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zoom RSS 英軍のアパッチ・ガーデンアンは再生品

<<   作成日時 : 2015/10/25 14:19   >>

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9月2日のJane's Defece Weekly によると英国防省は採用予定のガーディアン、AH-64Eは新造ではなく、ライセンス国産したWAH-64Dを転換する方針です。



英国防省は67機のWAH-64Dを調達しましたが、現在50機が現役で1機を損失、16機をアフガン以来モスボールしております。

この現役の50機をAH-64Eに改造しますが、エンジンはロールスロイス製のRTM322から米陸軍と同じ仕様のGEのT-700-GE-701Dに換装します。つまり、全く米軍と同じにします。恐らくは今後のアップグレードのコストを見据えてのことでしょう。英軍だけの少数のアップグレードはかなり割高になる、そういうことでしょう。

因みにボーイングはFMSの多年度一括調達方式で、新造機は1機3千百万ドル、37億円程度で提案したようですが、ボーイングやDSCA(Dfense Securty Coporation Agency)はライセンス国産や既存機の近代化はその二倍のコストがかかると主張しているようです。

ですが、米陸軍のでもかなりD型及び州兵のA型からE型への転換もあるはずです。その主張が正しいならば米陸軍も全て新造の機体にしていたはずです。既存機の改修がそこまで高いコストにはならないと考えるのが普通でしょう。

一方英国側も地元のアグスタ・ウェストランドに仕事を落とす必要があるので、既存機の改修が一番安いと主張したいところでしょう。

条件によってもコストは変わってくるし、もう少し時間が立てば新しい数字もでてくることでしょう。常識的に考えれば、既存機の改修が一番安いとは思うのですが。


さて、問題は我が国です。
たった13機のAH-64Dしかなく、近いうちに部品も枯渇して自滅が待っています。しかも常時稼働できる機体は3,4機に過ぎず、実質的に一個飛行隊を維持しているとはいえず、事実上壊滅状態です。事実上戦力とはいえず税金の無駄使いです。こんなことならば全部処分して、別なものに予算を使うべきです。

仮に既存機をE型に換装するにしても、稼働率は同じでしょう。またAH-1Sのフリートは老朽化激しいのに放置プレイで、まともに飛べる機体がかなり減っているようです。そもそもAH-1Sはミサイルも含めて旧式化しており、現代の戦場での能力、生存力は極めて低い。
これまた不要というのであれば、部隊を解体して予算を別に振り向けるべきです。

ホント、これ、どうするんでしょうかね?

攻撃ヘリが要らないなら、要らないで全てリタイアさせるべでしょう。

仮に既存のAH-64DをE型に転換し、更に13機のE型を調達するならば新規調達が約480億円、オスプレイ3機分と転換用の費用がかかりますが、これら合わせて800億円もあればOKじゃないでしょうかね。

ただ米陸軍では、アパッチ、UH-60シリーズのエンジンの換装を予定していています。ですから、調達が決まった頃には米軍ではエンジンの換装が始まるかも知れません。

当面AH-1Sを2〜3個の近代化でもしてしのいだほうがマシ、かも知れません。
例えばエンジン、FCS、センサー等の換装、ミサイルも同様にヘルファイアや誘導ロケット弾に変えるとか。日本のメーカーに頼むと高いので、公募すればいいでしょう。欧米やイスラエルのメーカーが手を上げるでしょう。中途半端なアパッチを調達するよりはよろしいのではないでしょうか。



そもそもAH-64Dって必要だったんですかね?
AH-64Dの最大のキモであるネットワーク化を自ら封じて、モンキーモデル化したものを米軍の2倍以上のコストでライセンス国産ではなく国内組立する意義がどこにあったんでしょうか。
つまり価値は半分以下のモンキーモデルにプロパーの2倍以上の費用を掛けていたわけですから、資金効率は四分の一以下でしょう。正気とは思えません。

そしてUH-X選定で、X9が選ばれていればUH-Xベースの武装偵察型の開発がありえたのですが、これもなくなりました。


ですから、ぼくは南アのロイホックを勧めていたわけです。値段は恐らく20〜30程度、国内でラ国し、システム統合しても40億程度ぐらいだったでしょう。しかも駆動系は殆どスーパーピューマですからコンポーネントの入手も容易でやすい。当然維持費は安くあがります。
これが如何に重要かはアフガンで戦った軍隊はいやというほど知らされたわけです。

航続距離が長く、整備が容易なので島嶼防衛にも向く機体で、メーカーでは海軍型も提案しておりました。これなら尚更島嶼防衛に向いておりました。


まあ、どうしてもアメリカ製が欲しければAH-1Wを買えばよかったでしょう。当時、タイガーやAH-1Zはまだ入手できず、マングスタは小さすました。
それにロイホックならば機体規模も大きく将来に向けての冗長性もありました。

合理的に考えればロイホックは悪い選択ではなかったでしょう。別にぼくが判官贔屓で南ア製を推しているわわけではありません。事実を直視すればわかるのはずですが、わかりたくない人も少なくないようです。まあ、情緒で批判する人には何を言っても無駄でしょう。もっとも当時防衛省はまともに南アの情報なんぞ収集しておりませんでしたが。

で、最近防衛省は南アとの防衛協力に言及しだしました。南アと共同でロイホックの改良型を開発する、といいうもありじゃないでしょうかね。


しかし何より陸自はAH-64Dの調達を決定し、無様に失敗したことは紛れも無い事実です。
現実をみましょうや。

島嶼防衛を重視するならば、必要性が極めて薄い機動戦闘車や10式戦車などの調達をやめてまともに使える攻撃ヘリをせめて2個飛行隊整備するべきじゃないでしょかね。

アメリカ軍と同じ玩具が欲しいとかいう、程度の悪い軍オタみたいなレベルの見識で装備調達を行うのはいい加減にやめてほしいものです。



東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
高額な早期警戒機が日本では「欠陥機」だった
周波数帯をまともに使えない大矛盾
http://toyokeizai.net/articles/-/88753

Japan In Depth に以下の記事を寄稿しました。
【わざわざ旧式兵器を新たに調達する陸自】〜国内企業のライセンス生産守る為?〜
http://japan-indepth.jp/?p=22467

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しました。
陸自が導入した輸送防護車は使えない
机上の空論では済まない邦人救出の現場
http://webronza.asahi.com/politics/articles/2015100200004.html


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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
陸自が本気で戦闘ヘリの現状に手を付けるなら、アパッチ・ガーディアンを買うのは悪くない選択肢だとは思いますが・・・
結局それじゃあなんで作られなくなるロングボウ買ったんだよ、って話になりますよね。
カールグスタフの時みたいにタイミングが悪いですよね、これ。
ロイホックは個人的にはアリだと思いますが、現場のヘリパイ達がどう思うでしょう?
米国製のデラックス兵器に慣れた彼らは嫌がるかも知れません。
せめてAH−1の眷属にしておくのが現実的な選択だったかと。
海自が折角デカいヘリ空母モドキを調達してくれたんだから、そこでの運用を念頭に置けば島嶼防衛には使えるでしょうし。
八王子の白豚
2015/10/25 15:29
機動戦闘車や10式戦車(来年度の概算要求では3両とありましたが、何があったのやら)、それにオスプレイの調達はするようですが、攻撃ヘリに関しては何も聞こえてきませんね。攻撃ヘリを全廃して替わりに攻撃型のUAVの導入するような話が持ち上がるわけでもないし、かと言ってロングボウを追加調達する話もないし、装備庁も陸自も本気で攻撃ヘリ部隊の将来を考えているのでしょうか?装備庁が発足し、多少は変わるのかと思っておりましたが、この調子だと期待外れだったかもしれませんね。
KU
2015/10/25 15:38
機体維持のコストを考えると、AH−64の調達が失敗したのは逆に良かったかもしれません。
更新が完了していれば、今後の維持費で陸自の予算は悲鳴を上げていたかも。
しかし、オスプレイの維持費でもっと悲鳴を上げるかもしれませんが。
あれだけ兵器を削減しまくっているイギリスが、
維持に苦労しながら手放さないのは、
戦場での戦闘ヘリの存在が軽視できないからなのでしょう。
陸自は軍隊辞めて、サンダーバードにでもなりたいのでしょうかね?

AH-1Sが、もう十分に飛べないのは間違いないでしょう。
展示飛行でも、ほとんど見かけなくなりましたから。
規模の大きい演習場の近くの町でも、飛んでいる姿を見るのは年に数度らしいです。
延命図る為に、年間の飛行時間をギリギリまで削っているのかもしれないですし。
この問題はもう完全に手遅れですね。
機体の老築化による、対戦車ヘリコプター隊の廃止しか道はありません。
しかしそうなると、2佐のヘリ隊長ポストが5つも減ってしまいます。
どんなに飛べなくなっても、陸自はそう簡単には部隊廃止しないでしょうね。
張子の虎にウンザリ
2015/10/25 18:37
※中日新聞より

>安保法を問う 甦れサンダーバード

http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2015102502000111.html

いやもう・・・・何と言ったら良いのやら。
KU
2015/10/26 13:01
陸上総隊創設により新しい将官ポストを作ったり
朝霞駐屯地(地域率1級地)に陸上総隊司令部を置き高額な地域手当(20%)の恩恵を受けれるように努力したり・・・
と将官様も色々と忙しいので仕方ないんです。
不都合、不具合は現場の自助努力カバー
が陸上自衛隊のモットーですからね。
元運転手
2015/10/26 21:04
>装備庁も陸自も本気で攻撃ヘリ部隊の将来を考えているのでしょうか?

絶対に必要ならAH-64Dの調達を細々とでも続けてたでしょうからw
元キャッチャー
2015/10/27 03:43
お邪魔します。
 「実際に使えるか否か」など「そんなの関係ねえ」で、目的はあくまで「上陸されないか不安だ−安心してください、攻撃ヘリがありますよ」「空から責められないか不安だ−安心してください、F35がありますよ」「島が奪われないか不安だ−か安心してください、AAV7やオズプレイがありますよ」と言うためにあるのではないかと思います。「実際の脅威」なんかより「(身内の)不安が和を乱し、摩擦を生む」とでも考えているのでしょう。そうであれば「ディスプレイ用に外国製の兵器を完成品で買い、(可能ならば)ころあいを見て転売」するか、いっそレンタルという形にでもすればお金がかからないのではとも(素人考えで)思ったりします。
ブロガー(志望)
2015/10/27 23:29
欧州が露骨に中国寄りになったり、アメリカが人民元をIMFの構成通貨にするのを認めたり、外交で敗北続きなのに、随分呑気ですよね。南シナ海の無害通航パフォーマンスは、大統領選挙用のプロレスでアメリカも本気じゃない。今ほど自衛隊の能力向上が求められてる時はないのに、のんびりし過ぎてますよ。最新兵器を並べて終わりの時代はとっくに終わっています。
マリンロイヤル
2015/10/29 22:45

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