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zoom RSS <アフガニスタン>誤爆で米兵5人死亡  日本だったら・・・

<<   作成日時 : 2014/06/13 05:33   >>

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 アフガニスタン南部ザブール州で9日、友軍の誤爆とみられる攻撃で米兵5人が死亡した。AP通信などが伝えた。誤爆と確認されればアフガン戦争開戦(2001年)以来、最悪規模となる。

<アフガニスタン>誤爆で米兵5人死亡
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140611-00000039-mai-int

 アメリカほど熱心に精密誘導兵器による対地火力支援を重視している国はありません。またアメリカはそれを同盟国にもその努力を求めます。ですからアフガンではポーランドやチェコの終末誘導を担当する部隊が米軍とかなり密に訓練も行っており、そのための装備も充実させています。

 そうでないと米軍と共同作戦ができないからです。

 また米軍は敵味方識別システムにも多額の投資をしています。
それでも同士討ちは起こります。

 とろこが同盟国の我が国では未だ精密誘導兵器の導入も、そのような兵器を誘導する地上部隊も存在しません(たぶん特戦群はできる可能性はあるでしょうが)。
今度新設される水陸両用部隊で初めて、終末誘導をする部隊が編成される予定ですが、それ以外の師団や旅団にはそのような部隊を編成する予定はありません。

 現実問題として米航空戦力と陸自が共同作戦はできません。
音声通信しかないような「未開国」の軍隊は米軍と共同作戦できないのです。

 データリンクを搭載していない未改修のF-15Jも米軍の設定する戦闘空域に入れてもらえません。陸自であれば尚更です。

 まあ、米軍は陸自と共同作戦をやるようなことにはならないと高をくくっているのかもしれません。でなければ圧力が掛かっているはずです。
不用不急のAAV7やらグローバルホークやらオスプレイなんぞよりもよほど優先順位は高いはずなのですが、これら役に立つか立たないかも分からない、あるいは費用対効果が怪しい装備を押しつけられていますから、この点からも米軍は陸自ともに地上戦はやらないといううことなのでしょう。

 自衛隊は国産兵器を開発する口実理由として「我が国固有の環境と運用」に沿った装備が必要だからといいます。人口が都市部に集中している我が国では他国よりもむしろ、精密誘導兵器やその誘導手段が必要なはずです。
 精密誘導兵器は特に小型の爆弾やロケット弾を改良した小径誘導弾などが副次被害を押さえるためには必要ですが、このような爆弾やミサイルの導入も遅れています。ロケット弾を改良した誘導弾は米英仏など先進国だけではなく、既にトルコも開発し、これをUAEが採用しています。


 現状自衛隊が想定しているゲリラ・コマンドウ対処においては、航空兵力の投入は極めて難しいことになります。無理に空自の戦闘機やら陸自の攻撃ヘリを使って火力支援を行うと陸自や民間人に対する誤爆、副次被害が出る可能性大です。
 かといって、航空機からの火力支援を行わないと、陸自部隊の損害をいたずらに増やすことになります。米軍の何倍も死傷者を出すハメになるでしょう。
 実はゲリラ・コマンドウ事態もそんなに真剣に考えていないのでしょうか。10式や機動戦闘車を入れるための方便なのでしょうか。

 また陸自は人民解放軍ですら、導入を進めている榴弾砲やら迫撃砲の精密誘導弾の導入もまったく行われておりません。

 またこれらの精密誘導兵器を有効に使うためにはネットワーク化も必要ですが、この点でも陸自は前世紀の遺物的な状態です。

 この手の装備の調達や部隊の編成は「応援団」もいないし、誰の得にもならないから導入されずに、見栄えのいい玩具ばかりが調達されています。それはこれら真剣に導入するならば既存の部隊を縮小せざるを得ないからです。

 あまつさえ陸自はアメリカ様に言われたので、本来3、4年掛けて自分たちで行う試験をすっ飛ばしてAAV7を買うことにしました(陸幕の正式な回答です)。当事者意識の欠如に頭がクラクラしてきます。本当に戦争する気があるのでしょうか。
 

 陸自の装備や戦術は完全に過去の遺物ですが、当の陸自の偉い人たちにそのような認識も危機感も薄いようです。何しろ普通科の自動車化が完了したのもつい最近です。21世紀になってからです。しかも当の普通科が自動車化を嫌がっていたという話があります。自動車に予算と人手が取られるからだそうです。
 「こんなに強い自衛隊」的な本ばかり読んでいると、益々このようなお寒い現実が見えてこなくなると思います。



 
NEXT MEDIA "Japan In-Depth"[ジャパン・インデプス]に以下の記事を寄稿しております。

<バーバリーと三陽商会>ファッション業界「ライセンスビジネス」の怪
http://japan-indepth.jp/?p=6198
<防衛産業も営利企業>政府は防衛産業の持続可能な利益確保の必要性を国民に説明すべき
http://japan-indepth.jp/?p=5052

<武器禁輸緩和>安倍政権は「防衛装備生産基盤の危機回避」という本意を国民に説明せよ
http://japan-indepth.jp/?p=5014

<200億円の海自P-1哨戒機>性能も怪しい高コスト機の開発ではなく現有機の近代化を
http://japan-indepth.jp/?p=4818

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しました
国益のために国内ヘリ産業を潰すべきだ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014051200007.html?iref=webronza

ロシアとウクライナが簡単に刀を抜けない理由
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014041500002.html

知られざる日本発のクールジャパン的ヒット商品「エア・ソフト・ガン」はなぜ市場を失いつつあるのか?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014032400011.html






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コメント(11件)

内 容 ニックネーム/日時
毎年のようにやっているFTXや指揮所演習のような日米共同訓練から、陸自は何も学んでいないことになりますね。心やさしいアメリカ様はお世辞しか言いませんし。
アメリカのことを何も知らずに戦争を始めた帝国陸軍とどこが違うのでしょうか。
ひゃっはー
2014/06/13 10:20
ラムズフェルドっていう国防長官が自衛隊を評して「ボーイスカウト」と言ってましたね、まったくその通りだと思います。
マリンロイヤル
2014/06/13 11:37
自衛隊の制服組は実は清谷さんが常日頃主張していることはすべて判っているんですよ。
自衛隊があまりパッとしないのはドシロウトの内局とケチな財務とアホの政治家が意地悪ばかりしているからなのです。
制服組の偉いさんはみんな軍事のプロです。防大出て幹候校出てCGSやらAGSやらその他なんかいろいろいっぱい横文字の課程を修了しているじゃないですか。
だから判っているんですよ。だから軍事のプロなんですよ。それでいいじゃないですか。もうそういうことにしときましょうよ。
きらきら星
2014/06/13 23:21
精密誘導兵器が?正直あれが有っても日本に置いてそう簡単に使えないではないでしょうが?

精密誘導なんかは効く時は勿論遠距離から投げても高い精度を期待できます。ですが、何らかのトラブルを發生する時、ミスする距離も通常の武器の比では有りません。簡単に言えば、通常兵器は半径100m範囲の何処がで着弾する物なら、遠距離から投げられたの精密誘導兵器は95%の確率で10m以内ですが、残りの5%は1kmの範囲も必ずしも収めませんの物です。

こんな物はアフガンで良いですが(どうせ失敗な時死ぬのは概ねアフガン人に過ぎない)、日本のゲリコマ戦で使用するなら、この5%は実に大きい。これで防衛出動はいざ知らず、治安出動程度で精密兵器の使用は許可しませんでしょう。そもそも、精度を確保するだけなら、数km内で現代FCSで制御するの直接火力を使えばそれなりの精度を安定に期待できます。内局なら後者を選ぶでしょう。
香港からの客人
2014/06/14 00:04
> とろこが同盟国の我が国では未だ精密誘導兵器の導入も、
つM31、JDAM、L-JDAM、MPMSなど

>そのような兵器を誘導する地上部隊も存在しません
陸自が「爆撃誘導員」養成着手 空自と連携、離島奪還+
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140330/plc14033008090004-n1.htm
普通の部隊にも配置されるそうですよ
核融合
2014/06/14 08:36
これまでに防衛省で聞いた話と異なる報道です。 ぼくの確認したところ、現在まで決まっているのは 水陸両方機動団の3個連隊に各一個部隊が配備される構想です。産経の報道は具体的な計画があるのか、単に取材した担当者の願望に過ぎないのか 現段階ではどの程度の話なのか不明です。

この記事には不自然なところもあります。陸自の「爆撃誘導員」については昨年の夏に分かっていたん話で、これを今年の3月になって「編成されることがわかった」というのはおかしな話です。この記事で新しいのは水陸両方部隊以外にも編成される、というとこなのですが、それが記事のメインでもない。

帰国したら調べてみます。
キヨタニ
2014/06/14 14:32
お邪魔します。

 「敵・見方・無関係が混在する状況を作り、同士撃ちや誤爆等を誘う事で相手の戦意を削ぐ」というのがゲリコマの”常套手段”ですから、精密誘導兵器はゲリコマに対してはあまり有効ではないのではないかと思われます。変な言い方ですが「肉を切らせて骨を断つ」というのが「兵站に乏しく、消耗への耐性が低い」ゲリコマに対して有効なのでは。精密誘導兵器はやはり「正規軍同士のガチンコ勝負」でその真価を発揮すると思います。

 国軍は「国を守るためなら戦う事も辞さない」意志によって作られます。多くの国ではそれは「自明」の事ですが(例えば個人レベルで「何であなたは生きているのですか?」と聞かれて「言われればそうだよな」と答える人はまずいない?)、日本ではそうでありませんでした。むしろ「日本が頭を下げられなかったからあのような事になった。だからどんなに理不尽な事を言われても(されても)頭を下げなければならない」といった考えでした。さすがに「もう頭は下げられない」「頭を下げてもどうにもならない」になりつつありますが、そういう意識が生まれてから軍隊は作るべきだったのです(たとえ手遅れでも)。そういった意識も無いままアメリカに言われるままに作った自衛隊は、どこまで行っても「魂の無い軍隊もどき」のままで、「国を守る軍隊」にはなれませんでしょた。近い将来自衛隊が日本にとって「実はいざという時に使えなかった救命ボート」になる日が来るのではないかと思っています。
ブロガー(志望)
2014/06/14 15:28
ゲリコマへの対処に精密誘導兵器がそこまで有効でしょうか?
世界最高水準の装備を有する米軍でさえ誤爆・誤射を根絶できていません。
むしろゲリコマ事案が起きる前に公安当局による摘発等で未然に防ぐ努力をしたほうが安上がりなのではないでしょうか?
精密誘導兵器はむしろどこぞの大陸国に対するポーズの一環として装備を進めるほうがいいと思います。
自衛官の方々には失礼と思いますが、所詮実戦経験の無い自衛隊は張子の虎ですし、ポーズのための組織なら見栄えのする道具にお金をかけるのも一つの思想ではないでしょうか?
自衛隊が軍隊であるならキヨタニさんがおっしゃるとおりに「使える」道具にお金をかけてほしいんですけどね・・・
八王子の白豚
2014/06/14 16:34
八王子の白豚様へ。
確かに軍組織に取って、実戦経験の有無が、精強さを図るバロメーターの一つですから、言わんとしていることは解ります。

ただ、実戦経験のない自衛隊が張り子の虎と言われるのなら、スイス軍は如何でしょうか?

戦後のスイス軍は自衛隊同様、実戦経験はなく、しかも90年代以降まで、停戦監視団の類を除けば、海外での平和維持活動に部隊を出していません。
自衛隊も同様ですが、スイス軍と異なり、創設から暫くの間、装備類の供与等は勿論の事、米軍の軍事顧問すら存在していました。
その後も共同訓練等で、彼らの実践ノウハウをある程度、吸収可能でその点、永世中立、言いかえれば、全てを自分で行わなければ成らないスイス軍とは、異なります。
しかし、スイス軍が世界有数の実力を有し、決して張り子の虎などではないことを否定できないでしょう。
確かに軍組織等の構成や目的は異なりますが、
自衛隊も同様ではないでしょうか?





チャイカ
2014/06/14 19:16
連投申し訳ございませんが、前回の投稿で、
抜け落ちていたところがあり、補足します。

防衛装備品の国産化もですが、軍組織の運用等のノウハウは、自分で試行錯誤しなければ、身に付きません。しかし、一方、遅れが有るのなら、同盟国や友好国の優れたノウハウ等の吸収も行うべきです。
スイスは、永世中立ですから、他国と軍事同盟等を結ぶことが難しいですが、一方、日本は、安保条約等の関係もあり、その点、恵まれているのではないでしょうか?
しかも、相手は世界最強の米国様ですから…。
チャイカ
2014/06/14 19:54
チャイカ様

確かにその通りですね、張子の虎は言いすぎだったと思います。
本当に張子の虎であれば巷間言われている様々な自衛隊の伝説話(F104でF15を撃破したパイロットがいた、等)は出ませんよね。
八王子の白豚
2014/06/14 21:39

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