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zoom RSS 豪潜水艦受注日本の弱点 商社をかませるべきだったんじゃないの?

<<   作成日時 : 2015/04/24 18:13   >>

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日本、豪潜水艦受注で独仏と激突 「防衛装備移転三原則」の試金石
SankeiBiz 2015.04.24
http://www.sankeibiz.jp/business/news/150424/bsc1504240500009-n1.htm

>日本製の採用は間違いないとみられていた最大500億豪ドル(約4兆6400億円)規模のオーストラリアの次期潜水艦受注の行方が混沌(こんとん)としてきた。豪州国内での建造を求める声の高まりを背景に、豪州政府が日独仏3カ国の中から選定する方針を表明。これを受け、欧州勢が現地生産方式を前面に出し攻勢を強めているのに対し、日本は受注を争う姿勢を見せていないためだ。


 政治的な要素を除けば日本側に有利です。欧州勢は大型潜水艦を作ったことがないし、これから開発するにも少なくないコストが掛かります。

 ですが、調達はそれだけではないのが、兵器の世界です。特に艦船や航空機など値が張るものほど、政治的、外交的な要素が強くなってきます。



 日本の最大の弱点はメーカーである、三菱重工や川崎重工に、当事者意識が欠如していることです。商売としての仕事としてやる気がまるで無い。お上がやるならば従います-というのがスタンスです。
 利益を出さなくていい国営企業体質そのものです。

 また、仮にやるにしても両重工のどちらが豪州の仕事を受けるか、です。例えば、たすき掛けで生産するのか、海自用は三菱で、豪州用は川重でというような住み分けにするのかという話しもあります。

 むしろ、主契約社は商社にした方が良かったんじゃないでしょうか。当然ながら海外との商売に慣れているし情報も格段に持っています。ファイナンス機能も持っています。

 実際に商売をしたことのないお上、しかも防衛省・経産省・外務省の縦割り連合軍、メーカーはやる気なしです。つまりビジネスの主体者が存在していません

 「優秀なる我が潜水艦」なら採用間違いなしと期待すると失望することになるでしょう。
 ぼくは輸出に成功して欲しいとは思いますが、ある程度の譲歩も必要でしょう。例えば、現地生産(組み立て)でもいいじゃないですか。コストが高くなっても支払うのはオージーの納税者です。彼らが望むならいいじゃないですか。
 それとエンジンはMTUのものにするぐらいの妥協を見せてもいいでしょう。そうすればドイツ内部での仲間割れも期待できます。

 潜水艦のドンガラの生産には経験工学的なところが多く、そう技術が真似できるものではありませんし、世界の潜水艦市場は狭いので、オーストラリアが輸出国になることもないでしょう。
 「潜水艦技術は国宝だ」などと技術ナショナリズムに固執していると、輸出の機会を失うでしょう。代案としては、価格の100パーセントを何分割かにして、牛肉、チーズ、ワインとかを輸入しますといった、間接オフセットを提案して、豪州の関連議員を抱き込むことだってできるわけです(まあ、我が国の政府にその才覚があればですが)。

 輸出で最大のメリットはユーザーからのクレームです。
 我が国では、唯一のユーザーであるのは海上自衛隊だけですから、天下りさえ受け入れておけばどんなに不便を海上自衛隊に押し付けようとクレームはまず入りませんでした。 また他国のものと比べられることもありません。

 ところが輸出をすれば、あれこれクレームや要求がくることでしょう。それこそが国産開発のための貴重な情報となります。「技術大事」と抱え込むよりも、輸出をしてお小言をいただくほうがよほど国産開発のためのアセットになります。

 またその場合、コスト削減も言及されるでしょう。現在三菱、川重、それぞれにベンダーがぶら下がっており、
不効率です。1社なると代用が効かないと言う声もあるでしょうが、両方共売上が少なくカツカツの商売をやっているところが多いはずです。ビジネスが統合され、オーストラリアの仕事まで受注できれば受注額は3〜4倍に膨らみます。生産が効率化されれば調達コストが下がって、利益は増えるでしょう。
 そうなれば、設備投資や研究開発にも投資できるようになります。
 現状、そのような余裕がないベンダーが多いはずです。実際に艤装を見ると、かなり時代遅れなものが延々と使用されているケースも多々見られます。

 政府はあれこれ大きな視点で武器輸出に関して考えるべきです。
 
 輸出をするとこういうところが見えてきます。三菱重工は、MRJでまさにそれを実感しているとろでしょう。
 
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

投資8000億円!新戦車は陸自弱体化への道
粛々と進む10式戦車調達の問題点<上>
http://toyokeizai.net/articles/-/66868
文民統制の放棄!なぜ「空母」が生まれたか
護衛艦「いずも」は、護衛能力のない被護衛艦
http://toyokeizai.net/articles/-/64841
自衛官の「命の値段」は、米軍用犬以下なのか
実戦の備えがないため派兵どころではない
http://toyokeizai.net/articles/-/63496

strong>Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました
【お粗末な自衛隊の「衛生」装備】〜チュニジアでテロにあった女性医官は「特別」なのか?〜
http://japan-indepth.jp/?p=17323
【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 1】〜陸幕広報は取材拒否〜
http://japan-indepth.jp/?p=17056
【陸自ファーストエイド・キットが貧弱な件 2】〜中谷防衛大臣の答弁に違和感〜
http://japan-indepth.jp/?p=17059


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コメント(16件)

内 容 ニックネーム/日時
清谷様

私が現役の頃、調達関係の仕事をしていた話です。
総合商社I商事の契約したロッキード製の装備品では、商社の対応は素晴らしく、特にアフターが丁寧でした。苦情ではないのですが現場=ユーザの意見を真摯に受け、製造元のロッキード社に意見を代弁し、色々と改善してくれました。
反対にK製作所は殿様商売で松永1佐ではありませんがバックレたり居直りクレームを付けたら天下りのOBの圧力=電話で恫喝されました。後輩の為に骨を折るのがOBの存在だろうと思います。天下ったOBは多分将官クラスだと思いますが 本当に仕事してんの?と疑問に思います。上層部は引退した高官を奉っていて呪縛かもしれませんがみっともないですよ!だって退官したらただのジジィです。退官しても国・組織に寄生する始末に負えないジジィですよ!清谷さんの商社に任せる主張は調達の仕事を経験した者として賛成です。確かに防衛産業は殿様商売で旧態依然です。昔、財務省の護衛船団方式の銀行業界か地域独占の電力業界に似ています。変化や刺激で競争が生まれ、質やコストが下がります。商社主導もひとつの案だと思います。
元キャプテン
2015/04/24 20:43
清谷様へ

潜水艦の輸出と関係のない御相談をいたしますがお許しください。
出版の御相談の件です。休みに近所の図書館で元自衛官の本※暴露本も含みますが
を読みました。傾向として将官等の経営陣が書いた本は素人の読者の視点から理解しにくく、抽象的で精神論に近いものがありますが足元を見てなく上から目線な感じでした。士いわゆるヒラ社員の書いている本は具体的で素人にわかりやすいが経験値が少ないため視野狭窄な印象です。中間管理職の課長級 3佐・1尉で出版した本はありませんでした。自分がこんなことを言うのはおこがましいのですが1尉・3佐の中間層が組織の実態を良く知っていると思います。企業でも同様だと思います。重役クラス=将官からパシリとして使われ、 ヒラ=曹士からは陰口を言われ、悲しい中間管理職です。こういった視点もあるのではないでしょうか?中間層だから偏りがない。つまり客観的に組織の問題を分析できるのではないかと思います。安保法制みたいな硬い話ではなく、人事・教育・訓練・装備等のマネージメントや組織形態等のガバナンスを切り口とし、現役時代感じていた矛盾や疑問を問題提起し、ビジョンを示すという方法がよいのでは?素人の読者にわかりやすい言葉で文章を書く。 何卒御教示ください。
退役将校
2015/04/24 21:13
元キャプテン様
商社は要は使いようだと思います。コストだけが高くなることもありますが、商社がないと防衛産業がまっていかないでしょう。多くの人は知りませんが、国産装備のコンポーネントなども商社経由でおこなわれており、新装備開発のためのメーカーの視察も商社がコンダクトしているのが現状です。

退役将校
仰るとおりでその辺りの階級の方々が現実をもっとも把握しておられると思います。
まずはブログで少しずつでも書いてみては如何でしょうか。
キヨタニ
2015/04/25 11:06
総合商社マンなんてスーパーマンだらけですからね

2015/04/25 13:39
う〜ん、「そうりゅう」の輸出バージョンですか・・・
売れると良いんですがね〜
問題はキヨタニさんが指摘したように売り込み方でしょうね。
商社だけじゃなく車や家電を輸出してるメーカーの人間も交えてオールジャパン体制で臨むべきでしょう。
アフターサービスや抱き合わせ販売やバーター取引等、やれることは全部試みてこれを成功させることが出来たら、今後の武器輸出に繋がるでしょう。(武器輸出大国になるのが良いか悪いかはさておき)
それにこれで豪州と今後良好な関係が築ければ色々と国益上プラスが大きいはずです。
何にせよ関係各位の頑張りに期待します。

とは言っても小火器や戦闘車両などの陸戦兵器は艦艇以上に実績が重視されますから、日本製の食い込む余地が生じるものでしょうか?
安倍政権の見立てが甘く思えますね。
八王子の白豚
2015/04/25 16:49
輸出するなら、現行そうりゅう型のダウングレード版を造るべきでしょう。豪州が自分で造りたいなら、前級おやしお型をベースにしたもので充分。
マリンロイヤル
2015/04/25 18:56
そもそも、情報を外に出さず収集もやらず、「いずもは護衛艦です」「自衛隊の救急セットは米軍と同等」と強弁するような自閉隊が、兵器を輸出するのって根本的に無理なんじゃないんですか(笑)
おまけに兵器ってやつは「いい物は売れる」だけの単純な世界ではないんでしょ。
まずは自閉隊をまともな軍隊にするところから始めた方が、一見遠回りのようで輸出成功の近道ではないのでしょうか。
ひゃっはー
2015/04/25 20:32
清谷様

御助言ありがとうございます。清谷さんの著書だけでなく石破先生の著書を読み、じっくり考えます。三十数年間の勤務を振り返るのもいいかなぁと思います。永田町では相変わらず神学論争と言葉遊びに没頭しています。肝は政策・制度だと思います。退官した同業者がメディアで情報発信を怠っていたツケでしょう!現役の頃は悲しい現実ですが宮仕えのサラリーマンと同じです。権力や政治力がありませんので改革は至難の技です。私が思うには組織を去ることが変えるチャンスや可能性があるのではないかと思います。確かに旧守派・保守派・抵抗勢力が存在します。小泉総理ではありませんが、破壊や建設も必要かと思います。
退役将校
2015/04/25 22:38
オーストラリア人が国産だと信じる方法があるといいですよね
「週間 オーストラリア潜水艦」方式で日本(と米国)から部品送ってアセンブリーさせる方法
ただ、潜水艦のコアになる耐圧船殻は日本並みの溶接管理ができそうにないので在来材料を厚めに使うとかでしょうか
人馬笛
2015/04/26 02:49
お邪魔します。
 オーストラリアはインディペンデンス級LCSに三胴船の技術を提供したように、高速船の分野では進んでいます(一方日本はTSLで失敗)。ですから日本はオーストラリアと「潜水艦と高速の哨戒艦船(可能であれば海保用も含めて)」を交換してはどうかと思います。日本には広い領海・経済水域を効率良く守るために高速船が必要ですが、欧州には日本程には海を巡る対立は無いと思われますので、この点で有利かと思われます。

 相手がある以上こちらの言い分が100%通る事は稀ですし、相手の言いなりになっては意味がないので、「落とし所」を探る事こそが重要なのですが、日本にはどうも「100%意を通すか、相手の言いなりか」の二者択一に走る傾向があるようです。幕末「攘夷堅持」から「不平等条約締結」に走りましたし、TPPも「米を守るか否か」ばかりになっているように思われます。

 最後に余談ですが、ホンダジェットが日本に初お目見えした一方三菱MRJが未だ飛べないのは、「アメリカで作ったか、日本で作ったか」の違いなのでしょうか。
ブロガー(志望)
2015/04/26 17:14
>とは言っても小火器や戦闘車両などの陸戦兵器は艦艇以上に実績が重視されますから、日本製の食い込む余地が生じるものでしょうか?
安倍政権の見立てが甘く思えますね。

今晩は、チャイカです。
八王子の白豚様のこの御指摘ですが、政治を優先するならば、国産の陸戦兵器の輸出実績を得るのは、可能ではないでしょうか?

因みに日本人移民一世が2代続けて、駐日大使を務めている南米のパラグアイ陸軍は共産ゲリラ、パラグアイ人民軍と血で血を洗う戦闘を行っています。

にも拘わらず、未だに彼らはシャーマン戦車他、
旧式装備を使用している有様です。
幾ら、改修されているとは言え、もう限界です。

その彼らに90式や10式戦車、機動戦闘車、軽装甲機動車等の国産装備を供与すれば、彼らは装備更新等、我らは、国産の陸戦兵器の使用実績等の機会を得られますし、ランドラッシュに乗り遅れたと言われる日本が巻き返すチャンスになるのでは。
其れに大体、パラグアイの赤化は日本や米国に取って、益ではなく、害でしか有りません。

勿論、防衛装備品の輸出に政治が関係しますが、
駐日大使のみならず、パラグアイ国軍三軍司令官や国家警察の副長官、電信電話公社総裁といった要職に日系人が務めていた程、関係が深いですから、他国よりは、難易度が低いと思いますし。

チャイカ
2015/04/26 20:06
装備品の輸出入というと、最近は陸海空でオシュコシュのストライカー(代理店は何処でしょう?)やローゼンバウアーのパンサー(帝人が代理店なんですね)といった、海外製の空港用消防車が採用されておりますが、無論、道交法の関係からも問題はないのでしょうね。それと、急に海外製の消防車の導入が目立つようになったのには、何か理由があるのでしょうか?単純に性能や価格面での比較を行った結果なら構わないのですが。
KU
2015/04/26 21:00
>KU様
ローゼンバウアーの消防車は一両1億円ですね。
道交法は空港内ですし関係ないのではないでしょうか?

>元キャプテン様
将官佐官の再就職先は、共済保険関連も多いようですが、それもかなり天下りOBの圧力が多いようです。


潜水艦に関してですが、そうりゅう型をそのまま、輸出したとして、豪海軍が運用出来るのか疑問が残ります。

日本が教育するとしても、潜水艦の定数増で人員が必要なのに対して自衛官の採用数は変わりません。
潜訓の受け入れ定数もあるでしょう。
それに潜水艦の勤務はタフでないと出来ないでしょうし、乗りたい人、乗れる人、続けれる人。3つ揃う人はほとんどいないでしょう。
T
2015/04/28 20:19
T様。教えていただき、有難うございます。それと、よく見直してみたら代理店は帝人ではなく、帝国繊維でした。失礼しました。
KU
2015/04/29 08:10
チャイカ様
私もひとまずウィキペディア等でパラグアイ陸軍について見てみましたが、確かにその装備品にはシャーマン戦車やスチュアート戦車のような骨董品(失礼!)もありますが、カスカベル装甲車等のようにソコソコ新しいものもあります。
察するに彼等の身の丈に合った装備を運用しているということなのではないでしょうか?
そこに陸自で運用している程々の性能で世界でも屈指の高級な「火の出る装備」を提供したところで却って迷惑なだけかもしれません。
各種費用も全部日本が負担するとなればそれはそれで問題でしょうし・・・・
八王子の白豚
2015/04/29 23:09
T様へ

確かに高級幹部=将官級や上級幹部=2佐以上は保険業界に再就職先多いです。基地・駐屯地に常駐している方もいます。セールスレディのおばちゃんも部隊の事務室に勝手に出入りしてウザイですよ!ババァのくだらない話と元老兵の圧力にうんざりしていました。 営業力もないくせに階級章や役職で圧力を掛ける寄生虫のウザイ存在ですよ!東邦生命が破綻したのは、自衛隊に寄生・依存したしっぺ返しです。
まぁ柵の中で生活していた世間知らずですから。頭は下げれない、財務諸表は読めない、コスト意識がない保険会社もよく穀潰しのオッサンを雇うよな? しかし、会社起業しり、農家を始めたり開拓精神旺盛な先輩もいました。制服脱いだら組織にたかる体質!ケジメつけろと言いたい!
元キャプテン
2015/04/30 21:52

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