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zoom RSS 2016年5月アンマン日記その6 自衛隊とヨルダン軍 衛生に関する認識の格差

<<   作成日時 : 2016/05/16 03:37   >>

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ランクルベースの、長距離偵察車輌、アブ・サヤフと特殊部隊のオペレーター。

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背中にファーストエイドキットをつけています。ロードロップ方式で装着するケースもあるようです。

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結構内容も充実しており、止血方法など独自の要求にもとづいたセット内容になっています。
ポーチとは別にチェストリグに止血帯をもう一本装着しています。


 SOFEXではヨルダン軍の特殊部隊や衛生部隊にも話を聞いたんですが、やはり違いが大きいですね。「我軍」とは。

 こちらの特殊部隊は分隊、小隊の規模が大きく、分隊が15名で、小隊が50名弱。で、衛生兵は分隊に一人配
されています。陸自は中隊に一人です。

 衛生兵が処置できる内容も、ヨルダン軍んこちらの方が遥かに高度でした。これも我が国では自衛隊は戦争しない前提で、普通の医師法などの法律に縛られているからでしょう。
 またヨルダンでは民間防衛組織と軍のメディックが強い協力関係にあり、有事には民間防衛組織から、要員の補充が可能だそうです。つまり軍の衛生は孤立しているわけではなく、国家的なシステムとして機能しているわけです。多く実戦を経験し、また常に対テロ作戦を行っている国は違います。

 今日もヨルダンの軍関係者にあっていたのですが、自衛隊の隊員は年間30発しか実弾を撃たないとか、演習や訓練で空薬莢やら空弾倉をなくすと、全員でそれを探すんだと話したら驚愕しておりました。


 ヨルダンは米国からの軍事援助も多いですが、米軍の装備や、やり方を金科玉条にすることなく、衛生にして独
自の工夫を加えてやっています。自衛隊が、今のまま駆けつけ警護なんぞやるならば、死者、手足を失う隊員が一人はヨルダン軍よりも確実に2桁多い被害をだすでしょう。
 
 駆けつけ警護やるぞ、という話が進んでいる間も、衛生学校長が職権をつかって自作自演のコンサートなんかやっている危機感のない「軍隊」の病根は深いといえます。

 駆そのけつけ警護ですが、思うにそれを実施するのであれば航空支援が必要じゃないでしょうかね。かつての南アのPMC、エグゼクティブ・アウトカムズは作戦において、航空支援は必至としていました。
 
 自衛隊も駆けつけ警護やるならば、現地に攻撃ヘリやCOIN機を持ち込んで、上方からの偵察や火力支援ができる体制をとるべきす。おそらく自民党も防衛省も、駆けつけ警護は小部隊同士の小競り合いという認識しかないでしょう。
 ですが、例えば南スーダンにしても少数の味方部隊が多数の敵に囲まれるという状況も考えられるわけです。
であれば、少人数の部隊に必要なのは情報の把握能力と分析、そして火力です。 ところが他国と比べても、陸自普通科の火力も情報能力も低いわけです。

 航空支援であればヘリよりもむしろ固定翼のCOIN機の方がよろしいかもしれません。ヘリの滞空時間はせいぜ
い2時間で、戦場の上空にとどまれる時間は限られています。武装にしても、弾数が勝負というところが、あり
ますから最近流行の誘導ロケット弾や小型ミサイルの導入も必要でしょう。これらは副次被害の極限にも有利で
す。

 また固定翼のCOIN機は現地での整備も楽です。対してヘリは整備に人でも手間もかかります。
 有人機が無理ならば、せめてUAVは必要ですが、これまた自衛隊は中国やパキスタンからも大きく遅れています。すでにイラク、サウジ、UAEは中国製の武装UAV,CH-4Bを導入し、イラク軍などは実戦でしようしております。
 陸自ご自慢のFFRSやらFFOSは熊本の震災でも使用されなかったと聞いておりますし、日立が開発したマイクロ
UAVもこれまた信頼性が低く実用性が低いようで、実戦での使用は無理でしょう。

 自衛隊の航空支援があてにならないならば、PMCの航空部隊を雇えばよろしい。例えばハインドやMi8あたりを武装化したもの、更にはその支援部隊など。
 彼らは戦なれしているし、困難な環境でも仕事を成し遂げます。相応の費用はかかりますが、役に立たない自衛隊航空部隊よりもよほど頼りになるでしょう。でも自衛隊ではメンツとか、前例がないととかで、こういうことは検討すらしないでしょう。その結果は隊員の命や手足で支払うことになるのですが、想像力に欠る市ヶ谷の人たちは、損害を出して茫然自失となって、自分の責任を回避して、誰かに責任を負わせることになる。それは得てして現場の指揮官だったりするわけです。
 

 繰り返しますが、実際に戦闘する気がサラサラない。で、必要もない仕事をつくって、忙しがっている。将校がハンコをもらうために、半日もかけるような無駄な仕事が非常に多い。これで有事を戦えますか?
 
 ところが当の自衛隊も産経新聞などの自衛隊マンセーなメディアや「保守の論客」の方々も自衛隊の後進性、
平和ボケにはまったく無頓着です。無敵皇軍を吹聴し、自衛隊が戦えないのであれば、アカやコミンテルンの手先(笑)やら、予算を出さない財務省が悪いとか喚いて、自衛隊自身の問題点を指摘しようとはしません。
 いつも申しますが、まるで昔の左翼みたいです。

 現実を見ない自慰的な「国防論」を無責任に展開して、最後は現場の自衛官にすべてを押し付けるというのが
「愛国心」なんでしょうかね。アッツ島やガダルカナルなどの組織、特に上層部の無能を、現場の将兵が犬死で支払うようにすることが「愛国心」なんでしょうかね。だとすれば「愛国心」とやらは、ないほうが遥かにマシですね。

 

an style=font-size:larger>Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
陸自装備の兵器調達センスは80年遅れ その1
http://japan-indepth.jp/?p=27766
陸自装備の兵器調達センスは80年遅れ その2
http://japan-indepth.jp/?p=27771
陸自装備の兵器調達センスは80年遅れ その3
http://japan-indepth.jp/?p=27775

オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その1
http://japan-indepth.jp/?p=27338
オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その2
http://japan-indepth.jp/?p=27346
オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その3
http://japan-indepth.jp/?p=27351
陸自の兵器開発は半世紀遅れ その1
http://japan-indepth.jp/?p=27107
陸自の兵器開発は半世紀遅れ その2
http://japan-indepth.jp/?p=27114

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
東芝、国から迫られた「賠償金12億円」の顛末
防衛事業をやり続ける必要があるのか
http://toyokeizai.net/articles/-/111619
  





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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
>低迷する日本経済の活路は兵器の国産化しかない 今こそメードインジャパンの飛行機を

http://www.sankei.com/smp/column/news/160516/clm1605160004-s1.html

いやもう、開いた口が塞がらないというのは、こういう時に使うべきのでしょうね。本気で米軍より高性能な戦闘機が自前で開発出来ると?
KU
2016/05/16 12:47
清谷様へ

今さらですが、試合のないサークル、 自閉隊、ガラパゴス 退官して我が身で痛感しました。官僚主義の弊害なのか、組織全体が危機感のない平和ボケなのか・・・
石波先生が自虐的な本を出版するわけだ!
駆けつけ警護や集団的自衛権の公使を 中学生が高校も行かないで大学受験に挑むようだと揶揄しました。衛生の体勢の貧弱さも証拠のひとつでしょう。
武道で他の道場に行って恥を描いてこい!スポーツの試合は死にません。しかし、戦争や紛争は死にます。いかにダメージを少なくするか 考えるのは官僚と将軍の仕事ですが。いけない愚問でした。 保身・事流れ主義・前例踏襲主義の官僚組織ですからね。
末端でも、存在することが抑止力だと自分をごまかしていますからね。存在するだけだったら兵隊さんの格好した案山子と廃車になった戦車があれば用が足りますね。
防衛省・自衛隊の偉い方は土人や北朝鮮の軍隊と同じレベルだということを認識せず、アメリカやNATO諸国は同盟軍だとは思っていないでしょう。
外国行って恥掻いてこい!
元キャプテン
2016/05/16 13:40
いざとなったら米軍に泣き付くんでしょうが、
航空支援を受けようにも、陸自の分隊は、
装備としてGPSやエマージェンシービーコンを持っていないはず。
混戦して識別困難になっている場合、誤爆が怖くて米軍も航空支援が難しくなるでしょう。
政府や防衛省は、先進国の軍隊なら持っていて当然の装備の不足が、
友軍に多大な迷惑をかけるという事を理解するべきだと思います。
張り子の虎にウンザリ
2016/05/16 16:34
清谷様へ

現場に責任・負担を押し付け、愛国心が足りないと罵る。 ブラック企業と同じです。ブラック企業は愛社精神という精神論を洗脳する。
ブラック企業の経営者と自衛隊の将官がタブって見えますけど気の責ですかね?
国営ブラック企業は愛国心、民営ブラック企業は愛社精神 。将校や管理職は過労死、鬱、自殺。日本人の悪い体質なんですかねぇ?衛生学校はブラック企業にベストランキングに入るかもしれません。清谷さん、ブラック部隊ランキングという本の出版をお願いします。若い自衛官は必ず買います。 まぁ市ヶ谷の偉い方は本を破きますが。
元キャプテン
2016/05/16 20:48
ホントに戦争するなら衛生もそうですが
GPMGをどうにかしないといかんでしょうね
小銃はどうともなるけど機関銃がプアだとダメが前の戦争の教訓で
このままではゲリラから捕獲したロシア製や中国製をありがたがるんじゃないかと

なんつーかゲリラのブレンにミニミで応射したけど
射程と威力で日本の撃ち負けとかありそうな感じ
人馬笛
2016/05/16 22:09
そう言えば米軍が対IS用に現用のA−10だとオーバースペックだからという事で、ベトナム戦争以来の軽攻撃機OA−10ブロンコを復活させたそうですね。
翻って我が自衛隊はそういう措置がとれるでしょうか?無理ですね。
装備品のラインナップに存在してない機種ですし、仮に適当なレシプロ機を改修するにしても富士重工の練習機ベースでは実戦に使えなさそうです。
新規開発は毎度おなじみの方向性やコスト高の問題が出てくるでしょう。
海外の機種を買うのが手っ取り早いんじゃないでしょうか?
パイロットはポンコツのAH−1Sを片っ端から退役させて再訓練すれば確保できそうですけどねぇ〜

いっそのこと駆けつけ警護はPMCに丸ごと委託しちゃえばいいんじゃないですか?
それならお金の問題だけで済むので自衛隊の隊員の死傷問題も装備の不足も気にせずに済むし・・・失われるのは我が国と防衛省・自衛隊のメンツでしょうけど、それは今までそういうことを考えてこなかった事への当然の報いって奴ですよ。
しかし湾岸戦争から20年以上経つのにこの結論を言わねばならないのは情けない限りです。
八王子の白豚
2016/05/17 08:00
お邪魔します。
 自衛隊の医療衛生に関しては、「自衛隊員は自ら望んでなっているのだから、劣悪な医療衛生で命を失うも不具者になるのも自己責任」とでも考えられているのかも知れません。しかし大規模災害やテロ等によって、自衛隊員だけではなく我々やその身内が自衛隊の医療衛生のお世話になる(ならざるを得ない)可能性があります。特にテロリストは「複数の爆弾を仕掛け、最初の爆発の被害者を救出しようとするタイミングを見計らってさらに爆発させる」という事もするでしょうから、民間の医師や看護師を向わせるのは難しいでしょうが、その状況の中でも「すぐそこで適切な処置を施さねば命に関わる」被害者も出るでしょう(後戦闘の中で負傷した民間人等)。となれば「自衛隊の医療衛生が劣悪であったが故に助からなかった民間人」も出るのでは。
ブロガー(志望)
2016/05/18 22:28

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