清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

zoom RSS 産経新聞は日経なみに経済オンチ

<<   作成日時 : 2016/05/18 01:21   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 7 / トラックバック 0 / コメント 10

 事情通の間では、日経の経済記事が当てにならなことはよく知られております。
 日経は後ろから、下から読めという言葉あるくらいです。これは一面や大きな記事は誤報が多い、だから文化面である終面、そして紙面下にある、広告、雑報(通信社などの配信記事)を読め、というい意味です。

 下記の産経新聞の記事も大概アレです。

「円高」という暗雲…曲がり角を迎えた?「アベノミクス」(編集長 島田耕)
http://www.sankei.com/column/news/160515/clm1605150005-n1.html


>円高がプラスに働く企業もありますが、何といっても日本経済の要は自動車や電機などの輸出製造業。日銀の金融政策による円安誘導が以前のように劇的な効果をもたらさなくなる中、経済政策「アベノミクス」は大きな曲がり角を迎えているのかもしれません。


 産経新聞はGDPの6割を占めるが個人消費で、輸出は15パーセントということも知らないのでしょう。
 頭の中が50〜60年代、つまりは半世紀以上も前で止まっています。

>最大の要因は円高です。昨年末に1ドル=120円台だった為替相場は、今月3日に一時105円台に急騰。わずか4カ月足らずで15円も円高が進めば、輸出業を中心に業績は急降下するはずです。企業によっては真っ逆さまの落下もあるでしょう。



 安倍氏がアベノミクスを提唱以来、1ドル78円だった円は125円、つまり1・5倍まで急落しました。昨今の円高程度の変動じゃありません。それを産経新聞は批判しませんでした。安倍首相のやることはすべて正しいというのが産経のスタンスのように思えます。

 GDPの6割を占める個人消費は、食品にしろ被服にしろ、雑貨にしろ輸入品が多いわけです。また国内向けの工業農林水産業でもエネルギーや原料は円安で高騰しました(その後原油安で多少は緩和されましたが)。 昨今の円高のおそらくは一桁多い、円安の負のインパクトを消費者、輸入業者、流通業者、小売業者、そして国内製造業、農林水産業に与えたわけですが、産経新聞は理解できないようです。
 
 円安によるコストプッシュインフレが、消費を冷やし、内需関連企業の収益を圧迫していることを産経新聞は知らないのでしょう。あるいは見ないふりをしているのでしょう。
 しかもアベノミクスで期待された輸出は増えず、円ベースでの棚ボタで輸出企業が儲かっただけです。
 そして株価が上がっても、マジョリティである外人投資家が儲かっただけ。日本の国富を海外にばらまいただけです。

 その上増えた税収でバラマキ財政を行って、その反面社会保障費の負担は増やしました。そんなカネがあれば、社会保障費の負担増なんぞやるべきじゃなかった。インフレ、社会保障費の負担増、増税。実質所得は減るばかりで、なおさら個人消費が増えるはずがありません。

 アベノミクスでやったことは例えば、円安で100兆円消費者や国内産業からカネを収奪して、その内70兆円を海外に流出させ、のこりの30兆円を利益を得た輸出大手企業は内部留保に回しました。無論下請けにほとんどおこぼれはありません。つまり個人の懐にはおこぼれがないどころか、財布からカネが抜きとたれたようなものです。
 これで消費が日本経済が拡大するわけはないでしょう。

 挙げ句の果ては、借金を日銀という「子会社」に引き受けさせて、その上、年金と公的資金を株式市場にぶち込んで、官製相場で値段を釣り上げようとしました。まとも個人投資家が市場から逃げ出すのは当たり前でしょう。
 本来株式市場の活性化を目指すのであれば、国内の個人投資家、特に長期投資をする投資家を呼びこむ努力をすべきでした。そんな面倒くさい努力をするのが嫌だったのでしょう。

 
 以前から繰り返しておりますが、GDPを拡大したいならば、個人消費の需要を増やすことです。ところが安倍政権は意図的な円安誘導で、消費財やエネルギーのコストを上げて、これで消費が冷えました。やったことは真逆でした。
 コストプッシュ・インフレで物の値段が上がれば、需要は増えるというのは妄想に過ぎません。その、妄想がアベノミクスの実態です。


 ですが安倍政権ファンクラブ会報誌である産経新聞は仮にアベノミクスがおかしいな、と思っても「事務所の方針」でそれを否定することができないのでしょう。




 それからよくこういう経済ネタを書くと、「お前は経済の素人だ」だと上から目線でコメントする人たちがブロゴスやらヤフーなどの転載記事に見られます。

 頭が悪いんじゃないですか?

 頭脳明晰で、知識が豊富ならば具体的な指摘ができるはずです。それができないのであれば「お前のカァちゃんでべそ」レベルの悪口にすぎません。
 
 
 このような発言をする人はたいてい具体論を避けて難癖をつけるだけなのですが、ご自分はざぞ「経済の専門家」のなのでしょう。ならば具体的な批判ができないのはなぜでしょうか。

 ぼくはいわゆる「経済の専門家」ではありませんが、長年軍事産業をビジネスの視点で取材してきてきました。世界の主要企業の役員クラスにも多く取材してきました。更に現場の工場も見学してきました。いわゆる経済評論家の方々との交流もあります。
 また小なりとも会社を経営して、南ア、欧州、イスラエル、台湾、北米などの企業と取引を行い、貿易、小売、卸などまで手がけている現場のビジネスマンです。

 この手の人達は、ではあなたの経済の知識や知見に関するバックグランドを教えてください。さぞかし立派な経歴と実績をお持ちなんでしょう、と水を向けると大抵黙ってしまいます。

 またそれほど優れた知見をおもちならば匿名でもいいから、ブログなりで世に問えばいいけども、それもしない。というよりも出来ないのでしょう。
 この手合は他人から批判されるとガラスのような自尊心にヒビがはいってしまうのでしょう。実名ならばなおさら発言なぞできないのでしょう。

 きちんとした指摘や反論ができないのは、全く実体経済に関わっていないからでしょう。自宅に引きこもって親に食わせもらって、ネットで匿名で人の悪口を書くと、自分が偉くなった気がして、自己認知欲求をみたした気になるのでしょう。

 ですが、それはイリュージョンです。そんな暇があったら、なにか自分の実績になることでやればいいと思うのですが、そのような地道な努力ができないからこそ、この手のコメントを書いているのでしょう。


 そもそも「経済の専門家」って誰のことですか?新聞や経済誌で書いているアナリストなどほとんど外しまくりですよ。所詮かれらは株屋の予想屋です。企業取材といってもIRの資料を読んだり、担当者の話をきくだけです。当然ならがら上場していない中小企業なんか全く調べもしません。

 またバルブ当時「経済の専門家中の専門家」である日銀の三重野総裁はバブル処理に失敗しました。

 経済・産業政策の「専門家」である、通産省は日本の自動車メーカーは多すぎる、としてホンダの自動車進出を妨害しようとしました。

 オイルショックの時、多くの「経済専門家」は大騒ぎました(長谷川慶太郎氏ら極小数の専門家は石油は足りなくなることはないと喝破しました(当時その話を竹村健一氏の番組で見ておりました)。

 リーマン・ショックにしろノーベル賞を取るような「経済の専門家」がつくった毒入り「福袋」が問題を引き起こしたし、そのような福袋を作った会社をこれまた「経済の専門家」である格付け機関が大絶賛しておりました。

 要は権威は当てにならない。自分がどう判断するかが肝要ということです。
 権威を盲目的に信用する人は知的とは言えません。
 少なくともぼくは、判断を誤れば自分の会社を潰すというリスクをしょって判断しております。

 健全な議論は大歓迎ですが、この手の自慰的なコメントに全く価値はありません。
 くだらないコメントをするヒマがあれば、本の一冊でも読むほうがよほど身のためです。




an style=font-size:larger>Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
陸自装備の兵器調達センスは80年遅れ その1
http://japan-indepth.jp/?p=27766
陸自装備の兵器調達センスは80年遅れ その2
http://japan-indepth.jp/?p=27771
陸自装備の兵器調達センスは80年遅れ その3
http://japan-indepth.jp/?p=27775

オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その1
http://japan-indepth.jp/?p=27338
オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その2
http://japan-indepth.jp/?p=27346
オスプレイを政治利用する新聞の不見識 その3
http://japan-indepth.jp/?p=27351
陸自の兵器開発は半世紀遅れ その1
http://japan-indepth.jp/?p=27107
陸自の兵器開発は半世紀遅れ その2
http://japan-indepth.jp/?p=27114

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
東芝、国から迫られた「賠償金12億円」の顛末
防衛事業をやり続ける必要があるのか
http://toyokeizai.net/articles/-/111619
  

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 7
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
清谷様へ

私は経済・ビジネスについて無知・パーです。だって営業・販売の経験がありませんから。公務員で20年間飯食っていましたし、自衛隊は 生産・サービスがありませんので経済について中学生並みの知識です。自虐でもありません。客観的事実です。
軍事に関しては、実戦経験はありませんが、清谷さんを含む軍事ジャーナリストと議論できる自信はあります。なぜか? 正規の軍事教育を受け、将校になり、リーダーや幕僚を経験し、組織の中間層として働いていたからです。それが自信と根拠です。
ある将官経験者で ハーバード大学院ビジネススクールへ留学し、MBAを取得、現在エレベーター会社の重役をしている方がいます。その方は経済やビシネスに関する知識・経験はパーだ!武士の商法ではダメだ!と認識し、ハーバード大学院まで勉強しに行きました。経験がない、それを補うには勉強しかないんですよ!
清谷さんも軍務の経験がないので、その辺の自衛隊幹部の何倍も勉強しています。だから1佐・2佐連中を論破できるんですよ!
元キャプテン
2016/05/18 07:13
清谷様へ

1 質問その1
私は経験者・OBの視点から自分の経験談・得た知験、自分の考えを基にコメントしています。軍事の分野にしては多少意見は異なりますが、的はずれなコメントはしていないと思います。
私のコメント・意見は取材・記事作成に役に立っていますでしょうか?
2 質問その2
情報の解釈・評価についてですが、情報資料は自分の見聞、関係者からの聞き取り、報道、書籍、公開文書、風評等色々あります。情報源が肝ではないかと思います。情報操作、大本営発表、偽情報、策略、思い込み等 障害になるものもあると思います。正しい情報源の選択や正しい情報の解釈についてご教示願いますでしょうか?
3 このブログについて
清谷さんが取材・記事について読者から手応えを求めたり 意見を求めたりする姿勢は評価します。 自己満足に陥ったりすると進歩ありません。読者の声・ニーズを掴む姿勢は大事だと思います。コミュニケーションを取る。当然、人それぞれ考えや捉え方が違います。それが正常な社会だと思います。多様性なんですよね。仕事となるとニーズに応える、組織の方針やルールに従うのは当然です。しかし、思想や意見を統制するのは違うと思います。勿論、責任は伴います。責任とは根拠だと思います。
元キャプテン
2016/05/18 21:50
お邪魔します。
 日本人には「事実と論理」は無く、「心情と直接の人間関係とその場の空気」しかありません。ですから「(事実と論理を根拠として)アベノミクスで経済は良くならない、却って悪くなっている、また自由主義経済志向と言いながら企業に給料を上げろとかバラマキをしたりするのは矛盾している」と言えば(当然事実や論理をめぐる議論は可能)、「自分達が事実と論理でものを言わないから、相手の言う事に対してもその事実と論理(有無も含めて)を考えない・考えられない」日本人は「安倍総理が(心情的に)嫌いだからけなしているに違いない」「愛国者である安倍総理を嫌うのは、そいつが反日だからに違いない」としか受け取れないのではないかと思われます。
ブロガー(志望)
2016/05/18 22:46
経済の専門家と地震の専門家は後講釈の専門家です
のもんはん
2016/05/19 09:34
今日の朝日にチェコの経済学者のインタビューが載っているんですが、「借金は酒」「何でも数字で表せると考えるのは宗教」といった具合に、清谷様が常日頃から言っていることと同じことを言っていたので驚きました。帰国したら読んでみてください。
ひゃっはー
2016/05/19 10:01
>防衛省はヘリ整備費 “災害便乗”で予算ブン取る役人の厚顔

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/181566

こうした形で週刊誌に、どんどん書き立てて欲しいですね。与野党の議員センセイ方は当てにならないし。
KU
2016/05/19 12:38
>1 質問その1
経験者のコメントは大変参考になります。むろんそのまま原稿に使えるわけではありませんが、ヒントやきっかけになります。ご自身でも体系的に経験をブログなどで発表してはいかがでしょうか。

2 質問その2
基本トライアンドエラーしかありません。ですが自分が信用できるソースのポートフォリオを組んで、それに新しい情報を照らし合わせるといいかもしれません。

>>防衛省はヘリ整備費 “災害便乗”で予算ブン取る役人の厚顔

まったく嘆かわしいことですが、こういうことを国会で議論する先生方が少なすぎます。
キヨタニ
2016/05/20 07:40
清谷様へ


ご回答に感謝申し上げます。経験をブログにすると言うことですか。 ある書籍に自分の経験・主張を部分的に掲載しています。友人でも出版を勧めています。OBが出版した本は将官クラスと士クラスですが将官クラスは上から目線ですが足元を見ていない、実態を知らない。自慢話や自己満足が多いですね。士クラスは 具体的、リアルですが視野狭窄。自虐的です。中間層の幹部や上級陸曹は組織の実態を客観的に捉えていると思います。 しかし、その中間層の幹部や上級陸曹出身者の出版本が皆無なのが実態です。
政治家や庶民が軍事の知識が乏しいのは否めません。それはOBが正しい情報発信や説明責任を果たしていない。故にまともな議論ができない。
あと退官した自衛官が大学や学校の教員に再就職する方法です。自治体に就職してもサービス精神が乏しく、法律に疎いのであまり力は発揮しないと思います。学校は軍隊と似て非なるもので、教育現場では力を発揮するのではないかと思います。筋肉バカばっかりだから体育教師がいいのではありません。社会科の教師、政治学や国際関係の教授とか向いているのではないでしょうか。
ハーバードビジネススクールの教授では米軍の将官や大佐 クラスが再就職していると聞きました。
元キャプテン
2016/05/20 17:17
しかし、ここからが問題です。
すでに失業率は最低レベルなので、女性や高齢者の活用を促進しても、大きな労働力は見込めない一方、医療・介護・保育と言った分野ではますます人手が不足しています。しかし、これらの分野は基本、税金や社会保険料に依存しているので、収益増も高賃金化も見込めません。その一方で、収益増高賃金化が見込みやすい成長産業、例えば観光などと人材を取り合うことになります。
即ち、ここからは雇用の確保ではなく、労働力の不足こそが問題になるステージに入っています。ここで、雇用促進が主たる効果の円安インフレを続けても人手不足が深刻になるだけでプラスは無い一方、副作用は相変わらずなのでマイナスにしかなりません。
今さら、円高がーという人は、ここを理解していないのです。
X
2016/05/25 23:19
円安政策の本当の意義、その効果と限界を理解する必要があり、闇雲な称賛も非難も誤りです。
2016年第1四半期のGDPは年率1.7%成長でしたが、これは私がしつこく書いていた通り、景気がまずまずであることを示すものです。2015年は0.5%から0.6%に上方修正、2015年度は0.8%で名目GDPは500兆円越えとまずまず。2015年の出生率は1.46と21年ぶりの高水準で低失業率と雇用者報酬史上最高レベルを素直に反映しています。2016年4月の訪日外国人数も大地震に関わらず206万人と史上最大。東京に住んで社会生活を送っていればよほど世間とズレが無い限り、好景気を実感できますし、実感と一致する数値です。
これらは全てでは無いですが、ある程度、円安の恩恵です。つまり、円安インフレによる実質賃金と実質資産価値の下落を通して雇用が増大し、資産家・高齢者・内需産業から、若い現役勤労無産世代に所得が移転した結果です。その結果、失業率最低、雇用者報酬最大、個人消費持ち直しと、ここまでは社会正義からも景気対策としても効果がコストを上回っていると思います。
状況の変化に応じて政策も変化が必要であり、常に有効な政策もありません。労働制約を鑑みれば、円高シフトによる実質賃金上昇で労働需要を緩和することも必要となります。
X
2016/05/26 23:19

コメントする help

ニックネーム
本 文
産経新聞は日経なみに経済オンチ 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる