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zoom RSS MRJ試験機公開、やっとここまで。

<<   作成日時 : 2014/10/19 12:33   >>

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 国産初のジェット旅客機「MRJ」、試験機公開
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141018-OYT1T50112.html?from=ytop_main2

感慨深いものがあります。

 かつて三菱重工が、パリ航空ショーでMRJの開発を発表した際に日本大使公邸でレセプションをやりました。
 普通に考えればこのような場では、海外の潜在顧客であるエアラインやリース会社、金融機関(旅客機はほとんど金融商品みたいなものです)、プレスなどを招待します。特にプレスではエビエーションウィークなどの専門誌は勿論、フィナンシャル・タイムズや、ウォール・ストリート・ジャーナル、エコノミスト、ブルームバーグやロイターなどビジネスや金融関連の情報を流す専門媒体や通信社は重要です。

 ところが件のレセプションでは出席者の8割は日本人。つまり日本の航空業界の内輪で飲み食いやっていたわけです。
  普通に考ええたら、千載一遇のお披露目の機会に、身内で飲み食いして本気で飛行機を開発して売る気はあるの?と疑われても仕方ないでしょう。
 しかも開発には多額の税金も投入されているのに。

 で、ぼくはこのことを今はなき文藝春秋社の「諸君!」で暴露したわけです。
 その後も色々アレなことはあったのですが、その都度時には三菱の偉い人達にも苦言を申し上げてきました。
 
 現在の三菱重工業と、三菱航空機では当時とは意識がかなり変わってきています。随分前ですが三菱航空機の江川会長が社長時代に「今まではいいものを作れば売れると思っていたが、それではダメだと気づいた」と仰っておりましたが、如何に市場で売れるものを作るか、そういう意識が会社全体にでも共有されてきたように見えます。

 三菱重工がF-35の生産プロジェクトからバックレたわけですが、そんな「無駄な投資」をするよりもMRJにリソースを突っ込みたいというところでしょう。

  翻って経産省のスタンスはどうでしょうか。MRJだけが成功すれば良いというものではないでしょう。中部地方には多数の自動車部品メーカーがあり、航空ビジネス参加の機会をうかがっています。トヨタの子会社は欧州で航空関連のビジネスにも関わっている現地企業を買収したりしています。
 
 ですが政府、経産省には航空宇宙産業を育成するためのビジョンがありません。
 航空ショーでもナショナルパビリオンすらありません。ジェトロがたまにパビリオンを出していますが、インパクトが小さく、しかも単発です。埼玉県のように独自で5年計画で地場産業の航空産業参入を狙って航空ショーに出展している自治体もあるなか、経産省の動きはいかにも緩慢です。

 安倍首相は個人消費と中小企業、国内専業メーカー、一次産業を痛めつける過度な円安誘導やら乗数効果が低い公共事業なんぞをやるよりも、日本の中小企業が世界の航空市場にアクセスできる手助けをすべきです。
 また諸外国では当然ですが、防衛産業と航空宇宙産業を分けて考えるべきではありません。防衛航空宇宙産業と認識し、振興策を考えるべきです。

 諸外国では航空ショーや軍事ショーではナショナルパビリオンを持ち、中小企業には出展費用や渡航費用などを一部国がもつなどの方策を行っております。
 今後陸自のUH-Xも民間型が外国メーカーと共同開発され、それを元に自衛隊モデルが開発される運びになりますでしょうから、BK117に続く世界に輸出できるヘリコプターも出てくることになります。

 我が国には高い技術をもった非価格競争力の高い中小企業が多数あります。また日本企業の強みである正確な納期、安易にコストを転嫁せず、コスト削減に励む姿勢も外国企業からみれば大きな魅力でしょう。


 ぜひとも防衛航空宇宙産業の振興のために、航空ショーや軍事見本市に日本パビリオンをだし、我が国のプレゼンスを高めるとともに、中小企業の世界進出を促進すべきです。 
 



軍事・航空宇宙の専門サイト始めました。
「東京防衛航空宇宙時評・Tokyo Defence & Aerospace Review」

http://www.tokyo-dar.com/

Japan in Depth に以下の記事を寄稿しました。
【防衛駐在官の質の向上を図れ】〜外務省出向システムでは機密情報が防衛省や内閣府に届かない?〜
http://japan-indepth.jp/?s=%E6%B8%85%E8%B0%B7%E4%BF%A1%E4%B8%80


東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿あました。

御嶽山への自衛隊派遣、口を挟むとサヨク?必要なのは事実に基づく冷静な議論
http://toyokeizai.net/articles/-/49744

戦傷者は「想定外」という、自衛隊の平和ボケ
「国内では銃創や火傷は負わない」との前提
http://toyokeizai.net/articles/-/47994

結論ありき」で高額な兵器を調達する怪
防衛省概算要求に隠された問題<前編>
http://toyokeizai.net/preview/dd9c698dc49dbfafe1fdddad129294461604ead0






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コメント(10件)

内 容 ニックネーム/日時
最近の経産省は、再生エネルギー、とくに太陽光ばかりに目が行っていたような気がしますが。あれだけ至るところにバカスカ、パネルばかり作っていれば、嫌でも需要と供給のバランスが崩れるのは当たり前です。それはまぁ、世間には「原発ガー、放射能ガー、太陽光ガー」とばかり騒ぐ人もいるでしょうけど。そこを上手く調整するのがお役所の仕事だと思いますが。今回のMRJの件にしても、防衛省ではありませんが、当事者意識が希薄なのではないでしょうか。希薄なものだから、我関せず。民間がやりたけりゃ勝手にすりゃあ良い。でも、上手く軌道に乗ったら、こっちにも分け前を寄越せよ、てな考えなのでしょうね。
ku
2014/10/20 14:18
清谷様へ

記事と関係ないお話をしますので、ご了承ください。
以前、私の質問でブログの投稿意見の目的や役に立ったことについて、回答していただきました。
本日、大学で研究論文である先生に、統計にの解釈について質問したら、自分の解釈が誤っており、論文も一部見直しをしなければなりません。しかし、質問する=コミュニケーションすることにより、知らないことを知ったり、改善すべき点が見えてきました。 清谷さんがブログに記事を載せたり、考えを述べることは、清谷さんや読者にとってダブルチェックになり、質も高まります。
防衛について納税者とコミュニケーションをしているか?
ゼロと言っても過言ではないでしょう。持論を申すと防衛は保険みたいなものです。被保険者=納税者が無関心でいいのか?社会保険=医療、年金等は生活に直結しますが、生命保険等の民間保険について保険料や契約内容について無頓着なのが大半だと思います。街角でよく見かけるのが保険の見直しする店舗です。このブログもその店舗に相当するでしょう。しかし、勢力や認知度は低い。
清谷さんに質問です。防衛問題に関心を持つ又は政策・現実的な議論をする方法・手段はどのようにしたらよいのか? そうすることにより、質の高い防衛力を構築できるのではないでしょうか?
元キャプテン
2014/10/20 19:00
防衛省に情報を開示させることが必要ですが、記者クラブの皆さんは興味がないようですし、専門ラーターや評論家は記者会見にも出られません。

政治家も国会で議論らしい議論もしません。

情報がないところで議論をしても所詮は神学論争になります。

情報開示こそが一番必要です。
キヨタニ
2014/10/20 19:14
中央には航空宇宙産業を振興する戦略もビジョンも無いようなら、地方から日本全体を変えていくしかないですね。源平時代や戦国時代や幕末と同じだ。その過程で、平将門や平清盛や織田信長や大村益次郎のような先駆者・犠牲者の上に、源頼朝や徳川家康や山県有朋のような成功者が出てくるわけだ。
ひゃっはー
2014/10/20 21:02
清谷様へ

回答ありがとうございます。軍事アレルギーより、防衛省の隠蔽・閉鎖体質の方が問題ですか。OBも天下りに熱心で後輩のために情報公開や説明責任を果たさないのも問題あると思います。本を出版しないのもダメかなぁ?決して暴露本ではありませんよ。
アメリカ当たりでは司令官の将官が議会で戦況報告や情勢分析について報告や証言しています。税金で運営されていますので、結果責任や説明責任は負うのは当然です。 石波先生の著書で試合のない運動部、お客様のいない商店、大学のサークルと揶揄している理由は納得しました。
自分を含むOBが金を出しあって、裏防衛白書とか、事業仕分け防衛レビューという本出版したり、ライターになったりする。OBの怠慢も一因あると思います。
防衛省も政治家・国民から関心を持たず、神学論争している方が都合がいいんでしょう。日本で最も平和ボケしていますから。
坂の上の雲で小玉源太郎が第3軍の参謀達にお前達の作戦で、何万人の命がかかってんだ!そこから、考えろ!と雷を落としたことを現役の官僚や将官は肝に銘じるべきだと思います。 でも危機感や当事者意識を持っている自衛官もいることは事実です。
元キャプテン
2014/10/20 21:53
政府が支援して、出展や国レベルの宣伝やフォローをさらに充実させてほしいです。
でも安部さんはよくやっている。
今後もそして、将来政権がかわってもどんどんやってほしい。
軍事オタク
2014/10/21 10:24
農林水産業は過保護すぎるでしょ、
稲作農家なんぞ10分の1で十分、野菜も異常に高いし、酪農なんぞ国内でやる必要は無い。原料に過ぎない黒糖が精製した砂糖の数倍の値段で売られている現状をどう見るんですか?
?
2014/10/21 17:58
MRJもやっと周りが気にするようになりましたか・・・
エンブラエルとボンバルディアの2強は強いですが、頑張って3強と言われるようになって欲しいものですね〜
とはいえYS11の事もありますから国がどこまで真剣に長期的なバックアップをできるか、これがこの飛行機の命運を決めるでしょう。
八王子の白豚
2014/10/22 00:43
>台湾陸軍、AH-64Eアパッチ 30機の導入完了

http:http://flyteam.jp/airline/republic-of-china-army/news/article/42065

台湾にすら追い越されている陸自って・・・・・。UH-Xの武装型を当てれば良い、ってな考えなのでしょうけど…。肝心なUH-Xが影も形も無いのに、皮算用も良いところです。
ku
2014/10/23 13:38
お邪魔します。

 MRJも「直ちにベストセラー」にはならないでしょうが、「継続は力なり」で続けていって欲しいと思います(見通しも無くダラダラやられても困りますが)。で日本は「まだマイナー、チャレンジャー」である事を生かして思い切った試みに挑戦して欲しいと思います(例:B787のバッテリーから煙モクモクの影響はかなり広範囲に及んだ)。例えばホンダジェットは今までは行われてこなかったエンジンの搭載方法を採用しているとTVで見ました。自分としては「低空を低速で長時間飛ぶ、目的地に行くよりかは眼下の景色を楽しむクルーズ旅客機」を作って欲しいと思います(ターボプロップではボンバルディアが強いかも知れませんが)。また日本は中央を地方を結ぶように交通機関が整備されため、地方から他の地方に行くのは不便と聞いています。ですから地方と他の地方をリーガルジェットとかで結ぶのが良いのではとも思ったりします。「何が何でも日本は最高」の連中で贔屓の引き倒しにされたり、JALがエアバスを採用しただけで日米関係を損なうとか言う連中に足を引っ張られたりしない事を願うだけです。

>安倍首相は個人消費と中小企業、国内専業メーカー、一次産業を痛めつける過度な円安誘導やら乗数効果が低い公共事業なんぞをやるよりも、日本の中小企業が世界の航空市場にアクセスできる手助けをすべきです。

 真っ当なやり方ですと結果が出るのに数年から十年以上かかります。しかし市場・投資家も有権者も「直ぐに結果が出る(を出す)」事を要求し、結果も出ていないのに「儲かりそう」で殺到し、直ぐに結果が出ないと一斉に手を引いて(手のひらを返して)しまいます。そういったのを無視できないから、そういったのにアピールしそうな事をしなければならないかなと思ったりします。
ブロガー(志望)
2014/10/25 20:31

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