清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

zoom RSS 厚生年金は制度自体に無理がある。

<<   作成日時 : 2016/10/04 19:17   >>

ナイス ブログ気持玉 8 / トラックバック 0 / コメント 10

長谷川豊祭りで、このトピックの掲載が遅くなりました。

パートも厚生年金・健保 加入対象 新たに25万人
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201609/CK2016092502000135.html
2016年9月25日 東京新聞 朝刊

>十月一日から厚生年金と健康保険の加入条件が変わり、推計約二十五万人が新たな対象
となる。現在は正社員が中心だが、パートなど非正規雇用の短時間労働者に拡大。老後の
年金給付が手厚くなるなどのメリットがある一方、保険料負担が新たに生じる人もいる。

>これまで厚生労働省は加入対象を「労働時間が正社員のおおむね四分の三(週三十時間)
以上」と内部通知で規定していたが、十月からは(1)週二十時間以上働く(2)残業代
などを除く所定内賃金が月八万八千円(年約百六万円)以上(3)企業規模が従業員五百
一人以上(4)一年以上働く見込み(5)学生ではない−の五条件を満たす人に拡大する。


対象となるのは従業員500名以上の割合と大きなサイズの企業だけとなります。同じような仕事をしても
大企業から中企業までの企業と、小企業零細企業の従業員では差がつくということです。これは法の下の平等という観点からは問題でしょう。
中小零細企業の非正規雇用の人間に厚生年金は必要なと公言しているようなものです。

前にも書きましたが、現在の厚生年金は大企業向けに設計されたシステムです。中小零細、特に実質自営業に近い、あるいはそのものの企業には向いておりません。

減税よりも厚生年金負担を減らせ
http://kiyotani.at.webry.info/201603/article_5.html

今回の法改正は、それを政府も認めた形になっています
それでも政府は、正社員は全員厚生年金に加入しろと頑張っていますですが、それをやると給料が払えない零細企業が続出して失業率が急増するでしょう。
法律は法律だ、厚生年金加入は企業の義務だといえばその通りです。
偉い人たちは効率の悪い零細企業は潰れろと、おっしゃいますが、それで本当にいいんでしょうかね?

実質無理がある制度だから、多くの中症例企業が加入したくてもできない、あるいはメリットがまるで無いから厚生年金に加入してことなかった。当局もそれを分かっていたらそれを黙認してきたわけです。

役員しかいない、街のラーメン屋さん、八百屋さんで、厚生年金に加入すると本人分と、会社分の負担で実質サラリーマンの2倍のコストの負担になります。つまりサラリーマンと同じ年金を得るのに2倍の費用を払う必要があります。役員が3人で従業員が2名といった企業では、従業員のためにそれだけ多くの負担を負うのは難しい零細企業は多いでしょう。そんなカネがあるならば、貯金した方がマシというのが零細企業の経営者の本音です。


つまり現状中小零細企業にとっては手足を縛られて泳げと、溺れるのはお前が悪いと言われているようなものです。

このまま建前を押し通せば、多くの中小零細企業が倒産するか、あるいは厚生年金が機能しなくなるでしょう。
厚生年金の制度改正をおこなうべきです。例えば、零細から中小企業には企業負担分を現行の2割〜5割程度に減らすなどの措置が必要です。

企業経営者は失業保険もありません。またボーナスを取ろうと思うと、法人税を引かれた後から、支払われて、所得税が引かれますから、事実上税金の二重取りを受けています。これが大企業の雇われ経営者ならば自分の懐は痛みません。ですが中小零細企業の経営者にとっては大きな問題です。一体何の罰ゲームでしょうか。
それでいて日本は起業家が少ない、起業家精神が欠けているとか、まるで戦前の精神主義です。率直に申し上げて、日本の法制度、ビジネス風土は起業には向いていません。やるのはよほどの物好きです。リスクがあまりにも大きすぎ、リターンは限られています。急成長で株式公開してカネを稼ぐならそれもいいでしょう(確立は低いですが)、規模を追求せずに、そこそこの生活ができるレベルの収入を得ることは難しいのが現状です。
ですから皆さん大企業に就職したり、公務員になりたがるわけです。最もこれらも、今やリスクがあります。大企業でも40代で首を切られたり、給料ががくんと減ったりします。東芝やシャープみたいに沈む企業もあります。公務員もこれから先は安泰とはいえないでしょう。国や自治体の借金は大きいし、不正規の役所の職員の待遇をよくするならば「正社員」の待遇は悪くなるでしょう。民間並みになるならば40代で肩たたきや給料の大幅減額、退職金の減額などもあり得るでしょう。
これで景気が上向くはずもありません。


それをしないで厚生年金が苦しくなったから、召し上げろ、もとからそういう仕組になっているだと、加入の強制をおこなえば、厚生年金分、給料が下がるか、それが支払えず、人間が集まらないならば倒産し、失業者は増えるでしょう。また中小零細企業の経営者は国家に搾取される金額が増えると認識し、よけい貯蓄に励むでしょう。そうであれば余計に個人消費は冷え込むでしょう。

果たしてそれが持続的な年金制度の維持、また国益になるんでしょうか。










テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 8
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
清谷様

日本の起業した会社の生存率は1年後30%、3年後10%、30年後1%と記憶しています。大半は1〜3年後 に廃業・倒産しています。資金繰り、規制、需要と供給のアンバランス、経営のノウハウ不足?
起業や経営は確かにリスキーですよね。今儲かっても先はわからない。
大企業だって倒産・リストラもあるし、公務員は夕張の財政破綻とかパワハラ・過重労働でダウンして退職する方もいますし、社会保険庁みたく独立法人になり、余剰人員は整理解雇されます。
みなさん、公務員は犯罪以外に解雇されないと思いがちですが法律で予算・定員の減少や組織の変更で整理解雇できます。スキルや資格がない方や仕事サボっている方は整理解雇されたら途方に暮れたり、ショックのあまり自殺するのではないでしょうか?
怠慢な公務員はアリで、冬になれば飢死にします。また、おべんちゃらで生きていた方は権力闘争やスケープゴートで梯子外されたときも同じでしょう。組織に依存しない、自分でスキルを磨く・国家資格を取得する努力が必要だと思います。しがみつく・依存することはリスクなんですよね。雇われている方は会社や経営者の方針・リスクに従わなければなりませんが、それも給料のうちです。
自分の生活は自分で守らないと。
元キャプテン
2016/10/04 22:06
制度事態 ⇒ 制度自体 だと思います。
ぽち
2016/10/05 09:46
清谷様

9月下旬、友人が経営している零細企業に日本年金機構からアンケート調査が来ました。

内容は厚生年金保険・健康保険の加入状況調査です。

一部では「赤紙」と呼ばれており、強制加入の第一歩だそうです。清谷様もご存じのように法人登記をしていると、常勤社員(役員を含む)を1名以上雇用していると厚生年金保険・健康保険の加入対象となります。

とくに国民年金保険料をすでに支払終えている高齢者を雇用した場合でも、改めて厚生年金への加入が義務づけられています。

清谷様のご指摘のように非常に大きな負担になるため、経営者の友人も頭を悩ましています。

個人事業主の場合は、加入義務がないので、会社を畳もうかとも考えているようです。

一時、日本年金機構で問題が露見したときは、自粛していたようですが、今後、強制徴収に向けて活発に動きそうです。
ブリンデン
2016/10/05 12:57
>制度事態 ⇒ 制度自体 だと思います。

ご指摘ありがとうございます。
キヨタニ
2016/10/05 18:59
清谷様

個人事業者・経営者たる清谷さんに御質問ですが、起業・経営するにはどういった知識・スキル・条件が必要なのでしょうか?
私が思うには資金・人材・土地・設備・顧客・人脈・業界の専門知識・労務管理の知識・許認可の知識・税務の知識・ 会計の知識・社会保険の知識・・・
私は経営者や自営業者は将官より責任が重く、シビアな仕事だと思いますよ! 将官は公務員の重役 ・執行役員にしか過ぎません。お金を稼ぐ経験やノウハウはありません。
元キャプテン
2016/10/05 21:11
起業に必要なのは人によって違うでしょう。退路を断ったほうが成功する人もいるし、最悪の事態に備えて置く人もいます。ぼくは後者ですが。
ただ自己克己心や自分を客観視できる視点は必要だと思います。自分に欠けている資質はパートナーがもっていればいい。
キヨタニ
2016/10/06 11:18
清谷様

御指南に感謝申し上げます。
私の地元で27歳の若い女性経営者の方がおられますが、23歳で芸鼓派遣の起業しました。社長自ら芸鼓になっています。 私が同じ27歳の時、幹部に任官したばかり、雇われのただの現場リーダー、私は27歳で社長はできませんよ。責任か重いですよ。判断の誤りで会社倒産させるし、財産消えるし、従業員を路頭に迷わせますから。私はできませんし、頼まれてもやりません。私は器量はありません。
元キャプテン
2016/10/06 20:32
※スレ違いです。

>三菱重工がまさかのトップ転落・・・日本の「防衛産業」に異変アリ!

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49886

今頃になって何を今さら・・・・と思わなくもないですが、こうしてマスなメディアが取り上げるのは良い傾向ですね。かと言って、すぐに業界の大幅な再編が起きるとは思えないのが残念ですが。
KU
2016/10/07 06:59
お邪魔します。

 自分は起業できる人とそうでない人との違いは、オンロード車とオフロード車の違いではないかと思います。オンロード車でオフロードを走ったりすれば足回りがもたないでしょうし、オフロード車は車高が高い場合が多いので、高速道路で時速100キロ以上を出したりしたら安定性に難があるのではないかと思われます。人の場合も起業に向いた人は「組織の歯車に徹する」事には向いていないかもしれません。

 某アナウンサーは言わば「交通法規がウザいとオフロードに飛び出したオンロード車」だったのでは。
ブロガー(志望)
2016/10/09 11:06
ブロガー様へ

意外ですね〜、その比喩わかりやすいですよ!
組織の歯車に徹しても切られるケースありますよ!権力闘争やパワーバランス、嫉妬、トラブルなど。バランスではないでしょうか?給料貰っているので組織の方針や風土に合わせなければならないのも事実です。しかし、依存する・しがみつくというのはいかがなものでしょうか?職場は家庭・サークルではありません。社会の集団を区分すると基礎集団という血縁関係を基盤としたものと機能集団という一定の能力や志の集まりで利益関係を基盤としたものに分かれます。前者は家族・友人・サークル・集落になり、後者は官公庁・会社・学校・労働組合・宗教法人・政党・ギルドに該当します。
私はしがみつくのはリスクではないでしょうか。組織は栄枯盛衰もありますし、先のことはわかりません。リスクに備えるには貯金、保険、資格、スキル、人脈等を持つことではないでしょうか?
その為には組織人であっても自我を持つ。ある程度、本音と建前を使い分ける清濁併せもつ寛容性や柔軟性は必要ではないでしょうか。また、時代に変化に適応することでしょう。理想としては島耕作ですね。
起業しても、協調性や社交性がないと 生きていけないと思いますよ。
元キャプテン
2016/10/09 20:21

コメントする help

ニックネーム
本 文
厚生年金は制度自体に無理がある。 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる