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zoom RSS 油の中東依存は依然 我が国にエネルギーの安全保障戦略なし

<<   作成日時 : 2014/03/27 14:16   >>

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 昨年「国家安全保障戦略」、と新たな「防衛計画の大綱」が発表されました。

 ところがエネルギーの中東依存を減らすという話がどこにもありません。唯でさえ大震災後に化石燃料の輸入が増えているのですが、政府は平気のへっちゃらです。

 米国は中東のへのエネルギー依存を減らしています。軍を使って合成燃料の普及をはかったり、シェールガスやシェールオイルなどの増産も盛んになっています。ここ1年ほどで日本のメディアはやっとシェールガスについて書くようになりましたが、合成燃料については殆ど記事が存在しません。

 米国は非石油由来(天然ガス、シェールガス、石炭、バイオマスなど)の合成燃料の普及に
力を入れています。その尖兵が軍です。米軍、特に空軍の航空燃料は半分合成燃料です。海軍にしても合成燃料が増えています。この動きは航空業界にも広まっており、我が国でもJALや全日空も合成燃料使用に動いています。

 よくグリーエネルギーとか呼ばれるので誤解がありますが、昨今トウモロコシなんぞを元にしたバイオのリソースはシェールガスなどに比べて割高ですから使用が減っております。米国は補助金までだしているのですが、バイオ由来原料減少の傾向は更に加速されるのではないでしょうか。
 
 我が国の輸入燃料では運輸用の燃料、特に自動車がかなりの比率を占めています。

運輸部門には、乗用車やバス等の旅客部門と陸運や海運、航空貨物等の貨物部門があり、第一次石油ショック当時に比べて、2倍エネルギーを消費しています。増加の主な要因としては、自動車保有台数の増加が挙げられます。旅客部門においては、鉄道、バスの割合が減少し、乗用車の割合が増えており、貨物部門においては、鉄道、海運の割合が減少し、トラックが増加しています。また、乗用車のエネルギー消費原単位は、他の輸送機関に比べ大きくなっています。
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/energy-in-japan/energy2010html/japan/

 ガソリンにしてもディーゼル燃料にしても、灯油にしてもその多くは石油から製造されています。これを天然ガスや石炭、バイオマスなどの多様な原料を元したFT合成燃料に移行していけば、中東依存を減らせます。電力に関してはかなり天然ガスを利用した発電所にトレンドが移りつつあります。
 
 現在中東ではシリアは内戦、エジプトも混乱しています反政府側は原理主義的な傾向が強く、彼らが民主的な選挙を経て政権をとればイランのような国が増えるわけです。世俗主義のトルコですらその傾向が見え始めています。

 中東が不安定になる要素は山のようにあります。ところ我が国は未だにエネルギー(原油や天然ガス)の供給を主として中東に頼っています。
 またシェールガスの普及にともなって天然ガスの価格は下落傾向にありますが、原油は高止まりが続いております。中東で戦争でも起きれば価格は上昇するでしょう。

 天然ガスに関していえば、極東ロシアからパイプラインで引くことができれば、冷却プラントを作る必要がないので、価格は大幅に安くなる可能性があり、また中東依存度を減らすことができます。当然これを原料に化学製品や燃料を作ることも可能です。
 もっともパイプラインはかなりの距離であり、政治的なリスクもあるのでその辺りの問題をある程度解決できる算段を持っておくことは必要でしょう。

 合成燃料の原料には不要な木材チップや藻なども利用が可能で、ソースの多様化が図れる、その一部は国内からの調達が可能でしょう。無論コスト的に引き合うかどうかは現時点では微妙ですが、研究したり、導入したりしてみることは無駄ではないでしょう。

  早急に石油依存率を下げて合成燃料の普及に着手すべきだと思うですが、政府にはその気はないようです。
 
  尖閣だ、靖国だと勇ましいこというけど、本音では安全保障を考えているのでしょうか。

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しました

知られざる日本発のクールジャパン的ヒット商品「エア・ソフト・ガン」はなぜ市場を失いつつあるのか?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014032400011.html

月刊WEGDE4月号に以下の記事を寄稿しています

先細る防衛産業 中小こそ輸出のチャンス 国はバックアップを

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コメント(4件)

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オバマ大統領とプーチン大統領が来月と秋に日本に来る目的は、シェールガスを売り込むことなんですよね。なんだか今年の日本は、外交上ものすごく大きな分岐点に差しかかっているように思えます。
ひゃっはー
2014/03/27 18:19
のど元過ぎれば……じゃないですが、日本人の習性なんでしょうね。戦前も石油で切羽詰ってから大騒ぎし始めて、山本五十六なんて水からガソリンが造れる詐欺にダマされたり、松岡洋介は日ソ中立条約と引き換えに北樺太の油田の利権を放棄したり、長期的な視点が何も無いのは伝統芸能みたいなモノですよ。
マリンロイヤル
2014/03/27 19:34
お邪魔します。
 日本が合成燃料に不熱心なのは、

・「中東はアメリカがきちんと押さえておくに違いない」と考えて(高を括って)いる。

 国同士の力関係は兎も角、民衆レベルのイスラム(原理主義)の台頭には対処し切れない?

・中東及び石油からの依存の脱却は原子力に一本化している。

 アメリカと違って原潜や原子力空母の無い日本では、一本化をやめたら関連の人達が飯を食えなくなる?

・課税ですったもんだしたくない。

 かつてガイアックスというアルコール系燃料が潰された。尤も

・ガソリン(炭化水素)の使用を前提とした車で、物性が水に近いアルコールを使うのは問題がある。

・アルコールを酸化するとアルデヒドになる。

といった問題はありましたが。

からと思われます。こういった事はやはり「政・官」よりも「民」が敏感ですから、日揮はアルジェリア(痛ましい結果になりましたが)やベネズエラ(アメリカがシェールガスの比率を増やし、パナマ運河が拡張されれば、中南米から石油が買える?)に進出しているのでしょう。後メタンハイドレートの採掘が軌道に乗れば、それを利用した合成燃料の利用が進むかも知れません。
ブロガー(志望)
2014/03/30 11:21
プレジデントに面白い記事があります。
飯島参与が執筆しています。
カタールからの依存を減らすのは知っていましたが、
その根拠に驚きました。
情報収集活動についても述べられています。
首相側近の記事なので読む価値ありますよ。

プーチンとオバマ、日本はどっちにつくべきか
http://president.jp/articles/-/12216

ブッシュJr政権に対する
国際世論の評価は低いと感じていますが、
政権の中核は石油メジャー出身者で固められ、
その為にエネルギー政策は
トップクラスではなかったかと思います。
政権の良し悪しは
地政学と連動したエネルギー政策が
重要な判断材料になるのではないでしょうか。

ちなみに安倍政権は米国政府に対し、
シェールガス対日輸出を働きかけていました。
今はウクライナ問題で
欧州に輸出すべきだとする意見が
米議会で聞かれますが
規制緩和等の障害があるそうです。
名無し
2014/04/03 15:04

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