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zoom RSS 産経新聞、『ついに自衛隊が「高機動パワードスーツ」を導入へ』は誤報

<<   作成日時 : 2015/02/11 14:05   >>

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ついに自衛隊が「高機動パワードスーツ」を導入へ…韓国でも戦闘ロボット計画を打ち出すも世論は猛反発【岡田敏彦の軍事ワールド】 .
http://www.sankei.com/west/news/150203/wst1502030006-n1.html

まずタイトルから誤報です。
技本はパワードスーツの研究予算を来年度予算で要求していますが、あくまで研究であり装備の開発ではありません。無論陸幕からそのような要求もありません。
技本としては相応のものが開発され、陸自に採用されたらいいなあ、ぐらいの話です。これはぼくが担当者への取材で確認しております。
陸自が要求しているならば、要求仕様がありますがそのようなものは存在しません。
完全な誤報です。

ぼくはこの件に関してはコンバットマガジン、その他で記事をかいておりますが、防衛省の広報を通じて担当者に取材を行っております。取材場所は広報課の応接室でした。産経新聞さ
んの陣取っている記者クラブ室から僅か20メートルの距離です。記者クラブという便利な拠点がおありになるのですから、取材をされてはいかがでしょうか。
それとも取材はしたものの、はじめから陸自の最新兵器だという思い込みで、取材でその点も確認しなかったのでしょうか。

別に願望や私見を書いてもいいのですが、その場合は事実と区別をつけて書くべきです。

この記事の趣旨は韓国でも同様な、プロジェクトがあるがダメダメ。翻って我が国では優れたロボット技術を活かして軍用パワードスーツを実用化する、という「願望」でしょう。その「愛国的な願望」を書きたいがために、先走りをしたのではないでしょうか。


>同省では平成12(2000)年度にも重装備の運搬を助けるパワードスーツを試作しており、最新タイプはこれよりも着実に進化させたものとみられる。

これも正しくありません。ぼくの書いた上記の記事を引用しましょう。
>本研究は防衛省・技術研究本部が実施してきた「隊員用パワーアシスト技術」の研究の成果をベースに行なわれる。この研究ではイキシス・リサーチが主契約社となり、主として高い荷重に耐えられる重装備研究用と、主として不正地での走行能力の獲得に主眼をおいた高機動研究用の2種類の試作が行なわれた。

つまり、二種類のタイプが要素研究用として開発されました。で、来年度からはこれらの要素を統合したものが開発されることになります。

この記事を書いた)岡田敏彦記者の趣旨は韓国や中国が如何に劣っているかという産経新聞お得意の「愛国宣伝」なのでしょう。ですが、プロの書いたブログとしてもお粗末であり、まして記事としては論外のレベルです。

パワードスーツを紹介するのであれば米国やフランスの例も出すべきでしょう。これらの開発は既に防衛省の開発の先をいっております。また防衛省の担当者はそのことを認識しており、独自の方向性をめざしていると発言しております。

岡田記者はそのような事実を知らなかったのか、あるいは「我が国が世界に先駆けてパワードスーツを実用化する」というイメージを自称愛国者読者に与えるため、あえて米仏の例を出さなかったのでしょうか。そうであれば一種の世論操作です。ちなみにぼくは米仏両方のシステムの取材も行っております。

このブログが転載されているブロゴスでは、ぼくが産経新聞を批判すると非難する一山なんぼの安っすい「愛国者」、あるいは「憂国の士」が批判的なコメントを書いておられます。が、自分たちの拠り所、理論的指導者である媒体のレベルを少しは疑ってみてはいかがでしょうか。
バイアスのかかった、あるいは間違った記事を信じることが愛国者の義務でもありますまい。

 他者をけなしても自分のレベルが上がるわけでもないし、また自分たちは優れているとウソまでついて自己宣伝しても、日本の国防がよくなるわけではありません。

 むしろそれを事実と思い込むみ、威勢のいいこと主張するような輩こそ、国防を危うくする存在であり国防の敵、あるいは「国賊」であるとぼくは思います(あまりぼくは国賊という言葉を安易には使いたくありませんが)。つまりオウンゴールが得意な無能な味方であります。

 この手の人達は一般に純朴で正義感が強いのでしょうが、リテラシーが低く、自分の「常識」を疑うリテラシーがかけております。ですからよく創価学会やら、新興宗教に入信します。入信の先が新興宗教か国防かの違いに過ぎません(まあ、両方という人もいるでしょう)。
 相手を陥れるためにはウソまでつくというのでは、彼らが叩いている従軍慰安婦問題で騒いでいるお隣の人たちと同じレベルで、目くそ鼻くそを嘲笑うです。はたで見ていると滑稽としか言いようがありません。

 
■東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
補正予算は「平成の臨時軍事費特別会計」だ
防衛費は、補正を含めると5兆円の大台を突破
http://toyokeizai.net/articles/-/58914
P-1哨戒機の対英輸出計画は「画餅」である
武器輸出で華々しい成果を狙い過ぎ
http://toyokeizai.net/articles/-/58317


C-2輸送機の輸出構想は、「画に描いた餅」
事実を踏まえない空虚な政策は止めるべき
http://toyokeizai.net/articles/-/56949

■Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。
【外務省にインテリジェンス能力なし】〜イスラム国・邦人人質対策は児戯 1〜
http://japan-indepth.jp/?p=14718
【ヨルダンの諜報能力はイスラエル並】〜イスラム国・邦人人質対策は児戯 2
http://japan-indepth.jp/?p=14721
【日本は対外諜報機関を創設せよ!】〜イスラム国・邦人人質対策は児戯 3〜
http://japan-indepth.jp/?p=14724
【自衛隊の戦力は大きく弱体化する】〜安倍政権の無邪気な兵器”大人買い“〜
http://japan-indepth.jp/?p=13619

 ぼくが主筆をつとめている東京防衛航空宇宙時評/Tokyo D&A Reviewに以下の記事を寄稿しております。

日本航空、三菱航空機とMRJ導入の正式契約を締結
http://www.tokyo-dar.com/news/1125/
エアバスヘリコプターズ、ヘリエキスポでX4を発表へ
http://www.tokyo-dar.com/news/1123/
エアバスヘリと川重、陸自UH-Xに新機種「X-9」を提案へ
http://www.tokyo-dar.com/news/1109/
防衛省、平成27年度予算案にAAV7 30輌の調達費を計上
http://www.tokyo-dar.com/news/1101/
防衛省、平成27年度予算案にV-22 5機の調達費を計上
http://www.tokyo-dar.com/news/1104/
防衛省、平成27年度予算案にグローバルホークの取得費の一部を計上
http://www.tokyo-dar.com/news/1097/









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パワードスーツのガセ記事を再掲載する産経新聞の見識
ついに自衛隊が「高機動パワードスーツ」を導入へ…韓国でも戦闘ロボット計画を打ち出すも世論は猛反発 ...続きを見る
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2015/04/27 14:56

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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
「この手の人達は一般に純朴で正義感が強い」という部分もあるのでしょうが、エリート意識を持っていて、他人を見下している部分もあるんですよ。宮嶋茂樹氏が上祐史浩に面と向かって言っていました。
ひゃっはー
2015/02/11 14:38
軍事分野でパワー・スーツを開発・普及するメリットはありません!重量物を揚げるくらいなら、人手を借りる、ジャッキ、クレーンでこと足ります。装着して重くなり、動作が緩慢になり、戦闘行動が取れません。寧ろ、ICTや無人機、地雷・不発弾処理ロボットを開発した方がメリットになります。
むしろ、パワースーツが必要なのは医療・リハビリと介護現場です。山海筑波大教授のHALLスーツですが、知り合いの理学療法士の方曰く普及にはかなり年数がかかります。多分、価格が高く 経営上採算が取れないからです。HALLスーツは決して万能ではないとも仰いました。 しかし、産経の防衛省担当記者は中学生の新聞部より劣るのではないでしょうか? 上記のように必要性、メリット、採算性、コストの観点から考察する。専門家や関係者から裏を取る。これ、素人の私でもやっています。記者にはプロ根性が欠如して、会社の看板に胡座かいているだけでしょう。 大企業や官公庁 ※ 自衛隊も含む は、そういった傾向が強いです。むしろ、中小やフリーの方がプロ根性があります。インテリジェンスの仕事をしており、自分の書いた記事が何百万の人間の目に止まります。ブログの記事が本当なら、新聞記者としての資質を疑います。産経も防衛省・自衛隊と似た体質だからシンパシーを感じるのでしょうか?
元キャプテン
2015/02/11 15:06
続き
清谷様へ

質問1 防衛省担当記者又は防衛省記者クラブでの範囲で構わないのですが、大手新聞記者の方々は清谷さん等のフリージャーナリストを上から目線で見下したりするのでしょうか?
質問2 産経新聞社はなぜ、防衛省・自衛隊を持ち上げるのか?そうするメリットは何でしょうか?
質問3 官民人事交流でCGS出の3佐・1尉を産経新聞社のみ派遣・出向しています。朝日、毎日、読売には派遣していません。考えるには旧軍の情報操作、情報統制しか考えられません。その意図とすることは?
元キャプテン
2015/02/11 15:16
パワードスーツっていったって米軍が試してるようなアシスト装置の事だと思ってましたが・・・
ハインラインの「宇宙の戦士」的な奴でしたか、本気で開発する気があるなら頑張ってほしいもんです。
記事を見る限り韓国の構想は「宇宙刑事シリーズ」の主人公や「スター・ウォーズ」を微妙に意識した感じですね。
でもこの手の個人装備って民生技術も盛り込まないと相当難航しそうですね〜
完成したとして1セットで戦車並みのお値段だったら存在意義が問われそうで心配です。


八王子の白豚
2015/02/11 16:27
漫画 銀河英雄伝説で白装飾を着た憂国志士団がテロに走り、顔を見せず、軍隊に志願せず、口だけ大将のヘタレです。清谷さんが仰っている輩=似非愛国者と同じです。行動力なし、論理力なし、何もできない、知らないなら黙っていればいいものの、力量や器も弁えない無能な連中です。
私も似非愛国者からみたら、国賊・左翼・アカなんでしょう!昔の職場を批判していますから。そんなこと言えば石破茂先生はもっと国賊ではないでしょうか?著書で自閉隊、試合のない運動部と揶揄しています。過去の部下、田母神さんを批判しています。
国防=愛国者という単純な思考回路の持ち主ですが、ドクトリン、編制、適正兵力というビジョンは持っていません。
昔、隊長の3佐の方は愛国心は危険思想だ!とおっしゃいました。なぜなら誤った方向に行く、批判がない、人間は必ずミスをするからです。故に野党、マスコミ、圧力団体がブレーキの存在になります。権力とブレーキが迎合すると暴走し、事故が起きるのでは?防衛に批判的な勢力が精強化すると思います。※宗教まがいの反戦団体はブレーキになりません。 知識や理論を持った勢力=圧力団体は組織を健全、活性化します。
元キャプテン
2015/02/11 18:28
株式会社イクシスリサーチね
まさか商業誌で会社名を間違えてないでしょね?
隱行の術
2015/02/11 21:58
産経の最近のメチャクチャぶりは酷いですね。人質事件では「自己責任」を連呼してたくせに、殺されたら「報復」だの「復讐」だの連呼するんだから、もう異常ですよ。
マリンロイヤル
2015/02/12 18:25
スターシップトゥルーパーズかと思いました
ハインツ
2015/02/12 19:52
お邪魔します。

 山本七平氏が、旧陸軍には「帳面面が合っていれば実体は問わない”員数”」というのがあったと書いていました。例えば「一雨降れば使い物にならなくなる滑走路が軍の地図では堂々たる航空基地」「二個大隊を二個大隊と言わず、『一個連隊(三個大隊で編成)ただし一個大隊欠』と言う(施設等はどう見ても二個大隊分しか無い)」といったものです。山本七平氏はその根底には「目の前の摩擦を避ける事を第一義とする傾向」があるのではないかとも書いていました。
ブロガー(志望)
2015/02/14 23:36
続きです。

 韓国や中国が日本との差を縮めている(見方にもよるだろうし、だとしても日本を抜き去るかその前にコケるかにも議論の余地あり)事に不安を抱く日本人がいて、それを「日本・韓国・中国の実態(現実の直視)」ではなく、「抱いている不安及びそれによる”和”の乱れまたは摩擦」を問題と捉え、「そういった不安等を打ち消すであろう言葉が重要」と考えているのがこういった報道ではないかと思われます。「風邪をひいた際に風邪薬を飲めば、その場は発熱といった症状はおさえられるが、風邪そのものがどうにかなるわけではない(抗ウイルス剤なら別だが)。」というのと似ているのでは。
ブロガー(志望)
2015/02/14 23:38

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