清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

zoom RSS 産経新聞・杉本康士大本営発表 外国製でも自衛隊装備ならば礼賛します。

<<   作成日時 : 2015/05/31 16:23   >>

ナイス ブログ気持玉 18 / トラックバック 0 / コメント 7

(16)C130H輸送機 非常事態で役に立つ「怪力の神」
産経新聞 2015.02.13
http://www.sankei.com/premium/news/150213/prm1502130005-n1.html

>大量の空気を吸い込むジェット機とは異なり、プロペラ機のC130は砂ぼこりが舞い上がる不整地でも離着陸できる。空自が導入を計画している純国産の次期輸送機C2と比べれば積載量、航続距離、巡航速度いずれでも劣るが、C2はアスファルトで舗装された滑走路でしか離着陸できないとされている。


 いや、それって有事やPKOではジェットで舗装滑走路でしか運用できないC-2はダメって言っているのと同じでしょう。因みに「大量の空気を吸い込むジェット機」であるC-17なども不整地で運用できるですけどね。

>空自関係者は「素早く大量に輸送が必要なときはC2や政府専用機の出番となるが、空港が使えないような状況ではC130が役割を果たす」と解説する。海外での大規模災害時や、武装勢力に現地空港が占拠されるような非常事態では、C130が邦人輸送の主力を担うことになる。

 これまたおかしな話ですよね。空自の中の人たちはそう言うしかないのでしょうが、C-2も国際貢献に必要だとして取得されたと思いますが。
 また3・11の復興予算でも2機のC-2が発注されましたが、中の人のご主張の通りならば、空自は被災者を喰い物にして災害復興にあまり約立たない玩具を「別腹」で買ったことになります。災害復興あるい災害に備えるならばC-130やC-27あたりを調達すべきだったでしょう。
 「軍」が被災者を喰い物にすることは決して褒められたことではありません。

 アフリカでは必ずしも滑走路が舗装されているとは限りません。また舗装されていもきちんと管理されているわけではありません。ですから「お上品」なC-2はPKO用には向きません。
 しかもアフリカや中東などにC-130を派遣する場合、速度、航続距離の関係で到達まで時間がかかります。アジア近隣ならともかく、遠くの地域で一刻もはやく現地入りするならばC-130は必ずしも適しているとはいえません。
 またC-2は速度が早く、航続距離も長いから海外任務で有利と説明されておりましたが、それと矛盾します。


>自衛隊が平成20年12月まで参加したイラクの人道復興支援では、クウェートを拠点にイラク首都のバグダッドなどに国連や多国籍軍の人員・物資を輸送する活動に従事した。ロケット弾が飛び交う過酷な状況下で、輸送実績は821回、輸送物資は約670トンに上った。
>「自衛隊の活動がイラクの治安安定に貢献した」
>自衛隊のC130が中東の地を離れる際、米中央軍のペトレイアス司令官(当時)はこう称賛した。


 空自のC-130Hが活躍できたのは常に高い稼働率を維持できたからです。これは空自の整備員や派遣された協力会社の社員の努力の賜物ですが、それを支えたのは多くの国がC-130を運用しており、パーツなどの融通がきいたからです。つまりロジが細い遠くの国で活動するならば他の軍隊が多く使用する機体が有利ということです。
 民間のエアラインも同じ理由で近隣で使用されている機材を選ぶ事が多いわけです。

 その意味では、C-17やA400Mなどのユーザーの多い機体を選ぶべきだったでしょう。C-2をイラクの様な形で運用するならば稼働率が下がり、それを補うためには予備の機体や多額の運用費用が必要となるでしょう。しかもC-2の値段はペイロードが2倍以上のC-17並です。

>政府内では、自衛隊がソマリア沖アデン湾での海賊対処活動のため拠点を置くジブチにC130を常駐させる構想もある。これが実現すれば、アフリカや中東地域で邦人輸送が必要になった際、即座に対応できることになる。

 その場合、空中給油機能を有した機体は外す必要があるでしょう。国内で空自の救難用のUH-60Jの運用に必要ですから。であれば、1ダースの機体から派遣する機体を抽出しか無い。これは現場にとってかなり厳しいことになるでしょう。

 杉本記者は「自衛隊装備」であるC-130Hを持ち上たいあまり、結果としてC-2の必要性が薄いことを力説しております。なんとも面白いパラドックスとしか言いようがありません。


 そもそも空自が将来の航空輸送のプランも示さず、当然将来の輸送機のポートフォリオも示さず、C-1が古くなったからC-2作ります、買いますという、国産輸送機調達という手段が唯一の目的化していることが問題です。

 C-2以外の輸送機のポートフォリオも明らかにしない。老朽化しているC-130Hの延命化、あるいは更新などにも触れません。また特殊作戦用航空部隊も作らない。
 しかもそのC-2ですら何機調達するか、国会にも納税者にも説明していません。言っていることは「C-2が欲しくてたまらない」だけ。
 完全に当事者意識と能力が欠如しております。

 島嶼防衛を考えれば空自及び陸自のヘリにも空中給油装置を備えるべきでしょう。であれば空自のC-130Hのすべてを空中給油型に改修しても、空中給油機は足りないでしょう。そうなればC-130JやC-27Jなどの機体を調達することを考えるべきです。また島嶼作戦にどの程度の輸送力が必要かも明らかにすべきです。現在の
C-130Hが空中給油に使用されるならば、相応の数の戦術輸送機が必要です。

 一方で「ヘリは航続距離が足りないから」と多額のカネがかかるオスプレイを、後年度負担の増額や、今後の維持費もよく考えずに気前よく買ってしまう。本当に有事の際の輸送力が確保できるのでしょうか。

 これは空幕だけの責任ではなく、陸幕、統幕、そして内局に至るまで当事者意識と統合運用の認識が低いためでしょう。そして自衛隊の装備に興味が無い、国会議員たる政治家の責任です。
 アレな総理が玩具を欲しがるのを諌める政治家が与党にも野党にも居ない。
 そしてメディアはオスプレイは欠陥機と騒ぐ●●●か、オスプレイは安全だ、日本にも必要だと喚く愛国者のどちらかの方々ばかりです。

 自衛隊の「持ち物」を「素敵なものをお持ちですね」 と、揉み手で擦り寄るのが社会の木鐸たる新聞の報道の仕事ではないと思いますが。





東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

防衛省の装備調達は、これから大きく変わる
キーマンの防衛省装備政策課長に聞く<上>
http://toyokeizai.net/articles/-/70516
日本の防衛産業は鎖国から開国へシフトする
キーマンの防衛省装備政策課長に聞く<下>
http://toyokeizai.net/articles/-/70529
防衛省装備調達に欠落している"大事なもの"
兵器調達の際に「時間」「総額」の概念がない
http://toyokeizai.net/articles/-/69177

防衛省「パワードスーツ」構想は濫費である
新たに開発する必要がない理由<上>
http://toyokeizai.net/articles/-/68330
「パワードスーツ」の前に防衛省がすべきこと
新たに開発する必要がない理由<下>
http://toyokeizai.net/articles/-/68341

投資8000億円!新戦車は陸自弱体化への道
粛々と進む10式戦車調達の問題点<上>
http://toyokeizai.net/articles/-/66868
文民統制の放棄!なぜ「空母」が生まれたか
護衛艦「いずも」は、護衛能力のない被護衛艦
http://toyokeizai.net/articles/-/64841
自衛官の「命の値段」は、米軍用犬以下なのか
実戦の備えがないため派兵どころではない
http://toyokeizai.net/articles/-/63496

strong>Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました

【少女漫画男性主人公に異変アリ】〜ガチムチ、オタク、キモメンらがモッテモテ!〜
http://japan-indepth.jp/?p=18452
【お粗末な自衛隊の「衛生」装備】〜チュニジアでテロにあった女性医官は「特別」なのか?〜
http://japan-indepth.jp/?p=17323
【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 1】〜陸幕広報は取材拒否〜
http://japan-indepth.jp/?p=17056
【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 2】〜中谷防衛大臣の答弁に違和感〜
http://japan-indepth.jp/?p=17059




東京防衛航空宇宙時評で以下の記事を掲載しました。


キーマンに聞く 堀地徹防衛省装備政策課長(その1)
http://www.tokyo-dar.com/sfeature/1562/
キーマンに聞く 堀地徹防衛省装備政策課長(その2)
http://www.tokyo-dar.com/news/1566/
タレス、航空機搭載型AEWシステム「CERBERUS」を、MAST ASIAに出展
http://www.tokyo-dar.com/news/1556/
BMTグループ、MAST ASIAに高速揚陸艇の模型を出展
http://www.tokyo-dar.com/news/1547/
JMUディフェンス・システムズ、MAST ASIAで水陸両用車を発表
http://www.tokyo-dar.com/news/1542/
ECAグループ、MAST ASIAに無人機雷処理システムを出展
http://www.tokyo-dar.com/news/1550/



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 18
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
面白い
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
とうとう、産経もC2を見限りだした(笑)のかな。
マリンロイヤル
2015/06/01 08:10
不整地着陸ができない、C-2は軍用輸送機としてはしっかくですね。まぁ自衛隊は軍隊でない。故にC-2は軍用輸送機ではない。故に不整地運用能力は必要ない。不整地運用能力は近隣諸国に脅威を与えるからという、屁理屈もなりたつのでは?
軍事オタク
2015/06/01 18:00
また、日経がやらかしたようです。

>「ドラクエ」次作がPS4で? 日経報道にスク・エニ困惑「ヒーローズIIのことでは」

http://news.yahoo.co.jp/pickup/6162004

数日前にも他社に対し、同じようなことを仕出かしているんですね・・・・。でも絶対、誤報であるとか認めないのでしょうね。「記事の内容については、絶対の自信がある」とか何とか言って。ホント、大手マスコミって、こんな所ばっかり。
KU
2015/06/01 20:50
まさに
贔屓の引き倒し
ひゃっはー
2015/06/01 22:11
> 杉本記者は「自衛隊装備」であるC-130Hを持ち上たいあまり、結果としてC-2の必要性が薄いことを力説しております。なんとも面白いパラドックスとしか言いようがありません

同じ輸送機と銘打っていても、C2とC130は相互補完的な装備。
である以上、どちらか片方を持ち上げても、他方の必要性が薄れるわけではない
そもそもこの程度で必要性が否定されるのであれば財務省様が納得なさる筈もなく
元メージャー
2015/06/03 13:48
まあ、C130が歴史的な名輸送機であることは否定しませんが、C2が役に立つかは分かりませんね。
他の国産装備同様に現場の努力で使えるようにすることになるのでは?
八王子の白豚
2015/06/04 22:31
お邪魔します。
 これは「相手を言い負かす事に”特化”し、『体系』や『一貫性』を放棄して、『ああ言えばこう言う』に徹した応酬話法」のように思えます。「体系」や「一貫性」を放棄した故に言い負かされる事はありませんが(相手にとっては言い負かす術が無い)、同時に「体系」や「一貫性」を放棄した故に何かを生み出す・結果を出す事はできないと思います(日本の国防・安全保障を構築するには有害無益?)。
ブロガー(志望)
2015/06/07 16:17

コメントする help

ニックネーム
本 文
産経新聞・杉本康士大本営発表 外国製でも自衛隊装備ならば礼賛します。 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる