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zoom RSS 初の国産哨戒機、日本が英国に売り込み検討 とらぬ狸の・・・

<<   作成日時 : 2015/01/09 13:46   >>

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>防衛装備品の輸出規制を緩和した日本が、初の国産哨戒機であるP1を英国に売り込もうと検討している。

>政府はP1を広く世界に輸出したい意向だが、武器市場に参入したばかりの上、実戦経験のない日本の装備は認知度が低い。英国という武器先進国に採用されれば国際的な評価が高まり、その後の輸出に弾みがつくとにらんでいる。


初の国産哨戒機、日本が英国に売り込み検討
ロイター 2015年 01月 7日
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0KG13W20150107?sp=true


 華々しい「手柄」がほしいアレな総理からネジを巻かれた話でしょうが、実現の可能性はまずありません。

 既に昨年のファンボロ−ではL3やボーイング、エアバスなどが英国防省に対して売り込みをしておりますが、ターボプロップの安価な双発機で、例外はボーイングが提案しているP-8の廉価版です。

 哨戒機を運用する英空軍はもはや高価なシステムを欲しておりません。ニムロッドMR4で懲りましたから。ですから各社とも安価な機体を提案しているわけです。ただ政治的なあれこれを考えればP-8という線はまったく無いわけではないでしょう。

>最有力候補はP1ではなく、民間機B737をベースにした米ボーイングのP8とみられている。実績のある世界的なメーカーが手掛け、同盟国の米軍がすでに配備している。関係者によると、英国にとってリスクの少ない選択肢だという。

 P-1は機体が専用です。しかもエンジンは4発。部品代含めて極めて高い維持費用を払うことになります。それはMR4でさんざん懲りたわけですから同じ轍を踏むことはないでしょう。
 既存の機体の流用ならばパーツのたぐいもマーケットで容易に入手が可能ですが、専用品だと発注と生産の関係で手に入らないことも想定され、その場合稼働率も落ちます。

 そもそもたかだか1ダース程度の数の哨戒機をP-1ベースに開発するのであれば、開発費はバカ高くなります。であれば既に広く使用されている旅客機や輸送機をベースに選ぶでしょう。

 更に言えばP-1のエンジンは他国の旅客機などのエンジンと比べると試験時間が一桁少なく、信用性も怪しい。そのようなエンジンを採用するでしょうか。

 仮にエンジンを替えるにしても適当なエンジンがあるでしょうか。MR4用に開発されたエンジンもありましたが、あれが使えるかどうか。それに、これまたたかだか12機程度の機体のために、多額の開発費をかけるでしょうか。

>「(P1は)英国以外にも、ニュージーランドやノルウェー、カナダなど広い領海を持った国々 が輸出先になる可能性がある」と、日本の英国大使館で武官を務め、現在は軍事コンサル タントのサイモン・チェルトン氏は語っている。

 これまたあまりにも希望的な観測です。カナダもノルウェーもP-3Cの延命、近代化をしており当面新型機を必要としません。
 しかも小国が極めて調達コストも維持コストも高いP-1を買えないでしょう。何しろ海自ですら、P-3Cですら維持費が捻出できず、稼働率が落ちて共食い整備をしている状態です。今後海自もP-1の維持費が重くなり、稼働率が下がる可能性があります。

 しかも搭載システムの能力も怪しい。NECが開発したソノブイの解析システムは使い物にならず、沖電気がカナダ製をライセンス生産。他のシステムの能力も疑われて然るべきです。

 このような機体を果たしてどれだけの国が欲しがるでしょうか。



 
■東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

C-2輸送機の輸出構想は、「画に描いた餅」
事実を踏まえない空虚な政策は止めるべき
http://toyokeizai.net/articles/-/56949

■Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。
【自衛隊の戦力は大きく弱体化する】〜安倍政権の無邪気な兵器”大人買い“〜
http://japan-indepth.jp/?p=13619




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コメント(11件)

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アテ馬に使われるだけでしょう。日本でユーロファイターがそうだったように。
マリンロイヤル
2015/01/09 14:10
別に当て馬に使われるだけでも本邦には特にマイナスなんぞ無いですからね
ボーイング様にムッとされるくらいかww
売れても良いし、売れなくても日本製兵器のコマーシャル効果は大きい
固定翼哨戒機の運用に関しては世界有数の日本ですから、未だ運用歴の浅いPー1にもそれなり以上の説得力は認められるでしょうしね
タジロウ
2015/01/09 14:54
対潜哨戒機のセールスについて交渉できる人材が果たしているのでしょうか?また、政治家のロビー活動をしている気配は感じられません。格好とスローガンで終わる気がします。
新規装備の弊害で、維持費の圧迫は、現役時代から見聞し、実感として認識できます。部品が予算の制限で調達が難しい、故に不稼働の期間が長くなる。 劣悪な消耗品が購入し、故障・事故が発生する。そのいい例は中国製タイヤのバーストで若い女性隊員が死亡しました。思考停止した新規装備品は弱体化することは上記の事例から証明しています。 大半は近代化改修や延命で済みます。
財政再建団体に陥った夕張市みたく、無造作のハコモノは借金支払いと維持費の支出で破産します。根拠がありませんが、内局の官僚に財務省出身者が少なくなった影響もあるのではないでしょうか? 予算や調達部門に会計士、税理士、銀行員の人材を採用し、無駄遣いを疑問視しない文化を変える必要があると思います。一般隊員でも経済学部・経営学部に部外教育へ参加させる方法もあるでしょう。人材登用・教育で意識改革を図るのはどうでしょうか。
元キャプテン
2015/01/10 08:40
続き

地下鉄サリン事件で現地指揮官を務めたF元陸将は退官後、ハーバード大学に留学し、MBA・経営修士号を取得し、現在エレベータ会社の重役をしていると聞いています。自分の想像の範囲内ですが、経済学の知識が欠如して、再就職で苦労するのではないかという不安があったのではないでしょうか?
反対に地元の駐屯地記念日で、ある2空佐は、幹部自衛官は戦術をトレーニング受けているので、ビジネスに応用できるので、そんなに心配はないと根拠のない自信で力説しています。腹の中では、あんた営業や経営やったことなくて、よくでかいこと言えるよな!馬鹿じゃない!と思っていました。自分も経済の知識・経験もないことを認識しています。武士の商法と言えばそれまでですが・・・ 清谷さんが接してきた将官や上級幹部の方々の経済学のセンスはどのようなものでしょうか?教えてください。そのことが予算・調達の問題の背景になるのではないでしょうか?
元キャプテン
2015/01/10 09:21
へぇー、驚いた!
あのP1を売り込もうとしてるんですか、よりによって英国に。
英国人はリアリストだからミリヲタの妄想みたいな高性能(?)兵器には興味ないと思ってました。
八王子の白豚
2015/01/13 00:19
>エアバス・ヘリコプターズ、川崎重工と新型ヘリを陸自へ提案か

http://flyteam.jp/airline/japan-ground-self-defense-force/news/article/45085

以前、清谷さんの書かれたブログの記事を見て、てっきり、「X3をベースに新型機を開発するんだ。陸自もずいぶん、変わった機体を使うんだなぁ」、と勘違いしておりました。しかしまぁ、まだ開発中の機体を提案するとは、エアバスも思いきったことをしますね。でも肝心なパートナーたる川崎重工は、新型の機体を担ぎ民間市場で商売する気はあるのでしょうか?
KU
2015/01/13 20:13
世の中の自衛隊面白読み物を真に受けてる偏ってるアレな元兵隊は居るもんですね・・・・

まあ別にタイヤはどこの国のモノだろうが適切な組み立てしないと破裂はしますわね。まあ士官さんはタイヤの整備なんかしないか。
りく式提督
2015/01/13 21:39
りくしき提督様

あなたこそ知っていません。偏っていませんし、風評で判断していません。きちんとした根拠で意見を述べています。
根拠1 事故が起きた部隊=当事者からの知り合いから、直接、事故の状況、経緯を聞きました。定められた方法で組み替えをして、不可抗力で破裂したそうです。2 中国製のタイヤの品質は信頼性が低い

タイヤショップを経営している友人がいて、中国製のタイヤはバーストしやすい事例があると聞いたことがあります。
根拠3
大型タイヤの組み替えをするには女の体力や経験の未熟さから、一人で作業は任せられません。ベテランが付き沿いで作業します。
根拠1〜3で決してヒューマンエラーでなく、品質の悪さから不可抗力の事故です。
あと、自分は指揮通信車や大型トラックのタイヤの組み替えをしたことがあります。幹部になってから、してませんが・・
いい加減なことを言わないで欲しい。
元キャプテン
2015/01/15 23:07
ろく式提督様へ

自衛隊のおもしろ読み物とは具体的にどの書物でしょうか?教えてください。 自分の知り合いでジャーナストをしている知人はいますが、顔と名前を出して記事をだしています。裏付けなしの記事を書けば、訴訟やテロのリスクが高まります。 つまり、責任とリスクを負う覚悟があります。
自分なんか2チャンネル等いい加減なもので判断しませんよ!
あなた御自身がいい加減な情報で判断しているのでは?
元キャプテン
2015/01/15 23:34
本当にアンタ。何も知らないんですね。あの事故はチューブレスタイヤにチューブ入れて組み立てたのが単純な事故原因なんだがね・・・・どんな知り合いが知らんが、そうやって自分を大きく見せようと書くところがなおウザイ。
りく式提督
2015/01/16 21:14
お邪魔します。

 日立がかつて日本に鉄道を教えた英国に鉄道車両を輸出したので、「それなら」という思いがあるのかも知れませんが、「欧州の高速鉄道よりもずっと多くの乗客を運びながら、未だに乗客を事故の犠牲にしていない新幹線(を支える一翼)」と「さしたる実績の無い日本の航空機(特に大型)」と一緒にするのは新幹線に失礼ではないかと思います。日本の航空機は三菱MRJ及びホンダジェットをきっちりやり遂げたその先にあるのではないかと思います。

 それから「既存の機体をベースに」といっても哨戒機と同じような方向性を持つ機体は無く(乏しく)、かといって古い物を使い続けるのにも限界がありますので、三菱MRJとかにある程度の成果が見られたら、「乗る事自体、もしくは眼下の景色を楽しむ事を目的としたクルーズ旅客機」を開発し、それを旅客機だけではなく哨戒機や様々な科学的データを収集する航空機として販売してはどうかと思います。
ブロガー(志望)
2015/01/25 20:43

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