじゃないでしょう。

ですが、本来想定されておる目的ならば大型ヘリが有用なのは誰がみても明らかでしょう。これは主としてDDHなどに搭載される予定の機体です。
哨戒機のクルーの全員の救助ができますし、ヘリのエンジンやローターブレードの運搬も可能です。また災害時や揚陸作戦でも小型の車輛まで運搬できます。
そもそもMCH-101を導入する際に、救難も101を採用するという話もあったそうです。

現在MCH-101は11機しか無いので整備効率が悪いのですが、同型機が増えれば整備効率や運用単価が下がります。さらに将来英海軍が採用した早期警戒システムなども搭載できます。海自はこれに関してはあまり積極的ではないようですが。

多様な任務に対応するならば101に軍配があがるでしょう。他に候補がないわけはないでしょう。ランプドア付きの、ヘリならばNH-90やら他にも候補があるはずです。シングルテンダーになるはずがない。


対してSH-60Kベースではこれらは全部できません。安いだけが取り柄です。といってもそれは国産の101と比べての話で、UH-60といっても、米国製の3倍はしますけども。

しかも質にも問題があります。シコルスキー製のSH-60と三菱製のSH-60Jを乗り比べた海自の搭乗員は三菱製の機体とくらべて振動が極めて少ないことに驚いたそうです。
それがより三菱の独自性が発揮された60Kだと更に悪くなり、当初搭載機器が止まってしまった程です。オリジナルの何倍ものコストを払って、なんで性能的に劣った機体を調達する必要性があるのでしょうか。
シコルスキーから調達して、浮いたカネを別なことに使うべきでしょう。


ところが次期哨戒ヘリも三菱製となることが決まっています。

対してMCH-101は国産化といいつつも事実上組み立てだけなので、性能劣化が少ないようです。これまた数からいえば、輸入に切り替えるべきですが。

先の空自のUH-X調達は競合は形だけで、初めから三菱製の機体調達が決まっていたようです。
その前の現用型のUH-60Jの調達価格は概ね50〜60億円、大してUHーXプロジェクトでは総経費が1900億円、機体費用はその半分ですから、調達単価は23.75億円です。これに三菱製の機体が収まるはずがない。

実際現在の調達はまとめ買いをしても50億円ほどです。つまりは当初見込みの2倍以上です。つまり、プロジェクトその総額は2倍以上に膨らみます。

どう考えても三菱のUH-60Jが半額になるはずはないでしょう。半額なると思ってたと主張するのは、当事者能力が欠如しているのか、頭がおかしいののか、メーカーと何らなかの利益関係が疑われて然るべです。

この件はぼくは何度も空幕長や大臣会見で問い質しましたが、関係者が処分されてることなく、皆さん順調に出世されるなり、天下りされていることでしょう。

そもそも国産ヘリを作り続ける意味はないでしょう。民間ヘリは事実上Bk117だけ。後は半世紀以上も防衛需要におんぶにダッコで、てめえで空を飛べないニワトリ航空産業です。
そんな無駄なカネを航空産業振興の名目につぎ込むならば、MRJのテコ入れにつぎ込む方がマシでしょう。少なくとも世界の民間市場で勝負しようする気位があります。

官需にたよって、甘い汁を吸う業界にカネをバラマキ続ける必要性はありません。
有事にしても増産するなんて無理です。一体何年かかるんですか。しかも国産比率は年々減り続けており、いざというとき海外製のコンポーネントを量産してもらえるんでしょうかね。

輸入に切り替えて、予備機、予備の部品をストックしておけばいいし、また同じヘリのユーザーから融通してもらう仕組みをつくほうが現実的で、即応性があります。国産ヘリの調達予算の半分もあれば、相当の予備機が買えるでしょう。
浮いた予算でヘリの定数を増やすなり、護衛艦の乗員を増やすべきです。その方がよほど戦力の強化になります。あるいは、やる気も能力もないドブのような防衛企業にばらまく金は子育てや奨学金に使った方が遥かに国益に合致していると思います。


東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
「駆け付け警護」は自衛官の命を軽視しすぎだ
http://toyokeizai.net/articles/-/146208


駆けつけ警護に関してJapan In Depth に以下の記事を寄稿しております。

自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その1 情報編
http://japan-indepth.jp/?p=31070
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その2 火力編
http://japan-indepth.jp/?p=31120
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない。その3防御力編 前編
http://japan-indepth.jp/?p=31185
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その4防御力編 後編
http://japan-indepth.jp/?p=31379
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その5戦傷救護編
http://japan-indepth.jp/?p=31436



































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内 容 ニックネーム/日時
この程度で幕僚長のクビが飛ぶというなら、今まで何人のクビが飛んだことやら。普通に考えて機体の導入以外の話も絡んでのことなのでしょうね。だけど、自衛隊もいつまで国産化に拘るのでしょうね?以前、某航空雑誌なんぞは「国内で生産しないと稼働率ガー」なんて主張していましたが、それを言ったら完成機を輸入して運用している民間エアラインなんて、毎日のように予備機の確保に四苦八苦しなきゃならないじゃんwと思ったことがあります。防衛省に義理立てしたところで、問題が解決するわけもないでしょうにね。それはそうと、これで多用途ヘリの調達が白紙になった場合、101以外の機体も候補に加えるともなると、S-92やNFH-90も対象になるのでしょうか?
KU
2016/11/27 07:52
>輸入に切り替えて、予備機、予備の部品をストックしておけばいいし、また同じヘリのユーザーから融通してもらう仕組みをつくほうが現実的で、即応性があります

>完成機を輸入して運用している民間エアラインなんて、毎日のように予備機の確保に四苦八苦しなきゃならないじゃんw

以前から、再三に渡り、述べている様に、防衛装備品の純国産化、若しくは海外から、既存の装備品を導入する場合でも、海外から、完成品をそのまま、導入するのではなく、ノックダウン若しくは、ライセンス生産を行うのは、意義が有ります。

試行錯誤したり、優れた海外の技術吸収を行う事で、その後に繋げる事が出来ますし、自らの造改修能力の向上等にも努められます。更に国内に仕事を造る事すら、可能で。

確かに主様らが述べている様に、完成品や予備部品等を買い込み、ストックする。また、同じ装備を有する海保や警察等の他の官公庁ユーザーと自衛隊と装備を共通化し、整備や運用を融通し合う。即応性の向上に於いて、これ等を否定しません。

しかし、近隣の非友好的な独裁超大国等と領土、領海争いとなった場合、短期決戦でカタを付けられない場合も否定できません。事実、サダム=フセインはイラン イラク戦争の際、3か月でテヘランを陥落させると豪語しましたが、イラン側がイスラム革命で混乱していたにも関わらず、極端な長期戦になりましたから。

チャイカ
2016/11/27 20:26
続きます。
また、完成品や予備部品の輸入に頼った場合、供給国側が、日本と先方を天秤に掛け、此方側が不利な状況下に置かれる場合等も有ります。特に近隣の独裁超大国の場合は、潤沢な資金等で切り崩し工作の類も仕掛ける事も可能です。

敢えて述べよう、防衛装備品の輸出入などは『性能』は元より、それ自体『政治』で、完成品の輸入に頼る事は自らの独立に影響しかねません。

主様らのご意見には、これ等の疑念が付いて回りますが。

また、途上国が技術等の壁の中、採算に困難が有っても国産装備の振興等を図っているのは・・・。
チャイカ
2016/11/27 20:26
そう言えば、世艦の最新号にて前自衛艦隊幕僚長の内嶋さんが、「あさひ」の解説記事で26DDに新造時からRWSが搭載される、と書いておられますが清谷さんは何か耳にされていますか?
KU
2016/11/27 21:49
国産化はまあ、普通の国 ならそうでしょうね。でも官民共にまともな努力していませんよ。機関銃ですら何十年も他国の何倍、来年は10倍で調達、しかも品質はオリジナルに遠く及ばず、近代化もされず、自社オリジナル製品も作れない。例えばおたくの病院で融通がきくからと院長の友達の会社から相場の10倍でよく故障して、性能も悪いCTを導入しますかね。しかもそのCTで金を食われたので、注射針を使いまわしたり、消毒液を薄めて使うようなものですよ。へりにしてもマトモな民間型を開発も販売もできない。やっているのは安全保障を言い訳にした税金の食いあらしですよ。
RWSの件は存じません。
キヨタニ
2016/11/27 23:06
清谷様へ

現海幕長はあと1ヶ月もしないうちにリタイアします。懲戒処分は意味ないでしょう。まぁ新大統領がTPP脱退する決定してるのに国会で批准するしないと不毛な論争していることと変わりません。次の海幕長は誰になるのでしょうか?自衛艦隊司令官なのか?横須賀地方総監なのか。艦艇上がりとパイロット上がりが交互になるパターンがありますが。
チャイカ様へ

私は現役時代、調達・補給と会社で言えば事業・生産畑が長い経験から言わせていただきます。
日本の防衛産業の特徴として
・ 護衛船団方式
・依存体質
・ 競争意識や営業努力が足りない。
・殿様商売
・田舎の公共事業と 似た構造
・国営企業
私の持論を言わせると業界再編成し、営業努力しない、競争力のない会社は淘汰されて然るべきです。資本主義ですからね。基本は。
自衛隊側もコンセプトがはっきりしない装備体系、職種間のくだらないメンツとセクト主義、経営感覚なし、コスト意識なし、経済の知識 中学生並み。
国産にしても、逆にコストや品質も向上しないと思います。根本が変わらないと。競争ないと向上しないでしょう。ビジネスでは。試験のない入試で大学に入るようなものです。 それじゃ授業についてこれなく、留年だ!
チャイカさんが院長先生として、国産で 単価1000円 効果は動物実験しかわからない。輸入品だけど単価500円、効果は臨床試験済みで、実際治療で効果は確認済み 。どちらの薬を選ぶでしょうか?並みの頭の持ち主だったら後者の輸入品でしょう。 供給がストップしたとしても前もって備蓄すればいいし、リスク回避で複数の国から輸入すればいい。国産に拘る理由はない。品質・価格・コストがいい物が売れるだけ、反対の物は 売れない。
経済は需要と供給のバランスで成り立っていますから。
元キャプテン
2016/11/28 00:08
海幕長が「大型ヘリで行くんじゃなかったのか?」と言った事が問題となっているようですが、キヨタニさんが書いているように海自が考えていた用途だと大型が良かった筈なのに、「中型にします」という話が上がって来たから海幕長が「何でこうなったの?」と疑義を差し挟んだだけでしょう。
それを職権濫用で選定に圧力をかけたというのでは海幕長が気の毒です。
三菱派の幹部に脇腹を刺されたって推論、正解かも知れませんね。
どうして装備の選定は毎回毎回首を傾げる話ばかりになってしまうんでしょう?
八王子の白豚
2016/11/29 00:38
チャイカ様、
 
仮に、ノックダウンを作って、それが純国産につながる日がきたとします。 それを輸出する相手国もまた、同じ理由からライセンス生産を要求します。
 
オーストラリアの潜水艦の件も、地元の新聞は「これで雇用が何人増える?」といった趣旨の話ばかりでした。 インドですら、ラファールのライセンス生産に固執してなんどもちゃぶ台をひっくり返しました。
 
頑張ってディールを成立させても、せっかく開発した技術を切り売りして、現地の人間を雇って相手国の税金を浪費するだけ。  成功したところで旨味がないのです。 どの国も「将来自分で作って稼いでやろう」という思惑があるので、先が見えてます。
 
だったら、勝ち目のあるセンサ類などのクリティカルコンポーネントに選択・集中して、世界中の玉を握るくらいの方が夢があるかと思いますよ。 「***のチップが使えないとレーザー兵器に射程が半分になる」とか。 「***のパワー素子がないとレーダーのレンジが落ちる」とか。 夢がありません?
 
あと、大型なものは置いといて、コモディティー化したものは国産にする意味はないですよね。 銃文化が事実上ない日本が小銃で世界に打って出るような日がくるとは思えません。 例えば、AR15系であれば、金を払えば売ってくれる国は西にも東にもあります。 平時に半年分ストックすれば、その分製造インフラすら破壊されても使えるわけですし。 まさか、武器輸入が止められるような事態になったとして、製造機器と資材だけは輸入できるはずはないですよね。
えいち
2016/12/01 06:05
>陸自 P K O、弔慰金増額 南スーダン駆けつけ警護踏まえ

http://www.asahi.com/sp/articles/ASJD254J7JD2UTFK010.html

増額もですが、まずは戦場医療体制の抜本的な改革を早急に進めて欲しいですよね。
KU
2016/12/03 08:34

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