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zoom RSS パリテロ事件と欧米の中東介入への無自覚で無邪気な介入 

<<   作成日時 : 2015/11/16 11:09   >>

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一昨日発生したパリのテロ事件は憎むべき行為です。
個人的にはパリには友人、知人も多数住んでおり他人事ではありませんでした。
亡くなった方には心から哀悼の意を表します。

ですが、その一方、これまで欧米は中東やアラブ世界に対する自分たちのビヘイビアに対して鈍感であり、それがこのようなテロを生む一因になったことも事実でしょう。
そのことに目を向けずテロリストを非難しても、問題は解決しないでしょう。

欧米、特に欧州の大国は大戦後に独立した国々にあれこれ紛争や諍いの火種を残しました。
その件に関しては不問にするとしても、欧米は戦後も武器の売りつけや、政治的不和を煽る工作、旧宗主国としての利権の温存を行ってきました。それはかなり汚い手も使ってきました。

イラン・イラク戦争にしても両陣営に武器を売りつけ、サダム・フセインを強大にしたのは欧米です。

そしてサダム・フセインは大量破壊兵器を持っている、アルカイダと通じているというヨタを飛ばして、彼を排除して民主化すればイラクは「民主国家」で平和になる、と戦争を起こしました。結果はご覧のとおりです。

またシリアのアサドも独裁者だ、だから倒すべきだと内乱を工作してきました。これらの火遊びがISを産み、現在の混乱と多数の難民と、死傷者を出す原因となっております。

愚かにもこのような「民主化」を世論も支持てきました。
確かに独裁よりも民主国家の方がいいに決まっています。
ですが、現実は算数のように単純ではありません。

中東やアラブ世界、アフリカなどでは部族社会だったり、宗教的な対立があり、独裁政権であるから、なんとか国家としての仕組みや、や治安が安定している国々が多数あります。
独裁で押さえつけているからこそ、なんとか国が持っているわけです。

ところが欧米世論は独裁者を倒せば、民主国家になると無邪気に信じておりました。メディアにもそのような傾向がありました。ですから政府が悪さの工作をするにしてもやりやすいところがあったはずです。
ですが現実はより悪い方向に向かいました。60年代にアフリカで何が会ったかを思い起こせば、単純に独裁者を倒せばいいという水戸黄門的な勧善懲悪は通じないことは明白です。植民地が開放されたら、民主国家ができ人々が幸せになったでしょうか。

正に地獄への道は善意という敷石で舗装されております。

独裁が悪いのであれば、サウジや湾岸諸国の「独裁」も倒すべきでしょうが、何故やらないのか。中国も然りです。

またイランの核開発が核拡散であり、危険だと非難するならばイスラエルが核兵器を保有していることをどうして非難しないのか。それは世に言う二重基準です。

こういうことを考えずに、無邪気に民主化を求めた結果が多くのテロを生む温床になっているではないでしょうか。

未だに欧米の人たちは無邪気に悪気なく、自分たちの価値観こそが、古今東西、世界の価値観の基準であると無意識の内に信じています。そして政府や産業界は中東やアフリカ、南米などを食い物にして当然と思っている人たちが多い。
この二つの要素がシンクロして、これらの地域で不幸を起こしている。ぼくはそのように思います。


Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
【仏同時テロ:中東独裁国家への歴史的介入が原因】〜難民急増の深層 その1〜
http://japan-indepth.jp/?p=23079
【わざわざ旧式兵器を新たに調達する陸自】〜国内企業のライセンス生産守る為?〜
http://japan-indepth.jp/?p=22467

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しました。
イスラム国がトヨタのランドクルーザーを使う理由
http://webronza.asahi.com/politics/articles/2015110200004.html
陸自が導入した輸送防護車は使えない
机上の空論では済まない邦人救出の現場
http://webronza.asahi.com/politics/articles/2015100200004.html

strong>東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
高額な早期警戒機が日本では「欠陥機」だった
周波数帯をまともに使えない大矛盾
http://toyokeizai.net/articles/-/88753


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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
清谷様

今回の清谷様のご意見には全面的に賛意を示すものです。さらに、現在でも西側の攻撃によって、シリアやアフガニスタンで犠牲になっている民間人がいても、それは無視というのは、どう考えてもダブルスタンダードだと思います。
ブリンデン
2015/11/16 11:33
>サウジや湾岸諸国の「独裁」も倒すべきでしょうが、何故やらないのか。

そりゃあ、これらの国々がF−15だのルクレールだのを買ってくれるからに決まっているじゃないですか。
ひゃっはー
2015/11/16 14:21
>イラン・イラク戦争にしても両陣営に武器を売りつけ、サダム・フセインを強大にしたのは欧米です。

この件に関しては、欧米諸国よりもソ連や中国の影響が大きかったのではないのでしょうか。湾岸戦争時のイラク軍が保有していた戦車は、ほとんどがソ連製や中国製でした。
ひゃっはー
2015/11/16 14:36
清谷様へ

欧米と中東の関係は十字軍の遠征から続いている気がします。簡単に言えばキリスト教とイスラム教との宗教戦争がまだ続いているとの解釈が成り立ちます。 話題を急転して10年前、イラクのサマーワに復興支援の為 自衛隊が駐留・活動しました。散発的なロケットの着弾がありましたが幸いに戦闘行為もなく、死傷者ゼロで済みました。運だけでなく、日本はキリスト教でもイスラム教でもない 宗教には比較的中立であったので現地民から反感を買わなかったのでしょう。
集団的自衛権が中東のどこかで行使され、欧米と共同で武力行使すると日本はキリスト教国と見なされ、恨みを買います。そして東京もパリと同じくテロが発生するリスクが増します。イギリス、スペイン、フランスの事例が証明しています。
上記のことから、日本は中東諸国から良い印象を得ているので中東和平には適任の国です。仲介役を買って出ることは 原油の安定供給や安全保障にとってもメリットになります。 なにも掃海艇や地上部隊を派遣する必要はありません。
元キャプテン
2015/11/16 18:38
甘い!甘すぎる!

対テロ戦争に価値観もヘッタクレもない!

イラク・シリアにおいては、ISに対する完膚なきまでの徹底的空爆!

そして、デルタフォース等の特殊部隊の集中投入!ISを一人残らず虱潰しにすべし!

国内においては、監視対象者に対する徹底的行確!テロの準備行為の徹底的摘発!国内法を改正の上、テロリストの予防検束!

これをやれば、テロは確実に撲滅できる!

ちなみに、フランスにおいて、テロ対策は、国家警察と憲兵隊が行っており、いわゆる「行政の壁」の非効率が常々指摘されている。

やはり、テロ対策は警察に一元化すべきなのだ。これは、今回の事件の貴重な教訓である。
真の愛国者ゆりか
2015/11/16 21:43
清谷様

おっしゃる通りと思います。

日本では全体としてこうした発想が普通なのか、単に、日本のミリオタ(?)の中だけの常識なのか?

私は、日本人全体がこうした発想なのだと感じます。自分の正義を他者に適用することが、必ずしも正義ではないと知っている。おそらくは東洋的な思想なのだと思いますが、国民性として特異で、大切な点なのかもしれません。

ただ、例えば、アメリカで(特に田舎で)、「独裁打倒が必ずしも正義ではない」なんて話をすると危険ですよね。彼らは本当に自分が正義だと信じていますからね。カリフォルニアなら大丈夫でしょうが。。。(と、かつてアメリカの友人に、そう忠告されたことがあります。)

なかなか頭の痛い問題です。
ドナルド
2015/11/16 22:05
真の愛国者ゆりか様へ

あなた本気でテロを撲滅できると思っているのでしょうか?その辺の頭の悪い チンピラと同じレベルです。
超大国アメリカが 最新兵器でアフガンやイラクで泥沼に嵌まり、多大な血や金を失い得たものはありません。イスラム国という愚連隊の集団を生みました。
特殊部隊を全部注ぎ込むなんて非現実的でナンセンスです。デルタフォースすら35年前イランで救出作戦失敗しました。軍事力だけでこの種の問題は解決できたら当の昔に解決しています。
軍隊だろが警察だろうがテロを完全に防ぐことは不可能なのです。
人間の体に例えたらあらゆる病原菌を体内へ侵入させないことは不可能なのと同じです。
ヤクザの抗争でも 徹底的にやると世間から袋叩きに遭います。
あなたは愛国者を名乗っていますが、 発言しているのは亡国者です。
感情で語るのは宗教まがいの平和団体と同じ穴のムジナです。
元キャプテン
2015/11/16 23:12
いまだに白人様達は、自分たちは能力も見た目も、イエローモンキーやニガーより優れていると心の中で自負しているのですよ。

他民族には、武器を買ってもらって、ついでに紛争でも起きてくれればいいとでも考えてるんですよ。
ハープーン
2015/11/16 23:37
>>徹底的にやると世間から袋叩きに遭います。

そんなことは、言われなくてもシージャック事件で嫌というほど分かっている。

だいたい、狙い通り一発で左胸に命中させたのに、後になって「右腕を狙わせたが、左胸に命中した。」なんてほざいた幹部も幹部だ!

まるで、狙いが外れたみたいじゃないか!
重ねて言うが、あれは、狙い通り左胸に一発で命中させたのである!

お見事である! 賞賛に値する快挙である!

わたし的には、どうせ見せしめにするなら、ライフルで川藤の頭を吹っ飛ばして、頭が吹っ飛ぶところをテレビに生中継させればよかったと思っている!
真の愛国者ゆりか
2015/11/17 18:42
この問題は以前の新聞社襲撃の時も色々な意見が出ましたが、結局のところフランス人(今回は政府かな?)っていい加減なんですよね。
シリア難民は助けるけどアサド政権は悪だから助けない、でもISの連中はもっと悪だから叩く、挙句にISから逆襲される・・・
典型的な投げたブーメランに直撃される奴ですよ。
アサド政権が決して良い政府でないのは分かりますが、キヨタニさんが仰るようにそれを潰すとどうなるかを欧米諸国がちゃんとシミュレートしていたのか疑問に感じますね。
虫の良い見立てしか立てずにいたのならかつての大本営並みにどうしようもないスタッフが揃っているのでしょうね、今のCIAやDGSEは。
八王子の白豚
2015/11/18 00:04
真の愛国者ゆりかさま

あなたの主張通りにすると、大量の「普通の人」たちが、次にテロリストになるだけではありませんか?

日本赤軍がテルアビブでテロを起こしたから、イスラエル軍が東京の街を激しく徹底的に空爆したらどうします?彼らはもちろん日本赤軍を狙っているのですが、近くをあなたのご家族がたまたま通りがかっていても気にしないでしょう。徹底的に叩くのですから。

家族を目の前で殺される人が1000人いれば、そのうち1人くらいがテロリストになってもおかしくないのでは?

テロの最大の敵は、安定した生活だと思います。

独裁でも非民主的でも良いのです。安定した生活さえあれば、生きることに絶望する人は減る。踏みとどまって頑張れば幸せになれる可能性が高いのであれば、破局的な行為に出る必要はない。

難しいのはその安定した生活をどう実現するかです。これが容易だとは思いません。

しかし、
「イラク・シリアにおいては、ISに対する完膚なきまでの徹底的空爆!そして、デルタフォース等の特殊部隊の集中投入!ISを一人残らず虱潰しにすべし!」
よりもはるかに楽だと思いますよ。

まずISじゃない人と、ISの人をより分けるのが大変なのですし、さらに致命的なのは、上記の行為をすれば「ISじゃない人」が、「次のIS」となることです。つまり、「しらみつぶし」には、原理的にできないと思います。あの地を無人にするくらい、大虐殺でもしなければ。

しかし、ここで冒頭に戻れば、日本赤軍への報復として、日本国民を全員抹殺するようなものです。

ありえない作戦ですね。
ドナルド
2015/11/18 01:35
#つづきです



一方で「話せばわかる」と言っている人たちも、私は信じません。話したってわからないこと、身の回りにも、沢山ありますよね?理想は結構ですが、政治は現実こそが大事ですから。

虚実入り交ぜた、軍事的圧力と力押しと利益誘導の交渉があって上で、最後に「話せばわかる」という状況に至るのだと思います。

最後は、ちょっと話が発散しまして、すみません。
ドナルド
2015/11/18 01:36
お邪魔します。

 ベトナム戦争に関するサイトで「(まともには戦わない)ゲリラをやっつけるのには10倍の兵力が必要」というのを見ました(正規軍同士なら3倍の兵力があればまず勝てる?)。そんな兵力を「遠征」させる事など、ゲリラがよほど少数でもなければまず不可能でしょう。しかしゲリラやテロリストには軍事力の目的である「制圧・優勢確保及び意志の強要」は困難であり、「粘って相手に根を上げさせる」しかありません。対ゲリラ・テロ戦はそういった相手の強み・弱みを考えて遂行すべきではないかと思います。今回の件に関しては「テロリストから特定の地域を実効支配する武装勢力への格上げを目指したイスラム国がテロリストに戻った」ように思われます。

 (自称)イスラム国は「頭は原理主義者でも胴体はイラクで少数派になったスンニ派やフセイン政権の残党」ではないかと思います。そこにつけいる隙があるのではないかと思います。
ブロガー(志望)
2015/12/10 22:44

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