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zoom RSS F-2戦闘機の調達削減は石破氏のせいか

<<   作成日時 : 2013/11/28 15:41   >>

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 F-2戦闘機の調達削減は当時防衛庁長官だった石破氏の鶴の一声で決まった。
 そのように信じている人たちが多いようです。が、それはありえない話です。
 
 それは床屋談義やTV前の野球評論並の見識です。

 「たかが防衛庁長官」が反対したくらいで戦闘機の調達削減なんぞできません。
 大臣にはそんな力はありません。

 官僚組織と防衛産業の力は極めて強大です。特にそのころまで、防衛庁長官なんぞは、大臣製造ポストと見られており半年で首がすげ替わっておりました。言うまでもありませんが、大蔵や外務あたりの大臣などと較べてかなり「軽いポスト」と認識されていました。
 防衛庁長官(大臣)が官僚組織を向こうに回して、独断の決断を下すなんてまずできません。

 実際海自の哨戒機P−1の開発は石破氏が強行に反対したにもかかわらず、寄ってたかって攻められて、開発することになりました。
 当時石破氏は自分が反対したことは記録にとどめておけと主張しました。
 この話は結構記事になっており、有名な話です(多分、石破氏は「デスノート」に当時のP-1推進派の名前を書いていると思うぞ)。

 しかも海幕はP-3Cの期待寿命をかなり短く「捏造」して寿命がもうありません、と主張していました。ですが、大臣にはそれを検証する手段がありません。入っていくる情報は防衛省の官僚か制服組ばかりで、彼らは自分たちに不利な情報を政治家に上げません。

 ですから石破氏がNBC装甲車も新型が完成するまでつなぎを海外から導入することをも道路法の規制でダメだと説明され、石破氏は諦めました。ですがぼくが国交省に取材した結果は特例扱いで可能ということでした。当然防衛官僚はそんなことは百もご存知です。
 嘘は付いていないけど事実も報告しない、というのは役人の常套手段です。
 
 ですから、その情報を大臣には上げなかったわけです。輸入されると困る大人の事情があったのでしょう。近年このことをぼくは石破氏にお会いした時に申し上げたのですが、その時石破氏は憮然とした顔をしておりました(この担当者の名前もきっとデスノートに書かれているぞ)。
 
 F-2の調達削減は空幕もあれこれ問題があることを認識していた、そのように考えるべきです。実際数年前までレーダーも不具合が合ったぐらいです(MHIは直ったといっていますが、直っていないという情報もあります)。
 またF-2の維持費はF-15Jよりもかなり高いという問題もあります。

 F-2削減では石破氏と空幕の意見が一致した、というところでしょう。

 情報を評価するときに、思い込みや願望、その事象だけをミクロの視点で見ていると見誤ります。いわゆる木を見て森を見ないというやつです。フレームを引いてみると、事実が見えてきます。

 因みに調達削減前まで、空幕広報はF-2には問題があります、早く直したいといっていたのに、削減が決まった途端、F-2に問題なんぞありません。不具合の報道?そんなものは全部インチキです!!!と露骨に態度が変わりました。
 
 恐らく「石破犯人説」の人たちは、F-2は傑作機である。空自は常に正しい。だから石破が勝手に決めたのだ、と決めつけているのでしょう。
 こういう思考ルーチンを持っている人たちは真実にたどり着けません。床屋談義は所詮床屋談義です。

 ですからいつも申し上げているように、希望や願望を核にして論を建てるのは極めて危険、ということです。



>新しいウェブニュースサイト、NEXT MADIA Japan In-Depthに寄稿しております
[仏パリ“ミリポール”リポート]防衛産業の輸出を阻害しているのは防衛産業を擁する大企業トップの無知蒙昧と保身
http://japan-indepth.jp/?p=1508

続報】「皆様のNHK」の誠意に疑問@〜問題が発生したら無視を決め込む公共放送は許されるのか
http://japan-indepth.jp/?p=1480
【続報】「皆様のNHK」の誠意に疑問A〜外国メディアやフリーランスに下げる頭はないという本音
http://japan-indepth.jp/?p=1483

調達自体が目的化した陸上自衛隊の10式戦車は税金の浪費〜根拠のない国産兵器崇拝は一種のカルト
http://japan-indepth.jp/?p=1404
陸上自衛隊の遅れた設計思想に疑問〜戦車だけで敵に勝てるのはゲームの中だけ
http://japan-indepth.jp/?p=1392

陸上自衛隊の時代遅れな最新型戦車」の量産に疑問〜1千億円の開発費と毎年10輛・150億円に効果はあるか@
http://japan-indepth.jp/?p=1255
陸上自衛隊の時代遅れな「最新型戦車」の量産に疑問〜1千億円の開発費と毎年10輛・150億円に効果はあるかA
http://japan-indepth.jp/?p=1282
陸上自衛隊の時代遅れな「最新型戦車」の量産に疑問〜1千億円の開発費と毎年10輛・150億円に効果はあるかB
http://japan-indepth.jp/?p=1285
朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しています。
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(上)――トルコの狙いは何か?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013112500006.html
日経が伝えないトルコとの戦車エンジン共同開発の真実(下)――日本がパートナーを組むべき国はどこか?


アベノミクスで食材偽装が増える?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013111100009.html


機動戦闘車は必要か(上)――島嶼防衛にもゲリラ・コマンドウ対処にも不向き
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013103100010.html?iref=webronza
機動戦闘車は必要か(中)――脆弱な防御力
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013110100004.html?iref=webronza

陸自の「水陸両用部隊」は米海兵隊の劣化コピーでいいのか(上)――不足する情報収集
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013102300007.html?iref=webronza
陸自の「水陸両用部隊」は米海兵隊の劣化コピーでいいのか(中)――参考になる英海兵隊
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013102400005.html?iref=webronza
陸自の「水陸両用部隊」は米海兵隊の劣化コピーでいいのか(下)――自衛隊はプロ集団の英海兵隊に学べ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2013102500005.html?iref=webronza

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コメント(13件)

内 容 ニックネーム/日時
真犯人は当時の小泉総理の背後に居た財務省では?何故かF22が買えると喧伝されていて、決まってから削減でいいだろうに、先に削減されて変だなと思いました。F2の計画当時は、対艦ミサイル4発搭載可能な戦闘機は存在しておりませんが、完成時はマルチロール化が空自の予想以上に進展し、他の戦闘機は戦闘機としての能力も伸ばした上でクリアーしており、F16の戦闘機としての能力を犠牲にしてクリアーしたF2は時代遅れのシロモノで、調達中止は当然です。
マリンロイヤル
2013/11/28 18:02
Fー2の維持費がFー15よりも高いとは知りませんでした。そうなるとFー2はFー16進化版ですらないわけですね。費用対効果の観点から、Fー15より高いものがFー16より優秀だというのは、何の宣伝文句にもなりません。さらに就役後もしばらくAESAが不完全だったならば、第4.5世代機という触れ込みにも検証が必要でしょう。一体成形の主翼といい、日本独自の開発項目は本当に成功だったのでしょうか。就役時に第4世代機だったならばもはや詐欺です。輸出ができないのを逆手にとって費用対効果の制約を無視するとは、民主主義国家の先進国とはいえません。

2013/11/28 18:07
機動戦闘車の公開日を事前にばらして出入り禁止になったりしないんですか。
木戸銭
2013/11/28 18:14
Alice さん、コメントを掲載しないのは、ぼくや石破さんを批判していることではななく、日本語として意味不明の箇所が多いからです。論点を整理した方がよろしいかと思います。
キヨタニ
2013/11/29 13:51
キヨタニさん、非表示は一向に構いません

自分は松村劭の弟子の上岡龍次さんのファンです

アマチュアの軍事ファンですので、プロには勝てません

ただこのプログや上岡龍次さんの話や他の軍事ファンの話を聞くと何かおかしな感じがします

もうちょっとアナログに人の話を聞く癖を持った方がいいかと思います

話の聞けない男、地図の読めない女です


上岡 龍次(フェイスブック)

https://www.facebook.com/ryuji.ueoka?sk=wall
Alice
2013/11/29 16:01
あ さんのコメントは論点が解離してるように思えます
なんだかサヨクの方が支援戦闘機なのにF-15より高いのはおかしいと言っていたのを思い出す内容です
基本的にF-2の主目的とF-15、F-16の要求仕様は違います
要求仕様を叶えるベース機にF-16を選択しただけでコストがF-16よりかかるのはおかしい、というのはそれこそ難癖ではないでしょうか
ナンダカナー
2013/11/30 20:20
ナンダカナーさんへお答えします。私のコメントの本意は、「Fー2が第4.5世代機として機能していないならば、費用の高騰は正当化できません。清谷氏の指摘を読んで、私は少なくとも就役からしばらくの間は実質第4世代機だったのではないかと思いました」ということです。ちなみに私は、日本の風土で軍事的合理性と費用対効果の両立を実践できるかは懐疑的な立場で、本ブログやその他の文献を読んでいます。Fー16Cblock50やFー16Eへの進化、中国のJー10の改良を考慮すると、対艦ミサイルにこだわったFー2は軍事的合理性があったのでしょうか。よろしければご教示ください。

2013/12/01 15:57
あ さんへ
では 、まず第4.5世代機とは何でしょうか?
第4世代機と第4.5世代機の違いとは何をもって分けるのでしょうか、という問題に行き当たりますね
対艦ミサイルを4発抱えることができるから第4.5世代機ではありませんし、AESAを搭載した初の量産機であるから、と言うのもEF2000からしたら違ってくるでしょう

あと対艦ミサイルを重視しない戦略を取るなら、どういった防衛構想を練れば良かったか、逆にお聞かせ願えませんか?
ナンダカナー
2013/12/01 17:57
お邪魔します。
 防衛官僚にとって唯一怖いのは「国の財布を握る」財務官僚だけなのではないでしょうか(戦前も官官接待で線路上の列車を停めたとか)。で財務官僚は「軍事を知らず、知ろうともしない」ので、それで生まれたものの一つが「戦車もどきで、かつわざわざ能力や費用対効果を減じた機動戦闘車」ではないかと思います。通常民主主義国家では議会(議員)が予算を握る事で軍とかをコントロールしますが、日本の議員(政治家)は「官僚(機構)の上に乗っている”だけ”」「官僚にお願い(支持者の要望)を聞いてもらう」存在なのが問題ではないかと思われます。
ブロガー(志望)
2013/12/01 19:10
ナンダカナーさん、私は自分の考えを押し付けるために返答したわけではありません。私のコメントが文章的に伝わりにくかったようなので、誤解のないように本意の部分を抽出しました。また、相手に説明を求めるときはご自身のスタンスを明示していただかないと、うまく意見交換できないと思います。ここは清谷氏のブログのコメント欄なので、ブログ本文に対する感想や意見を述べる場ですよね。まずはブログ本文に対するコメントをお書きください。

2013/12/01 20:50
ナンダカナーさん
>>第4.5世代機とは何でしょうか?
4.5世代機の定義は曖昧ですが、マルチロール化という点で見ればF2は劣ってますよ。F16並の小型の機体で軽快な機動力を維持したままハープーン6発搭載のユーロファイターと、鈍重なデカい機体ながらアビオニクスで他を圧倒するスーパーホーネット。F2は、F16の機体規模を拡大したためユーロのような軽快さは無く、アビオはスパホに及ぶべくもない中途半端な存在です。AAM4を撃てるようにはしましたが、これ以上の伸びしろは無いでしょう。エンジンとアビオは日本の航空産業の弱点ですから。

>>対艦ミサイルを重視しない戦略を取るなら、どういった>>防衛構想を練れば良かったか
F2開発はせず、F15導入も100機程度に留め、F16を大量導入します。まず、各航空隊司令官がF16の数的優位を持って迎撃し、航空総隊司令官がF15全機を指揮下に置き、重要と判断した空域に集中投入する体制を造った方が良かったでしょう。空の優位さえあれば、対艦攻撃は他のプラットフォーム(P3や艦艇)を使う手もあります、空自が全て抱え込む必要は無いのです。
マリンロイヤル
2013/12/03 23:40
マリンロイヤルさん
横からすみませんが質問に答えずその上論点をずらすのはいかがなものかと
≫マルチロール化という点で見ればF2は劣ってますよ
F-2の開発仕様は国産の対艦ミサイルを4発抱えた状態で450海里の戦闘行動半径を持ち、空対空ミサイルを短距離/中距離各4発積むことも可能というものでしょう
もともとマルチロールよりも強力な対艦攻撃能力+一般的な空対空能力を求められた機体に劣っていると言っても論点をずらしているようにしか見えません。ユーロもスパホも対艦ミサイルを4発以上積むと航続距離が極端に下がる上機動性も制限されますので対艦戦闘においてはF-2の敵ではないですしね
それと、これ以上の伸びしろが無いと言いますがAAM4のほかにもAAM5の搭載やHMDの実装、データリンクやスナイパーXRを装備することによる空対地能力の向上。また新型のJ/APG-2はAPG-79に匹敵する視程を持っているとも言われています(これは本当かどうか知りませんが)。確かに費用対効果という観点から見れば素晴らしいとは言えませんが、十分使える性能はあると思います。

F-16の大量導入という話ですが第三次F-XのときF-16はまだ中距離ミサイルも完全には扱えない昼間戦闘機でした。あとからならなんとでも言える典型的な例ですね
また日本の性格上ある程度の質で大量に揃えるということができないのは周知の事実です。数で勝負することができたのは兵士が畑で採れる国か社会主義国家ぐらいです。パイロットも人間ですから。
制空権を完全に握れる国との戦いなら空自が抱え込む必要がなくても日本の仮想敵国はロシアや中国である以上空の優位を取れるという前提で考えるのは危ういでしょう

2014/03/04 15:01
>>伊さん
F2は、これからも使われるのですから、改良していくのは当然でしょう。しかし、物事は相対的に見る必要がありますよ。欧米の航空技術は日本より進んでいます、欧米はイラクアフガンの低強度紛争への対応で停滞してるだけで、日本が進んでると考えるのは危険です。F2の中途半端さを解消するにはエンジンかアビオの強化しかないが、日本が国家プロジェクトでも組んで、税金を惜しみなく投入しても追いつくのは簡単ではなく「F2に伸びシロが無い」とはそういう意味です。
F16大量導入も、じゃあ当時の極東ソ連軍はどうだったかを見なければ。まだまだミグ21が主力で、F16で十分対処出来たと思いますよ。
どうも日本人は、自衛官も一般人も戦闘機の性能さえ良ければ、あとはどうでも戦争に勝てると単純に考えてるフシがあり、旧軍人の回想記や戦記物の影響なんでしょう。実際は、正面装備の性能差以上に戦力を支える能力が低くて敗れたのです。
マリンロイヤル
2014/03/04 21:33

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