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zoom RSS デネル、ロイホック2の開発を検討

<<   作成日時 : 2015/05/23 11:46   >>

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ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリの5月13日号によると、南アのデネルグループがロイホック攻撃ヘリの発展型ロイホック2の開発を2025年の実用化を目処に検討中とのこと。
同誌は以前南ア国防軍がロイホックの追加調達を報じておりましたが、どうせならば発展型を、という筋の話でしょう。

南ア国防軍は既存のロイホック 1Fも延命化を行うそうです。
ロイホック2はエアバスのE/0センサーシステムを使用する予定で、すでに過去ロイホックの調達を検討した国の二カ国が導入を検討しているそうです。であれば恐らくその内1国はマレーシアではないでしょうか。

以前からぼくは陸自でAH-1Sの後継にはアパッチではなく、ロイホック調達を薦めておりました。それは、アパッチに比べて
1)調達コストが安い
2)運用コストも安い
3)前線での整備性が高い
4)基本スーパーピューマなのでパーツの入手が容易。
5)航続距離が長く、島嶼防衛で有利
6)機体大きく、AH-1シリーズなどに比べて、冗長性、発展性がある。
7)独自の改良や兵装システムの採用が可能である。
などのメリットがあったからです。

陸自はろくに他の候補も検討せずにアパッチを採用しました。同様にろくに検討もしないで、富士重にライセンスさせました。

結果、単なる組み立てでライセス製品とは言いがたいのにコストは2倍、62機調達する予定が、13機で終わり。しかも富士重ともめて裁判沙汰。

その上、アパッチの肝であるネットワーク機能は調達価格が高くなるからとダウングレードしたものでした。ネットワーク機能を重視しないならば、アパッチを導入の意義はさらに小さくなります。つまり高い値を払って自らモンキーモデル化して買ったようなものです。とてもまともな決定とはいえませんでした。
ところが、当時の装備部長も航空機課長も全く責任をとっておりません。
公務員って気楽でいいなあ

特に問題なのはアパッチの維持費が極めて高いことです。故に英軍はアフガンでのアパッチの維持費に苦しめられ、エアバスヘリのタイガーは維持費の低減化に傾注し、それをセールスポイントにしております。

アパッチを導入するにしてもFMSにして調達単価を下げるべきでした。まあ、それでも維持コストはバカ高いのですが。ライセンス国産と称する単なる組み立て生産に米軍の二倍以上のカネを払わずに済みました。

兵器マニアが軍事を語るときの隘路はコストと全体の予算でもバランスが考えられないことです。ですがカネの話を抜きに、装備調達は語れません。
そしてそれらを考えずにアパッチを導入した陸自がどうなったは、ご案内のとおりですその点は当時からぼくは問題視してあちこちで書いてきました。

よくロイホックがいいというと、お前は南ア贔屓きだからだろうと揶揄する人たちがおりますが、
その手の人達はアパッチの導入を両手を上げて賛成していたのではないでしょうか。
またそういう人に限ってOH-1ベースのUH-X開発に両手を国産というだけで、技術やコストも考えずに両手を上げて賛成してしたりしておりました。


では当時、アパッチの候補として他に適当な候補があったでしょうか。
上記のようなメリットを鑑みれば、ロイホックは候補に入れてしかるべきでした。実際に英軍はアパッチを選びましたが、最後までロイホックは候補に残りました。
陸幕は初めからアパッチの「ライセンス生産」ありで、まともに検討しませんでした。

南ア製というだけで色眼鏡で見るのは、知識と知性が低いと言わざるを得ません。ところがこの手の人達に限ってご自分に対する評価が過大に高い。この手の人達は10式戦車の調達単価を、産経新聞の誤報を鵜呑みにして7億円とか信じ込んだりするなど、リテラシーが低いのですが、その自覚がないわけです。予算要求の当事者でない技本が概算要求だす1年も前に調達単価を発表するわけはないのは当然の話しでしょう。

別にロイホックに対する反論自体を否定はしません。ですがが、それなればエビデンスを出して行うべきでしょう。建設的な議論ならば大歓迎です。
そして陸自の戦闘ヘリ商戦時に、ご自分は何を推していたのかも明らかにすべきでしょう単に南ア=多分三流というイメージだけ、あるいはキヨタニが推していたというだけで駄目出しするようでは小学生レベルの悪口に過ぎず、知性的な批判とは言えないでしょう。

南ア性兵器には瞠目すべきものが多数あります。ぼくは90年代初頭から南ア国防軍やメーカーを何度も取材しており、90年代半ばからこれからの非対称戦争には南アの耐地雷装甲車や地雷処理システムは必要だと述べてきました。そしてその後米軍初め多くNATO諸国でこれらは採用され、特にイラク戦争やアフガンでの戦いでは米国は南ア製の対地雷装甲車をMRAPとして大量に導入しています。また米国製のフォースプロテクション社の設計者はかつての南ア対地雷装甲車開発で指導的な役割を果たしたドクター・ジョイントがつとめておりました。別にぼくは予言をしたわけではなく、現地取材を元に仮説を立ててきたわけです。


現在たった13機のアパッチでは運用効率が悪すぎます。
かと言って、もう一個飛行隊を調達運用するにはカネはないでしょう。何しろオスプレイやAAV7といった高いおもちゃを買っちゃいましたから。

防衛省はAH-1Sの後継としてUH-Xの武装型を考えているようですが、ではアパッチをどうするか問。その問題はどうするのでしょうか。攻撃ヘリは必要ないのか、少数であるゆえに運用上問題があるアパッチを多額の税金を使って維持すべきでしょうか。


むしろぼくはロイホック2の開発に参加するのは手ではないかと思います。陸自で南アと我が国で各3個飛行隊、各40機程調達するのであれば、かなり量産効果がでるでしょう。しかも既存機の改良型ですから開発費はあまり掛かりません。例えばこれをアジアでは日本が販売し、メンテも請け負えばそれなりに儲かるかもしれません。





東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

防衛省の装備調達は、これから大きく変わる
キーマンの防衛省装備政策課長に聞く<上>
http://toyokeizai.net/articles/-/70516
日本の防衛産業は鎖国から開国へシフトする
キーマンの防衛省装備政策課長に聞く<下>
http://toyokeizai.net/articles/-/70529
防衛省装備調達に欠落している"大事なもの"
兵器調達の際に「時間」「総額」の概念がない
http://toyokeizai.net/articles/-/69177

防衛省「パワードスーツ」構想は濫費である
新たに開発する必要がない理由<上>
http://toyokeizai.net/articles/-/68330
「パワードスーツ」の前に防衛省がすべきこと
新たに開発する必要がない理由<下>
http://toyokeizai.net/articles/-/68341

投資8000億円!新戦車は陸自弱体化への道
粛々と進む10式戦車調達の問題点<上>
http://toyokeizai.net/articles/-/66868
文民統制の放棄!なぜ「空母」が生まれたか
護衛艦「いずも」は、護衛能力のない被護衛艦
http://toyokeizai.net/articles/-/64841
自衛官の「命の値段」は、米軍用犬以下なのか
実戦の備えがないため派兵どころではない
http://toyokeizai.net/articles/-/63496

strong>Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました

【少女漫画男性主人公に異変アリ】〜ガチムチ、オタク、キモメンらがモッテモテ!〜
http://japan-indepth.jp/?p=18452
【お粗末な自衛隊の「衛生」装備】〜チュニジアでテロにあった女性医官は「特別」なのか?〜
http://japan-indepth.jp/?p=17323
【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 1】〜陸幕広報は取材拒否〜
http://japan-indepth.jp/?p=17056
【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 2】〜中谷防衛大臣の答弁に違和感〜
http://japan-indepth.jp/?p=17059




東京防衛航空宇宙時評で以下の記事を掲載しました。


キーマンに聞く 堀地徹防衛省装備政策課長(その1)
http://www.tokyo-dar.com/sfeature/1562/
キーマンに聞く 堀地徹防衛省装備政策課長(その2)
http://www.tokyo-dar.com/news/1566/
タレス、航空機搭載型AEWシステム「CERBERUS」を、MAST ASIAに出展
http://www.tokyo-dar.com/news/1556/
BMTグループ、MAST ASIAに高速揚陸艇の模型を出展
http://www.tokyo-dar.com/news/1547/
JMUディフェンス・システムズ、MAST ASIAで水陸両用車を発表
http://www.tokyo-dar.com/news/1542/
ECAグループ、MAST ASIAに無人機雷処理システムを出展
http://www.tokyo-dar.com/news/1550/





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コメント(15件)

内 容 ニックネーム/日時
記事には傾聴に値する意見はあるものの、不特定かつ存在すら定かでない誰かを口汚く罵っているせいで台無しです。
建設的な話がしたければエビデンスに基づいて論理的に議論すべきでしょう。
感情的に誰かを罵倒しても自己の正当性は証明できず、逆に自説の説得力を損なうだけですよ。
ラガー
2015/05/23 17:36
>ラガー

そういうことはネットで低俗な誹謗中傷している連中にこそ言って欲しいものですね。
キヨタニ
2015/05/23 18:06
清谷様

簡単な事例で例えるなら、車を買うときに日産A車、トヨタB車、マツダC車と比較します。比較する要素として性能、価格、スペース、燃費など
比較する要素の優先順位から決定する話です。難しい話ではないのですが、利権、政治、パワーバランス、義理・人情という思惑があり、簡単にいかない。 防衛省・自衛隊はお役所だからと言えばそれまでですが、企業の設備投資と比較して、どこがどう違うのでしょうか?御教示ください。私は経済・経営の知識はありませんので。
元キャプテン
2015/05/23 19:01
ロイホックというと元を正せば、ピューマの駆動系を利用して開発したのでしたね。ということは、現行のEC225やEC725とも部品の一定の共通化が図られている、と考えて宜しいでしょうか。それならそれで、維持運用コストの低下や稼働率の向上に大いに貢献しますね。
KU
2015/05/23 20:16
富士重が受注したのも順番だから、アパッチなのも米製武装ヘリが当時はそれしかなかったから。軍事的合理性で選んでいないのは明白ですね(笑)陸自は武装ヘリをどう使うかドクトリンも無い、だから何を選んでも根拠など無いですよ。機種選定よりもドクトリンをまず作るべきなんですがね。
マリンロイヤル
2015/05/23 22:53
ロイホックて南アで何機調達されてましたっけ?南ア以外での採用国ありましたっけ?
低コストにはそれなりの理由があり、安くても要求を満たす基準に届かんから採用国が増えないんじゃないかしら?
マーリンロワイヤル
2015/05/25 13:32
お疲れ様です。
アメリカの兵器類はベストなのでしょうか?
こちらのブログを拝見し続け、それなりの期間になりますが、米国よりも良いものが、世界の国々に多くある事を知りました。性能、運用コスト、メンテ性、この重要な項目を満たすとなると、米国製兵器は結構はずれちゃうんじゃないかな?と。
それと、東欧のように政治的にロシア製兵器から西側特に米製に変えさせることも多く見え、またNATO地域のように、米軍が負っていたコストを現地政府に押しつければ形は「輸出」になっちゃうだろうし。
アメリカは政治的な理由でトップで、しかし2位以下は必要とされる兵器の提供つまり普通の商売になっている取引で、その売り上げを出している、と、思えちゃうんですが、、、
素人見立てなのですみません。

【ロシアは武器 輸出で世界第2位】
http://jp.sputniknews.com/politics/20150526/378084.html
とあります。一位は米国。
unimaro
2015/05/26 14:49
基本的に開発費が多ければ有利ではありますが、それだけではありません。南アが高性能な武器を開発できたのは四面楚歌で、負ければ国がなくなると危機感、それにイスラエルとの協力関係などがありました。また欧州諸国でもアメリカほどカネを欠けていなくても優秀な兵器は山ほどあります。ですが、試射も殆どしないでまともな兵器を開発できるかといえばそれは難しいでしょう。
キヨタニ
2015/05/26 15:56
そりゃあ、圧倒的な航空戦力を有する米軍はG5155mm榴弾砲みたいな兵器は開発しないし、装備しないでしょう。
まあ、アメリカ マンセーな人には何を言っても無駄でしょうけれど。
ひゃっはー
2015/05/27 07:54
ロイホックも良いと思いますが、例えば海兵隊が使っているAH−1Zとかでも良かったのでは?
現用のAH−1Sとの互換性は低いでしょうけどアパッチがあのざまですからソコソコの数がそろえられるのでは?
まあ、南ア製の兵器はユニークなものが多くて見ていて面白いですよね。
MGLみたいに米軍などでも採用されたものもありますし、ネオステッドの散弾銃は最近真似たコンセプトの銃が増えてきてますし・・・
自衛隊も国産・米軍装備に拘り過ぎて視野が狭くなっているようでどうにもよろしくないですね〜
八王子の白豚
2015/05/27 22:37
AH-1Zは当時三菱が提案していましたが、実際に完成したのはつい近年で間に合わなかったでしょう。それから同機を米海兵隊が使用するメリットは、UH-1Yと85パーセントもコンポーネントが共有であり、狭い揚陸艦ハンガー内での整備、兵站が楽であるからです。翻って自衛隊にはそのようなメリットはありません。個人的には島嶼防衛などを考え場合に足が短く、機体規模が小さいと思います。
キヨタニ
2015/05/28 14:40
お邪魔します。
 ロイホックの弱点・欠点及び問題点について知りたいと思います。神ならぬ人間が作るものである以上、弱点・欠点及び問題点はあるでしょうし(弱点・欠点及び問題点しか無い物はあり得ますが)、状況等が変われば長所とされたものが短所になる事もありますので、長所を生かし短所をカバーする運用が必要と思われます(例:オズプレイなら降下時における敵の反撃への対抗手段を用意するか、反撃を受けない状況で降下させる?)。
ブロガー(志望)
2015/06/02 23:37
いい着眼点です。ロイホックをアパッチと比べた場合、ネットワーク力、それからDの場合だとレーダーの能力が大幅にことなります。南アは独自のリンクシステム、Zaをつかっています。ですが陸自は
アパッチにさほどのネットワーク能力も米軍とのリンクも要求しておりません。ならばロイホックに独自のシステムを搭載すれば解決するわけです。
あとは防弾性能、生存性でしょう。ですが、これも現代の攻撃ヘリは匍匐飛行で敵戦車を攻撃することを殆ど諦め、より高空からの火力支援やISRアセットを使用しての偵察・監視・警戒などに重きをおいているので、90年代ほど重要視されていないでしょう。防御力を得るためにだけ、アパッチを選択するのであれば非常に不経済だと思います。
キヨタニ
2015/06/03 11:50
清谷様、お教えいただきありがとうございます。
 今の攻撃ヘリの現状、日本の現状ではロイホックの弱点・欠点はあまり問題にならず、逆にアパッチはその長所をあまり生かせないという事ですね。それとアパッチを導入するのなら、(あくまで戦術兵器なので)ある程度の数を揃え、かつネットワークを整備しなければならないのに、結局それはやらなかったという事で。
 陸自はアパッチを「本土決戦用の決戦兵器」というか「高価な竹やり」として購入したのかなと思います。
ブロガー(志望)
2015/06/07 16:07
ご回答いただきましてありがとうございます。
なるほど、AH−1Zの航続距離は確かに短いですね。
島嶼防衛の事を考えたらAH−64も足が短いですが、結局それを解消する為に「おおすみ」や「ひゅうが」や「いずも」を使うことを想定していると思います。
ただ、13機しか買えずに画餅になっちゃいましたが・・・
現場の隊員達はロイホックよりアパッチを歓迎するかも知れませんが、ガンダム1機よりジムが10機いた方が良いですもんね〜
八王子の白豚
2015/06/17 15:38

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