清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

zoom RSS 防衛駐在官、アレ首相の駅前喜劇的視野狭窄劇場

<<   作成日時 : 2015/02/03 23:13   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 5 / トラックバック 0 / コメント 8

> 安倍首相は3日の参院予算委員会で、日本人人質事件を受けた在外邦人へのテロ防止対策として、ヨルダンなどで、大使館などの在外公館に駐在して軍事関連情報を集める「防
衛駐在官」を増強する考えを示した。

 首相は「防衛駐在官は軍同士の関係でしか入手し得ない種々の情報を入手できる。邦人
保護に必要な情報収集体制を強化するために有効だ」と述べた。

 防衛省によると、中東地域では現在、トルコやサウジアラビア、イスラエルなど計7か
国に防衛駐在官が派遣されているが、ヨルダンにはいない。

 これに関連し、中谷防衛相は3日の閣議後の記者会見で、ヨルダンへの防衛駐在官の派
遣について「(中東は)安全保障上の理由や資源エネルギーの供給源であり、重要な地域
なので、ヨルダンなど必要なところの増員に努めたい」と語った。

ヨルダンなどに「防衛駐在官」…首相が方針
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20150203-OYT1T50099.html?from=ytop_main3

2015年02月03日 17時39分 読売新聞

ヨルダンの重要性は10年以上前からぼくが指摘していたことです。

下記のJapan in Depth の拙稿を参照下さい。

以下の様なことを書いております。

>防衛省はイラクに陸自を派遣していた2004年当時、SOFEXに自衛隊からは統幕第三室長、泉陸将補と副官、それに隣国シリア駐在防衛官が参加させていた。

>自衛隊の将官が戦闘服姿で軍事見本市に参加したのはこれ以外ないだろう。だがその後イラクからも撤収もあってか、SOFEXに参加したことはない。その後もヨルダン側は何度も招待状を送ったが、外務省や陸上自衛隊幕僚監部が握りつぶし、2012年の回は君塚陸幕長が許可をださなかった。


まあ、こういう態度をとると普通は「恩知らず」な奴、いざというときに信用に値しない奴とおもわれるでしょうなあ。今回まさにヨルダンのインテリジェンス・コミュニティーにはそういう認識があったんじゃないでしょうかね。


事件が起これば大騒ぎをして、ヨルダンに防衛駐在官を置けと大騒ぎをしているのは極めて滑稽です。

しかも本年度の予算では、ウクライナとポーランドの防衛駐在官を削って、他に移してウクライナ危機が起きたから来年度の予算で復活させる。
アレな首相も防衛省も視野狭窄による朝令暮改で、自分たちのインテリジェンス(この場合、「知性」と訳すべきでしょうなあ。)欠如を宣伝しているようなものです。まるで場末の劇場の喜劇みたいなものです。
我々納税者にとっては、この程度の政府のインテリジェンスは悲劇以外の何物でもなわけです。

本来首相が行うべきは、防衛省をどやしつけて、ヨルダンに防衛駐在官を置くことではななく(それはやらないよりはマシですが)、もっと根源的なところにあります。

政治家の軍事、インテリジェンス音痴を直して、正しいインテリジェンス・オーダーをだせる政治家を育成するシステムを作ること、防衛駐在官を外務省の管轄から防衛省に移してその上で充分なスタッフと予算を与えること。防衛省に情報を重視するような体制を作らせることなどです。


現状防衛駐在官は単なるリエゾン・オフィサーでしかありません。情報収集能力は高くはない。それは個々の防衛駐在官の資質というより、防衛省と政治の怠慢の結果です。
防衛駐在官には、それ相応のインテリジェンスの訓練を与える、またそのような将校が冷や飯を食わないような人事制度の構築です。

もっとも、フェイスブックで顔を真赤にして反論しているような誰かさんや、そのお友達にはそういう知恵は浮かばないでしょうが。
またマスメディアにしても、このような我が国の軍事インテリジェンスの状況に関して述べることが殆どありません。つまりはアレな首相と同じレベルということです。

そして近い将来、また今回と同じような無様な悲喜劇が繰り広げられるでしょう。



 
■東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
補正予算は「平成の臨時軍事費特別会計」だ
防衛費は、補正を含めると5兆円の大台を突破
http://toyokeizai.net/articles/-/58914
P-1哨戒機の対英輸出計画は「画餅」である
武器輸出で華々しい成果を狙い過ぎ
http://toyokeizai.net/articles/-/58317


C-2輸送機の輸出構想は、「画に描いた餅」
事実を踏まえない空虚な政策は止めるべき
http://toyokeizai.net/articles/-/56949

■Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。
【外務省にインテリジェンス能力なし】〜イスラム国・邦人人質対策は児戯 1〜
http://japan-indepth.jp/?p=14718
【ヨルダンの諜報能力はイスラエル並】〜イスラム国・邦人人質対策は児戯 2
http://japan-indepth.jp/?p=14721
【日本は対外諜報機関を創設せよ!】〜イスラム国・邦人人質対策は児戯 3〜
http://japan-indepth.jp/?p=14724
【自衛隊の戦力は大きく弱体化する】〜安倍政権の無邪気な兵器”大人買い“〜
http://japan-indepth.jp/?p=13619

 ぼくが主筆をつとめている東京防衛航空宇宙時評/Tokyo D&A Reviewに以下の記事を寄稿しております。

日本航空、三菱航空機とMRJ導入の正式契約を締結
http://www.tokyo-dar.com/news/1125/
エアバスヘリコプターズ、ヘリエキスポでX4を発表へ
http://www.tokyo-dar.com/news/1123/
エアバスヘリと川重、陸自UH-Xに新機種「X-9」を提案へ
http://www.tokyo-dar.com/news/1109/
防衛省、平成27年度予算案にAAV7 30輌の調達費を計上
http://www.tokyo-dar.com/news/1101/
防衛省、平成27年度予算案にV-22 5機の調達費を計上
http://www.tokyo-dar.com/news/1104/
防衛省、平成27年度予算案にグローバルホークの取得費の一部を計上
http://www.tokyo-dar.com/news/1097/


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 5
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
防衛駐在官の実態について、必ずしも情報畑とは限りません。小平学校で即席の教育だけです。情報活動は商社の駐在員に丸投げ、自分は武官とパーティに励む。
※リタイアした商社マンから聞きました。
防衛駐在官を増やせば情報量が増えるのか?そうではないと思います。商社から依存体質は変わりませんから。どこを変えるのか、頭つまり司令塔です。軍事情報を分析し、適切な助言ができる人材です。情報本部長、駐在武官、各幕の情報・運用支援部長経験者を首相官邸のスタッフに登用すべきです。
元キャプテン
2015/02/04 11:04
お邪魔します。

 「用意された御膳立てに乗る」事を習い性としてきた人間は「自分が何かしたいと思えば、御膳立ては誰かが整えるもの」と考えるのかも知れません。激昂したのも「御膳立てが整えられていなかった事への怒り」だったのかも。

>政治家の軍事、インテリジェンス音痴を直して、正しいインテリジェンス・オーダーをだせる政治家を育成するシステムを作ること

 山本七平氏が「旧陸軍の大部分の人間はまともなはずなのに、ごく一部のまともでない人間(典型:ノモンハン辻、インパール牟田口)がやりたい放題で、戦時徴用の自分達でもおかしいと分かる事が行われていた」といった事を書いていました。それは旧軍が共同体(ムラ)と化していたからでしょう。機能集団なら「切る」事は必ずしもその人間の完全(人格)否定にはなりませんが、共同体(ムラ)の場合「切る」事はその人間の完全(人格)否定にもなりかねないので、時に切るべき人間が切れず、そのしわ寄せが他の人間に行ってしまうのではないかと思われます。今の日本の政界・官界も相当共同体(ムラ)化しているので、大部分がインテリジェンスを持ったとしても、動かすのはインテリジェンスを持たない少数になるのではないかと思われます。

>自分たちのインテリジェンス(この場合、「知性」と訳すべきでしょうなあ。)欠如を

 「知性」というよりも「論理的思考」ではないかと思われます。日本的な共同体(ムラ)は「共感」というか「心情的な一体化」で成り立っているので、「論理的な思考などせず、その場の感情や空気を感じ取って、反射的に反応する」事が求められているのではないかと。
ブロガー(志望)
2015/02/04 22:46
続きです。

 最後に後藤さん及びヨルダン人パイロットが殺されてしまいましたが、これは「イスラム国が、『己の意志の強制』という目的を達成できなかった」という事なのかなと。後「結局のところ相手任せ」(この点では投資と一緒?)というのが「誘拐の本質的欠点」なのかなとも。
ブロガー(志望)
2015/02/04 22:47
元キャプテンさん、その意見はある程度しっかりした組織から人を出しているのであれば有益でしょうけど、自衛隊が必ずしもそうとは言えない組織であることはご自身が常々仰られていたのではありませんか?

むしろご説で挙げた人たちがちゃんと仕事をしてなかったから今回のような無様を曝したんだと思ってますが・・・

本気で外務省・防衛省・自衛隊がそれぞれ危機管理で役に立つ組織であることをアピールしたいのであれば、一度組織を解体して出直す位の改革が必要だと思いますよ?
八王子の白豚
2015/02/04 23:11
八王子の白豚様

おっしゃる通りで、何も反論できません。
自分の非力でございます。言い訳を申すつもりはありませんが、元同業者でも危機感をいだき、志の高い方も存在します。セミリタイアして政治家の秘書をしている同期がいます。政治家になり、政策を変える願望があります。後輩では教師になり、教育というアプローチから安全保障の正しい知識を若者に植え付けています。自分はまだ実施していませんが、出版物等情報戦略で世論に変化を与えたい願望があります。 欲を言えば清谷さん、八王子の白豚さん、ブロガーさんが自衛隊のメンバーであれば精強・健全な軍隊となり、まともな人材が去ることはなかったと思います。
1年や2年で変えるとか自分の力では変えることはできません。 微力ながらできることをして、変えたいと思います。
元キャプテン
2015/02/05 07:34
ヨルダンの重要性はさておいて、今回の人質事件で奇妙なのは、対策本部がトルコじゃなくヨルダンだったこと。イスラム国と有力コネがありそうなのはどう見てもトルコだった、役立たずとはいえ駐在武官も居りますし、安倍首相はエルドアンと親密アピールしてたはず。表に出てる事象が全てではないとはいえ、実際はトルコにお断りされてたんじゃないですか?それぐらい今回の中東訪問は、普通のイスラム教徒から見てバランスを欠いていたんでしょう。
マリンロイヤル
2015/02/05 08:34
インテリジェンスについて自分なりに考察してみました。情報を貰う、あげるという関係は信頼関係がないと成立しません。金=機密費だけでは限界があります。
防衛駐在官の勤務年数は2〜3年、信頼を築くのに時間が足りない感がします。商業取引でも2、3年で信用を得れるでしょうか?時間を掛ければ信頼を得るとは一概に言えませんが、長くお付き合いした方が信頼を得やすい環境だと思います。インテリジェンスには知性、知識、情報という意味もありますが、信頼関係、対人関係、コミュニケーションという側面もあるのではないでしょうか?
自分の田舎に国際教養大学というグローバルな大学があります。1年生の時、外国の留学生と共同生活します。同じ釜の飯を食べます。海外留学の予行演習です。1年間海外の大学へ留学が義務付けられています。大学の半分は外国人と生活します。卒業後はそのことが財産になります。 海外で諜報活動するなら、上記以上の教育は必要ではないでしょうか?パーティで飲みニュケーションで信頼を得ると思ったら大間違いです。自衛官はコミニュケーション=酒を飲むという単細胞が多いです。これ悲しい現実です!
元キャプテン
2015/02/05 13:02
ブロガー様へ

太平洋戦争の軍事官僚牟田口・辻と霞ヶ関の背広官僚の共同体・ムラ社会について御意見申し上げます。
個人としての能力・資質は劣ってはいないと思いません。むしろ、一般の方より能力上は高いと思います。田舎で秀才の成績で東大・陸士海兵、国家総合・陸大及び海大に合格しました。偏差値バカでも難関な試験に合格していますので個人としての能力は低いわけではありません。問題は人事や教育のシステム、組織文化、集団心理ではないでしょうか?昔流行ったKY空気を読むことが美徳といい日本人の悪い文化が悲劇を生んだのではないでしょうか?空気を読むって感情論ですよ!感情論で判断するのは知性のある人間のすることではないと個人的に思います。プライベートの世界では問題ありません。しかし、政治や軍事では空気を読むことは許されることではありません。関係者の生死に関わります。結果が全てです。空気で判断することは職業人としての失格ではないでしょうか?
また、日本の教育の問題や弊害ではないでしょうか?画一的で紋切り型の教育が太平洋戦争敗北、金融不安、薬害、消えた年金等の問題を引き起こしたのではないでしょうか?
個人の問題だけでは解決できないと思います。
決してブロガー様の意見に非難・中傷しているわけではありませんので御理解ください。
元キャプテン
2015/02/05 22:24

コメントする help

ニックネーム
本 文
防衛駐在官、アレ首相の駅前喜劇的視野狭窄劇場 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる