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zoom RSS 産経新聞・杉本康士大本営発表【防衛最前線】日本の掃海能力は世界一、は本当か。

<<   作成日時 : 2015/05/25 16:49   >>

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【防衛最前線】(26)掃海艦艇 装備と人が支える世界有数の能力
2015.04.24
http://www.sankei.com/premium/news/150424/prm1504240004-n2.html


>「日本は高い掃海能力を持っている。掃海によって機雷を敷設することが無意味になっていく。つまり抑止力にもなる」

>安倍晋三首相は昨年6月9日の参院決算委員会で、自衛隊の掃海能力について、誇らしげにこう語った。


 これ、普通に疑うべきでしょう。
 海自には「前科」があります。かつて海自は自分たちの掃海能力は世界一と自画自賛しておりました。それをメディアは検証もせずに宣伝しておりました。

 そんな後で、「海自の掃海能力は世界一」というような自画自賛をそのまま信じていいのでしょうか。多少知恵の回る大人ならば少しは疑うでしょう。

 湾岸戦争後のペルシャ湾の掃海艇を送った際に、自分たちの掃海システムが完全に時代遅れということを思い知らされました。何しろ他国は自動化していている機雷の処理を海自は人力でやらざるを得なかった。これに衝撃を受けて、その後に導入された掃海艇には欧州製の装備を導入しました。
 ところがペルシャ湾では我が身を省みず、危険を犯して機雷を処理しましたという「美談」として宣伝し、これまたメディアは検証もせずに垂れ流しました。

 一応本記事ではその話は紹介はしていますが、アリバイ工作的です。


>安倍首相が「高い掃海能力」を誇るのは、このときの経験も裏付けとなっている。ただ、防衛省関係者は「当時の海自部隊は装備面では他国に劣っていた面もあった」と指摘する。特に、水中に潜って爆雷を投下する装置にはカメラが付いておらず、水中処分員が目視で機雷を確認せざるを得なかったという。

>湾岸戦争終結後の平成3年、海上自衛隊はペルシャ湾掃海派遣部隊を送り込んだ。当時  はすでに他国海軍が活動しており、“遅参”した自衛隊に割り当てられた掃海区域は「最も  危険で難しい場所しか残っていなかった」(海自関係者)という。過酷な条件下で海自部隊は 約3カ月間に34個の機雷を無事に処分し、他国海軍から高い評価を受けた。


 装備の不備を現場のガバリズムで補ったこと「美談」としております。戦時中のニュース映画のナレーションの様な無敵帝国海軍バンザイてきなプロパガンダになっております。

 反省すべきは、諸外国が圧倒的に進んでいたことを海自の首脳が脳天気にも全く認識していなかったことでしょう。まさに井の中の蛙大海を知らず、です。

 指導部の無能を現場に押し付けていたのは帝国海軍依頼の宿痾です。前の戦争から何を学んだのでしょうか。その反省を真摯におこない、納税者に説明したのか。していないでしょう。


>最新鋭の「えのしま」型掃海艇は、木造船を使用してきた海自で初めて強化プラスチックを船体に使用し、耐用年数が大幅に延びた。掃海艇より大型の「やえやま」型掃海艦は潜水艦を標的とする深深度機雷の処理も行うことができる。

 船体のFRP化は諸外国から大きく遅れたことにはほっかむり、長らく木製の船体の使用が続きました。そしてやっと、この度実現したわけです。都合の悪いことは報道ないようです。


>「うらが」型掃海母艦は旗艦として補給支援や機雷敷設などを行うほか、ヘリコプターの発着艦が可能で、掃海艇を狙った機雷を処理するためダイバー(水中処分員)を現場海域に送り届ける。「いえしま」型掃海管制艇はラジコンのような遠隔操縦式掃海具を操り、掃海艇が入れない水深の海域に敷設された機雷を処理する。

>こうした総合力は、対潜水艦哨戒能力と並ぶ海自のお家芸ともいえる


 この記事を読んだ人は国産装備と誤解するでしょう。ですが装備の多くは外国製です。それほど優秀ならば自国で他国を凌駕するものを開発・装備していると思いますが。

 またMCH-101の前任の掃海ヘリ、MH-53Eの稼働率は2割を切っております。ぼくは13パーセント程度だと承知しております。つまり常時使用できた機体は1〜2機だけということになります。それが機体の問題なのか、FMSの問題なのか、あるいは整備予算の問題かは知りませんが、問題であることは確かでしょう。こういうマイナス面も記事にするべきだと思いますが産経新聞はそうは考えないようです。

 本当に海自の掃海レベルは世界有数なのでしょうか。
 単に海自の主張を検証もなく書くのは新聞の仕事ではないと愚考いたします。
 当局から得られた情報の検証は、新聞記者の仕事ではないのでしょうか。




東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

防衛省の装備調達は、これから大きく変わる
キーマンの防衛省装備政策課長に聞く<上>
http://toyokeizai.net/articles/-/70516
日本の防衛産業は鎖国から開国へシフトする
キーマンの防衛省装備政策課長に聞く<下>
http://toyokeizai.net/articles/-/70529
防衛省装備調達に欠落している"大事なもの"
兵器調達の際に「時間」「総額」の概念がない
http://toyokeizai.net/articles/-/69177

防衛省「パワードスーツ」構想は濫費である
新たに開発する必要がない理由<上>
http://toyokeizai.net/articles/-/68330
「パワードスーツ」の前に防衛省がすべきこと
新たに開発する必要がない理由<下>
http://toyokeizai.net/articles/-/68341

投資8000億円!新戦車は陸自弱体化への道
粛々と進む10式戦車調達の問題点<上>
http://toyokeizai.net/articles/-/66868
文民統制の放棄!なぜ「空母」が生まれたか
護衛艦「いずも」は、護衛能力のない被護衛艦
http://toyokeizai.net/articles/-/64841
自衛官の「命の値段」は、米軍用犬以下なのか
実戦の備えがないため派兵どころではない
http://toyokeizai.net/articles/-/63496

strong>Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました

【少女漫画男性主人公に異変アリ】〜ガチムチ、オタク、キモメンらがモッテモテ!〜
http://japan-indepth.jp/?p=18452
【お粗末な自衛隊の「衛生」装備】〜チュニジアでテロにあった女性医官は「特別」なのか?〜
http://japan-indepth.jp/?p=17323
【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 1】〜陸幕広報は取材拒否〜
http://japan-indepth.jp/?p=17056
【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 2】〜中谷防衛大臣の答弁に違和感〜
http://japan-indepth.jp/?p=17059




東京防衛航空宇宙時評で以下の記事を掲載しました。


キーマンに聞く 堀地徹防衛省装備政策課長(その1)
http://www.tokyo-dar.com/sfeature/1562/
キーマンに聞く 堀地徹防衛省装備政策課長(その2)
http://www.tokyo-dar.com/news/1566/
タレス、航空機搭載型AEWシステム「CERBERUS」を、MAST ASIAに出展
http://www.tokyo-dar.com/news/1556/
BMTグループ、MAST ASIAに高速揚陸艇の模型を出展
http://www.tokyo-dar.com/news/1547/
JMUディフェンス・システムズ、MAST ASIAで水陸両用車を発表
http://www.tokyo-dar.com/news/1542/
ECAグループ、MAST ASIAに無人機雷処理システムを出展
http://www.tokyo-dar.com/news/1550/

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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
そもそも、海上自衛隊の出自が第二次大戦後の機雷処理ですから、目の前の古い機雷処分優先で来てしまったんでしょう。新しい機雷に対処する研究など後回しにしたツケを払わされました。陸自の爆弾処理班なんかは大丈夫なんでしょうかね。
マリンロイヤル
2015/05/25 19:14
似たような事例が2つあります。1つ目として原子力ムラです。日本の原子力発電所は安全で、チェリノブイリの事故は起きるはずはない! しかし、福島第1原発ではチェリノブィリと同じレベルの事故が結果的に起きています。2つ目として白い巨頭です。高度先端医療ー特定医療機関である群馬大学病院で腹空鏡の肝臓手術で立て続けて患者が死亡しています。
原子力と医学の例を挙げました。共通点として奢り、閉鎖社会、唯我独尊、自画自賛等の組織体質や組織風土があると思います。
人間できることはたかが知れています。他人との交流と自己の失敗による教訓が成長させると思います。組織は人間の集合体です。完璧な組織はありえません。では、どうするのか? 内部による批判と外部からの評価でしょう。
元キャプテン
2015/05/26 01:35
気になる記事を取り上げてもらいありがとうございます。軍研誌の過去記事でも当事者が苦労話を書くのに政治家さんは世界に誇って語る美談を不思議に感じておりました。
カド
2015/05/26 01:46
掃海の話題から逸脱します。現在、国会で論戦している集団的自衛権ー安保法制について政治家の軍事的知識のなさや観念論にうんざりしています。後方地域は安全だ!集団的自衛権はリスクを軽減できる!という欺瞞は国民を馬鹿にしています。政治家は戦争はゲームと同じく考えています。 自分も20年間自衛隊に勤務し、戦争のことを自分なりに研究しました。出した結論は戦争を最も嫌がるのは軍人でしょう。戦争のこと研究していますから。病気を恐れている職業は医師・看護師である理屈と同じです。
元キャプテン
2015/05/26 05:46
先日も書かせていただきましたが、産経新聞の、この気色悪くなるほどの自衛隊LOVEは、いったい何処からくるのでしょうね(都合の悪いことはガン無視、てなとこは何も産経だけの特許ではありませんけれども(>_<))。こうした記事に関して言えば、相応に知識がある人ならいざ知らず、某女子高生が戦車に乗ってバトルをするアニメとか、大破すると服が破ける軍艦もとい女の子が活躍する某ゲームが切っ掛けで自衛隊に興味を持った、なんて人にとって、この連載は「自衛隊スゲー」としか見えませんよね。産経も罪作りなことをする。というか、産経を採っていなくて良かった(。>д<)。

それはそうと、

>イギリス国防省、海軍早期警戒ヘリ用システムのメーカーにタレスを選定

http://flyteam.jp/airline/royal-navy/news/article/50328

地道な取材の結果かとは思いますが、清谷さんの書かれたとおりですね。
KU
2015/05/26 20:23
お邪魔します。
 批判といったものは、相互の信頼関係の上に成り立つものです。「言っても無駄」と分かっていてわざわざ批判などしないでしょうし、信頼していない相手から言われてもそれを受け入れる事はできません。多くの国では「国防は国の最重要任務の一つ、軍はその要」という国民的合意がありますが、日本にはそういったものが乏しかったため「無条件の否定」と「無条件の肯定」しか無い状況になっているものと思われます。子供は幼児期に親に無条件に受け入れられる事で「人を信じる」事を学びますが、幼児でもなければ「無条件に受け入れる」のは難しいでしょう。同様に(日本)国民が必要とし、市民の中から生まれなかった(アメリカの都合で作られた)自衛隊が、国民との間に信頼関係を構築するのは困難ではないかと思われます(お互いがお互いを信じ切れない?)。
ブロガー(志望)
2015/05/26 23:05
ブロガー様へ

反論・異論を申します。貴方の主張は刹那主義で浪花節です。昔の経緯、環境は理由にはなりません。信頼を得られるには行動、結果、情報公開、説明責任、コンプライアンスだと私は思います。
信頼を得ることをしたのか?十分ではないと思います。護衛艦たちかぜ事件・裁判は信頼を失墜させた典型的な例でしょう。現在の職場は情報公開、説明責任、コンプライアンスを重視している方針です。ステークホルダーから信頼されるため、自ら律し、行動することではないでしょうか。自分自身も不十分ですが・・・
以前も同様のことを申しましたが、子供染みた同情は不利益になり、甘えが生じます。何度も主張しますが信頼は行動・結果で得られるものではないかと思います。
元キャプテン
2015/05/27 06:11
結局自衛隊って何をやっても中途半端で自分たちが使う道具すら自分たちで精査できない組織なんですね。
八王子の白豚
2015/05/27 23:12
清谷様へ

現在、永田町=国会では安保法制の議論という名の神学論争・言葉遊びをしています。
そこで防衛官僚だった柳澤さんはメディア、講演、書籍にて安倍首相の政策・集団的自衛権を批判しています。じゃ〜、制服を脱いだ将官達は何をやっているのでしょうか? 柳澤さんは70歳近く、老体に鞭を打って世論に訴えています。孫と遊ぶ隠居の身であるのに・・・・
後輩達が無駄な殺生や血を流さないように努力しています。片や軍事の専門家で現場を熟知しているはずの将官だった方は何をやっているのか?元将官達こそ反対・批判すべきではないでしょうか?将官達は退官した後、後輩に骨を折った方は自分の記憶にございません。以前、森氏を批判したことに納得しています。
ちなみに自分は民主党、維新の党、共産党に意見書を提出しました。軍事的視点からの意見ですが・・
元キャプテン
2015/05/28 14:49
再びお邪魔します。
 結果には原因があり、過去があって現在があります。ですから原因や過去からの経緯を考えずして、問題の根本的な解決はあり得ません。また人は「『真面目にやれ』と言いさえすれば真面目にやる」代物ではなく、それを実現するためにマネジメントというものがあります。例えば韓非子は人を動かすためには「飴と鞭」の両方が必要と述べています(飴”だけ”ならつけ上がる?鞭”だけ”なら反発するかやる気を無くす?)。思えば我々有権者・納税者は国防・安全保障にまともに向き合ってこず、その事によって自衛隊に対し「自衛隊の仕事なんて適当・いい加減でかまわない」といったメッセージを送り続けてきました(例:いつまでに幾らが不明な予算を通す)。その事が「いい加減な奴らがのさばり、真面目な人達がそのしわ寄せを食う」状況を作ったのでしょう。
ブロガー(志望)
2015/05/31 19:12
続きです。
 となればまず我々有権者・納税者が、自衛隊に対しそういったメッセージを送り続けてきた事を自覚しなければならないと思います。「自分に甘く、他人に厳しい」では「人の本性そのもの」ですから、それでは状況を変える事はできないでしょう。しかし今「アメリカ様が守ってくださるのだから、それまでのつなぎ程度でかまわない」というメッセージを送り続けてきた自衛隊に対し(だから自衛隊は兵站等を重視してこなかった?)、「アメリカ様と一緒に行動しろ、またはアメリカ様を一部肩代わりしろ。でないとアメリカ様に対し俺達の顔が立たない。」といったメッセージを送っているのではないかと思います。
ブロガー(志望)
2015/05/31 21:01
もんたにさんによれば世界でトップクラスだってさ
シュピーゲル
2015/06/02 00:28

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