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zoom RSS 安倍首相のトリクルダウンは存在しない。

<<   作成日時 : 2016/04/03 13:16   >>

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円安誘導して輸出企業が儲かり、株価も上がると、トリクルダウンが生じて、我々(安倍首相からみればキミ達)もおこぼれがもらえるよ、というのがトリクルダウンです。

仮にそれが実現し、おこぼれがあっても景気は良くなりません。

そもそもトリクルダウンの効果があるのは、我々庶民の懐事情が同じだったら発生するということを安倍首相
は知りません。

例えば庶民や中小企業の実入りが100あって、更におこぼれが5あれば実入りは105になってちょっと羽振りが良くなった気がするかもしれません。
ところがアベノミクス流の「トリクルダウン」は元の実入りを減らしています。これではトリクルダウン効果は発生しません。実際に個人消費は落ちています。

円安誘導によってコスト圧迫によって、食品、衣料、など消費財、エネルギーを中心に物価が上がりました。また製造業や農林水産業もコストが上がりました。
対して輸出はGDPの約15パーセントに過ぎません。つまりGDPの約6割を含むその他85パーセントの部分から収奪して一部の輸出企業に金をばらまいたわけです。

上場企業でも輸出が5割を超える企業はさほどありません。しかもトヨタなど円安差益でウハウハ儲かった企業でもベアはせいぜい2パーセント、下請けは「儲かったからコスト下げだけは勘弁してやる」です。円安で原料費、燃料費、電気代があがっていてこれですから、下請けにすらトリクルダウンはありません。
殆どの円安差益は極めて少数の大手企業の内部留保となっております。

そして、株式ですが日本の市場では7割が外国人です。ざっくり言えば株価が上がった利益の7割が海外に流出します。そして国内では個人投資家は極めて少数派です。機関投資家や持ち合い株の保有は内部留保などで、ほとんどおこぼれにあずかる人は殆どおりません。

繰り返しますが、つまりは消費者、国内向けの商売をしている企業から円安で収奪されたカネはごく一部の、輸出企業の内部留保となり、株式で得られた利益はほとんどが海外に流出、国内の利益も個人の懐に入ってきません。
これで例えば株主の7割が国内の個人投資家であったなら、高い時計やら、高い車やらがもっと売れて、お姐さんのいる飲み屋とかお風呂屋さんとにもおこぼれがあり、我々普通の庶民にもそのおこぼれ、すなわちトリクルダウンがあったでしょう。

先ほどの例であれば100あった実入りから20引かれて、おこぼれが1あったとしても、だれが財布の紐をゆるめますか?


まったく寝言は寝て言って欲しいものです。



東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
東芝、国から迫られた「賠償金12億円」の顛末
防衛事業をやり続ける必要があるのか
http://toyokeizai.net/articles/-/111619








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コメント(12件)

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お邪魔します。

 「日本の経済をどうするか」など"本気"では考えていないと思います。「仲間内の和を保つ」「その時その場の摩擦を回避する」だけなのだと思います。ですから「言葉"だけ"で黙る・喜ぶ奴らには言葉(だけ)を、具体的な利益を出せねば黙らない・怒る奴らには利益を」なのでしょう。そういえばトリクルダウンに関して竹中平蔵氏が「口を開けて待ってるだけの方が悪い」とか言い放ったと聞いた事があります。

 「自分がより多く得るには他の誰かから奪わなければならない」状態を経済学で「パレート最適」と言うそうですが、今の状態はそれに近づきつつあるのではないかと思います(大人が成長しないように、先進国になってしまったらそんなには成長できない?)。しかしそれを認めてしまうとホッブスの言う「万人の万人に対する闘争」になりかねないので、「経済成長・好景気を"演出"する」か「こっそり誰から奪って他の誰かに渡す」しか無くなっているのではないかと思われます。
ブロガー(志望)
2016/04/03 20:24
円安誘導による物価の上昇も、輸入依存の範囲、即ちGDPの15%程度に留まるので、国全体では限られています。価格弾力性が同じくらいなら、輸出の儲けと同じくらいになるので、国全体としてはプラスマイナスゼロです。
株価の上昇も、売る方も買う方も外国人投資家ですので、別に儲けは流出しません。微々たるものですが、手数料は日本に落ちますので、プラスになります。
即ち、国全体としては円安もデメリットはありません。問題は損得の分配で、損の大半が輸入品を使う業者、薄く広く全国民で、得の大半が輸出企業とそのおかげで大幅に増えた新規雇用者に分配される、この事をどう評価するかです。
ブロガー(志望)が仰るように、誰かが利益を得るには誰かの利益を削らねばならないゼロサム状態になっている日本では、政治的には高齢者の年金や医療を削ったり、資産家から徴収して、若い労働者に分配する事は困難ですので、インフレ誘導でそれを行うしかありません。消費税20%くらいにしてしまえば、インフレ誘導は不要になりますが。
X
2016/04/04 18:19
すいません。
ブロガー(志望)さんにさん付け漏れしてました。
大変申し訳ありません。
X
2016/04/04 20:16
安倍総理は妄想癖というか、現実を見ない・認めない性格だなぁと思います。1億総活躍社会と唱えているけど現実は保育園落ちた日本死ね! 安倍総理は官僚や学者の耳障りの良い言葉を鵜呑みにしすぎです。やはり変装して庶民の暮らしぶりを経験することですね。やはり百聞は一見にしかずなのでしょう。政治家と大衆の認識のギャップが大きすぎます。安倍総理は政治家になる前、神戸製鋼のサラリーマンとして働いていたのである程度経済のことを実感できるのではないでしょうか?
元キャプテン
2016/04/04 23:46
Xさん

相変わらず至極尤もな主張である。

しかし、一点疑問なのは、円安利益の分配云々を言うなら、高齢者や資産家を持ちだすより先に円安により利益が上がっている輸出企業からより多く徴収し分配する方策を検討したほうがいいのではないか?

円安で最も利益を得ているのは輸出企業であることはご自身も認めているのだから。

また、消費税率20%については、それこそ現時点では政治的に絶対不可能でしょうな。
真の愛国者ゆりか
2016/04/05 03:55
>真の愛国者ゆりかさん
>高齢者や資産家を持ちだすより先に円安により利益が上がっている輸出企業からより多く徴収し分配する方策を検討したほうがいいのではないか?

それが全くそうでは無いのです。
まず第一に、円安で利益を上げている輸出企業はすでにより多くの税金を払っているからです。リーマンショックの一時期、法人税を払ってなくて問題になったトヨタでさえ、2014年度の法人税納税額は7600億円以上になります。これは利益の3分の1超で、ほぼ実効税率通りです。
そして、Top20の大企業で日本の法人税額の6割を負担しており、おそらくTop100で9割以上を負担しているでしょう。世間一般の誤解と異なり、日本の法人税負担も社会保障負担も円安で利益を受ける大企業に非常に偏っており、この構造が是正されない限り、円安誘導をしないと社会の不公平が改善されない構造になっているのです。
X
2016/04/06 00:03
また、トヨタのような大企業が法人税を支払わない時期があったのは、研究開発費の増加を誘導したりするような政策的な税制によるものですが、この様な税制を利用して節税を行う場合、同時に国内で多額の研究開発費を支出するなど、日本の経済にはプラスになるので実害はそれほどありません。また内部留保も、企業は自己資本に対する利益率を高く維持することが求められているので、内部留保はあくまで帳簿上のものであって、現金では無く、設備投資などの形で企業は保有しています。これまた国内に金が落ちます。
一方、中小企業はそれとは逆で、これまた世間一般の誤解と異なります。法人企業統計によれば、この十年で増えた企業の現金と内部留保は大半が中小企業のものです。また本来は個人の遊興費生活費の類いを巧妙に経費にして企業を赤字にし、税金を払わず経営者の個人資産を溜め込む手口も横行しています。まあ、これを助けるためのビジネスも巨大に成長しているので、一概に経済にマイナスとは言えませんが。
かと言って日本の企業の大半を占める中小企業を単純に締め付ける訳には行きません。真面目にやっている経営者や本当に苦しい中小企業も多いですから。
結局、企業や個人の稼いだ利益ではなく、個人が溜め込んでいる資産と日々の支出額に応じて税金を負担するのが一番公平なのです。資産と支出が一定以上多い人は、間違いなく余裕がありますし、節税テクニックによる不公平も起きにくいからです。
X
2016/04/06 00:22
しかし仰るように消費税率20%は政治的に不可能なので、円安にして輸出企業や株高不動産高で利益を得る金融や不動産企業から法人税を徴収し、またそこに勤める人々から社会保険料を徴収するのが、唯一の解であり、現にみなさんが眼にしている状況と言うことになります。
真面目に働き、税金を納める中小企業が報われる日は永久にこないでしょう。円高にしたら余裕のある高齢者や資産家はますますリッチになるのに税金や社会保険料を負担しませんから。内需向けの中小企業がせっかくそのリッチな高齢者や資産家から売上を上げても、今度はその中小企業やそこに勤める人々が法人税や社会保険料を負担することになります。厚生年金強制だけで破綻するような企業が、その負担に耐えられるでしょうか?
X
2016/04/06 00:30
若年労働者や低所得者への所得移転を最優先するのであれば、好業績の輸出企業に法人税実効税率より多くの負担をさせるのが筋と思うが、政策判断は人それぞれなので、これ以上の議論は無用として。

ところで、

>>また内部留保も、企業は自己資本に対する利益率を高く維持することが求められているので、内部留保はあくまで帳簿上のものであって、現金では無く、設備投資などの形で企業は保有しています。


そもそも、内部留保がどの資産の項目で運用されているかは、内部留保と資産項目とのひも付けがされていないので正確に判断することは不可能である。

しかし、それをあえて推測した研究がある。

「法人企業統計からみる日本企業の内部留保(利益剰余金)と利益配分」(前財務総合政策研究所(農林水産省農林水産政策研究所兼食料産業局次長)次長 岩 瀬 忠 篤  財務総合政策研究所調査統計部 電算機専門官 佐 藤 真 樹 (注)役職は当時)

上記の研究によれば、内部留保については、設備投資の他、案の定、手元資金として現金が積み上がっているものもかなりの額があるとのことである。
真の愛国者ゆりか
2016/04/06 01:03
>若年労働者や低所得者への所得移転を最優先するのであれば、好業績の輸出企業に法人税実効税率より多くの負担をさせるのが筋
それでも別に良いと言うか、現状が既にそうなっているのです。そこをしっかり認識していただかないといけません。
そして、あなたの案に従う限り、永久に円安誘導し、内需中小企業を痛め続けてでも輸出大企業を優遇して税収と社会保険料を確保しないと、福祉が維持できない体質になります。従って、日本は永久に、清谷さんが憤慨し嘆き続ける国のまま、となります。逆に言えば、インフレ誘導を永久に維持し続け、現金年金配当地代に依存する高齢者や資産家から輸出大企業に富を転嫁することになります。そうしなければ国が維持できませんから。
どのセクターに税収、社会保険料を依存するかという事と、国の経済政策は強く結かざるを得ないですし、一度結びつけたら、変更は簡単にはできません。

>内部留保については、設備投資の他、案の定、手元資金として現金が積み上がっているものもかなりの額がある
これも私が既にご説明したことそのままです。あなたに認識していただかないといけないのは、それが大企業ではなく、中小企業によるものだという事です。従って、輸出大企業への課税をいくら強化しても、その問題は解決しません。これまた、インフレ誘導を永続して円安大企業に利益を転嫁する事が、唯一の解消法となります。
私はそのような社会が望ましいとは思いませんが、真の愛国者ゆりかさんが(ご自覚せずに結果として)積極的にその方向を指示されている事は、一つのご選択として尊重します。
X
2016/04/06 18:34
つまるところ、余裕のある高齢者や資産家がダイレクトに負担するか、円安インフレ誘導で大企業に利益誘導して税金と社会保険料を負担してもらい、余裕のある高齢者や資産家だけではなく、中小企業や本当に余裕の無い人たちまで巻き添えにして苦しませるかの、ニ択なのです。
消費税は定額給付付き税額控除で貧困層の負担をゼロにもできますが、円安インフレ誘導による輸入企業や燃料代高騰の著しく不公平なダメージは、補填しようがありません。
余裕のある高齢者や資産家を庇うこと自体も、不思議な話です。弱者ではないし、優遇する意味もありません。真面目に働いて稼いでいる大企業と、東京の元農家の地主が濡れ手に泡で資産を溜め込んでいるのと、どっちを庇うべきでしょうか?日本の経済が低迷しているのも、格差の拡大も、この手の既得権保護が強いことが最大の原因です。
そう言う不義不正不公平な社会を望むなら、別ですが。
X
2016/04/07 01:51
>>xさん

>>それ(好業績の輸出企業に法人税実効税率より多くの負担をさせる)でも別に良いと言うか、現状が既にそうなっているのです

この手法をとれば永遠にインフレ誘導を継続しなければならないのは分かったが、これ以上輸出企業に税負担をさせられないのなら、それこそコストなど他の要素を考えれば、所得移転などやらないほうがましだ。

実際、課税による所得移転という考え方には、私は疑問を感じている。


>>それ(現金の内部留保が積み上がっていること)が大企業ではなく、中小企業によるものだという事です

上記の記載は、「内部留保はあくまで帳簿上のものであって、現金では無く、設備投資などの形で企業は保有しています」という、あなたのこれまでの主張と明らかに矛盾しているではないか。

そもそも、私は、企業内に設備投資以外に現金の内部留保が積み上がっていることを指摘したかっただけで、企業の内部留保への課税強化など一言も言及していないのであり、全く的外れの批判と言わざるを得ない。

むしろ、私は、企業の内部留保への課税強化を主張している者には、グローバル経済の下で何を言っているんだか、と思っている。


いずれにせよ、政策判断は人それぞれであり、これ以上議論しても平行線になるだけで無意味であることから、重ねて言うが、これ以上の議論は無用である。
真の愛国者ゆりか
2016/04/07 04:54

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