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zoom RSS アベノミクスをいまだに信じる人たち

<<   作成日時 : 2016/06/12 06:03   >>

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未だにアベノミクスが有効だと信じてる人が多いのには驚かされます。
実体経済に関わっていない人たちは気楽で羨ましい限りです。

アベノミクスの効果がじわりじわり!? 日本企業の立ち直りを示す「10兆円」という数字
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48863

>ここ数年、安倍晋三内閣がアベノミクスの一環として掲げてきた「コーポレートガバナンスの強化」がジワジワと企業経営にも浸透し、徐々に成果を挙げ始めている。

 「経済の専門家」にこの手のアメリカの猿真似すればうまくいくという信仰を持っている人が多いようです。ですが、アメリカと日本では社会も経済も慣習も違います。
 とろこがこの手の人達はそれが理解できない。

>配当の増加は「経済循環」にも大きく貢献する。個人投資家が配当を手にすれば、それが消費に向かう。株価が上昇して含み資産が増えることによる「資産効果」と違い、実際に支給される配当金はより消費に向かう可能性が高いと見られる。

>企業が力を入れ始めているのが自社株買いである。これは、企業が余剰資金などを使って市場から自社の株式を購入するもの。市場に流通する株式が減ることから、結果的にその他の株主の持ち分を増やす効果がある。

>安倍内閣は発足当初から、日本が成長しない理由を分析して、企業が内部留保をため込んで先行投資などを行わなくなったことが一因だという結論を出していた。一時は、企業がため込んだ内部留保に課税する案なども浮上したが、コーポレートガバナンスを通じて企業経営を徐々に改革するという手法に落ち着いた。


 株主が短期に最大の利益をあげることができれば、それでいいというアメリカの受け売りです。
 内部留保を減らして、端的にいえば内部留保を株主にばらまけということです。

 ですが、内部留保という脂肪の蓄えがなくなれば、いざというときに倒産する可能性は増えます。
例えばリーマンショックのような自社だけではどうしょうもない環境において、内部留保があれば社員も解雇せずにすむでしょう。
 ところが企業に体力がなくなれば、雇用は維持できない。しかも簡単にレイオフできる米国と日本では解雇の意味が大きく違います。法的も簡単に解雇はできません。
 であれば正社員の採用を減らす企業が増えるでしょう。

 株主が喜ぶのは、従業員特に正社員を減らすことです。そうすれば固定費がヘリ、バランスシートの見栄えがよくなります。つまり儲かっても社員を減らせ、雇うならば派遣や非正社員ということになります。

 それで国家全体としてよろしいのでしょうか。長期的に国家として経済成長ができるのでしょうか。米国はいいんですよ、そもそも社会保障なんて少ないんですから。
ところが我が国では投資家に翻弄されて、収入が減った国民の社会保障を国が面倒見なければならない。当然ながらそうなれば正社員の社会保障費を上げて、これらの補填に使用されるでしょう。すでに現在そうなっております。これが進めば消費は更に落ち込みます。

 更に申せば、企業は長期的なR&Dがしにくくなります。例えば東レの炭素繊維のような息の長い開発ができなくなります。米国の企業はそうなっております。だから軍事産業を含む製造業において技術力が落ちている。
 だから開発費が高騰するし、思わぬ長期化陥ったりします。
 
 それでも、投資家はいいんです。その会社がダメになれば次の獲物を探せばいい。ところが企業の方は、精気を吸い取られて、競争力が落ちて、ヘタすると倒産、従業も仕事を失います。

>実は、日銀が導入を決めた「マイナス金利政策」も自社株買いの流れに拍車をかける可能性が強い。

 企業が余剰資金を銀行預金などに積んでおいてもほとんど金利が付かないばかりか、マイナス金利によって、近い将来、手数料を取られる可能性も出てくる。企業は当然、手元資金の有効な使い道を探ることになる。

>なかなか投資チャンスがない。そこで浮上してくるのが自社株買いである。マイナス金利政策の効果によって、長期の社債を低利で発行することも可能になっている。


 自社株買いをすれば株価は上がりますが、それは実は株価があがるだけで、その企業価値があがるわけではありません。つまり営業努力も新製品の開発も、コスト削減もしないで安易に株価をあげることができるわけですが、その企業の内容が良くなるわけでもありません。最近は借金までして自社株買いをしている企業がありますが、自分の首をしめているだけです。

 
 投資家と株式で報酬をもらうプロ経営者だけがうまい汁を吸うのが米国製強欲主義です。
 その結果、貧富の差は広がり、中間層は貧困層に落ち、貧困層は更に貧しくなっています。ですからトランプやサンダースのような以前だったら、泡沫候補のような大統領候補が本命になってきたわけです。

 さて、我が国では勤勉な中間層が社会を支えてきました。またなんのかんの言われながらも、仕事に対するモラルが高いことが日本企業の成長と競争力を支えてきました。

 目先で投資家さえ儲かって、中間層が減り、日本の競争力を奪うことが国益になるんでしょうかね。また個々の企業の競争力を高めるのでしょうか。ぼくはそうはおもいませんが。

 磯山友幸氏は実体経済と、金融の乖離をまったく知らないのでしょう。

 何度も申しますが、この方向で進めば短期的には投資家は儲かるでしょう。それが中長期的には日本経済の成長を奪うことがわからない。あるいはわかっているけど、相場師、金融屋さんに受けのいいポジショントークを書いているのでしょうか。
 いずれにしろ無責任です。

 更に申せば、円安から円高に振れて、磯山さんの大好きな大企業の業績が下振れしております。そら、そうです。単に円安になって円ベースでの利益が棚ボタで何割も増えた訳ですから、逆にならば同様にガバッと利益が減ります。
 そして仮にまた円安にまた戻せば、既にアベノミクスで明らかになったように消費が更に落ち込みます。


 未だに日本の経済関係の人達はアメリカ留学でハクをつけるのが主流ですが、自分たちが洗脳されたことに気がついてないわけです。だからアメリカの猿真似をすれば儲かると思っている。ですが、ダイエーやらソニーやら、猿まねした企業が儲かりましたか?シャープにしてもいち早く社外取締役制度を導入ましたよね。

 更に申せば実力主義、成果主義で個人の実力に合わせて待遇を決めた日本企業の多くは、業績を落としました。米国では職場でも自分の他はみな敵です。情報の共有なんかしません。だからこそ個々の仕事が決まっており、また評価がし易いわけですが、日本は違うでしょう。

 ビジネスの現場も経験せず、金融村にこもってアメリカの猿真似をするこが偉いのだ、というのは思考停止もいいところです。それで自らを「経済の専門家」であると信じ込んでいるは、滑稽ですらあります。

 無論、日本企業の不透明性や効率低さに全く問題が無いわけではありません。早く帰ると文句を言われるので、ダラダラ仕事をしているサラリーマンが多すぎます。米国からも他国の企業やシステムのいいところはドンドン取り入れるべきですが、それは猿真似でありません。
 例えばカレーや餃子もオリジンは外国ですが、それをうまく国民食にしてきました。そういう感じでの外国の仕組みややり方を取り入れるべきです。



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ヨルダンの特殊部隊見本市、SOFEXの記事は東京防衛航空宇宙時評で。
http://www.tokyo-dar.com/

an style=font-size:larger>Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
陸自装備の兵器調達センスは80年遅れ その1
http://japan-indepth.jp/?p=27766
陸自装備の兵器調達センスは80年遅れ その2
http://japan-indepth.jp/?p=27771
陸自装備の兵器調達センスは80年遅れ その3
http://japan-indepth.jp/?p=27775

オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その1
http://japan-indepth.jp/?p=27338
オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その2
http://japan-indepth.jp/?p=27346
オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その3
http://japan-indepth.jp/?p=27351
陸自の兵器開発は半世紀遅れ その1
http://japan-indepth.jp/?p=27107
陸自の兵器開発は半世紀遅れ その2
http://japan-indepth.jp/?p=27114

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
東芝、国から迫られた「賠償金12億円」の顛末
防衛事業をやり続ける必要があるのか
http://toyokeizai.net/articles/-/111619
  

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
清谷様へ

会社を経営しているので実態を肌身で感じて説得力があります。エコノミストと称する経済学者は会社を経営又はビジネスマンの経験もないのに語るのはいかがなものかと思います。患者を治療したことがない医者が医療を語るようなものです。
私は経済やビジネスには疎く、その分野のコメントは的はずれですが、軍事については自信があります。防大や幹部学校を除いた軍事教育を履修していましたし、兵士〜下士官〜将校として働きました。軍事評論家や防衛研究所の研究員と議論できる自信があります。
脳科学者の茂木健一郎先生曰く、最も効果的な勉強法は働くことと仰いました。また、元同僚で弁護士先生は、法律事務所で事務員として働きながら勉強して 司法試験に合格しました。
理論だけの机上の勉強は役に立たない。経験も学習法なのです。
元キャプテン
2016/06/12 14:36
以前から感じてきたことですが、アベノミクスを含めた自民党発信の経済政策と称するものは株価対策がほとんどで、長期的な視点に立った日本の競争力を強める方向になっていませんね。
株主の方しか見ないで社員を大事にしない会社がどうして発展できるでしょうか。
そんな会社ばかりになったら日本は終わりかも知れませんね。
八王子の白豚
2016/06/12 16:53
これは、アベノミクス批判とは違うでしょ。
新自由主義批判でしょう。
ただ、アベクロバブルは、もう終わり。
クラッシュは近いか。
いま、日銀引き受けで、赤字が減ってるだとか、欧米系にそそのかされて、財政出動を吹き込まれたりしてるなどという、どうしようもなさかも。

坊ちゃん世襲政治家だとかにはうんざりだけどね。
aaa
2016/06/13 00:33
お邪魔します。
 「個々の私利私欲の追及が社会全体に良い結果をもたらす”神の見えざる手”」といった事が言われたりします。また殺人も厭わぬ悪党どもの集まりであるカリブの海賊が当時の堅気よりも近代的かつ民主的な一面を持っていたとも言われています(船長は仲間内で決め、船長と平海賊の取り分の違いは3倍程度とも)。それは「力の均衡」と「利害関係」が関係していたと思われます(船主の利益が追及される普通の船員の待遇は極めて劣悪だった?)。「力の差があり、かつより多くを得るには他の誰かから奪うしかない」状態での個々の私利私欲の追及は社会全体により悪い結果をもたらすのではないかと思われます(経済学で言う逆選択?)。
ブロガー(志望)
2016/06/13 23:46
アベノミクスは明らかな成功何ですが・・・
経済は雇用からってのを知らないのだろうか?
その点でアベノミクスは大成功なんだがなー。
1-3月期のGDPも年率換算2.4%増と合格点だし。
?
2016/06/20 17:49

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