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zoom RSS 防衛省衛生「10分、1時間原則」の欺瞞

<<   作成日時 : 2016/03/30 14:33   >>

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負傷隊員の救命率向上を 陸自 体制を整備
NHK NEWS WEB 2016年3月30日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160330/k10010461151000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_014


>陸上自衛隊は、安全保障環境が変化するなかさまざまな事態に対応できるよう活動中に
負傷した隊員をほかの隊員が現場で手当てし、速やかに止血などを行う「第1線救護」の
訓練を各地の部隊で導入しています。
NHKが情報公開請求で入手した防衛省の資料によりますと、陸上自衛隊は、さらに時間
的な目安を取り入れ、10分以内にほかの隊員が現場で手当てをしたうえで、1時間以内
に医療チームが緊急手術を行うことで、救命率を向上させる方針です。

>陸上自衛隊は、各部隊での訓練を通じ、現場での応急処置の能力を向上させると
ともに、医療チームを前線に派遣し、出血や感染症を防ぐ緊急手術を行うことができる体
制を、8年以内をめどに整備したいとしています。


手が込んだ御用報道ですね。ほとんど大本営発表なのに「NHKが情報公開請求で入手した防衛省の資料」を入手したと独自の取材を強調しています。本当に取材するきがあるならば防衛省の衛生のあり方検討会の佐々木座長あたりにでも取材するべきでしょう。まあ、そうなると記事の主眼である「10分、1時間」にダメ出しされてしまい、お上のご意向に添えなくなってしまいます。


示された衛生ドクトリン「10分、1時間」も、戦闘の現実から乖離した1980年代の民間の救急医療の丸写しであるにも関わらず、徹底することが命令のように求められているといいます。
そして防衛省の戦傷医療のガイドラインを外部の組織が作ったものを参考に、決めることになっております。
ですが、普通当事者である軍隊、国防省がこの手の指針を策定するのが普通です。これからして以上です。

2年ほど前、国内部隊のファースト・エイド・キットは2アイテムでも問題ない、病院がたくさんあるからだと陸幕
は公言しておりました。ところが昨年には有事にはPKO用と同じ内容に補充すると言い出しました。これを大臣や陸幕長の口から言わせたわけですが、実態は備蓄なんぞなく、民間流通在庫をあてしていました。
ところがそんな話業者も知らなかったわけです。業者に在庫があるかないかもわからない。こんなものを「計画」といえますか。同盟軍である米軍から馬鹿にされますよ。少なくとも背中を預けて戦える相手だとは思われないでしょう。日米同盟の深化って言ったどこの惑星の話でしょう。

そして、PKO用のキットは米軍のIFAKIIに準じた構成であり、問題ないと主張していたにも係わらず、ぼくの記事が出た後から、止血帯を増やしたり、IFAKIIに近づけるべく改良を行いつつあります。
これまでの主張が正しいならば何も変更する必要はなかったはずです。
それでも止血帯は本体とポーチを二重にシュリンク加工したまま開けるな、と命じているらしい。これでどうやって負傷時に1分で止血帯をかけられるんでしょうか。

まあ、有り体にいえば防衛省、陸自の衛生は「嘘つき」であり、大臣や陸幕長まで騙したわけです。
こういう人達が作った官僚作文をうがいもなく報道するのは「みなさまのNHK」としていかがなものでしょうか。

そして衛生検討会も9月以来開かれておりません。次回の日程すら決まっていないわけです。仄聞するところによると座長の佐々木先生も「10分1時間」を否定されており、これにそって岩田陸幕長が内部向け雑誌に書いた記事を読んで、その雑誌を叩きつけた、という逸話も漏れ伝わってきております。

しかも中谷大臣はぼくの質問に応える形で、現在の戦傷医療は前線ではなく、後方を重視するのだと仰っております。しかしこれも完全な誤りで、軍隊の主流は前線により近いところに集中するようになっています。

実際問題10分とは悠長です。重篤な負傷をすれば、自分では処置できません。また諸外国で配っている痛み止めなども隊員には配布されません。手足がちぎれて、痛みに苛まれて死ね、といっているようなものです。

負傷した場合、その場で処置し、然るべき集合地点で衛生兵が手当して、救急車やヘリなどで後送し、師団・旅団の集合地点で手術を行うとなっております。
ですが、まず諸外国では普通に分隊レベルで携行されているストレッチャーもなく(どうやって手足がもげた負傷者を後送するのでしょうか)、自衛隊の衛生兵には諸外国の衛生兵のような手当を行う法的な権限はなく、前線から負傷者を運ぶ装甲野戦救急車もない状態です。一台すらありません。
師団・旅団の医官は1,2名、部隊の医官の充足率は2割を切り、インターンに至ってはゼロです。
移動用手術セットの数は足りず、設備は時代遅れです。
何十人何百人の負傷者の手術はもちろん、手当すら師団・旅団レベルではできません。しかも「後方の設備が充実した病院」であるはずの総本山である自衛隊中央病院ですら、佐々木座長から戦傷医療どころか通常の救急医療のレベルでも民間病院に大きく劣ると酷評されております。

こういったお寒い状態であります。
それを何の利益のためか知りませんが、大臣や幕僚長まで騙すような組織が、まともに現状の改革に取り組むでしょうか。まともな改革をすると自分たちの自己否定になります。その勇気があるでしょうか。
そもそも「自社」の「社長」を平然と組織的に騙すような組織がまともに機能しているでしょうか。

ぜひとも愛国心に燃えている産経新聞あたりにはこれらの関する報道を行って欲しいものです。
まあ、本当に愛国心をもっているならですけども。

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コメント(54件)

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清谷様へ

日本の原発は安全だ!チェリノブイルのような事故は日本ではあり得ない! 原子力ムラと本質同じなんですよね。国防ムラは?
NHKだけじゃなく、他のマスコミの方々も疑問を持つべきです。大本営発表に!
職場の昼休みの間に軍事関係の質問がされます。職場の先輩方はやはり経験者のコメントは含蓄があり、説得力があると仰っていました。医療に関することは救急医がプロです。彼らこそ毎日が実戦で本当の意味での野戦病院の軍医ですが。
チャイカさん、出番です。専門の方のコメント聞きたいなぁ!医療従事者の方々のたくさんのコメントがあればいいと思います。
元キャプテン
2016/03/30 17:44
アレな総理は、参院選後に駆け付け警護の任務付与をやるらしいですが、戦後の日本では初めての無謀な軍事的決定になるんじゃないですか。
マリンロイヤル
2016/03/30 18:06
ヘタをすると負傷者を救えなかった時の責任を、
現場にいた隊員に押し付けかねませんね。
個人衛生キットの不備も問題ですが、
随伴する衛生隊員用の装備はどうなんでしょうか?
そっちの方は、更に深刻な状態なのではないかと。
張子の虎にウンザリ
2016/03/30 20:10
お邪魔します。

 戦地医療は平時・民間の救急医療のようにはいかないでしょう。スポーツで試合中負傷者が出れば審判が試合を止めますが、戦場に"審判"などいません。であるから「平時・民間の救急医療のようにはいかない」事を受け入れた上で、限られた人・モノ・金及び時間の中で最善を尽くさねばならないのですが、「戦時」の存在すら認めず、あたかも「平時・民間の救急医療と同等(10分1時間?)にしなければ無意味・怠慢」とみなすような向きがあると思われ、それが衛生の改善を妨げている一因になっているのではないかと思われます。大規模災害やテロ等の元での医療・衛生は戦時のそれに近くなると思われるので、それの整備は一般国民にも有益と思われるのですが。

(世界レベルで)戦地医療がどこまで可能なのかと思ったりもします。軍艦なら医務室を設けられても、陸戦で病院を持って動くのは難しいでしょうから。
ブロガー(志望)
2016/03/30 22:56
それでも清谷さんの指摘でそれ以前の空想的な衛生術科からは進んでいるわけで
昭和50年製造の油紙に包んだ包帯2本よりは進歩したわけですからその問題を進めた意味でも清谷さんの実績だと思いますよ

ただ確かに10分は悠長なので時短は必要でしょうけどそっから先に進めるには相当に力入れないとだめでしょうねえ

実物資材をケチケチしないで使うとかでしょうけど金のない陸自にできるんですかね
いつもの「想定:負傷者」のゼッケンつけた隊員に、大声で「想定、止血帯締めた」みたいな感じで終わるとか、オランダ妻1号みたいな人形に、衛生資材を使いまわしだとか

で、本番で袋が固くて破けないとかサランラップの剥がし口が上手くとれないとかどっちが上か下か表か裏かも悩んじゃうといういつもの状況になるんじゃないかと

本当なら片手片足のない俳優さんを雇って血糊ぶちまけて喚きまくってもらっている状況つくって何も知らない陸士に実物使って失敗する動画と正しい処置法とかの映画みせて
そのあとで部隊一の柔道達人のゴリラ隊員が痛え痛え言いながら暴れる状態で実物資材つかわせるとか



人馬笛
2016/03/30 23:41
これでPKOに部隊を派遣して死者続出という事態を招いて漸く国民も政治家も理解するのでしょうね、自衛隊と防衛官僚たちがとんでもない嘘つき集団だったってことを。
10式戦車もオスプレイも結構ですが、地味で目に見えにくいところにお金をかけない軍隊はおもちゃの軍隊と一緒です。
張り子の虎ですらありません。
八王子の白豚
2016/03/31 00:01
 公開されている陸自の訓練を写したフォトでは、一応装輪装甲車やヘリを使った患者後送を訓練はしているようですが。
英知の人・エイチマン
2016/03/31 00:01
救急車の要員は陸自では救急車の備品扱いです。
普通の装甲車を使うのであれば、要員はどうしているのか?ということになります。無論既存の装甲車を後送につかってもいいのですが、そいは緊急手段です。ただでさえ陸自は装甲車両が少なく、普通科で一番多いのは4人乗りのLAVです。その貴重な戦力を引き抜けるのでしょうか。そもそも戦場にそのような装甲車があるのでしょうか。ヘリに関して実戦では後送用に利用できないと元中央病院長が仰っておりました。陸自のやっていることは訓練のための訓練に過ぎません。
キヨタニ
2016/03/31 11:11
実際に「戦死者が多数」出なきゃ、変えようという動きは出ないのでしょうね。前例さえ踏襲してりゃあ、定年後も安泰なのだろうし。

>共産「自衛隊は殺し殺される役割」公明「事実捻じ曲げ自衛隊に失礼」西東京市議会で「公・共」対決

http://www.sankei.com/smp/politics/news/160331/plt1603310010-s.html

共産党もストレートすぎますが、いざともなれば、そうした事態も充分、有り得ますよね。

>幹部教育に新カリキュラム導入 陸上自衛隊

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160331/k10010462551000.html?utm_int=news_contents_news-main_006
KU
2016/03/31 12:40
今の人員スカスカ編成では、装甲車を増やしても無駄だと思います。
装甲車を動かす人員を割けば、スカスカ小隊が更にスカスカになります。
部隊の統合廃止を同時にやらないと、もっと酷い実態になるだけでしょうね。
なんちゃって連隊、なんちゃって大隊。
名前だけの編成では、実戦で戦えません。
張子の虎にウンザリ
2016/03/31 14:24
>幹部教育に新カリキュラム導入 陸上自衛隊
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160331/k10010462551000.html?utm_int=news_contents_news-main_006


KUさん指摘のこの記事、ちょっと危険ですね。何のドクトリンも無い自衛隊がこんな事を許したら、戦前の独断専行参謀やお神輿将官を、現代に生み出す元になりそうです。
マリンロイヤル
2016/03/31 18:48
目の前に山がありイザ登山という時に「遭難したらどうだのこうだの」と議論。結局は山に登らなければ何の問題もないと解散するようなものですな。
迫ってくる敵を目の前にして包帯の心配より他にやることあるでしょうが。例えば機関銃が連続1万発問題なく撃てるか検証してくださいよ。
本末転倒
2016/03/31 20:18
今晩は、元キャプテン様へ、チャイカです。
ご返事が遅れて申し訳ございませんが、是まで、年度末のその他業務で、多忙且つ、極悪勤務が続きました。本日漸く、病棟で入浴介助が終った後、これ等から解放され、自宅のパソコンに辿りつきましたから…。

さて、過日も述べた通り、この問題については、所詮、外野で、准看の私よりも、男性正看護師で予備自衛官補(恐らく看護枠)の同僚の方が適しています。何故なら、自衛隊内部と外部の医療機関、双方の事情を存じ上げていますから。しかし、同僚は保秘の観点等の理由から任務に関する事は殆ど口にしませんし、私も敢えてその事には、触れない様にしています。ですから、飽くまで私が答えるとするならば、救急処置なり、何なりは時間等との闘いでしょう。とは言え、アコードインターナショナル株式会社配信の戦闘外傷ケア用品カタログ自衛隊版(http://www.accord-intl.com/catalog/military/ctlg_A_military_all.pdf)を見ると、TCCC (Tactical Combat Casualty Care) 戦術的戦闘時外傷ケアはTCCCは時としてT-Tripple-Cとも呼ばれ、戦場において戦傷者に即対応するための戦術的戦闘時外傷ケアと言われ、民間救急と異なる点が多いです。



チャイカ
2016/03/31 21:20
とは言え、民間救急も水の上の水練ではないです。
限られた時間、限られた機材で適切な処置をしないと、要救助者が危険に晒されます。事実、私が以前、救急医療関係者から言われたのは、『ルート(点滴)を素早く取らないと死にます』と。しかし、ご高齢の方々等は血管が細かったり、脆かったりして、容易くないのに、混乱し、危急の際に素早く行うのは、高度の技術が…。

ですから、この分野で、世界有数の実力を持つ米の
戦術的戦闘時外傷ケアの技術等の導入は勿論、毎日が修羅場の救急医療関係者と連携しても良いでしょう。彼等の中には米国留学で、最新の技量を見に着けた人々も居られますから。
チャイカ
2016/03/31 21:20
米軍のアフガニスタンでの受傷1時間以内の後送通達(ゴールデンアワー後送)の効果を検証した論文です。アブストラクトだけですが、読んで勉強して下さいね。

http://archsurg.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2446845

以下のリンクはNATOのallied joint doctrineです。1-6ページに重症患者の初期手術は1時間以内に実施すべきだと規定しています。

https://www.shape.nato.int/resources/site6362/medica-secure/publications/ajp-4.10(a).pdf

外国軍は、ゴールデンアワー、プラチナム10ミニッツが標準なんですよ。従来の数時間かかる後送では助からない命がある事は常識なんです。それを変えようという試みだと思うのですが・・・何か問題があるんですか??

皆さん、事実を知らなすぎです。
GG
2016/04/06 04:27
アフガニスタンの作戦とは少人数で行うテロリストの掃討作戦です。 軍の通常の作戦のように、何十人単位で負傷者が発生するわけではありません。 アフガニスタンのケースは稀であって、この論文は「アフガニスタンのようなケースでは戦闘外傷の治療にも1時間以内を達成できました」と言っているだけです。
軍の通常の作戦とテロリストの掃討作戦を一緒にしているあたりは、戦傷医療の素人なのでしょう。体系的な知識を持たず、ただネットで自分の欲しい情報があったからと飛びついたのでしょう。
事実を知らないのはあなたです。勉強して下さいね。
HK
2016/04/06 18:26
論文読みましたか?負傷者数を見ましたか?
重症外傷にだけでも21,000人の患者を解析しているんですよ?何十人単位で負傷者が発生するわけではない?
NATOのDoctrineも読まれたんでしょうか?これはアフガニスタンに限った話ではありません。
GG
2016/04/07 00:57
HKさんからの反応がないようなので追記します。

NATOや米国が重症患者の1時間以内の手術実施を目標としている理由の一つは止血帯です。
止血帯装着は1時間までは安全ですが、2時間から3時間で虚血部位の細胞の壊死が起こり始めます。整形外科の手術中の出血を抑えるためにターニケットを使用しますが、その使用は2時間以内です。それ以上止血帯を装着したままにすると、神経傷害が発生しやすくなります。6時間を超えると、広範な組織壊死が起こります。この場合は結局、四肢を手術で切断するしかありません。TCCCで「2時間以内に止血帯を除去するあらゆる努力をすべきである」と書いてあるのはそのためです。でも動脈からの出血がある場合、止血帯は外せない事が多いんですよ。

外国軍は、負傷した兵士の機能温存も重視していると清谷さんが過去に述べていましたが、その通りです。
止血帯を使用する以上、最低でも2時間以内に手術による止血を行って、止血帯を除去する必要があります。後送に何時間もかかっていたら、四肢の機能は温存できないんです。

ゴールデンアワー後送は欺瞞ではなく必然です。そのための整備をする事には、何の疑問もありません。

HKさんは戦傷治療の専門家のようですから、お分かりになると思いますが。
GG
2016/04/11 16:31
GGさん、HKさんはじめ、他の読者からの反応が無いのは、GGさんのコメントに軍事面の考慮が見られず、あまりの素人ぶりにスルーされているためです。引用されている論文とNATO指針は、どちらも専門家には読まれているもので、この二つが同じ議論の中に挙げられるものではないことも知られています。私もコメントをためらっていましたが、放置することで軍事面を無視した論議が展開されて「10分1時間衛生ドクトリン」のような現場にとって大迷惑の方針を示されたのでは多くの隊員が死ぬことになるので、筆を執ることにしました。
MORI
2016/04/13 05:53
まずGGさんが挙げる、アフガニスタンにおける治療・後送についての論文「The Effect of a Golden Hour Policy on the Morbidity and Mortality of Combat Casualties」についてですが、アフガニスタンでの戦闘は戦争「War」と違い、 MOOTW(ムートウ)Military Operations Other Than Warです。戦争以外の軍事作戦ですから、戦争における陸上作戦のような戦闘とは、負傷者の発生規模が数字の桁で違うほど少ないです。治療能力に余力があるMOOTWと治療能力に比して負傷者数が圧倒的に多いWarを同列に論じることは出来ません。そのためこの論文の分析では、地上戦において最前線かつ極めて重要な手術施設である大隊収容所が含まれていません。table1 この論文で言いたいことは、MOOTWのような任務では、大規模地上戦のような収容所治療による治療の中継を行わなくても、民間の外傷治療システムで良いのではないかということです。
MORI
2016/04/13 06:11
次にGGさんが挙げる、2011年に発刊された、NATOのALLIED JOINT MEDICAL SUPPORT DOCTRINEでは、冒頭の1-6にゴールデンアワーの記述がありますが、それに続く段落には、ideally within the first hour but not later than four hours from wounding 理想的には1時間以内であるものの、しかし、遅くても4時間以内とあります。そもそも、この冒頭部分は理想論、一般論を述べているのであって、実際の指標は3章のMEDICAL EVACUATION CONCEPT にThe ability to evacuate casualties to a medical care facility 24 hours a day, in all weather, over all terrain and in any operational circumstances.「あらゆる作戦においていかなる気象、地形においても24時間以内に治療施設に収容させる。」と示しているのみで、The management of patients in any JOA is a dynamic process「JOA:Joint Operations Area統合作戦地域における患者管理は動的対応を要する」外国軍は、ゴールデンアワー、プラチナム10ミニッツが標準ではないばかりか、プラチナム10ミニッツを語る人はいません。救急隊に10分以内に助けてもらう心構えでいては戦死してしまうからです。負傷者自ら30秒以内に救急処置を施して、まず生き残ることが常識です。米軍最新のIFAKUの内容品と構造を見ただけでも、戦闘外傷の対応は1秒を争うものであることは容易に解ります。
MORI
2016/04/13 06:17
外国軍は、4R(The Right care to the Right casualty at the Right location and Right time)
「適切な治療を必要とする負傷者に適切な場所で適切な時間で提供すること」が標準的な方針です。国際的には民間の救急医療でもゴールデンアワーは言われなくなり「ゴールデン・ピリオド」と考え方が変わっています。重症外傷の対応は一律1時間以内ではないからです。それに、それぞれの症例に応じて時間差を設けて治療するからこそ、大量負傷者に対応できるようになります。軍用銃の乱射によるテロが多発し始めたヨーロッパでは、こうした対応は平時から行っていなくては出来ないため、一律1時間以内という考え方を民間救急医療でも廃止したのです。これが大きな要素の一つとなってフランスは昨年11月に発生したテロ事件で実践し最大多数の救命を実現しました。このことは事件発生後2週間という短期間でフランス厚生省が報告書を発表しています。話がテロにそれてしまいましたが、これからの自衛隊が優先的に考えなければならない治療・後送ドクトリンは島嶼での地上戦におけるもの、次いで本格的地上作戦のものであって、それにはアフガニスタンのようなMOOTWは参考になりません。南スーダンでの駆け付け警護にて負傷者が発生する事態では適用できるでしょうが、その際は現地多国籍軍のシステムに組み込まれるものなので、日本独自で考える必要のないものです。日本が考察の焦点にすべき治療・後送ドクトリンにゴールデンアワー、プラチナム10ミニッツを参考にすべきところは何らありません。
MORI
2016/04/13 06:26
止血帯についても、負傷者を「症例」と診れば、既製品の止血帯であれば3時間まで装着を許容するようになりました。しかし、負傷者を「人間」と捉え、作戦や戦闘の実際を加味して考えれば20分間と装着していられない「現実」が見えてきます。そのために各軍隊は何をしているのか、手足の温存のための手術を受ける前に取り組んでいることについても言及しなければ、3時間ともたずして隊員は死ぬことになります。このことも清谷さんは既に述べられていることですが。
MORI
2016/04/13 06:28
まず、The ability to evacuate casualties to a medical care facility 24 hours a day, in all weather, over all terrain and in any operational circumstances.の訳は
「あらゆる作戦においていかなる気象、地形においても24時間以内に治療施設に収容させる。」ではなく、「あらゆる作戦いかなる気象、地形においても24時間体制で後送能力を維持する」という意味です。24時間以内という訳は恣意的ですね。24 hours a dayは、1日24時間という意味なんですが・・・

あなたの言っていることは、ただ断片的な事実を述べているだけで論旨が不明です。ゴールデン・アワーとは、何でもかんでも1時間以内に後送するという意味ではありませんよ?
一律1時間以内なんて、そんな話はないですよ。あくまで重症患者に限っての話ですよ?

もしゴールデン・アワーを否定するreferenceがあるのならご提示下さい。 それから論理的筋道をつけて説明してくれませんか?
GG
2016/04/13 12:33
それからgolden periodは、重症患者の後送を優先するために、それほど重症でない患者の後送を遅らせるという考え方です。重症患者に関しては、より迅速な後送が要求されます。

もしゴールデン・アワーを全患者1時間以内の後送と捉えているのであれば、文脈が読めていません。前述の論文、OEFでのgolden hour directiveも1時間以内の後送は重症患者のみです。

防衛省の救命ドクトリンでも、重症患者を1時間以内に後送し、ダメージコントロール手術を実施できる体制を構築すると述べています。ダメージ・コントロール手術の対象はlethal triadのある外傷患者、つまり重症外傷患者でしょう。

重症患者の早期後送を否定する人など会ったことがありませんよ。
もし、実際にmass casualty situationでの診療をした事がないのであれば、議論にならないです。
あなたはtrauma surgeon(MD)ですか?
GG
2016/04/13 13:36
それから、10分以内に救護を提供するというのは、衛生の話であって、負傷者やバディのfirst aidを否定するものではないでしょう。

Battalion Aid Station(大隊収容所)が手術施設だと言っているのも間違いです。実施できるのは小手術だけです。麻酔科もいません。例えば胸腔内、腹腔内出血などへのsurgical interventionは実施できません。

どうも情報の1つ1つが、微妙に間違っていたり、誤解に基づいていた主張がなされているように感じます。素人はアナタではないですか?
GG
2016/04/13 15:22
GGさん、私の素性が知りたければご自分の自己紹介からどうぞ
MORI
2016/04/13 19:03
申し訳ないですが、興味ないです。
GG
2016/04/14 02:11
GGさん、客観的に見てご自身の論理展開が崩れているように見えます。MORIさんへの反論に合わせて、それ以前の自己の主張と論旨を変えているように受け取れます。手術が必要なのは重症者に限ってのことであることはMORIさんの言うとおり読者の共通認識でしょう。手術が必要では無い人は、早期勤務復帰で戦闘力維持なのですから、ここでは論議に挙がらないはずです。GGさんの言うように「golden periodは、重症患者の後送を優先するために、それほど重症でない患者の後送を遅らせるという考え方です」というのであれば、最初からGolden an hour なんて言わずに、Golden period と言うか米軍が公表しているように4Rでいいではありませんか。「10分1時間」と正式に発表するからこそ現場では「10分で救護員が処置すれば命が助かるんだ」「1時間以内に手術を受けさせれば救命は達成できるんだ」と勘違いされるのです。ゴールデンアワーと言っておきながら、反論されると「一律1時間以内なんて、そんな話はないですよですって?。あくまで重症患者に限っての話です」なんて、最初から重症患者に限っての論議のはずですが。1時間とか10分とか、戦場に当てはまりもしない具体的な数字を示されるからこそ現場は大変な迷惑を被っています。広範囲で多発する負傷者に10分以内に救護を提供するってどうするんですか?部隊は展開して戦っているのにどうやって?GGさんがコメント投稿者に問うほどの専門家であるならば答えて下さい。
FUE
2016/04/14 05:25
GGさんは実際にmass casualty situationでの診療をした事があるのですか?問うのであれば自身の経験から先に述べるべきでしょう。議論に詰まったが故に、診療資格や経験の話にすり替えているように見えます。「ゴールデン・アワーを否定するreferenceがあるのならご提示下さい」と述べられる前にフランスの同時多発テロの報告書を読みましょう。東京消防庁他、テロ対策医療の専門家は皆、その内容について学んでいます。10分1時間なんて言った自衛隊にあきれていますから、自衛隊なんてあてにしていません。
FUE
2016/04/14 05:26
こんな指摘はしたくないんですが、これまでのやり取りで解った事は、英語の文献の読解力が無さ過ぎる事です。その英語力では、戦傷医療の文献やトレーニングにアクセスし、updateするのは不可能でしょう。
ゴールデン・アワーの論文の解釈も意味が分かりませんし、ディベートのキーポイントとなる引用の訳が間違っているのですから、話にならないです。

清谷さん、私のようなcriticismに溢れた人間の書き込みを承認して下さった事には敬意を評します。このコメント欄がFairなものである事は間違いありません。
GG
2016/04/14 06:57
GGさん、診療資格、診療経験の次は英語力を問題にあげて、10分1時間衛生ドクトリン問題の議論が棚上げになっています。肝心の議論をしましょう。英語力が不足と指摘されるのであれば、ご自身の語学力で修正して展開を善導すればよいだけのことです。英語力の指摘をする必要そのものがないはずです。それに、今年2月から日本国内でも本格的な戦闘外傷救護・初療の教育コースが開催されるようになったのですから、英語力が軍事医療を学ぶ決定的な要素になりません。そもそも軍事医療の専門家がきちんと仕事をしていれば、誤訳や解釈の間違いは起きていないはずですし、10分1時間衛生ドクトリンそのものが生まれていないはずです。
私は救急救命士ですが、外国軍が 4R(The Right care to the Right casualty at the Right location and Right time)
「適切な治療を必要とする負傷者に適切な場所で適切な時間で提供すること」を標準的な方針としていることは、小銃小隊長レベル、つまり初級将校の常識です。例えば1回の攻撃でどれだけの負傷者が出て、後送に割ける輸送力はどれくらいで、利用できる手術台はいくつあるのか、これらは戦力管理において重要な要素だからです。軍事や作戦についての素養がなければ英語力があっても文献の行間を読むことはできないものです。ゴールデン・アワーについて具体例を挙げて考察してみましょう。
MORI
2016/04/15 08:42
それでは具体的に合衆国海兵隊による上陸作戦を例に考察してみましょうか、全て公表データによる分析です。
海兵遠征部隊(MEU)の1個歩兵大隊(972名)を基幹として、戦車、対戦車、砲兵、軽装甲偵察、水陸両用強襲、工兵等によって増強された約1200名の地上戦闘部隊が上陸作戦を実行したとしましょう。
海兵遠征部隊(MEU)はTCCCの基準となる米陸軍旅団の約半分の規模であり、陸自の連隊戦闘団に近似する規模です。「米軍と自衛隊とは規模が違う」とは言わせません。
過去の戦歴から考察して、損耗700と設定したならば、戦死180名、負傷者520名、負傷者520名のうち半分の260名は手術が必要な負傷者、260名の負傷者のうち50名はROLE3(野戦病院)より高度な治療を必要とするでしょう。
治療能力は上陸地点の大隊収容所に設けられるROLE2(+)で手術台が2つ、軍医1名に手術室特技看護師2名、手術室特技MEDICが2名、洋上の強襲揚陸艦等に手術室が多くても10室、洋上で待機するROLE2(+)が4〜5組と1時間以内に手術できる能力は多くても20名と手術が必要な負傷者数の10分の1に及びません。
HK
2016/04/16 03:46
この患者と治療能力の圧倒的な不均衡から考えても「1時間以内に手術」などできるわけがありません。
そもそも、洋上の強襲揚陸艦に簡単にヘリで後送なんて不可能です。アフガニスタンでは武装勢力が航空戦力を持っていないので、
「制空権」が確保できており、攻撃ヘリにエスコートされた救急ヘリが直ちに飛んできます。しかし、航空戦力が発達した現代戦では「制空権確保」は成し得ず、味方の航空戦力が一時的に優勢になる「航空優勢」がやっとですから、救急ヘリを飛ばすには、対空火器を沈黙させる電子戦機を飛ばし、戦闘機に上空援護をしてもらった上でやっと攻撃ヘリにエスコートされた救急ヘリが飛べるようになります。しかも、救急ヘリが飛ぶ空中回廊に味方の砲弾が飛び交ったり対空火器が誤射しないよう「空域統制」も必要です。これらの調整が済んでようやく救急ヘリが飛ぶのですから、コマンド・コントロールに優れる米軍ですら、受傷後1時間以内に手術室に運びこむことは至難の技でしょう。
HK
2016/04/16 04:00
ちなみに海兵隊の歩兵大隊Battalion Aid Station(大隊収容所)には手術能力が付与され、治療能力はROLE2(+)(支援を行う米海軍側はEchelon2と呼ぶこともある)に増強されます。
受傷現場ではどうでしょうか、狙撃火力の発達した現代の地上戦でMEDICが10分以内に負傷者のもとへ行けるわけがありません。それに負傷者のもとへMEDICが駆けつけるようでは1人の負傷者にしか応急処置を提供できません。同時に発生している他の負傷者はどうするんですか?10分以内に応急処置なんてできるわけがありません。だからこそ、各軍のIFAKは充実しているのです。
「負傷者やバディのfirst aidを否定するものではない?」否定どころかfirst aid以外に受傷直後の救命の有効な方策がないからこそ、米軍の救急法検定は54項目(2012年の公表データ)もあるのであって、10分なんて時間の余裕がないからこそ、米軍のIFAKUは一秒を争う構造になっているのです。
こうして考察してみると、「10分1時間衛生ドクトリン」なんて考えが出てくる方がおかしいことは明白であり、少なくとも普通科、航空科等と議論をしたことがあれば、このような机上の空論が出てくるわけがありません。「ゴールデンアワー後送」は欺瞞どころか現代戦の考察に全く欠ける、将来の自衛隊員を死地へ追いやる大罪そのものです。
HK
2016/04/16 04:27
再びお邪魔します。

 「(完全に)達成する事は極めて困難(不可能?)でも、それに少しでも近づく事を目指す"努力目標"」「達成する事を目指す"達成目標"」「達成しなければペナルティを課される"義務"」これらを区別しないと"努力目標"だったはずのものがいつの間にか"義務"にされたり、その逆が行われたりして、結局「全体ではより多くを失う」事になるでしょう。後「最善を尽くす」ではあまりに抽象的なので、一応の「目安」といったものがいるのかなと。
ブロガー(志望)
2016/04/16 21:42
続きです。

 「目標」の場合は「目標の妥当性」というのが問題になると思われます。

 自衛隊のそれに関しては、旧陸軍が「一雨降れば使い物にならなくなる滑走路が、軍の地図では堂々たる航空基地として記載」であったように「そういう事にしておけば丸く収まるからそうしている」ではないかと思われます。「近現代兵器を使えば負傷兵の"量産"は容易で、"手仕事"である治療がそれに追い付けるはずがない(民間救急は「例外処理」だから対応可能?)。しかしそれを認めてしまえば前線に立つ奴は激減するし、人命や人権を掲げる連中がうるさい。だからそういう事にしておく」といったところでは。
ブロガー(志望)
2016/04/16 21:44
HKさん
負傷者数の推定(Casualty Estimate)は通常、Casualty/thousand/dayで算出します。つまり1000人あたり1日にどれくらいの負傷者がでるのかで算定するんです。仮に最もintenseなcombatだと仮定しても、通常20を超える事はありません。そもそもtotalの数を算出しても、planningの参考にはなりません。そこからKIA, WIA, DOWの割合をかけます。これはevacuation policyによって変化します。Rapid evacuationの場合が最もKIA, DOWが少なく、KIAは20%、WIA78%, DOW 2%です。evacuation policyが6時間以上(このようなpolicyは極めて特殊で、広大な作戦地域でしか用いません)を要する場合はKIA 25%, WIA 70%, DOW 5%程度です。今はコンピュータソフトで算出しているはずですが、背景データは大きく変化していないはずです。
つまり、1200名の地上部隊だと最もintenseなcombatだとして1日24名、KIAが5名、残り20名が後送され、約半数が手術を受けるとして一日10名が見積もりです。USMCのstaff planning factor and considerationを参考としています。ネットでも見つかると思います。
GG
2016/04/17 00:19
何度も言いますが、発言に微妙に間違いが多いんです。Role2のroleとはNATOの医療施設の基準です。levelもしくはEcheronが従来米軍が用いてきた基準です。現在、Roleが広く使われていますが、これはNATOの基準に適合させるためです。NATOのrole MTF基準ではRole2はダメージコントロール手術(DCS)機能を持つ施設を指します。Role 2+はDCSという概念がなかった90年代の基準です。AJP-4.10(A)を参照して下さい。DCSは今やRole2の主要機能です。現在、米軍のRole2といえばDCSを実施する施設です。

前々から申し上げているようにreferenceを示さなければ、議論にならないんですよ。ご存知のようにネットではいい加減な事をいう人が沢山います。referenceはその主張が正しいかどうかを確認する手段なんです。
どんなに論理を振り回しても、信用できなければ議論にならないんです。
GG
2016/04/17 00:20
ブロガーさんの仰る通り、組織は一定の基準を示す必要があります。個人が正しいと思って実施した事が、実は間違っていたという事は良くあります。4Rには組織レベルの4Rと個人レベルの4Rがあります。組織の4Rは、根拠のあるデータによって構築しなければならない。例えば組織のRight Careの基準は、TCCCガイドラインであり、民間ではBTLS(JPTEC)、ATLS(JATEC)などの診療ガイドラインです。これらの診療ガイドラインは、今までのデータ分析のかたまりなんです。組織のRight timeは1時間以内を基準とする。これにもデータがある。後送90分と60分以内では、死亡率が6%違う。多くの人は90分でも十分早いと思うはずです。それでも戦場でのデータでは「90分より60分以内のほうがいい」と出ているんです。後送に2時間、3時間かかれば、もっとその差はもっと大きくなるでしょう。後送を迅速化することは、前線での治療水準を引き上げることと同様に重要なんです。

組織全体の4Rは、個人の4Rを無視しているわけではありません。ただし、組織の4Rを参考にしなければ、個人はしばしば大きな失敗をします。ガイドラインなしで、個人が正しいと思う処置を好き勝手にやったらどうなると思いますか?
GG
2016/04/17 00:21
敵火又は戦闘状態にもよりますが、果たして救護員・衛生隊員が負傷兵を応急手当・後送が果たしてできるか甚だ疑問です。まず、救護員や衛生兵はジュネーブ条約で拳銃や小銃の小火器まぁ自衛用の武器しか保持できません。担架や衛生資材携行だと拳銃しか携帯できません。 また、応急処置の間は無防備になり、敵の火力に脆弱です。 狙撃兵にとってはカモがネギを背負ったようなものです。戦闘中果たして戦闘員が応急処置する余裕があるのか?
も車両やヘリによる 後送は戦闘中は極めて難しく、割ける余力はないと思います。戦闘が一段落してからでないと後送されないでしょうか?米軍みたくヘリや車両が豊富にあり、ベトナム・湾岸・イラクのように戦訓があればいいでしょう。日本は資源・法制度が未熟であり、過去のノウハウがないでしょう。やはり、イスラエルとか戦場医療が進んでいる国へ修行してからでしょう。過去のノウハウがないのに議論しても意味ないでしょう。
元キャプテン
2016/04/17 00:21
GGさん「1200名の地上部隊だと最もintenseなcombatだとして1日24名、KIAが5名、残り20名が後送され、約半数が手術を受けるとして一日10名が見積もりです。」この数字、武装勢力相手のモガディシオの悲劇にすら当てはまりません。正規戦で、これだけ兵器が発達していて、見積もりがそんなに少ないわけがありません。戦闘の実相への想像力が無さすぎです。一度、戦争をご覧になっては?私もその見積もりを計算したことがありますが、計算方法を間違えています。この間違いはよくやってしまいがちなことなんですけどね。思考の元となる数字を間違えているのですから、ゴールデンアワー後送なんて考えが出てくることが解りました。きちんと計算すれば、実際に即した数字が出てきます。その前に現実の戦争を知りましょうよ。そうすれば間違いに気付けます。
HK
2016/04/18 10:09
GGさんの計算では、装甲車等の装備品損耗と数字が合いません。装甲車とか戦車とか 、ヘリには人が乗っているのですから、これらが破壊されれば、当然、人も死傷しますが、数字が桁違いなのは何故なんですか?
MORI
2016/04/19 12:21
確かに私の見積もりは甘かったようです。Conventional warfareのピーク時には、1時間以内は厳しいかもしれませんね。できればreferenceを示して欲しかったですが、色々勉強になりました。ありがとうございました。では。
GG
2016/04/20 00:18
私の方でも計算が合いません。GGさん計算式を示してもらえませんか?ちなみに、米軍はベトナム戦争後半から衛生支援は部隊に対してではなく、展開地域に対して行うように支援方法を変えましたが、部隊に対して衛生支援を行う考え方で計算していませんか?もしそうだったら桁で数字が違ってきます。「10分1時間衛生ドクトリン」がこの計算ミスから発想されたものでないことを祈りたいものですが。いずれにせよ、「10分1時間衛生ドクトリン」が大きな間違いであることはコメント欄の記述を見ても明らかなので、まずは常識外れのドクトリンが発想された原因を明らかにしましょう。
FUE
2016/04/20 09:34
GGさん、見積もり甘いのではなく、考え方が的外れです。戦闘のピーク時にこそ傷病者が多発するのであって、この時に何をするのかを考えなければならないでしょう。戦闘が不活発の時は平時の態勢の延長で対応することも期待できます。激烈な戦闘時にいかに最大多数の救命を図るかが衛生科の考えるべき焦点であるはずです。「ピーク時には、1時間以内は厳しいかもしれませんね」???では一体、どのようにして「10分1時間衛生ドクトリン」は考え出されたものなのですか?
HK
2016/04/22 10:22
HKさん、なかなかしつこいですね。ちょっと調べてみましたが、どうやらダメージコントロール手術(DCS)がミソのようです。
米軍のFST(role 2)での手術つまりDCS例は、WIAの15%程度のようです。これは、従来よりもかなり少ない。つまり、FSTでの手術はかなり適応を絞り、真に早期の手術介入が必要なものに限って、実施されていると思われます。HKさんの負傷者520名に対して15%は78例になります。なおかつ、DCSは1時間以内に終了する短時間手術がほとんどを占めるため、手術施設の回転は従来の手術よりも早まると考えられます。DCSという概念は21世紀に入るまでなかったものなので、見積りを変える必要があるのかもしれません。これ以上は、私も分かりません。
GG
2016/04/22 12:06
NATOのAJP 4-10(A)に話が戻りますが、手術はDCSとPrimary surgeryの2つに分別されます。つまり、全ての手術が緊急というわけではない。DCSの適応症例に限ると、それほど多くの症例が発生するわけではないのだと思います。下のサイトが良くまとまっています。

https://medevacmatters.org/2012/02/16/nato-medevac-timelines/
GG
2016/04/23 11:33
すいません。最新版のNATO Allied Joint Doctrine for Medical Supportは、AJP 4.10 バージョンBでした。
英国の防衛省が公開していました。2015年5月の改訂版です。

https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/457142/20150824-AJP_4_10_med_spt_uk.pdf

1-17ページに10-1-2 Timelineとして定義されていますね。Enhanced first aidは10分以内、DCSは1時間以内を目標で、受傷後2時間を超えてはいけないと記載されていますね。
GG
2016/04/23 12:24
沈黙しましたね 笑

簡単にまとめると、昨年5月にわざわざNATOは、10分以内の衛生員による救護と1時間以内の緊急手術をドクトリンとして採用したという事です。AJP 4.10と比較すれば分かるように時間の制限はより厳しくなりました。アメリカもカナダも英国もフランスもドイツもこの基準の採用に同意している。これはパラダイムシフトなんですよ。
常識はずれとか非難する前によく調べるべきでしたね。
GG
2016/04/27 03:24
GGさん、「沈黙」とかあまり余計なことは言わない方がいいですよ。議論が感情的で薄っぺらなものに見られてしまいますから。数字の引っ張り合いではなく、現実に日本人が死なないで済むことこそ考えるべきです。論理的に正しく展開されれば余計な言葉は必要ありません。
 さて、GGさんはAJP-4.10, Edition Bに変更された経緯は掴んでいるのでしょうか、確かに「AJP-4.10, Edition Bに欧米が数年前から迎合していた」ことは、私も米軍がWarrier Skills Level1をアップデートし、2015年8月に公表もしていることからも認識しています。しかし、よく考えてみましょう。公表されているunclassfiedの情報には大した内容は書かれていないものです。気前よく自分の秘密を曝す軍隊など無いからです。現実に最新のドクトリン等は各国とも公表してはいません。そこは変化から考察しなければなりません。後追いの研究をしていては遅れを取るからです。2015年初頭からヨーロッパでは自動小銃によるテロ事件が頻発しました。そこから欧米軍の時間に関する考え方も変化しています。フランスは時間の考え方を変え、それをテロ対策に反映させたからこそ、昨年11月の同時多発テロに有効に対処できました。GGさんは、こうした時代の変化や行間を読み取ってのパラダイムシフトと認識しているのでしょうか。私は英国に渡り、軍事展から直接変化を掴んでいます。また、フランスは報告書を出してもいます。
HK
2016/04/27 22:27
AJP-4.10, Edition Bへの最大の変更点は「弾力性」です。1-2の図から1-21までを良く読めば、動的な変化に対応するための考え方に変化したことが判ります。それに第1章は overview of key principles 概要及び基本的な考え方です。2-9にも同様の記述がありますが。これを「NATOは、10分以内の衛生員による救護と1時間以内の緊急手術をドクトリンとして採用した」とどこで謳っているのですか? 念頭に置くべき「目標値」と全軍に行き渡らせる「ドクトリン」は意味の重さが全然違います。ドクトリンはより具体的な実行可能なものでなければならないのです。このブログ記事で議論されていることは、「10分以内の衛生員による救護と1時間以内の緊急手術」が果たしてドクトリン足り得るのか?ということです。本来の議論に話を戻しましょう。そもそも「10分以内の衛生員による救護」とは書かれていませんし、各国ともそのような認識を持っていません。
ところで、78例のDCSをどうやって1時間以内に受けさせるのですか?短時間手術がほとんどを占めて手術施設の回転は従来の手術よりも早まるとしても、
平時の医療体制でも不可能でしょう。NATOはトリアージも標準化していますが、それはAJP-4.10, Edition Bとどのように関係するのですか?
「Enhanced first aidは10分以内、DCSは1時間以内を目標で、受傷後2時間を超えてはいけない」確かに戦闘外傷の治療のみを考えれば、この時間は目標とすべきでしょう。しかし、現実にはどうするのですか?
その他の私の論の展開はこれからじっくりと行います。
HK
2016/04/27 22:29
GGさん
https://medevacmatters.org/2012/02/16/nato-medevac-timelines/ とは
2012年の、米軍を始め各国がまだゴールデンアワー、プラチナムタイムを導入したことの間違いに気付いていない頃の話ではありませんか。
この後、2012年に各国の軍事医療の教科書が書き換わり、ページも大幅に増えました。2012年から何回、教科書が改訂されたのかご存知なのでしょうか?軍の教科書の改訂に伴い、民間救急医療の教科書も2〜3回改訂され、その変化が反映されています。ゴールデンピリオドに考え方が変わり、4Rに方針も変わり、2015年にも再び大きな変化が起きています。2012年前後に各国が陥った過ちを日本が繰り返すことが無いようにしなければなりません。
MORI
2016/04/27 22:42
三度おじゃまします。

 例えば戦闘機の最高速度といったものは向上が止まって久しいですが、戦線医療はそういった状態には程遠く、未だに試行錯誤等が続いている状態ではないかと思われます。現代では不正規戦の占める割合が増大しているので、それによってまた変わるかも知れません。兵士であれば「(医療の)専門家でない戦友による治療」もある程度覚悟しているでしょうが、不正規戦に巻き込まれた非戦闘員の民間人にどこまでそれを受け入れさせる事が出来るか」が問題になるのではないかと思われます。「専門家でない兵士に治療されたせいで後遺症が残った」と訴える事ができるか否か。

でそういった事に目を背けているのが我が自衛隊で。
ブロガー(志望)
2016/04/29 13:09

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防衛省衛生「10分、1時間原則」の欺瞞 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
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