清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

zoom RSS 日豪:潜水艦を共同生産…は可能か? 成果を焦るアレ首相の思惑

<<   作成日時 : 2015/01/06 13:12   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 14 / トラックバック 0 / コメント 8

 >防衛省が、新型潜水艦の導入を目指すオーストラリアに、潜水艦の船体の共同生産を提
 案していることが分かった。日本側は、潜水艦に使用する特殊な鋼材や音波を吸収する素
 材技術を両国で共同開発し、船体の主な組み上げを請け負う方式での生産体制を想定して
 いる。豪側も前向きな姿勢を示しており、合意すれば初の他国との潜水艦生産となる。
2015年中にも正式に合意する可能性が高まっている。


日豪:潜水艦を共同生産…船体、分業で 防衛省が提案
http://mainichi.jp/select/news/20150105k0000m010073000c.html

 輸出する代わりに、コンポーネントの一部を生産させろ、というのはよくある話です。
 いわゆるオフセットです。オフセットは通常プログラムの総額の一定パーセンテージが要求されますが、我が国ではそのような調達がなされておらず(つまりはなし崩し的で、予算管理が極めて杜撰)、オフセットの設定がかなり難しいでしょう。

 それと国内の利権調整も問題です。川重と三菱重工の両方でそれぞれぶら下がっている、ベンダーがおりますから、どちらに輸出向けの仕事を振るのかの調整も必要です。
 本来これを機にベンダーの調整、そして重工二社による潜水艦事業の統合も視野にいれるべきです。まあ、できないでしょうけども。

 それから日本では報道されておりませんが、欧州潜水艦メーカーが豪州政府に対して自社製品の売り込みとロビー活動を活発化させております。サーブやDNCSなどが4,000トンクラスの新型も提案しております。この先欧州製潜水艦の国内生産という方向に流れる可能性があります。

 アレな首相は武器輸出の成果が欲しくてウズウズしているようです。それは潜水艦や飛行艇などの「華々しい実績」のようです。しかしこれらの大物は外交的、政治的な要素が強く、そう簡単に決まりません。
 
 ですが、本来重視すべきはコンポーネントや素材、特にこれらに関連する中小企業の支援です。
 見本市などの日本のパビリオンを作って、中小企業の出展を経済的にもアシストし、コンポーネントや素材などの中小企業、あるいは民間技術の転用拡大の後押しをすべきです。ところが軍事や航空関連の見本市ではSJACやジェトロが出しているくらいで、ナショナルパビリオンはありません。
 政府は軍需関連の見本市に対してびた一文出しておりません。

 まあ、釣りの初心者はいきなりカジキマグロだの、黒鯛などをねらずにハゼやらあさりを狙ったほうが無難です。ところがアレな首相は「大成果」ばかりに目がいって地道な努力に目が行かないわけです。



 憲法改正も同じです。憲法改正以前に自衛隊を縛る法規制は多くあり、これらは現行憲法でも改正が可能です。ところがそういう地道な努力をせずに「日本を取り戻す」とか「戦後レジームからの脱却」とか、空疎なスローガンを繰り返しているわけです。
 憲法を変えればそれらの問題は魔法のように解決するのでしょうか?
 空虚なスローガンの連呼は政治家の仕事ではなく、民間の「自称憂国の士」の方々のお仕事でしょう、とあたしゃ思いますけど。

 オーストラリアに対する潜水艦の売り込みを成功させるための妙手があります。以前から提案しておりますが、オーストラリアに陸自や空自の訓練基地を作ることです。
 戦闘機や練習機の1個飛行隊、陸自の地上部隊ならば2個中隊から1個連隊の装備を現地においておけば、隊員は身一つで訓練にいけます。オーストラリア軍と合同演習や訓練を行っても良いでしょう。

 で、基地の運用ために現地人を雇用する。豪州側はそれなりの雇用が確保できます。また整備なども可能な限り、現地企業にお任せする。また使用する弾薬は爆弾にしろ砲弾にしろできるだけ現地企業の製品を使用する。また賃貸料も当然支払います。

 つまり豪州に雇用を約束し、カネを落とするわけです。

  広大な豪州での演習は自衛隊にとっても極めて大きなメリットになります。日本国内では不可能な最大射程での射撃訓練も可能です。空自もわざわざ海上に進出する必要がなく、効率よく訓練ができます。また対地攻撃訓練もやり放題。
 少数の部隊と装備を毎年ヤキマに持ち込むよりも遥かに有意義な訓練が可能なはずです。
  しかも米国と違って時差もありません。

  技本の開発する火器などもここで試射すれば宜しい。

  訓練場の予算は、国内の不要な演習地やら駐屯地を閉鎖すれば宜しい。高額な地元対策費も必要ありません。


  また置いておく装備は、有事の予備ともなります。

 てなことを、オーストラリアの議員のセンセイ方に触れ回れば宜しい。センセイ方は地元に基地を誘致しようと一生懸命日本製潜水艦輸入のために汗をかいてくれるでしょう。

  現段階であれこれ具体的なことは書くことはできませんが、既に防衛省、特に陸自は訓練などで豪州との協力を具体的に進めています。それを一歩進めればいいだけの話です。
 

 
■東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。

C-2輸送機の輸出構想は、「画に描いた餅」
事実を踏まえない空虚な政策は止めるべき
http://toyokeizai.net/articles/-/56949

■Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。
【自衛隊の戦力は大きく弱体化する】〜安倍政権の無邪気な兵器”大人買い“〜
http://japan-indepth.jp/?p=13619

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 14
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
驚いた

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
オーストラリアに基地・駐屯地を設置するとは良い考えですね。
最近始めたJTACの訓練も大規模で効率的に出来そうですし。
アメリカは規模が違い過ぎて例外ですので、訓練や部隊運用の参考にはフランス軍が適しているかもしれません。
彼らはアフリカ、中東、南米や太平洋、インド洋までも部隊を展開していますし、その多くがローテーションを組んで部隊を交代し、訓練を各地で積んでいます。
まあ、フランスのように実戦まで出来るとは思いませんが(近年ではアフガン、マリ)、海外に常時展開し、訓練を積めるのはとても良い事でしょう。

T
2015/01/06 18:34

>オーストラリアに陸自や空自の訓練基地を作ることです。
> 基地の運用ために現地人を雇用する
> また使用する弾薬は爆弾にしろ砲弾にしろできるだけ現地企業の製品を使用する。また賃貸料も当然支払います。

ヤキマに行く以上にお金掛かりそう
隠行の術
2015/01/06 20:54
実のところ焦点はASCに仕事を与えるかどうかであり清谷氏提案の陸自や空自の施設を作っても決め手にならない
隠行の術
2015/01/06 21:19
お邪魔します。

>ところがアレな首相は「大成果」ばかりに目がいって地道な努力に目が行かないわけです。

>空虚なスローガンの連呼は政治家の仕事ではなく、民間の「自称憂国の士」の方々のお仕事でしょう、とあたしゃ思いますけど。

 政治の「実務」は官僚機構他の「自己運動」と「直接的な人間関係」によって”処理”されていますから、政治家には「空虚なスローガンの連呼」ぐらいしかする事は無いのでしょう。下手に手を出しても摩擦・軋轢・停滞を招くだけですから。

 「御輿」が「他のものを引っ張る」事はできません。きらびやかにする事しかできません。結局のところ日本人は「心底」困っていないのでしょう。幕末不平等条約を結ぶ破目になり、経済的打撃を受けてようやく「幕府ではダメ」になったように、「心底」困れば「御輿」を捨てて、「自分達を引っ張ってくれる存在」を求めるのだと思います。尤もそこで人々がすがるのは「ヒトラーみたいな人間」かも知れませんが。

 後JALがボーイングからエアバスに変えた際にあれこれ言われたように、「オーストラリアに”浮気”なんかしたらアメリカ様に嫌われる。だからアメリカ様に”一途”でなければいけない。」とでも言う人間がでてきそうな気がします。
ブロガー(志望)
2015/01/06 23:25
清谷様

オーストラリアに訓練用の基地・駐屯地を設けると騒音問題などがクリアになるので、訓練効果が上がりそうな気がします。

そういったアイデアをお持ちの防衛省関係者はいらっしゃらないのでしょうか。
ブリンデン
2015/01/07 11:18
まさに妙案 良いんじゃないですかぁ。
.......
2015/01/08 10:33
面白いアイデアですね、オーストラリアで演習ですか。

ヤキマでの演習より大規模になるだろうからお金はかかるだろうけど、保有装備の目一杯の性能を引き出して演習すれば欠点も分かるだろうし。(もっとも技本が隠すかもしれませんがね)

アメリカ様がいまひとつ当てにならない昨今、多角的な国防政策を考えていかないと国家サバイバルにしくじりそうですからね、やれることは何でもやってみるべきです。
八王子の白豚
2015/01/09 00:14
1 懸念事項として、技術流失や知的財産保護が予想されると思います。昔の東芝ココム事件もありましたから。
2 オーストラリアとの防衛協力は対中国を見据えた利害関係が一致した動きなのでしょうか。
3 うちの総理はスローガンは勇ましい限りですが、足元や現実を見ているのでしょうか。官僚は、都合の悪い情報は隠蔽し、いい情報だけ耳にしていないのでないでしょうか。 記事を読んで直感的な印象を述べました。見当違いだったら、御免なさい。
元キャプテン
2015/01/10 08:09

コメントする help

ニックネーム
本 文
日豪:潜水艦を共同生産…は可能か? 成果を焦るアレ首相の思惑 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる