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zoom RSS トルコ、次期主力戦車用に三菱重工とエンジン開発に前向き

<<   作成日時 : 2013/12/28 16:30   >>

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トルコ、三菱重工とエンジン開発 次期主力戦車に採用
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2703A_X21C13A2FF1000/

トルコ政府が、日本の三菱重工業と共同開発を目指すエンジンと変速機を次期主力戦車に採用し、2016年にも陸軍に配備しようとしていることが明らかになった。主力戦車の第三国への輸出にも前向きだ。防衛産業の育成に向けて戦車以外の分野での日本との協力も検討している。

既にこの件はブログでもWEBRNZAでも取り上げております。

有事を考えるならば、「国産兵器」はやめた方がいい。
http://kiyotani.at.webry.info/201308/article_14.html

その後日経の記事が記事を書いております。

戦車エンジンでトルコに協力か 清谷信一公式ブログ 清谷防衛経済研究 ...
http://kiyotani.at.webry.info/201311/article_9.html


日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(上)――トルコの狙いは何か?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013112500006.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(下)――日本がパートナーを組むべき国はどこか?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013112600004.html

当初の日経の記事はエンジンの共同開発とありましたが、今度の記事ではぼくがWEBRONZA に書いたように、エンジンだけではなく、トランスミッションを含めたパワーパックの開発であることを報じています。

トルコと組むというのは非常にいいアイディアで、ぼくも前から主張してきたことです。欧州と共同開発といっても英仏あたりと組むと中々対等にやるのは難しいでしょう。

今回の話は三菱重工も乗り気のようです。というのは原子力発電所の受注もありますが、トルコを拠点に進出しようという算段があるからです。

トルコは中東、ロシア、中央アジア、アフリカ、欧州に近いという地の利あります。また人口はドイツに匹敵し、その半分は30歳以下で、勤勉な国民性で将来性があります。
ですから三菱重工はその拠点にとも考えているのでしょう。MRJの事業参加も視野にいれているのかも知れません。

来年早々トルコの首相が来日するようなので、このあたりの話が加速する可能性は高いでしょう。

かつてトルコの軍事産業はライセンス品の生産が多かったのですが、現在は多くの国産装備が開発、生産されており、素材やパーツ、コンポーネントの国産化も進んでいます。2003年に25パーセントだった軍装備の国内生産率は、2011年には54パーセントになっています。
軍事産業従事者は約5万名(うち軍の工場が1万5千名)で、売り上げは4380億円、研究開発には約672億円を投じています(2011年度)。過去10年で防衛航空宇宙産業の売り上げは4倍、輸出は5倍、研究開発は10倍に増えています。

防衛省内も割合にこの話には乗り気なようです。もっとも英仏独とかブランドじゃないと嫌だとという物欲OLみたいな人たちも多いようですが。

ですが、この話にはリスクもあります。アルタイの主契約社である、オトカ社は装輪装甲車メーカーで、戦車は勿論、装軌装甲車の経験がありませんでした(今年のショーで装軌式のICVを展示しましたが)。トルコの戦車の整備や近代化は軍の工場が担当してきました。
常識的に考えれば装軌車輌メーカーのFNSS社が受注するはずの仕事でした。かなり政治的な思惑が入っております。

技術的に開発が頓挫する可能性があります。これを織り込んでおくべきです。
またアルタイのシステムや、電子機器を担当しているアセルサン社はレオパルト2の近代化を提案しています。これはアルタイ用のシステムを移植し、ドイツのIBD社の装甲システム(ラインメタルも採用したもの)を併せたものです。

我が国はアルタイが頓挫しても、その場合レオパルト2の近代化にアルタイ用に開発した、パワーパックを採用するというコミットメントをとっておくべきです。そうでないと、技術だけ供与して実りがない、という事になります。
パワーパックはその他の第三世代戦車にも使用できますから、一定の輸出が見込まれるでしょう。

武器輸出制限に関しては「汎用品」で押し切るのが一番無難です。何しろ今すぐにでもできまます。欧州各国だって中国に戦車用のエンジンを「汎用品」として輸出したり、現地生産したりしています。

 それからこの記事では、以下のようなことも報じています。
トルコは無人機を開発しており「予算や時間の節約のために協力できる」と呼び掛けた。赤外線探知機や、潜水艦と艦船のための燃料電池システムの共同開発に期待を示した。

 これはTAI社が開発した(中高度長時間滞空)型のアンカを指しているのでしょう。アンカは全幅17.3メートルでペイロードは200キロ、155馬力エンジンを搭載、巡航高度3万フィートを24時間滞空できます。
最大データリンク可能距離は200キロとなっています。センサーは光学・電子センサー、各種レーダーなどが搭載できます。またC-130輸送機で空輸が可能です。

現在防衛省は初めからグローバルホークの採用ありきで、大型UAVの導入を「検討」していますが、むしろアンカに相乗りする方がいいでしょう。
南西諸島の監視には十分でしょう。センサーを含むミッションパック、ソフトウェアなどは日本で国産すればいい。そうすればこれを輸出することも可能です。
コストはグローバルホークに較べて圧倒的に安い。何しろ防衛省の中でもはじめにグローバルホークの採用ありきで、運用なんてろくに考えてないようですから。そこまでして米国に貢ぐ必要はないでしょう。

画像

アンカ

トルコで主に暗視装置(ナイトビジョン)を開発、生産しているのはアセルサン社ですが、光電子増倍管は輸入に頼っています。主にフランス製らしいのですが、実は我が国の浜松ホトニクス社はこの分野では米ITTや仏PHOTONIS社を遥かに凌いでるそうです。現在浜松ホトニクス社は軍事市場に参入しておりません。米仏は同社が軍事市場に参入することに戦々恐々しているらしいです。もっとも社内的には軍事参入は結構抵抗があるようです。

いずれにしてもトルコとの共同開発は真剣に進めるべきだと思います。ただトルコも相当したたかです。何しろアラブ商人やロシア人、インド人など渡り合っている連中です。
尻の毛まで抜かれることのないような体制で望む必要があります。

以下は12月24日の防衛大臣記者会見のぼくの質問です。
http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2013/12/24.html

Q:韓国からの弾薬の要求ということは、5.56mm以外の要求というのはあったのでしょうか。それとも、5.56mm弾だけだったのでしょうか。
A:今回、私どもが現地から報告を受けているのは5.56mm弾のみの要請というふうに承知をしております。

Q:中期防で水陸両用車とオスプレイと思われるティルトローター機の調達が明記されているのですが、両方ともまだ十分な評価をしていない段階だと思います。AAV−7に関しては先日報道官の方から平成26年度中に評価を行うという回答があったのですけれども、平成26年度中ですとAAV−7指揮通信型、回収型が到着していないということで、APC型のみで判断をすると。そうすると、そもそもなぜ指揮通信型と回収型は評価目的で購入しているのかということになりますし、オスプレイに至ってはそういう評価を全くしていない段階で既にもう中期防で調達を決めるということで、すごく拙速な感じを受ける。何か政治的な導入をしなければ行けないという理由が両方ともあるのでしょうか。
A:私どもは、部隊から様々なヒアリングをする中でこのような装備についての検討を行っております。今日具体的な予算についてのレクチャーがあるというように聞いておりますので、そこでしっかり聞いていただければありがたいと思います。

Q:住友重工の指名停止の件なのですけれども、機関銃関係で非常にデータなんかに一貫して不備があったということで、これに関して5ヶ月というのは非常に軽いのではないかと思うのです。74式機銃を調達された時期ではじめから全てデータが偽装されていると。これに関して例えばもう少し重たい処置はないのか、あとは例えばM2であるとかMINIMIに関しては外国からの輸入に切り替えるということは考えていないのか、あとは過去の損害賠償などは考えていらっしゃるのでしょうか。

A:この問題については、担当部局から私の方に報告があった時点から、ある程度時間をかけての対応について協議させていただき、内部でかなり検討して、最終的には報告も受けております。いずれにしても、今日終わった後細かく説明させますので、そこでお話をしていただければと思います。


新しいウェブニュースサイト、NEXT MADIA Japan In-Depthに寄稿しております
安倍政権の安全保障軽視が露呈!やっつけ仕事の国防計画?〜安倍首相はまともに安全保障を考えていない
http://japan-indepth.jp/?p=1956
これではまるで中国政府の記者会見だ!」〜情報発信強化を謳いながら、安全保障報道で外国メディアを差別する安倍政権
http://japan-indepth.jp/?p=1939
低性能でも価格は数倍から10倍の国産小火器〜住友重機が防衛省に納入していた機関銃データの改竄も露呈
http://japan-indepth.jp/?p=1930

夢想的な平和主義者ではなかったネルソン・マンデラ〜武装組織への上手な処遇が生んだ安定政権
http://japan-indepth.jp/?p=1900
「軍事産業は国の財産」と演説した現実的政治家ネルソン・マンデラの死と「最後の未開拓巨大市場」南アフリカの現在
http://japan-indepth.jp/?p=1919

防衛省・技術研究本部に実戦的な装備は開発できるのか@〜リモート・ウェポン・ステーションとは何か?
http://japan-indepth.jp/?p=1703
防衛省・技術研究本部に実戦的な装備は開発できるのかA〜必要な調達をする気のない自衛隊と必要ない装備を技術実証する技術研究本部の悪すぎる連携
http://japan-indepth.jp/?p=1720

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
陸自の水陸両用装甲車、AAV7導入は裏口入学だ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013122500002.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(上)――トルコの狙いは何か?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013112500006.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(下)――日本がパートナーを組むべき国はどこか?


アベノミクスで食材偽装が増える?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013111100009.html


機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(中)――脆弱な防御力
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110100004.html?iref=webronza


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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
またぞろ、平和大好きな野党の方々やら自称市民団体な皆さんが、「日本を死の商人にする気か!?」とかなんとか騒ぎそうですね。最も、こと国会議員のセンセイ方に関して言えば、ごく一部の人を除けば、戦車と装軌式装甲車の区別もつかないでしょうし興味も無いのでしょうけれど。そもそも今回の話に興味を持つ議員のセンセイは、いったい、何人いるのでしょうね。うっかりすると我が国にとってのメリット云々を考えるどころか、単なる利権の場になりそうですが。
KU
2013/12/28 16:48
トルコとのパワーパック共同開発は、リスクはあるもののメリットは大きいと思います。
しかし一つ気になるのが、トルコと韓国の関係です。もともと、アルタイは韓国のK-2用のパワーパックが予定されていたと思います。しかし、それがポシャって三菱重工にお鉢が回ってきました。
心配しているのは、ある程度形になったところで、トルコ経由で韓国に技術情報が流れることです。あの国は、表では日本の技術などいらんと言っていても、裏では平気でパクるでしょう。そして韓国の自主開発だと、シャーシャーと言うでしょう。
日本政府なり三菱重工は、そのあたりの対策を立てているのでしょうか?
PAN
2013/12/29 04:35
うろ覚えですが、このニュースが出た後でシリア政府が、トルコやサウジのようなろくでもない国を利するようなことを、日本はするべきではない、みたいなことを言っていました。ゆえに、トルコとの関係強化は同時にシリアとの関係悪化につながるリスクを有すると思います。
ひゃっはー
2013/12/29 16:20

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