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zoom RSS 防衛省御用達月刊MAMOR連載「軍事ライター」水野寛之氏の残念な反論 その2

<<   作成日時 : 2014/04/17 12:38   >>

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 ぼくは週刊東洋経済の2012年1/21号の「自衛隊のコスト」 という特集の「開発の総本山・技本その実力は本物か」という記事を書きましたが、これに対して月刊MAMORのライターの水野寛之氏は以下の様な批判を自身のブログで書きました。


「東洋経済」1/21号の記事に関する考察
http://hiro2.txt-nifty.com/backyard/2012/01/121-e78d.html
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/38977/59358218


これに対してぼくは以下の反論を書きました。

防衛省御用達、MAMOR誌ライター、水野某氏の批判に対する反論その1 
http://kiyotani.at.webry.info/201403/article_10.html
防衛省御用達、MAMOR誌ライター、水野某氏の批判に対する反論その2
http://kiyotani.at.webry.info/201403/article_11.html
防衛省御用達、MAMOR誌ライター、水野某氏の批判に対する反論その3
http://kiyotani.at.webry.info/201403/article_12.html
防衛省御用達、MAMOR誌ライター、水野某氏の批判に対する反論その4
http://kiyotani.at.webry.info/201403/article_13.html
防衛省御用達、MAMOR誌ライター、水野某氏の批判に対する反論その5
http://kiyotani.at.webry.info/201403/article_14.html

 で、水野寛之氏はこれについて自身のブログで反論を行っております。

清谷氏への反論とか、そんな感じ
http://hiro2.txt-nifty.com/backyard/2014/04/post-49d6.html#more



 陸自のUAV、FFRSは防衛省が大規模災害やNBC環境下での偵察に必要であり、開発は成功したとHPで述べています。にもかかわらず、先の大震災で一度も飛ばなかったことについてぼくは批判しているのですが、これに対して水野氏は健気なまでの「クライアント」の弁護を繰り返しています。

『清谷氏は「FFRSの政策評価書の中で、効果を得られたと書いてあるのだから、投入して当然」(意訳)と書いているのですが、防衛省技術研究本部(以下、技本)が目標にしていた能力を得た研究であっても、それを実際に使うかどうかは現場の判断であって、それを「金の無駄遣い」だと「技本を」批判するのは筋違いだと私は言っているのですよ』

これが技本の技術実証のプログラムであればそうでしょう。
ですが、FFOSにしろ、FFRSにしろ、これらヘリ型UAVは陸自の装備として開発され、これらが「実戦」で使用されなかったわけです。それを開発したのは技本です。全く責任が無いわけがないでしょう。
性能、信頼性にまったく問題がないなら、何故「大規模災害やNBC環境下における偵察に必要」とされ、開発に成功したFFRSが使用されなかったのでしょう。
水野氏は反論するならば、然るべき論拠を挙げるべきでしょう。

また水野氏は
「実際に使うかどうかは現場の判断であって」
と断言していますが、これも嘘です。嘘というが不穏当であるというならば、希望的観測あるいは願望です。

福島第一の偵察で「現場」の部隊は飛行プランを作り、現地に展開までしていました。
それが上からの指示で飛行を行わなかったのです。これは複数の関係者に取材して明らかです。

再反論を行うのであれば、せめてぼくが書いた記事位は読んでおくべきでしょう。

またこの種のUAVは原発偵察以外にも被災者の発見や状況把握に役立つはずです。それが使用されなかったのです。まさに必要とされているときに現場が気分で使わないなんてことはありえません。

月刊MAMORではクライアントの防衛省様のご機嫌を取り結ぶためには希望的観測や捏造までを事実として、読者をミスリードしても問題がないのでしょうか。


水野氏は以下のように続けています。

 『FFRSは模型飛行機扱いなので、航空法に抵触しない高度までなら飛べるという制限がある、とも読めますね。あ、模型飛行機も兵器なのかな?軍事ライター的には』』

何を言いたいのか意味不明です。
「航空法に抵触しない高度までなら飛べるという制限がある」から「実戦」で飛ばさなかったとでもいうのでしょうか。法的な制限があって実戦で飛ばせないことを知りつつ、装備化したのであれば防衛省は極めて無責任ということになります。当時の陸幕装備部長の進退問題になるような大事ですよ。


「模型飛行機も兵器なのかな?」
水野氏の認識ではFFRSは玩具である、ということでしょう。
確かに航空法上では小型のUAVはラジコン機などと同じ範疇にカテゴライズされます。
ですが、軍用のUAVとホビー用の玩具が同じであるというは暴論です。

まあ水野氏が正しいのであれば、防衛省は何百億円もかけて、FFOSやらFFRSなんぞ開発・調達せずにそこいらのラジコンショップで「同じような物を買ってくればよかったことになります。で、あれば費用は数千分の一で済んだのではないでしょうか。
技本は極めてマヌケな組織ということになります。

水野氏は技本が開発したFFRSはアマチュアが使っているラジコンヘリ程度の玩具であるといっておるわけですが、本人にその自覚があるのでしょうか。「クライアント」を馬鹿にするとは大した勇気です。
因みにこの手の軍用UAVの輸出入はワッセナリーアレンジメントの対象ですが、ドン・キホーテや玩具店で売られている「玩具のラジコンヘリ」は対象外です。


そして水野氏はこう続けています。

「余談ですが、東日本大震災の当時は航空管制も大混乱していて、効率的な運用ができなかったという反省から、JAXAは災害対応航空技術の研究をおこなっています」

「無人機だろうが有人機だろうが、固定翼だろうが回転翼だろうが、持ってるから飛ばせばいいってもんじゃないのはわかりますよね。事故の元です。そもそもUAVは海外の(それも砂漠地帯とか比較的広大な地域の)運用実績はある程度積まれてきているのかもしれないけれど、日本では本当に手探りでようやく始まったばかりって状態で、ふつうの航空機のように飛ばすのがいいのか、滞空型がいいのか、あるいは無線操縦か自律飛行か、と試行錯誤が続いている状態。海外で使っているから日本ですぐ使えるってもんでもないよねぇ」


 実戦というのは「航空管制も大混乱し」ていた状態になります。ですが、実戦とはそのような状態で戦われます。しかも今回の「敵」は震災であり、外国の軍隊の航空機まで入り乱れているわけでも、戦闘機同士の空中戦が行われていたわけで、球が飛んでくるわけもありません。
 そして、その混乱した状態で多数の有人自衛隊機が運用されていました。

 FFRSは技術実証ではなく装備化されたものです。実戦で使えないことをわかって装備化したらそれは陸幕装備部の責任は大です。また水野氏が愛してやまない技本も責任を問われるでしょう。

 水野氏の主張はFFRSやFFOSは民間の玩具レベルの代物で演習場では使えるが、実戦で使えないと言っているのに等しいのですが、ご本人にはその自覚がないようです。
 技本の弁護をしているつもりで貶めていることが理解できないようです。技本にしてみれば無能な味方でしょう。

「無人機だろうが有人機だろうが、固定翼だろうが回転翼だろうが、持ってるから飛ばせばいいってもんじゃないのはわかりますよね」

いいえ、分かりません。
これも議論のすり替えです。
特にFFRSは「大規模災害やNBC環境」を想定されて開発され、装備化されたものです。それが飛ばなかったのです。しかも当時、有人機は「固定翼だろうが回転翼だろうが、持ってるから」飛ばしていました。

水野氏は当時実際に使用されたUAVはグローバルホークだけだった、UGVは使用されなかったと思い込んでいたことに関しては、ダンマリを決め込んでいます。

あまり正直あるいは誠実な態度では無いでしょう。

『「民間製、外国製のUAVとUGVが活躍した」と書かれている。具体的にはアメリカ軍のグローバルホークによる偵察を指しているものと思われるが、慣れない(アメリカから見れば)外国の地で偵察するリスクを抑えるために使用したのだろう。すでに他国で実績もあるし。(ちなみにUGVが震災で活躍した話は聞いたことがないのだが…)リスクを抑えたいアメリカと複数の情報ソースを持っている日本とでは、状況が異なるということだ。日本にとって、わざわざUAVによる偵察を行うメリットはない』
http://kiyotani.at.webry.info/201403/article_11.html

実際には国内外の複数のUAVやUGVが使用されていました。これは普通にニュースをチェックしていれば素人でも分かる話です。

つまり水野氏は素人以下の知識とリサーチ力を元に批判を(しかも上から目線で)おこなっているわけで、しかもそれを指摘されると「無かったことにして誤魔化そう」としているわけです。失笑を禁じえません。


また、水野氏は、以下のようにも書いておりました。
「その前提としては、情報収集衛星やJAXAの「だいち」による被害状況の観測が行われていたことがある」

これは素直に読めば人工衛星(それも偵察衛星ではない)さえあればFFRSなどUAVは必要ないと読めます。

都合の悪い指摘はすべて無視するのが防衛省のHPでもお名前が紹介されていらっしゃる、防衛省御用達雑誌、MAMORのライターさんのクオリティなのでしょうか。



防衛省の月刊MAMORのページ
http://www.mod.go.jp/j/publication/kohoshiryo/mamor/prof.html


月刊MAMOR HP
http://www.fusosha.co.jp/magazines/mamor/



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<防衛産業も営利企業>政府は防衛産業の持続可能な利益確保の必要性を国民に説明すべき
http://japan-indepth.jp/?p=5052

<武器禁輸緩和>安倍政権は「防衛装備生産基盤の危機回避」という本意を国民に説明せよ
http://japan-indepth.jp/?p=5014

<200億円の海自P-1哨戒機>性能も怪しい高コスト機の開発ではなく現有機の近代化を
http://japan-indepth.jp/?p=4818

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しました
ロシアとウクライナが簡単に刀を抜けない理由
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014041500002.html

知られざる日本発のクールジャパン的ヒット商品「エア・ソフト・ガン」はなぜ市場を失いつつあるのか?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014032400011.html

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先細る防衛産業 中小こそ輸出のチャンス 国はバックアップを

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
水野氏は情報収集と分析に金と手間暇をかけない、という部分が飼い主の防衛省と似ているわけですね。類は友を呼ぶ、とはよく言ったものです。
ひゃっはー
2014/04/17 13:59
清谷様

ご紹介いただいた防衛省の「月刊MAMOR」のサイトを見ると、大変失礼ながら、専門誌にもかかわらず、専門家がどなたもいらっしゃらないように見受けられます。

これは何らかの意図があるのでしょうかね。
ブリンデン
2014/04/17 18:07
自衛隊のUAVが飛ばなかった事そのものが大失態でしかない。この御用ライターに限らず、バカげた言い訳が多くて呆れますよ、二次被害が〜とか混乱した現場で〜とか、二次被害の可能性が無くて混乱してない緊急事態の現場なんてあるわけない。
マリンロイヤル
2014/04/17 18:37
お疲れ様です。

バカや無能で根性が腐っている者というのは、
自分のバカさ無能さを指摘されると絶対に受け入れられないのです。(その小心者さで通用する範囲で、ですがw)
だから生涯かけてそのバカさ無能さを維持できるのです。
そういう日本人をうんざりするほど見ています。
(なぜか外人でそこまでの奴らを見たことが、、あったかな?なかったかな?程度w)

そういう奴らは狂人予備軍でもあります。
unimaro
2014/04/17 22:07
この手の人、内容に反論されるのはさぞご苦労なことと思います。

ただ敢えてもうしあげるならば、清谷様にも指摘されているようなことがご自身にも散見されることです。

たらればで書かれていることや、間違いを訂正されないこと、時に、ここのコメントに対しても言葉汚く反論されることなどは、感心しませんし、残念に思います。
折角素晴らしい知見をお持ちなわけなのに…

それとこの手の装備で、かつ新種ですので、導入の責任は陸幕の装備部長ではなく、防衛政策局、運用企画局と調整、同意を得て決めた経理装備局長にあります。

あとこの装備ですが、訓練環境もあまりない、かつ訓練するに必要な予算もあまりないので、実戦運用するには低練度な状態ですので、あの時に使わなかったのは正解です。

装備させておきながら訓練環境の整備をしない、訓練や運用に必要な予算をつけない内局のお粗末さにはあらためて呆れ返る次第です。
黄昏坊
2014/04/17 23:16
戦時なら自衛隊から民間ヘリにどけと言えそうですが災害時でしたからねえ

管制に頼らず機長の判断で飛行出来る有人機の方が扱いやすかったのかも
災害ならFFOSよりRPH-2の方が向いてそうですがどうなんでしょうね
第9
2014/04/18 05:26
第9さん
まず、UAVの飛行が期待されたのは福島原発の上でしょう。あの時、民間のヘリや航空機がブンブン飛び回ってたとは思えません。管制うんぬんは飛ばないための言い訳じゃないですか。
マリンロイヤル
2014/04/20 09:10

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