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zoom RSS 「最新鋭戦闘機F35、米に握られた未来」は出し遅れの証文

<<   作成日時 : 2014/07/15 04:31   >>

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最新鋭戦闘機F35、米に握られた未来
http://digital.asahi.com/articles/ASG715JBGG71UHBI028.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG715JBGG71UHBI028

日本がF35の後部胴体の生産を担う見通しだが、日本が得る情報は限られそうだ。日本の工場は整備や修理も行うが、その範囲は決まっていない。


自衛隊がF35を使う今後30年以上、日本の安全保障の中核を担う戦闘機の主導権を
米国が握ることになる。日本政府内には「安全保障で米国の言いなりになりかねない」と
指摘する声もある。



こういう記事は機種選定決定前に書いて欲しかったですね。
あの頃の新聞記事はF-35を導入すれば、戦闘機の生産基盤も維持できて、プログラムにも参加できてバラ色、みたいな空幕や防衛省のポジショントークを垂れ流す記事が多かったように思えます。
あるいは、政治的な動きばかりを報じて、この機体を調達するコストや、産業基盤、波及効果などについて、税金を如何に効率的に使うかという視点での記事が殆どありませんでした。これは10式戦車やAAV7、オスプレイなどでも同じです。

有力新聞が総力を挙げてキャンペーンを張ればF-35調達は実現しなかったのではないでしょうか。当たるも八卦当たらぬも八卦なくだらない永田町の政治ごっこの政局報道よりも、戦闘機選定の方が、よほど報道する価値があると思いますが。

F-35、42機のプログラム総額は未だにわかっていません。記事中では関連経費は総額1・6兆円とありますが、これも丼勘定で未だに総額が見えてきません。
総額も分からず、どの程度のプログラム参加かもわからず、アメリカ空軍様と同じ玩具が補修ございます、と尻尾を振ったのは民主党、自民党両方の政権です。
結果として、我が国の戦闘機の開発と生産基盤は絶賛瓦解中です。
今後の日本の戦闘機技術はすべて米国に金玉を握られた状態になります。

民主党も自民党政権も、日本の戦闘機の将来を米国の奴隷的隷属状態に突き落としたわけですが、「保守の論客」やら、国士様たちの多くはこれに異議を唱えない。

これでは米国は同盟国ではなく、宗主国です。

戦闘機開発能力に関してもバラ色な記事が多いように思えます。そもそも我が国にまともな戦闘機開発なんぞできるわけがありません。実戦の経験がないのはともかく、輸出もしないので市場に晒されたこともない。その上、他国から実戦のデータを買ってくることもしない。それでまともな戦闘機はできません。
しかも機体、アビオ、システム、エンジン全部自前でやろうとするから少ない予算を薄くばらまいています。これでまともなR&Dができるわけがない。

にも関わらず、国産機は最高だ、F-2は名機だとか「対艦番長」だとか持ち上げるのは夜郎自大で、世の中を舐めています。F-1戦闘機を見れば我が国の戦闘機開発のレベルはわかるはずです。

同じ既存機ベースの機体でもイスラエルのクフィルや南アのチータは両国がベースとなったミラージュ運用のノウハウがあり機体を熟知し、実戦の経験も豊富にありました。そのようなノウハウも経験も我が国にはありませんでした。


盲目的な国産技術至上主義は危険なだけです。何が強みが、何が弱みかを正しく把握し、議論する必要があります。

それができない原因のひとつが防衛省の過剰な秘密主義です。他国では公開して当然な情報をやたらに隠します。それで御用雑誌で「大本営発表」をまき散らしているわけですから、国産原理主義者が増殖するのは当たり前といえば当たり前です。

防衛省や自衛隊は防衛産業にすらまともに情報をフィードバックしていません。これではまともな装備開発なんぞできません。

前の戦争で負けたのは、軍部が過度に情報を秘匿し、無敵皇軍を吹聴してきたことが大きな原因です。防衛省は戦史と戦訓を学んでいるようには思えません。

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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
確かに我が方の手駒は限られていますから、
主様の言わんとしている事は解ります。

しかし、日本の防衛産業は、ついにステルス有人機ATD−Xのロールアウトに成功しました。
これは、米露中についで、世界で4番目です。

優れた技術力を持つ欧州諸国、実戦経験豊富なイスラエルや南アですら、まだステルス有人機のロールアウトすら出来ていません。

敗戦後、マイナスからのスタートだった日本が、ここまで、成長出来た事実は、高く評価すべきでは、ないでしょうか?
過日の投稿で私が述べた通り、何を、何処まで国産化するのは、最終的には、その国の国家戦略=政治ですが、試行錯誤を続けつつも、ここまでたどり着けたのは、戦後の歴代政府、防衛庁(当時、現防衛省)、自衛隊と防衛産業の方向性としては、それ程、間違ってはいなかったと思いますが。

唯、ATD−Xを実用機に進化させるには、険しい道と途方もない時間、勿論、お金も多大に掛かります。
それまでの間、ステルス機の運用を学ぶ為等には、F−35は有効と言うか、実用ステルス機は、これしかないと思います。
何しろ露中のステルス機の開発は進んでおり、実戦配備もそれ程遅くないでしょう。
今更、ユーロファイター等は、もう装備として、先行きは暗いかと。

チャイカ
2014/07/15 07:30
機体の素性とライセンス生産では、ユーロファイターが最高でしたね。空自には航空戦ドクトリンが無いので、何を買ってもダメでしょう。
マリンロイヤル
2014/07/15 10:51
先日の報道特集で最後に金平キャスターが「技術開発が情緒的であっては困る」といった事を話しておられました。最初は「情緒的になっているのは、アンタの方だよw」なんて思いましたが、三菱のハンガーやシュミレーターなど、よく防衛省側もここまで見せるのを許可したな、と感心しているうちに、「やっぱり、日本は凄い」と根拠なく思っている自分がおりました。
KU
2014/07/15 12:34
お邪魔します。

 先の大戦でも後から「実は自分は反対だった」「自分は負けると分かっていた」としたり顔で言う人間が少なくなかったそうです。日本では「合理的な判断」でも「個々の意見の集約」でもなく「その場の”空気”」で物事が決まります。FX選定当時の関係者の”空気”は「F35しか無い」だったのでしょう。「その場の”空気”に従った」のであって「己の意志で決めた」わけではないですから、後から恥ずかしげもなくしたり顔で言えるのですし、清谷様の言う「早く完成機を入手してパイロットの訓練を始める」または「他の”買物”を諦めてF35に集中する」といった「F35の早期の戦力化を目指す」ような事もしないわけです。F35にしてみてもなまじ日本で”(実質)死蔵”されるくらいなら、開発パートナー国に行った方が良いのではないでしょうか。
ブロガー(志望)
2014/07/15 23:00
田母神さんなんか、身内の恥は隠すものだ、それが自衛隊の秘密保全の訓練にもなる、みないな訳の分からんことを言っていたそうです。そういう人が最近まで空幕長だったのだから、自衛隊も終わっています。国民不在なのは政治の分野ではなく、むしろ国防の分野の方がより深刻だと言わざるをえないでしょう。
ひゃっはー
2014/07/16 20:48
なんだか怒りがこみ上げてきたので追記します。
自衛隊の内部には、田母神さんのような人間が未だにウジャウジャしてるから、「たちかぜ」の乗員がいじめで自殺しても「同僚のアンケート結果は捨てました、残ってません」みたいなウソをしゃあしゃあとつくのでしょう。
海上自衛隊は兵隊なんぞは赤紙一枚で集めることができる、大事なのは組織のメンツだ、とでもいいたいのでしょうか。東日本大震災の時も守ろうとしていたのは被災者の命ではなく、組織のメンツだったのでしょうか。
ひゃっはー
2014/07/17 17:56
そもそも開発プロジェクトに不参加のジャパンが利益を得られるという根拠がいったいどこにあったのかと・・・
まぁ技術試験機と戦闘機を比較してオナニーしだす連中にまともな考えを要求するだけ無駄なのでしょうけれど。
F2にしても横槍が入って今の形になりましたがまぁそれなりのモノは出来たんですし完全国産でよくワカラン物配備するよりかは・・・
まぁその場合でもデータは手に入った訳ですから全くの無駄ではないんでしょうが。
清谷先生としては時期主力機はどうするべきだったとお考えでしょうか?
三流陸曹
2014/07/17 18:19
無人機ならともかく有人機ステルス機を小型化するなんて正気ですかね。
機内搭載が前提になるわけですから、ミサイルまで小型化する必要があります。
燃料タンク、長距離AAMを機内に詰め込まないとステルスだけでなく、スーパークルーズも難しいでしょう。
これは実証機で量産型とはちがうとか悠長なこと言ってると、中国に対応できなくなります。


2014/07/17 19:40
世界で4番目にステルス実験機をロールアウトさせたのはいいけど、こいつがモノになるまで日本の戦闘機業界って産業としてもつのでしょうか?
きらきら星
2014/07/17 22:16

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