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zoom RSS 結論ありきの防衛省のグローバルホーク導入決定

<<   作成日時 : 2014/01/01 16:23   >>

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 あけましておめでとうございます。

尖閣警戒で空自、無人機を15年度に三沢配備へ
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131230-OYT1T00839.htm?from=main1

 防衛省は、2015年度に初めて導入する予定の無人偵察機「グローバルホーク」を、航空自衛隊三沢基地(青森県)に配備する方針を固めた。

 この話は以前から市ヶ谷でも聞いていたので、多分その通りなのでしょう。AAV7やオスプレイなどと同じで、はじめに採用ありきの政治的決断です。
裏口入学三兄弟ですね。

防衛省の来年度政府予算案では、
「対空型無人機の導入に向けた検討」という項目があり、具体名がありません。が、初めからグローバルホークの一択です。まるで共産国の「民主的選挙」みたいなものです。

 実は防衛省内では運用も仕様もロクに検討されていません。
 はじめに採用機機種を決定し、採用後にどうやって使うかを決定するようです。
 機動戦闘車も同様ですがあまりにこの手の杜撰な採用が多すぎます。

 この時期に読売にリークしたもの、もう政府予算が決まったからひっくり返らないという読みがあるからでしょう。

 防衛省は三沢基地や硫黄島にグローバルホークを配備するようなことを考えているようですが、三沢から尖閣までは2300キロ、同じく硫黄島からは1800キロで極めて遠い。

 であれば、MALE (Medium Altitude Long Endurance:中高度長時間滞空)UAVを沖縄に配備した方が合理的です。沖縄から尖閣諸島までの距離は概ね500キロです。ということは三沢から尖閣までの航続距離の1800キロ、硫黄島からは1300キロの距離は無駄であることになります。コストは数分の一あるいは一桁安く上がるでしょう。

 無論MALEクラスのUAVと高高度を飛行する大型のグローバルホークでは搭載するセンサーが異なるし、また高高度飛行をすることによる被撃墜可能性は低くなります。
 ですが、そのような機能が必要かどうかの検証は、ぼくの取材する限り防衛省では行われておりません。

仮に三沢か硫黄島にグローバルホークを配備し、24時間絶え間なく監視するのであれば、整備などを考慮すれば、かなりの機数が必要になります。

 グローバルホークの調達価格はミッションパックの仕様によって大きく変わりますが、我が国がFMS経由で調達するならば250〜300億円程度にはなるでしょう。
これを5機調達するならば1250〜1500億円程度のコストが掛かります。更には地上局のコストも掛かります。また機体は737に匹敵し、それなりに維持費もかかります。

 むしろ先述のようにMALEに分類されるUAV、例えばIAIのヘロン、トルコのアンカ、ジェネラル・アトミクス社のプレデターやその派生型なども候補として真剣に検討すべきです。
 
 あるいは有人機の方がむしろコスト的に安く、有用な場合もあるでしょう。例えば不要となるP-3Cを使用するとか。その場合操縦手のみが搭乗し、ミッションシステムの運用は地上局で管理してもいいでしょう。


防衛省はまず、南西諸島監視において何がやりたいのか、そのためにはどのような手段が必要なのか、コスト的には何が有利であるかということを真剣に検討すべきです。

 こどもがお年玉で、後先を考えずに玩具を欲しがるようなことに、血税を投入すべきではありません。

以下は12月24日の防衛大臣記者会見のぼくの質問です。
http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2013/12/24.html

Q:韓国からの弾薬の要求ということは、5.56mm以外の要求というのはあったのでしょうか。それとも、5.56mm弾だけだったのでしょうか。
A:今回、私どもが現地から報告を受けているのは5.56mm弾のみの要請というふうに承知をしております。

Q:中期防で水陸両用車とオスプレイと思われるティルトローター機の調達が明記されているのですが、両方ともまだ十分な評価をしていない段階だと思います。AAV−7に関しては先日報道官の方から平成26年度中に評価を行うという回答があったのですけれども、平成26年度中ですとAAV−7指揮通信型、回収型が到着していないということで、APC型のみで判断をすると。そうすると、そもそもなぜ指揮通信型と回収型は評価目的で購入しているのかということになりますし、オスプレイに至ってはそういう評価を全くしていない段階で既にもう中期防で調達を決めるということで、すごく拙速な感じを受ける。何か政治的な導入をしなければ行けないという理由が両方ともあるのでしょうか。
A:私どもは、部隊から様々なヒアリングをする中でこのような装備についての検討を行っております。今日具体的な予算についてのレクチャーがあるというように聞いておりますので、そこでしっかり聞いていただければありがたいと思います。

Q:住友重工の指名停止の件なのですけれども、機関銃関係で非常にデータなんかに一貫して不備があったということで、これに関して5ヶ月というのは非常に軽いのではないかと思うのです。74式機銃を調達された時期ではじめから全てデータが偽装されていると。これに関して例えばもう少し重たい処置はないのか、あとは例えばM2であるとかMINIMIに関しては外国からの輸入に切り替えるということは考えていないのか、あとは過去の損害賠償などは考えていらっしゃるのでしょうか。

A:この問題については、担当部局から私の方に報告があった時点から、ある程度時間をかけての対応について協議させていただき、内部でかなり検討して、最終的には報告も受けております。いずれにしても、今日終わった後細かく説明させますので、そこでお話をしていただければと思います。



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民主主義・法治の危機〜国家安全保障会議(日本版NSC)と特定機密保護法は警察官僚に支配される(2/2)
http://japan-indepth.jp/?p=1824

防衛省・技術研究本部に実戦的な装備は開発できるのか@〜リモート・ウェポン・ステーションとは何か?
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防衛省・技術研究本部に実戦的な装備は開発できるのかA〜必要な調達をする気のない自衛隊と必要ない装備を技術実証する技術研究本部の悪すぎる連携
http://japan-indepth.jp/?p=1720

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(上)――トルコの狙いは何か?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013112500006.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(下)――日本がパートナーを組むべき国はどこか?


アベノミクスで食材偽装が増える?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013111100009.html


機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(中)――脆弱な防御力
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110100004.html?iref=webronza

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
お邪魔します。

>こどもがお年玉で、後先を考えずに玩具を欲しがるようなことに、血税を投入すべきではありません。

というよりも前にも書きましたように

制止する行員に向かって「嘘でもいいから振り込ませてくれ」と言う身内が借金を背負った、または事件や事故の加害者になったと騙されるタイプの振り込め詐欺の被害者

だと思います。兎に角優秀・強力とされる兵器を導入しなければ不安でたまらないわけで、「導入しても十分に戦力化できないよ」または「そんな事をしたら全体としての防衛力は却って低下するよ」と言ったところで「戦力にならなくても、戦力が低下しても導入させてくれ」になるのだと思います。その根本には戦争をあたかも「(国同士の)一対一の決闘・またはデスマッチ」のように考えているのかもしれません。「いかなる手段を用いても破壊されない家」はICBMサイロでも完璧では無いかも知れませんが、鍵を二重にするだけでかなりの窃盗被害は防ぐ事は可能なのでは(適切な防犯意識と知識があれば)。
ブロガー(志望)
2014/01/02 07:37
新年、明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。さて私も件の記事を読みました。相変わらず、その機体を導入する必要性とか、他の機種と比較したといった内容は皆無でありまして、完全な提灯記事ですね。大新聞の皆様方は、それらの装備品が税金でもって購入されているという意識がゼロなのか、或いは防衛省に都合が悪い記事は書かないのかの、いずれかなのでしょうね。
KU
2014/01/02 12:31
>裏口入学三兄弟ですね。
昔、海保でも導入の可能性があると言われました、
当時の大物元事務次官とY社の癒着で
話が流れたという話しを聞きます。

防衛省は以前から高高度無人機導入を
模索していたので
その際、プロペラ機が候補から消えたようです。
防衛省が対北朝鮮という枠組みを
根拠にしたのは
RQ-8シリーズが空軍仕様だったことや
尖閣等の海上監視は分類上哨戒になるので
海上自衛隊の管轄になり、
航空自衛隊がそれを目的にするのは
軍事的な縦割りの視点で
不味いという判断もあったのではないでしょうか。
また、米国からの運用・整備ノウハウを
獲得したいという目的もあると思います。
尖閣問題に対する指摘には同感で
将来的には海軍仕様MQ-4Cも候補として
空自とは別途、
海自仕様として望ましいと思います。
米海軍はP-8ポセイドンを対潜任務に専念、
MQ-4Cに哨戒任務を割り当てることを
視野に入れています。
防衛省が高高度型に固執しているのは
地平線という障壁により
(低空である程、見通し線との距離が短い)
探査範囲が広い機種の方が利便性が
良いという判断材料があったのかも知れません。
以上の基準が防衛省の動機であるとすれば
消去表ではグローバルホークが
最有力になることも説明がつきます。

ただ、

>何がやりたいのか、
>そのためにはどのような手段が必要なのか、
>コスト的には何が有利であるかということを
>真剣に検討すべきです。

この点については一点の差異なく
あらゆるプロキュアメントを含め、
完全に同意します。
名無し
2014/01/02 13:46
続きですが・・・

>防衛省はまず、南西諸島監視において
>何がやりたいのか、
>そのためにはどのような手段が必要なのか、
>コスト的には何が有利であるかということを
>真剣に検討すべきです。

この点については一点の差異なく
あらゆるプロキュアメントを含め、
完全に同意します。
F-15J後継、F-2後継、オスプレイ、
水陸両用車選定等、
防衛省で示唆してきたこれらの候補は
任務遂行に足りうる
性能があるとは思う一方、
候補を決めてからRFP等を出している
傾向が伺えることは
プロキュアメントのあり方としては不味いです。
防衛装備施設本部の機能否定であり、
形骸化は腐敗の温床にもなりかねません。
会計検査院の機能強化等で
プロキュアメントの監視機能を
高める必要があるのではないかと思います。
防衛省防衛監察本部も
装備調達の適正化が更なる積極的な
関与も必要となります。
名無し
2014/01/02 13:47
あけましておめでとうございます
ウラジオ沖でロシア軍が演習してる時に、EP3が北海道のちょっと西の空域までしか飛んでないのを見て、呆れた覚えがあります。今ある有人偵察機が、もっと頑張って接近して偵察してくればいいだけなんじゃないかと思います。
マリンロイヤル
2014/01/02 14:38
 無人偵察機なら、もし^^;撃墜されても、人的被害だけは、発生しないからそこだけは
いいとしても。
 機体だけで基本25億、システムとしても導入に数百億かかる模様。
 機体に戦闘力は持たせないそうだけど、25億が(しかもロクに使えずに)撃墜されても困るよね。
 自衛能力くらいは文字通り欲しいわ。
ぴえ
2014/05/24 17:17

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