清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 

アクセスカウンタ

zoom RSS C-2輸送機開発遅延と防衛省の説明責任の欠除

<<   作成日時 : 2014/07/06 10:50   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 12 / トラックバック 0 / コメント 19

防衛省は4日、今年度末に予定していた次期輸送機C2の
部隊配備を2年遅らせることを決めた。試験中に貨物扉が脱落するなど強度不足がみつか
ったため。C2の開発延長は3度目で、費用は当初計画から800億円増の2600億円
に膨らむ。


防衛省が次期輸送機の配備を再度延期、開発費800億円増
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0F90HH20140704

  ネット上ではちょっと前まで「国産兵器大好き」な人達が、C-2の開発はP-1と併せて3400億円で、A400Mなんかよりも遥かに安上がりで、高性能と自画自賛しておりました。
 ですが、3400億円というのは開発前の話で、その後開発費の高騰は続いておりました。それと日本の場合、防衛省のいう「開発費」には一般に試験費用が含まれておりません。対して外国の場合含まれることが当たり前です。10式戦車にしても「開発費」は686億円ですが、試験費用など諸経費を含めれば約1000億円です。これは防衛省のLCC報告書にも掲載されていますが、一種の印象操作といえなくもないでしょう。

 それを無邪気に信じて、国産勝った、外国負けたと喜ぶのは極めて幼稚です。

 さて問題はペイロードの低下が懸念されることです。当初の目論見が
30トン、それが最近では26トンまでに下がってきたといわれておりますが、それが更に低下することが考えられます。であれば戦闘重量26トンの機動戦闘車がそのまま運べなくなるわけです。三菱重工の人は付加装甲をはずせばOKですとおっしゃっておりましたが、その場合即応性はかなり下がります。
 またそれすらも困難なほどにペイロードが低下する可能性も否定できません。

 こういう情報は防衛省は公表しませんが、納税者に対して誠意的だといえません。

 開発が難航していたのはわかっていたはずですが、このような機体を震災復興のための補正予算で2機要求したことは犯罪的だと言えます。

 また防衛省はすでにこの2機含めて6機のC-2を発注していますが、これらの機体の改修の費用もかかるはずですが、その費用を誰が持つのか。これまた明らかにされておりません。
これまた説明責任の軽視です。

 さらに言えば、C-2の就役遅延によって生じる輸送力欠除のギャップを埋める方策もしめされておりません。単にC-1の飛行時間を減らせばいいと思っているのでしょう。
ですが、それであれば中国の脅威はない、あるいはC-2は本来必要なかったといっているようなものです。

 防衛省はF-35でも同じですが何年までに必要な装備だ、何年までの戦力化が必要だという意識が希薄です。
 任務遂行に装備が必要でこれが目的なのに、装備調達時自体が目的になっております。
これは平和ボケです。

 必要な時点までに入手が不可能であればギャップを埋める対処を行うべきです。
C-2の場合であればC-17とか、C-130Jとかをストップギャップで調達することも考えるべきです。

 ですが防衛省にはその気がないようです。国防や任務の遂行より「素敵」な国産兵器を調達することの方が大切なように見えますが、気のせいでしょうか。


 これもぼくは何度も指摘してきたことですが、そもそも大型旅客機も、輸送機も殆ど設計、商品化したことがない我が国の航空産業が、高い翼輸送機が、低翼のジェット旅客機のように高空を高速で飛び、ターボプロップ機の輸送機同様の低空での運動性という相反する要素をまとめあげる能力はないでしょう。欧米の一流メーカーにもできなかったことが出来ると考えるの楽観的を通り越して夜郎自大でした。
 しかも開発が始まった頃は、777とP-1、US-2も同時にプロジェクトが進められており、経験はないは、少ない設計者が掛け持ちで仕事をするわで、まともな環境だったとは言えません。
 
 しかも上記の要素を満たすためか、C-2には不整地運用能力がなく(空自が要求していない)、2000メーター級の舗装滑走路が必要であり、軍用戦術輸送機として失格です。 
 これを南西諸島防衛に有用だ、C130やC-27など他の輸送機は必要ない、C-2ですべてまかなえるというのは幻想以外のなにものでもありません。
  
 ついでにいえば海外任務でもC-2は不利です。現地で他国から部品の融通などもできません。イラクに派遣された空自の輸送隊が長期にわたって高い稼働率を維持できたのは世界のベストセラー機、C-130を使用していたらからです。
 またC-2ではアフリカの僻地の非舗装の滑走路では運用できません。
 


 最近防衛産業からみの記事はロイターが結構スクープを出してます。
 防衛産業は国内の記者クラブのメディアが興味少ない分野だったからでしょうが、もう少し国内メディアはこの分野で頑張って欲しいものです。


新しい防衛航空宇宙専門サイトを始めました。
「東京防衛航空宇宙時評・Tokyo Defence & Aerospace Review」

http://www.tokyo-dar.com/

strong>NEXT MEDIA "Japan In-Depth"[ジャパン・インデプス]に以下の記事を寄稿しております。
NEW<海上自衛隊のシーレーン防衛はフィクション>日本には戦時に守る対象となる自国の商船隊が存在しない
http://japan-indepth.jp/?p=6994

<バーバリーと三陽商会>ファッション業界「ライセンスビジネス」の怪
http://japan-indepth.jp/?p=6198
<防衛産業も営利企業>政府は防衛産業の持続可能な利益確保の必要性を国民に説明すべき
http://japan-indepth.jp/?p=5052

<武器禁輸緩和>安倍政権は「防衛装備生産基盤の危機回避」という本意を国民に説明せよ
http://japan-indepth.jp/?p=5014

<200億円の海自P-1哨戒機>性能も怪しい高コスト機の開発ではなく現有機の近代化を
http://japan-indepth.jp/?p=4818

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しました
NEW国連加盟は憲法違反である
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014061900005.html?iref=webronza

国益のために国内ヘリ産業を潰すべきだ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014051200007.html?iref=webronza

ロシアとウクライナが簡単に刀を抜けない理由
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014041500002.html

知られざる日本発のクールジャパン的ヒット商品「エア・ソフト・ガン」はなぜ市場を失いつつあるのか?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014032400011.html


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 12
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(19件)

内 容 ニックネーム/日時
もともと、C17を買えと言われるのがイヤで、仕様を作った輸送機ですからね(笑)開発が破綻してもC17は買わないでしょう。
マリンロイヤル
2014/07/06 13:43
素直にC-17にしておけばよかったんですよ。

2014/07/06 14:37
もう調達中止が適当でしょ。コスト面でも性能面でも失敗作になる可能性が高くなってきた。

大体輸送機なんて米軍を含めた他国と同じモノを使う方が利便性が高いのは、C130の運用を見たら良く分かっているでしょうに。

C−1の後継機は適当な数のC−17と海上自衛隊が買ったC−130Rでも買えば良いでしょう。

航空艦隊提督
2014/07/06 16:34
清谷様

ご指摘の件はごもっともなのですが、XC-2関連で気になっているのが「補強部材を胴体と一体化した構造にする研究」(次期輸送機の一体化胴体供試体)の結果です。平成22年度から始まり、24年度に設計と製造が完了する計画だったようですが、その後の動きはご存じでしょうか。

恐らく清谷様はイギリスへ取材へ行かれると思うので、防衛省の記者会見で質問されるチャンスがしばらくないかと思っていますが、是非、この件は取り上げていただければ幸いです。
ブリンデン
2014/07/06 16:43
C−17は明らかに過剰性能ですし
C−130は要求に全く満たない
仮に海外製の機体へ変更したもしても今までの例からするに
結局は倍以上の調達コストで全く性能不足な品物を買わされるわけでしょう
KA
2014/07/06 18:54
そもそも『何を・どこへ運ぶか』という目的がないからこうなるのでしょうね。機動戦闘車を運ぶにも機動戦闘車の乗組員、整備隊員、警備隊員や砲弾、予備燃料、スペアパーツ、整備用の工具を含めればペイロード30トンでも運搬能力は足りないのではないでしょうか。ペイロード30トン超では離島の空港には着陸できないでしょう。整備新幹線と同じで、『必要だから作る』のではなく、『欲しいから作る』という発想でしょうね。
BNSF
2014/07/06 19:49
国内メディアが自衛隊を取り上げた記事というと、微妙にピントが外れた「自衛隊マンセー」か「自衛隊って、とんでもない!」かの二者択一になっているような・・・(もちろん、専門誌は別、と言いたいですが、必ずしもそうでないような)。
興味も無いからユーロサトリに国内企業が遥か前から出展していても、「初めて出展」みたいな話しか出来ないのでしょう。アメリカ様から押し付けられた装備品を、国会が追求しなくとも気にもならない(「気にすらしない」、といったほうが正解かもしれませんが)。
C-2の話にしても、発表内容をそのまま流すだけでしょ?「なぜ、そうした事が起きたのか?」とか「開発が遅れた場合の代替案はあるのか?」とか、だ〜れも突っ込まない。聞こうともしない。ただ役所の一室に部屋を宛がわれ右から左に記事を流すだけ。だから役所に足許をみられる。それでいて高い給料を貰えるとは、何とも良い御身分ですわ。
KU
2014/07/06 20:04
C−2に関して、防衛省が東大に研究協力の要請をしたが断られた、と報道にあったのですが、仮に東大が研究に参加協力したとして、東大などのところでそのような力があるのでしょうか。

清谷氏はどう思われますか。
ロク
2014/07/07 00:02
KAさん

けど下手こいたら、性能低下、コストアップでC130のペイロードと大差ない機体をC17並みの価格で買うハメになりそうなのがC2の現状でしょうに・・

それに海外派遣では小さく、国内定期では大き過ぎるのがC2じゃないかと思いますよ。
航空艦隊提督
2014/07/07 00:02
ペイロードについて「30トン、それが最近では26トンまでに下がってきたといわれておりますが」とおっしゃってますが、キヨタニ様以外で誰かおっしゃってる方いらっしゃいましたっけ?
C-17は的外れでしょw
2014/07/07 00:15
>「補強部材を胴体と一体化した構造にする研究」o面白いと思います。

>C-2の話にしても、発表内容をそのまま流すだけでしょ?
大臣も幕僚長も暖簾に腕押しです。記者クラブのツッコミが甘いというのも原因でしょう。税金で装備を開発し、調達しているという意識が官側にも
記者側にも希薄です。カネの話はホント記者会見の質問でも出ませんね。

>東大
詳しい事情はわりませんが、川重でも技本でもお手上げ、ということでしょう。

>いらっしゃいましたっけ?

コメントする前に少しリサーチしてはいかがでしょか。
キヨタニ
2014/07/07 12:24
>>大臣も幕僚長も暖簾に腕押し

ご返答いただき、有り難うございます。結局、当事者意識が無いから、他人事みたいな態度になってしまうのでしょうね。挙げ句に制服組の説明だけを真に受けて「国産哨戒機は素晴らしい!」なんて平気で言っちゃったりするし。
もう少し、防衛大臣向きで且つ、官僚の裏も表も百も承知な人材はいなかったのでしょうか?
KU
2014/07/07 18:22
C17が過剰性能だ、などと言ってる人の気が知れない。輸送力に余裕があって困る事など無いし、東日本大震災だって自衛隊の輸送力は不足だったし、戦争なら尚更だろう。東日本大震災が起きた東北は、6県全部で人口が神奈川県と同じ900万人しかなく、震災は東北の田舎のそのまた田舎で起きたに過ぎない。首都圏東海中部関西西日本で起きたら、311の比ではない輸送力が必要になる。C17が能力過剰などというのはバカげている。
マリンロイヤル
2014/07/08 09:59
>コメントする前に少しリサーチしてはいかがでしょか。

つまりキヨタニ様にはマトモな具体例を挙げることすら出来ないと言うことですね
26t説で(ソースなど)説得力のある説明をされてる方は一人もいらっしゃいません
C-17は的外れでしょw
2014/07/09 04:16
空自の滑走路での運用に支障が有る機体を国内でどう使うんですか
災害を考えるならC-130を追加購入でもした方がマシです

C-17はどこの国も海外輸送用でしょう
輸送艦や揚陸艦では海の無い国に運べないですしね

集団的自衛権の一環で導入するならともかく国内運用を理由に導入は政治的にも無理じゃないですか?
第9
2014/07/09 05:34
>キヨタニ様にはマトモな具体例を挙げることすら出来ない

はあ、さいですか。

ぼくはブログで以下の記事を公開しております。
東京新聞が報じたC-2ペイロード低下の記事です。
>http://kiyotani.at.webry.info/201103/article_6.html
C2輸送機が重量超過 設計より数トン
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011030902000041.html

このリンク先はもう記事がありませんが、当時大きな話題になった記事で、多く引用された記事です。C-2に興味があれば当然チェックしていたでしょうね。

また防衛省のLCC報告書には、

>ペイロード:C−1の約 3倍との記述があります。C-1のペイロードは8トンですから、30トンならば3.75倍になります。まともな常識のある人間ならば3.75倍を約三倍とは書かないでしょう。
http://www.mod.go.jp/epco/about/pdf/25lifecyclecost_houkokusyo.pdf

人を批判する前に自分の能力不足と無知を
疑うことを覚えてはいかがでしょうか。

あなたのコメントは自分の粗末な「常識」を元にぼくが、C-2のペイロードが下がったと「捏造」したのだ、と主張しているわけです。
普通に考えれば失礼な話ではないですか。

このようなものいい、と失礼と思わないのであれば、あなたの「常識」は非常に鈍麻しているということです。それとも匿名ならば何をいっても責任をとらなくとも宜しいと思ってらっしゃるのでしょうか。



キヨタニ
2014/07/09 12:05
C-17民間バージョンのリースが最適かもしれませんね。C-130Jなんか買ったら維持が大変です。
ちきてり
2014/07/09 23:26
空自には滑走路を修理する部隊がキチンとあるはずです、C17の運用に何も問題はありません。戦略輸送機と戦術輸送機の能力をそれぞれカバーできるC17は非常に有用な装備です。
マリンロイヤル
2014/07/10 12:39
国産にすることにより航空技術向上⚫維持及び日本企業の売り上げに成るのですから良いと思いますよ。
外国から買うとその分外に税金が流れる事になってしまいますから。
今後日本が輸送機の輸出国になり利益をもたらす可能性もあります。
後は国産にすることにより発展型や派生型の開発が自由にできるという利点もあります。
ヒロ
2014/10/26 10:03

コメントする help

ニックネーム
本 文
C-2輸送機開発遅延と防衛省の説明責任の欠除 清谷信一公式ブログ  清谷防衛経済研究所 /BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる